特定技能外国人の受入れについて調べると必ず出てくる「登録支援機関」の名前。
特定技能外国人を雇用するには、絶対に登録支援機関にお願いしないといけないのでしょうか?そもそも、登録支援機関とは何をやってくれる機関なのでしょうか?
本記事では、特定技能制度を使って外国人を雇用する際の支援業務を代行できる登録支援機関について詳しくご紹介します。登録支援機関について抱えている疑問や質問を解決できる内容になっておりますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
INDEX
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
「特定技能制度」とは
登録支援機関の説明に入る前に、まずは「特定技能」について少しだけ触れさせてください。特定技能制度とは、深刻な人手不足であると認定された14業種にて、一定のスキルをもつ外国人労働者の受入れによる人手不足解消を目的として2019年4月に新設された制度です。
特定技能制度を活用して日本で働く外国人労働者には、「特定技能」の在留資格が発行されます。2021年末時点で、約5万人の特定技能外国人が日本に在留しており、新型コロナウイルスの波が去った後には、さらに多くの特定技能外国人が日本へ来日することが予想されています。
登録支援機関の役割
特定技能外国人を雇用している企業のほとんどが、「登録支援機関」を介して特定技能外国人を受入れしています。なぜ受入れ企業は、登録支援機関を通して特定技能外国人を受け入れるのでしょうか?
特定技能外国人を雇用するためには、法律で決められた多くの支援業務を実施する必要があります。主な支援業務だけでも10項目の業務があるため、受け入れ企業が自社で支援業務を行うのは大きな負担となります。そこで、出入国在留管理庁より登録支援機関の許可を取得した個人・企業・団体が、受入れ企業に代わって一部またはすべての支援業務を代行することが認められています。
登録支援機関が代行できる10項目の支援業務
登録支援機関が代行することのできる支援業務は次の10項目です。
- 事前ガイダンス
- 出入国の際の送迎
- 住居確保・生活インフラ整備
- 公的手続きの補助
- 日本語学習の機会を提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 生活オリエンテーションの実施
- 転職支援
- 定期面談・報告
これらの支援業務を自社で実施できない場合、全ての支援業務を登録支援機関に依頼することで支援業務を実施する義務はなくなります。
それでは、10項目の支援業務をそれぞれ解説します。
➀事前ガイダンス
事前ガイダンスとは、外国人が特定技能の在留資格を取得する前に、雇用契約内容などについて母国語で説明をする「支援業務」のひとつです。
事前ガイダンスでは、特定技能外国人に対して、次の事項を説明することが必須となっています。
- 業務内容と雇用条件
- 日本で行うことのできる活動内容
- 入国手続き
- 本人やその家族に対して保証金や違約金などを求めないこと
- 支払った手数料の内訳などの説明
- 支援業務にかかった費用を負担させないこと
- 空港送迎の支援を受けられる権利
- 住居確保の支援を受けられる権利
- トラブルなどの際に相談ができる連絡先など
また、特定技能外国人が海外にいる場合は、事前ガイダンスをzoomやskype等のビデオ電話で実施することも認められており、基本的には3時間以上の実施が必要です。特に、雇用条件についてはしっかりと説明をしておきましょう。
雇用条件について認識の相違があると受入れ後のトラブルに繋がりやすいため、母国語を併記した雇用条件書を作成した上で、通訳同席の下、十分な説明を実施しなければなりません。
②出入国の際の送迎
特定技能外国人を国外から呼び寄せする場合には、空港までのお迎えをする必要があります。また、契約期間を満了して帰国する際にも空港までの送迎をする必要があります。なお、空港送迎にかかる費用などを特定技能外国人に負担させることは法律違反となるので注意が必要です。
➂住居確保・生活インフラ整備
