外国人採用ガイド

【受入れ企業向け】技能検定合格ガイド|試験内容・対策方法・費用を解説

外国人技能実習生の受入れにおいて、実習生を技能検定に合格させることは重要な目標の一つです。

しかし、受検手続きの流れや試験対策など、具体的にどのような対策をすればよいのかお悩みではありませんか?

この記事では、技能検定の試験内容や受検スケジュール、合格するためのポイントについて詳しく解説します。

記事を最後まで読むことで、技能実習生の技能検定合格に向けた具体的な行動計画が立てられるでしょう。

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

技能検定とは

技能検定は、外国人技能実習生の技能修得レベルを測定するために行われる国家検定です。各都道府県の中央職業能力開発協会と、指定された民間の機関が実施・運用しています。

まずは、技能検定の目的や重要性、合格基準などについて詳しく見ていきましょう。

技能検定の目的

技能検定の主な目的は、技能実習生が技能実習計画に基づいて十分な技能を修得できているかを評価することです。

これにより、技能実習制度の適正な運用と技能実習生の技能向上が図られます。

また、技能検定に合格することで、技能実習生は自身の技能レベルを客観的に証明でき、帰国後のキャリアアップにも役立てることができる制度となっています。

受入れ企業にとっても、技能実習生の技能習得状況を正しく把握し、担当業務の変更や指導方法の改善に活かすことができます。

技能実習生にとっての重要性

技能実習生にとって、技能検定に合格することは何よりも重要です。

もし合格できなかった場合、技能実習生は再度の受検機会が1回しか与えられません

2回続けて不合格となると、技能実習の在留資格が失効し帰国することになってしまいます。

そのため、技能実習生は技能検定に合格することに全力を注ぐ必要があるのです。

合格基準

技能検定の合格基準は、実技試験と学科試験それぞれで設定されています(随時級は実技のみ)。

実技試験では60点以上、学科試験では基礎級(技能実習1号)で60%以上、随時級(技能実習2・3号)で65%以上の得点が求められます。

これらの基準をクリアするためには、日頃から技能実習計画に沿った着実な技能修得と、専門用語を含む日本語能力の向上が欠かせません。

受入れ企業は、技能実習生がこれらの力を身につけられるよう適切な指導を行うことが重要となります。

不合格の場合の対応

万が一、技能検定に不合格となってしまった場合はどのように対応すればよいのでしょうか。

まずは、なぜ不合格になったのかを分析し、次回の受検までに、日本語能力や技術面での弱点を克服することが大切です。

再検定までの期間を有効に活用するためにも、早めに対策を立てることをおすすめします。

例えば、実技試験対策として職場内での重点的な指導を行ったり、学科試験対策として過去問題を解いたりするなどの取り組みが考えられます。

いずれにしても、技能実習生のモチベーション維持を図りながら、再検定に向けて全力でサポートしていくことが大切です。

技能検定の合格は、技能実習生と受入れ企業の両者にとって大きな目標であることを忘れずに取り組んでいきましょう。

技能検定の種類と受検時期

技能実習生が受ける技能検定には、いくつかの種類があります。

それぞれの検定の内容と受検時期について見ていきましょう。

技能実習1号(基礎級)

技能実習1号で受検する基礎級は、実技試験と学科試験の両方が行われます。

この検定は、技能実習計画に基づいて必要な技能が修得できているかを確認するものです。

基礎級の合格基準は、実技試験が60点以上、学科試験が60%以上となっています。

日本語能力試験(N4)の受検を促すことで、学科試験対策にもつながるでしょう。

技能実習2号(随時3級)

技能実習2号では、随時3級の実技試験のみが行われます。

この検定は、より高度な技能の修得度を確認するものです。

随時3級の合格基準は、実技試験で65%以上の得点が必要です。

厚生労働省のホームページで試験基準を確認し、中央職業能力開発協会の過去問題を活用して対策を行うことをおすすめします。

中央職業能力開発協会:技能検定試験問題公開サイト

技能実習3号(随時2級)

