外国人採用ガイド

介護職に外国人を雇用する方法とは?4つの制度と注意点も解説

介護職に外国人を雇用する方法とは?4つの制度と注意点も解説

人手不足が顕著な介護業界では、外国人の雇用を積極的におこなう事業者が増えています。しかし、外国人の介護職をどう集めたらいいかわからない、採用後にトラブルにならないか不安といった方も多いのではないでしょうか。

本記事では、介護職に外国人を雇用する4つの方法と注意点、外国人を雇用するメリットについてご紹介します。採用にお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。
自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

介護職に外国人の雇用が求められている理由

多くの介護事業所は、慢性的な人材不足に陥っており、介護職員の確保が大きな課題となっています。

公益財団法人 介護労働安定センターの「介護労働実態調査 令和2年度介護労働の現状について」によると、「従業員の不足感」を感じている介護事業所は全体の60.8%でした。2018年の67.2%に比べると数値は減少しているものの、過半数以上が人材不足を感じている現状です。

また、訪問介護事業所では80%を超える事業所が「従業員の不足感」を感じると回答しており、特に介護職員が不足していると読み取れます。

従業員が不足する理由には、全体の86.6%が「採用が困難である」と回答。求人募集を出しても応募が入らず、まったく採用が進まない現状がうかがえます。

少子高齢化が続く中で、介護業界の人材不足を解消するために、国による「介護職員処遇改善加算」などの動きも出てきています。これに加えて企業独自に夜勤専従の職員を募集したり、夜勤手当の増額をする試みも見られますが、即効性があるわけではありません。今後も、官民が協力し合いながら継続的に介護業界の雇用状況の改善・見直しが必要とされています。

介護職で活躍する外国人労働者の現状

介護職として働く外国人は増加しています。2016年には「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」において、日本で働くための在留資格に「介護」が追加されています。これにより2017年から、日本の介護養成施設に通い介護福祉士を取得した留学生は、国内で介護士として働けるようになりました。

また、令和2年度の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、外国人労働者数172万4328人のうち医療、福祉に携わる外国人労働者は4万3446人で、全体の2.5%を占めており、前年比で18.0%の増加となっています。今後もますます介護職で働く外国人労働者は増えると予測されるでしょう。

外国人を介護職に雇用できる4つの制度

外国人労働者を介護職で雇用する制度を4つご紹介します。

  • EPA(経済連携協定)に基づく「介護福祉士候補者」の雇用
  • 日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」をもつ外国人の雇用
  • 技能実習制度に基づく外国人(技能実習生)の雇用
  • 在留資格「特定技能1号」をもつ外国人の雇用

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.EPA(経済連携協定)に基づく「介護福祉士候補者」の雇用

EPA(経済連携協定)とは、日本と相手国で経済活動の連携強化を目的とした制度です。介護業界では、介護福祉士の国家資格取得を目的に、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から外国人を受け入れています。

EPAは、母国で資格取得済みの方や看護系学校の卒業生など、介護に関わる知識や経験のある方が対象となっている点が特徴です。たとえばフィリピンの場合、「看護学校(4年制)を卒業」または「4年生大学を卒業後、フィリピン政府に介護士として認定されている」ことが要件となります。

ただし、EPAは日本で介護福祉士を取得することが目的の制度なので、国家試験の受験が必須です。入国から4年目に介護福祉士の国家試験に合格すれば、在留期間を更新しながら永続的に働くことも可能ですが、不合格の場合は原則として帰国することになります。

EPAの受け入れを希望する際は、調整機関であるJICWELSがマッチング支援などサポートしてくれます。まずはJICWELSが提供する「EPA介護福祉士候補者受け入れ 受入れ機関募集のご案内」ページなどを確認してみてください。

公益社団国際厚生事業団(JICWELS):EPA看護・介護受入事業

2.在留資格「介護」をもつ外国人の雇用

在留資格の「介護」とは、介護福祉士資格を保有する者が介護または介護の指導をおこなう仕事に就くものです。介護の在留資格がある外国人は、施設運営に欠かせない「人員配置基準」に含めることも可能です。

在留資格の「介護」をもつ外国人は、日本語能力試験N2以上の日本語能力を保有しているのが特徴で、介護福祉士養成校の規則に違反していなければ、学生の頃からアルバイトとして雇用できます。

ただしEPAのJICWELSのように受け入れ調整機関がないため、ハローワークに求人を出すなど自主的に採用活動をおこなう必要があります。自社で募集活動が難しければ、外国人雇用を支援する人材会社にサポートを依頼するのもよいでしょう。

3.技能実習制度に基づく外国人(技能実習生)の雇用

技能実習制度とは、外国人を一定期間日本の現場に受け入れ、技能や技術などを学んで母国の経済発展に役立ててもらう制度です。実習生という立場ですが、事業所と雇用契約を結ぶため賃金も発生します。

技能実習生は合計5年間のあいだ、日本で実習を行います。1年目終了時に「学科試験・実技試験」を受験し、試験に合格すると続けて2年間の実習を受けられます。3年目終了時に「実技試験」があり合格すると2年間の実習が可能になる流れです。