特定技能外国人の住居確保のために、受け入れ企業が賃貸物件を契約して住居を提供したり、すでに社宅をお持ちの場合は社宅を提供したり、不動産会社や物件情報などを提供して内見や契約に同行したりなどの方法で住居に関するサポートを行う必要があります。特定技能外国人が自身で賃貸物件の契約をする場合、条件に応じて連帯保証人になる必要もあります。なお、部屋の広さについても「ロフトを除く居室面積が7.5㎡以上」というルールがありますのでご注意ください。
また、電気・ガス・水道などの生活に必要なライフライン設置のための手続きのサポ―トも必要になります。
④公的手続きの補助
特定技能外国人が住所変更をする場合は、市役所での転出・転入手続きなどに同行するなど公的手続きの補助が必要になります。元々技能実習生として雇用していた外国人を特定技能の在留資格に切り替えて継続雇用する場合などを除いて、市役所での手続きが必要となることがほとんどです。
⑤日本語学習の機会を提供
日本語教育を受けられる学校の案内や、その他の方法で日本語学習の機会を受けられるための補助をする必要があります。日本語学習が受けられる場所の案内などをする必要はありますが、希望していない特定技能外国人に対して日本語学習を強制させる必要はありません。
⑥相談・苦情への対応
特定技能外国人が日本での生活をする上で、母国語での相談ができる体制を整える必要があります。母国語で相談対応ができる体制については、事前ガイダンスの際に電話番号やSNSアカウントを教えるなどして相談先が分かるようにする必要があります。
⑦日本人との交流促進
地域のボランティア活動の情報提供をして、必要に応じて同行するなど、日本人コミュニティとの交流促進のための支援をする必要があります。近隣で実施されるお祭りなどへ特定技能外国人が参加を希望する際は、必要に応じて同行することなどが支援内容に該当します。
⑧生活オリエンテーションの実施
生活オリエンテーションでは次の事項について説明をする必要があります。
- 日本での生活一般に関すること
- 市役所や入管へ必要な届出などに関すること
- 相談がある時の連絡先など
- 医療機関に関する情報
- 病気や事項にあった時における対応事項
- 入管法や労働基準法に違反したことを知った際の対応について
通常8時間以上の実施が必要ですが、自社で雇用していた技能実習生を引き続き特定技能外国人として雇用する場合などは4時間以上の実施でも認められます。8時間の実施をしない場合でも、相談対応ができる連絡先、緊急時の対応、法的保護などの事項については必ず周知する必要があります。
なお、既に特定技能の在留資格をもつ外国人が別の受入れ企業へ転職をして、再度特定技能外国人として就労する場合でも生活オリエンテーションの実施は必須です。
⑨転職支援
受入れ企業の都合で特定技能外国人を解雇させる際には、転職先の紹介などを中心に次の支援実施が必要です。
- 転職先の情報提供
- 必要に応じてハローワークなどに同行
- 必要に応じて推薦状を作成
- 求職活動のための有給を与える
- 離職時に必要な行政手続き案内
- 受入れ企業倒産の場合は支援が行える機関を確保
⑩定期面談・報告
特定技能外国人の支援状況や適正な給与支払い情報などについての確認や労働環境についての面談を年に4回実施する必要があります。受入れ企業の責任者と特定技能外国人に対して面談を行い、賃金台帳も回収して給与の支払い状況に不正がないかなども確認をする必要があります。
登録支援機関の要件
登録支援機関は、下記の全ての要件を満たした上で、入国在留管理庁より許可を得た後に初めて登録支援機関として営業することができます。
- 支援責任者と支援担当者の選任 (兼任可)
- 下記①~②の何れかに該当すること
➀中長期で在留する外国人を受入れした経験または報酬を得て相談業務に従事した実績
②支援責任者または支援担当者が過去5年間に2年以上の中長期で在留する外国人の相談業務に従事していた経験 - 母国語での相談対応ができる体制
- 1年以内に特定技能外国人または技能実習生の失踪者がいない
- 支援業務の実施費用を特定技能外国人に負担させない
- 5年以内に入管法や労働法に違反がない
正式な許可を得た登録支援機関かどうかについては、入国在留管理庁が公表している「登録支援機関登録簿」より確認することができます。
登録支援機関の選び方
登録支援機関を選ぶ際の4つのポイントについてご紹介します。
■受入れ企業からの距離