技能実習3号での随時2級も、実技試験のみが実施されます。

この検定では、さらに専門的な技能の修得度が問われます。

随時2級の合格基準は、随時3級と同様に実技試験で65%以上の得点が求められます。

実技試験の準備には時間がかかるため、余裕を持って計画的に対策を進めることが重要です。

受検時期の目安

技能検定は、技能実習生の在留期間終了までに合格することが必要です。

不合格の場合、再検定は1回のみしか認められません。

受検時期は、不合格になった際の再受検の可能性も考慮し、遅くとも各号修了の6~12か月前までに申請を済ませ、在留期限の6ヶ月前までに受検することを推奨します。

都道府県によっては一部職種で検定を実施しない場合があるため、事前に実施状況を確認しておくことも大切です。

外国人技能実習機構への受検手続き支援申込の際は、必要書類として申請書、写真、パスポート・在留カードのコピー、合格証書のコピー(該当者)などを準備しましょう。

技能検定スケジュール

技能検定受検の準備手順

外国人技能実習生の受入れにあたって、技能検定の受検は重要なステップです。

ここでは、技能検定受検の準備手順を解説します。

都道府県の実施状況確認

まず初めに、受入れ予定の技能実習生の職種に対応した技能検定が、受入れ先の都道府県で実施されているかを確認する必要があります。

都道府県によっては、一部の職種で技能検定を実施していなかったり、会場や検定員の確保ができず他都道府県で会場を探さないといけない場合があります。

管轄の職業能力開発協会に問合せを行い、技能検定の実施状況を確認しておきましょう。

中央職業能力開発協会:各都道府県の職業能力開発協会一覧

技能検定職種および試験基準の確認

自社で受け入れている技能実習生が対象となる技能検定の職種と、試験科目や範囲などの試験基準を確認しましょう。

事前にどのような実技試験を行うのか理解し、対策しておくことで合格率が変わってきます。

試験範囲は、厚生労働省のホームページからいつでも確認することができます。

外国人技能実習機構への受検手続き支援申込

技能検定の受検には、外国人技能実習機構(OTIT)への受検手続き支援申込が必要です。

技能検定の申し込みから合否の確認まで所属する監理団体が手続きを行いますが、試験日程の調整など、受入れ企業の協力が必要な場面もあります。

申込みにあたっては、以下の書類を準備する必要があります。

【必要書類】
・受検申請書
・写真
・パスポート、在留カードのコピー
・技能検定合格証書のコピー(随時級の場合)

また、都道府県によっては技能検定委員や会場の準備が必要な場合もあります。

頻繁に起きることではありませんが、このような場合は調整に多くの時間を要するため、早めの準備が必要です。

技能検定試験当日

技能検定には筆記試験と実技試験がありますが、どちらが先に実施されるかは当日にならないと分かりません。

【技能検定基礎級試験】

■筆記試験
日本語表記・・・問題文はひらがなのみ
試験問題・・・・選択方式(二者択一)
問題数・・・・・30問
試験時間・・・・60分以内
合格点数・・・・65点以上/100点

■実技試験
試験時間・・・・原則1時間以内
合格点数・・・・60点以上/100点

【技能検定随時3級試験】

■筆記試験
日本語表記・・・問題文の漢字にはフリガナあり
試験問題・・・・選択方式(二者択一)
問題数・・・・・30問
試験時間・・・・60分以内
合格点数・・・・65点以上(100点満点)

■実技試験
試験時間・・・・2~3時間程度
合格点数・・・・60点以上(100点満点)

合否発表

技能検定の結果発表は、試験から約2週間から1ヶ月後、合格証書の交付はさらに2週間から1ヶ月後となります。

試験に不合格の場合、再試験の機会が一度だけ与えられますが、再申請とスケジュールの調整が必要となります(最短でも1か月後程度)。

基礎級で不合格となり、再試験でも合格できない場合は、技能実習2号への移行はできず、母国へ帰国させることになります。

技能実習2号・3号への移行を目指すためには、まずは基礎級の試験で合格する必要があります。そのためにも、日々の実習に真剣に取り組み、確かな技能と日本語能力を身につけていきましょう。