5年間の実習を終えて帰国した後は、母国での介護業務に技能実習で得た知見を役立てることが可能です。ただし、実習期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、永続的に日本で働くこともできます。

受け入れ調整を担うのは、地域にある管理団体になります。まずは地域の管理団体を探して、「事業所が技能実習を行う要件を満たしているか」を確認するとよいでしょう。

4.在留資格「特定技能1号」をもつ外国人の雇用

特定技能1号とは、就労目的の外国人を受け入れる在留資格の1つです。技能や日本語能力について、一定水準を満たしているのが特徴で、介護事業所が雇用できる年数は最大で5年間となります。

特定技能1号の外国人は、介護現場で働くために必要な日本語能力は習得しているものの、訪問介護員(ホームヘルパー)として就労できない点に注意が必要です。

ただし、就労期間中に介護福祉士の国家資格を取得すると、在留資格を「介護」に変更できるようになります。在留資格が「介護」になれば、5年間を超えて継続できるほか、訪問介護員としても就労可能です。

介護職に外国人を雇用するメリット

介護職に外国人を雇用するメリットを改めて確認していきましょう。

  • 介護現場の活性化につながる
  • 若い労働力が期待できる
  • 国際的な交流につながる

それぞれ解説します。

介護現場の活性化につながる

外国人労働者を介護職として雇用すると、介護現場の活性化が期待できます。介護施設で提供される利用者向けのレクリエーションに、外国人ならではのアイデアや企画を盛り込めば、利用者の満足度を高められる可能性もあるでしょう。

異なる文化をもつ外国人スタッフと交流をすることで、利用者に楽しんでもらえれば、介護現場全体が活性化していくメリットがあります。

ただし、外国人を雇用すれば利用者の満足度が高まると、短絡的にとらえるのは危険です。言葉の壁、文化の壁と、利用者の価値観を確認しつつ、丁寧に取り組むことが大切です。

若い労働力が期待できる

母国の大学を卒業して来日するケースが多い外国人労働者は、若い戦力として期待できます。介護職は、利用者の歩行介助やトイレ介助、入浴介助などを行うため身体が資本の職業です。経験や知識のあるベテランでも、夜勤や連勤が続くと肉体的な負担が大きいでしょう。

一方、2017年の介護労働安定センターによる「介護労働実態調査」では、60歳以上の職員が全体の27%以上を占めるなど、介護労働者の平均年齢は高まっています。若い労働力を外国から迎え入れ、ベテラン社員から知識や技術を吸収してもらえば、将来事業所を支える戦力になることが期待できるでしょう。

国際的な交流につながる

外国人労働者を雇用することで、国際的交流を活性化できるのもメリットです。母国の生活文化や習慣といった外国人ならではの価値観を学びながら、ビジネスアイデアを得られたり、職場のコミュニケーション促進をしたりするなど、前向きな効果が期待できるでしょう。

ただし、外国人労働者とともに働く機会が初めてのスタッフには、お互いに理解しあえるようなサポートをしたり、相談窓口を設置したりする配慮も大切です。

介護職に外国人を雇用する際の注意点

最後に、外国人労働者を介護職として雇用する際の注意点を解説します。

  • 利用者と家族へ説明を行う
  • 具体的な相談にのる

順に説明します。

利用者と家族へ説明を行う

外国人の介護職が介護サービスを行う前に、利用者と家族へ説明を行うことが大切です。外国人の介護職と日本の利用者の間では、価値観が異なります。利用者の常識が外国人介護職に必ずしも通じるとは限りませんし、反対の場合も同様です。

事前説明や利用者・利用者家族の理解が不足していると、トラブルのもとになりかねません。必ず、会社の統括者や現場の責任者から、事前説明を行いましょう。

万が一、家族が遠方にいたり、多忙だったりして十分な説明時間がとれない場合は、連絡帳や広報誌で家族に周知するようにしてください。

具体的な相談にのる

外国人労働者は自分が住む場所や日本という国の特徴について、ある程度勉強してから来日します。しかし、慣れるまでは雇用側が具体的な相談にのる必要があります。

具体的には、職場までの交通手段や買い物ができるスーパーの案内といった、日常生活を送るために困らないような必要最小限のサポート体制を構築してください。日常生活をサポートしてもらえれば、トラブルを未全に防ぎ、かつ外国人労働者も安心して働くことができるでしょう。

外国人労働者とともに介護現場をつくろう!

高齢化・人手不足が顕著な介護業界では、外国人労働者が介護職として働くシーンが増えています。

外国人を介護現場で雇用する制度は4つです。

  • EPA(経済連携協定)に基づく「介護福祉士候補者」の雇用
  • 在留資格「介護」をもつ外国人の雇用
  • 技能実習制度に基づく外国人(技能実習生)の雇用
  • 在留資格「特定技能1号」をもつ外国人の雇用

制度によって介護福祉士資格の有無や雇用期間に違いがあり、受け入れ調整機関などの支援の有無が異なります。それぞれの制度の違いを押さえて、効率的に業務を進めましょう。

また雇用後のマネジメントのために、本記事の外国人を雇用するメリットと注意点をぜひ参考にしてみてください。

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