登録支援機関は、最低でも年に4回の定期面談や相談対応業務があるため、受入れ企業の近くに拠点がある登録支援機関がおすすめです。
■費用
支払う必要のある初期費用や毎月の支援委託費用は登録支援機関によって大きく異なります。そのため、いくつかの登録支援機関に見積もりを依頼し委託費用を比較することも重要です。
■通訳の有無
登録支援機関が正社員として通訳を雇用している場合は、より手厚い相談対応ができる可能性が高いです。そのため、通訳ができる社員の有無についても確認をして下さい。
■支援の内容
登録支援機関によっても支援内容に差があります。契約する際には、支払う金額内でどの程度の支援が受けられるのか確認する必要があるでしょう。
▼登録支援機関の選び方については以下の記事もご参照ください▼
登録支援機関に依頼するメリット
登録支援機関に依頼する2つのメリットをご紹介します。
支援業務を実施する労力や時間を削減できる
前述したように、特定技能外国人を雇用すると多くの支援を実施する義務が発生します。
登録支援機関なしでの受入れを検討する場合、特定技能外国人の母国語で対応ができるスタッフや通訳 (委託可)の確保、企業と特定技能外国人の中立的な立場で定期面談の実施ができる担当者の選任なども必要となります。また、これらの支援業務を適正に行わなかった場合は、特定技能外国人の受入れができなくなる可能性もあります。
そのため、これらの支援を登録支援機関に委託することで特定技能制度の運用に関わる多くの労力や時間を削減することができ、特定技能外国を受入れやすくなります。
特定技能外国人の紹介も依頼できる
登録支援機関は人材紹介(有料職業紹介)の免許をもつ場合が多いため、その場合、特定技能外国人の候補者探しも依頼することができます。
特定技能外国人の募集は技能実習生とは違い、基本的には自社で求人募集を行うか、人材紹介を受ける方法がメインとなります。登録支援機関は人材探しのノウハウをもっていることも多く、もし国内外の人材紹介会社とのネットワークをもっていれば、通常よりも短期間で多くの人材情報を集めることも可能になるでしょう。人材募集や支援業務の委託以外も、特定技能制度の運用に精通しているため幅広くアドバイスを受けることもできます。
登録支援機関に依頼する注意点
登録支援機関に依頼する際の注意点を2つご紹介します。
月額の委託費用が発生する
登録支援機関に支援業務の委託をする場合は、1名につき毎月2~3万円程度の支援委託費用がかかります。また、人材紹介・ビザの切り替え・住居関係などの初期費用も発生するため、最低でも50~60万円程度は予算を確保しておいた方が良いでしょう。
一方で、膨大な支援業務を自社で行う場合でも、専任の人材を雇用する必要があったり、ノウハウがないために手続き上のミスも増えたりするため、多くの人件費・機会損失などが発生する可能性があります。委託費用の節約のために無理に内製化をすることで、結果的にコストが増えてしまったということにならないよう気を付けましょう。
機関によって対応力に差がある
登録支援機関は、まだ認可を受けてから日が浅かったり、とりあえず登録しただけで実績を持っていないことも多々あります。また、実績のある機関は、複数の受入れ企業の支援業務を同時並行で行っている場合がほとんどであるため、緊急の相談対応があった場合でも直ぐに対応することが難しい場合も多いのが実情です。相談が可能な曜日や時間帯、電話や訪問といった相談方法など、相談体制についても委託する前に詳しく確認しておくことをおすすめします。
自社の体制に合わせて登録支援機関に依頼しましょう
本記事では、特定技能外国人の受入れに際して、登録支援機関がどんなサポートをしてくれるのか、また、登録支援機関に支援を委託するメリットや注意点などをご紹介しました。
登録支援機関に支援を委託することは必須ではありませんが、ほとんどの受入れ企業が登録支援機関を介して特定技能外国人の受入れをしている現状を見ると、支援業務を自社だけで行うことの難しさを想像することができるのではないでしょうか?
初めて特定技能外国人の受入れをする際には登録支援機関に依頼することで、法律や制度に違反することなく正しく特定技能制度を活用することができるので、まずはお近くの登録支援機関にご相談することをおすすめします!
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