技能検定合格までの流れ

技能検定合格のための対策

次に、試験に合格するための具体的な対策ポイントを解説していきます。

日本語能力向上の重要性

厚生労働省の統計データ(令和4年度)では、技能検定基礎級の筆記試験合格率は98.6%となっています。

一見高い合格率に見えますが、100人に2~3名程度が不合格となっていることを考えると、試験対策の重要性を軽視することはできません。

甘く見積もって準備・対策なしに受験してしまうと、不合格となる可能性も十分にあるため、技能検定に向けた日本語の勉強は不可欠と言えるでしょう。

基礎級の学科試験には日本語能力試験N4程度の読解力が必要とされているため、日本語学習を早期から計画的に進めることが合格への1番の近道です。

具体的には、技能実習生に定期的な日本語レッスンを受講させたり、日本人従業員とのコミュニケーションの機会を増やしたりすることで、実践的な日本語力を養成しましょう。

日本語能力試験(JLPT)N4の受検を促すことも有効な手段の一つです。

過去問題の活用

効果的な試験対策として、過去問題の活用が挙げられます。

中央職業能力開発協会のホームページでは、技能検定の過去問題が一部公開されています。

過去の出題傾向を把握し、繰り返し解くことで、試験形式に慣れることができるでしょう。特に学科試験対策では、過去問題を用いた反復学習が効果的です。

技能実習生が自主的に取り組めるよう、問題集の作成や社内学習の場を設けるなどの工夫も考えられます。

実技試験についても、過去問題で求められている課題の精度や速度を確認し、練習に役立てましょう。

中央職業能力開発協会:技能検定試験問題公開サイト

実技試験対策のポイント

技能検定の合否を左右するのが実技試験です。

基本的な対策として、日々の業務で技能実習計画に沿った着実な技能修得を進めることが重要です。

加えて、実技試験では、実際の業務ではあまり使用しない技術や道具などを使う場面もあるため、試験形式を意識した対策も必要でしょう。

実技試験では、課題の精度や速度が評価のポイントとなります。

試験で求められる作業を想定し、時間を計測しながら何度も練習することが鍵です。

機器の操作やパーツの組み立てなど、課題に応じた反復練習を行いましょう。

日本人従業員が指導役となり、試験の雰囲気を再現するなどの取り組みも有効です。

技能検定の学科試験と実技試験については、厚生労働省のウェブサイトで職種ごとの審査基準・試験基準が公開されています。

受験予定の職種に関する情報を事前に確認し、試験対策に役立ててください。

技能検定の費用

技能実習生の技能検定にかかる費用は、受検手数料だけではありません。

ここでは、受検手数料に加えて、受検に関連する諸経費や不合格時の再受検費用、さらには費用負担の考え方について解説していきます。

受検にかかる費用

技能検定の受検手数料は、職種や実施団体などによって異なりますが、概ね18,000円~24,000円程度で、受入れ企業が負担することになります。

これらの受検手数料は、試験の実施に必要な経費として使用されます。具体的には、試験問題の作成や印刷、試験会場の確保、試験監督者の手当などに充てられます。

受検に関連する諸費用

受検手数料以外にも、技能検定の受検には諸費用がかかります。

例えば、受検のための交通費や宿泊費、受検に必要な道具や材料の購入費などです。これらの費用は、受検手数料とは別に受入れ企業が負担することが一般的です。

また、技能検定の準備のために、技能実習生に対する追加の教育や訓練が必要な場合もあります。その際には、教材の購入費や指導者の人件費なども発生します。

これらの費用についても、受入れ企業が負担することが求められます。不合格の場合の再受検の費用も同様です。

技能検定合格のメリット

技能実習生が技能検定に合格することには、多くのメリットがあります。

ここでは、技能検定合格の主なメリットについて解説していきます。

技能実習生のモチベーション向上

技能検定に合格することは、技能実習生にとって大きな目標の1つです。

合格に向けて日々の実習に励むことで技能習得へのモチベーションが高まります

