日本で働く外国人の数は200万人を超え、平成19年以降で過去最多を記録しました(令和5年10月末時点)。
技能実習制度が廃止され「育成就労制度」へと切り替わっていくことが発表されましたが、技能実習・特定技能ともに人数は増加しており、外国人労働者は、今後さらに増えることが予想されています。
特に、日本人の採用が難しい業種・職種では、外国人労働者の助けがすでに必須となっていますが、円安が進む中で、諸外国と比べ、賃金面での競争力は低くなっています。
そこで本記事では、外国人が日本で働くことに対して抱いているイメージを分析し、外国人に選べばれる会社になるためのヒントを探っていきたいと思います。
INDEX
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
外国人にとって日本で働くことのイメージは?
日本は、外国人から見た時に、働く上で魅力的な国でしょうか?
国外に住む外国人を対象に「Japan Work」が調査した『日本の働く環境』のアンケート結果を見てみましょう。
アンケート結果
Q:日本で働きたいと思った事はありますか?
このアンケート回答から見ると、国外在住外国人の中で日本のイメージはとても良好です。
日本で働きたい理由
■オンラインで英語の教師をしていた経験があり、日本の文化に興味を持った。加えて、外国人にとって一番安全で住みやすい国だと思う(フィリピン/30代)■日本の文化やライフスタイル、親切な日本人が好き。経済的にも発展しているので、いつでも機会があれば働きたい(ネパール/30代)
■国際経済について学んでから、長い間日本の文化に興味を持っている。もし、長期的に日本で働ければとても嬉しい(フランス/20代)
■今よりもっと稼げると思う(マレーシア/20代)
■以前、日本に留学しアルバイトをしていた時、給料は高くボーナスも支給された。全ての従業員に平等だった。仕事をするのにはとても良い国だと思う。(フィリピン/30代)
給料・賃金面だけでなく、日本の住みやすさや文化的な側面を回答する方が少なくありません。
生活が便利で安全、公共交通機関が多くて正確である等の「住みやすさ」は日本で働きたい外国人の多くが挙げる点です。
また、若い世代では、日本のアニメや漫画、アイドルなどのサブカルチャーも大きな魅力です。
日本で働きたくない理由
■日本語が難しい(ネパール/20代)■ベトナム語と英語しか分からない。これまで一度も日本に行きたいと思わなかった(ベトナム/20代)
■日本は留学生しか歓迎しておらず給料が低すぎると聞いた(ネパール/20代)
外国人労働者の給与をあからさまに低く設定したり、日本語学習やコミュニケーションの機会を疎かになることで、外国人労働者側の不安・不満がつのることが予測できる回答になっています。
Q:日本で働く場合、障害となりうる問題は何ですか?
このアンケート結果からも、在留資格取得の難しさと共に、言語やコミュニケーションの問題が、日本で働きたい外国人にとって大きな不安要素だとわかります。
反対に、在留資格の取得をしっかりとサポートした上で、コミュニケーションを円滑に取ることができれば、外国人従業員の満足度も上がる事が期待出来そうです。
Q:日本の働く環境は良いと思いますか?
こちらのアンケートからも、日本で働きたい外国人にとって日本の職場イメージがとても良好だとわかります。
日本の労働環境が良いと思う声
■私が知っている限り、日本の働く環境はとても良いと思う。給料や福利厚生を、安全で効率的な職場と共に補償している。加えて、就労が可能なビザと仕事を外国人へ提供している(フィリピン/30代)■時間のマネジメントや勤務態度が良く教育されている。そしていつもターゲットが決まっていて、顧客に最善を尽くしている(インドネシア/20代)
■日本の働く現場をビデオで見たことがあるが、日本企業は食料や住宅などを提供していて、良い職場環境だと思う(インド/20代)
■日本人は礼儀正しく規則を守るし、外国人を歓迎している(フィリピン/20代
■20年前に日本に住んだことがある。今、私は50代だが戻りたいと思う(フィリピン/50代)
■私の調査によると、勤務時間が固定されており安定した収入を見込める。ALTなどは授業時間が決まっているのでとても良いと思う(フィリピン/20代)
■日本は、以前に増して国外と友好的な関係を築こうとしていると思う(フィリピン/40代)
■知っている限り、日本はとても安全に働ける国。マナーがしっかりしていて文化も受け入れやすいし職場環境も清潔だ(フィリピン/30代)
■日本人は外交的で、日本人同士であればお互いの考えを理解し、個々が仕事を尊重していて誠意を持っていると思う。もし、差別がなければ全ての人にとって良い職場環境を築けると思う(ネパール/20代)
■国際的に見て、日本の職場環境はとても良いし興味がある。ただ、一つの欠点は過剰な仕事量。改善策は見るかるはずだ(フランス/20代)
日本の労働環境が悪いと思う声
■勤務時間が長すぎるし、残業もあるので疲労がたまりそう。休憩や休日は、従業員を正気で保たせる為に必要不可欠だ(フィリピン/30代)■ワークライフバランスを改善する必要がある。過剰な仕事量や勤務時間は健康と生活に影響を及ぼすと思う。将来、改善されると良いと思う(フィリピン/30代)■生活費が高すぎるので、日本に住むと長時間働かなくてはならない。家族と過ごす時間がなくなる(アメリカ/50代)
日本の職場イメージが良好だという安心感もありつつ、アンケートの声が単純な感想では無く、日本の働き方への鋭い指摘にもなっています。
日本企業側の対応はどうしたら?