また、合格した際の達成感は、さらなる技能向上への原動力となるでしょう。

将来のキャリアアップへの明確なビジョンを持つことで、技能実習への取り組み姿勢がより積極的になるはずです。

「優良実習実施者」への認定

技能検定の合格率は、「優良実習実施者」として認定されるための大きな加点ポイントのひとつです。

優良実習実施者の認定を受けることで、技能実習生の受入れ枠拡大や実習期間が最大5年まで延長されるなどのメリットがあります。これらの優遇措置により、より多くの実習生を受け入れ、より高度な技能を習得させることができるようになります。

技能実習の質の向上

技能検定の受検準備を通じて、技能実習の質が向上します。

試験範囲に沿った体系的な技能習得プログラムを組むことで、効果的かつ効率的な技能実習が可能となるでしょう。

また、過去の試験問題や他社の好事例を参考にすることで、自社の技能実習内容を見直すきっかけにもなります。

継続的な改善サイクルを回すことが、技能実習の質の向上につながるはずです。

技能実習修了後のキャリアへの影響

技能検定の合格は、技能実習修了後の母国でのキャリアにも良い影響を与えます。

日本での技能習得の成果を客観的に証明する手段となり、就職や起業の際のアピールポイントになるでしょう。

さらに、母国の日系企業への就職や、日本との取引のある現地企業への就職など選択肢も広がります。

技能実習生の将来設計を支援することは、受入れ企業の社会的責任の一環ともいえるでしょう。

技能検定に関する注意点

技能実習生の皆さんが技能検定に合格するためには、いくつかの重要な注意点があります。

ここでは、技能検定を受ける際に特に気をつけていただきたい点について解説します。

受検時期の遅れによるリスク

技能実習生の在留期間は限られているため、技能検定の受検時期が遅れてしまうと、再検定の機会が限られてしまう可能性があります。

技能実習計画には、検定合格に必要な技能が修得できるようなスケジュールを組み込むことが重要です。

理想的には、在留期限の6ヶ月前までには受検することを目指しましょう。

これにより、万が一不合格となった場合でも、再検定に向けた準備期間を十分に確保することができます。

受入れ企業の皆さんには、技能実習生の方々が計画通りに受検できるようサポートすることが求められます。

十分な準備期間の確保

技能検定、特に実技試験の合格には、相応の練習時間が必要です。

余裕を持ったスケジュール設定を行い、技能実習生が十分な準備期間を確保できるようにしましょう。

そのためには、早めに受検申込の手続きを進めるとともに、日頃の実習カリキュラムにも配慮が必要です。

過去の試験問題を活用した模擬試験を行うなどの適格な対策を実施することで合格率を高めることができます。

時間的な余裕を持った計画的な取り組みを心がけてください。

まとめ

外国人技能実習生にとって、技能検定は自身の技能レベルを測り、適正な実習が行われているかを確認する重要な機会です。

そのため、受入れ企業は、実習生が試験に合格できるよう万全のサポート体制を整える必要があります。

まず、準備段階では都道府県の実施状況確認や、外国人技能実習機構への受検手続き支援申込を行いましょう。技能実習計画の内容が検定合格に必要な技能習得に適しているかどうかも併せて確認することが重要です。

試験対策としては、日本語能力の向上、試験基準の理解、過去問題の活用が効果的です。特に、合否を大きく左右する実技試験に向けては、十分な練習時間を確保することが不可欠となります。

技能検定に合格することで、実習生のモチベーション向上に繋がるだけでなく、企業にとっても、最大5年・通常の2倍の実習生の受け入れが可能となる「優良実習実施者」として認定される大きな加点ポイントになります。

外国人技能実習制度の目的を正しく理解し、実習生の技能習得と将来のキャリア形成を支援していくことが、受入れ企業の社会的な責務でもあります。

本記事を参考に、実習生が技能検定に合格できるよう、しっかりと準備を進めていきましょう。

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