上記アンケートから見られるように、日本は魅力的な国であり、働く環境も良いという声が多いのは受け入れ企業側には非常に嬉しい現状です。
言語の壁による問題も起こりがちですが、実はトラブルの多くは、日本文化や人間関係です。
日本で美徳とされている文化に魅了される外国人も少なくはないのですが、その独特さは短期間の滞在ではなかなか理解できません。
特に外国人が苦しむのが、本音と建前の理解でしょう。
ストレートな表現が多い外国人にとっては、本音と建前も文化は理解し難く、それ違和感に発展します。
一度違和感を抱いてしまうと、失礼のない振る舞いや言葉遣いができるか、周りの日本人に馴染んでいけるかなど、様々な悩みや心配が膨らんでいってしまうものです。
そういった外国人の悩みを、雇用する企業側が理解し、入社後の教育やサポートを充実させていく必要性は高いでしょう。
同時に、外国人従業員はもちろん、彼等と一緒に働く日本人従業員に対する配慮、サポートも必要です。
外国人と一緒に働いた事のある日本人従業員にヒアリングしたアンケートを見てみましょう。
外国人と一緒に働くときに企業に対応してほしいこと
出典:dip総合研究所|日本人の6割が外国人労働者が増えることに賛成
目立った回答に、「複数言語やイラストでの業務マニュアルを準備してほしい」が、最も多く挙げられています。その他にも語学のフォローに関するものが企業の対応してほしいこととして上位に挙げられました。
また、「日本人スタッフへの外国人採用にあたっての背景など事前周知をしてほしい」「日本人社員の語学力を高めるため、英語教室の開催など学習の場を設けてほしい」という日本人スタッフへの働きかけについても要望が見られます。
語学やコミュニケーション方法について、外国人従業員に対してはもちろん、迎える側の日本人に対する配慮やセミナーも求められている事がわかります。
また、企業だけでなく、サービスを受けるお客様からの声もアンケートから分かることもあります。
従業員が外国人だった場合の印象
出典:dip総合研究所|日本人の6割が外国人労働者が増えることに賛成
日本で働く外国人への印象は、「海外に来て頑張っているので応援したい」という回答が5割近くありました。
また、「どのような仕事へも積極的」「もの怖じせずチャレンジしそう」「仕事に向き合う姿勢が真摯」という回答も3割超えています。
従業員が外国人であることを許容しますか
外国人からサービスを受ける許容については、アンケート内の6職種すべてで、7割以上、多い職種では9割以上が外国人からサービスを受けることに対し許容しているという結果になっています。
職場全体として外国人の受け入れ態勢が整っていない場合もあるかもしれません。
ただでさえ、慣れない土地での暮らし、未経験な仕事というストレスがあり、そこに職場で理解されない、差別、パワハラ等が加わってしまうと、場合によっては大きな問題に発展してしまうこともあります。
職場ではもちろん、プライベートでも、外国人労働者が差別やパワハラの対象になっていないか配慮は必要になるでしょう。
法制度によって改善されつつありますが、根本的に解決する為には法制度のみならず、受け入れ企業、また社員全員が、働く外国人に対して共通の理解を持つことが大切です。
外国人と一括りにせず、一人一人の能力、個性を把握し、特別扱いをしない雰囲気作りを心がけましょう。
外国人にとって魅力な日本の職場
外国人労働者に対して理解ある職場環境が、働く外国人にとって、日本の魅力、日本で働く意義、やりがいにつながります。
忙しい日々の中で、外国人労働者に対して細やかな理解、個性の把握をするのは難しいかもしれません。
しかし、受け入れ企業の法的な準備ばかりでなく、このような認識や体制を準備し、迎え入れる気持ちに整える事は非常に大切です。
また、この理解・把握は、実は外国人だけではなく、若い日本人に対しても非常に有効です。
前述のように、日本独特の文化、本音と建前のような慣習に違和感を抱くのは外国人ばかりではなく、日本の若者もそうだと言えるでしょう。
外国人にとって働きやすい魅力的な労働環境を整えることで、外国人労働者はもちろんのこと、日本の若い労働力にとっても喜ばれる会社へ変わっていくことができます。
外国人採用の大きなメリット
少子高齢化社会が進む中、外国人採用を実施する企業は今後ますます増えていきます。優秀な外国人労働者の獲得には受け入れ企業側の準備・体制作りもますます重要となるでしょう。
優秀な外国人労働者は、バイリンガル、トリリンガルである事も珍しくありません。
外国人が入社することによって、職場全体の語学研修を進められたり、英語を公用語にしたり、企業文化や事業領域が発展する可能性もあります。
日本とは違う文化、環境で育った外国人だからこその目線や斬新な発想も職場を豊かにするでしょう。
つまり、外国人労働者の雇用を促進することは、既存の日本人従業員を育てる事にも繋がっていきます。
まとめ
本記事では、日本政府の方針や現状、アンケート等を基に外国人採用に関する心得や注意点についてご紹介してきました。
初めて外国人従業員を雇用する際にはもちろん不安が付きものです。言語をはじめ、生活習慣や文化の違いがある外国人を受け入れるのは難しいのでは…と最初は誰もが思います。
自社内だけで悩まず、頼りになる監理団体、登録支援機関に相談しながら、明るい未来へと繋がる外国人採用を進めていきましょう。
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