外国人採用ガイド

【物流・運送業界の外国人雇用の実態調査】雇用状況や方法・採用時の課題について

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外国人ドライバーを雇用した経験のある事業所は約4割で、人手不足の解消を目的とした採用が主流である一方、日本語能力の不足や交通ルールの理解不足が主な課題として挙げられた。特定技能制度の解禁後も、採用予定なしとする企業が約半数に上るなど、慎重な姿勢が続いており、今後の雇用拡大には言語教育や受け入れ体制の整備が求められる

技能実習生・特定技能外国人など始めとする「外国人雇用を検討する会社」と、監理団体・登録支援機関・外国人材紹介会社など「外国人材を紹介する会社・団体」をつなげるBtoBマッチングサービス「外国人採用の窓口」を展開する株式会社アルフォース・ワン(本社:東京都葛飾区 代表者:山根 謙生、以下当社)では、物流・運送業界を対象に「外国人雇用」に関する調査を実施しました。(調査期間:2025年2月19日〜2025年3月4日)

〈調査概要〉

項目 詳細
調査名 物流・運送業界の外国人雇用の実態調査
対象者 物流・運送業界に勤務する方
対象地域 全国
調査方法 インターネット調査
調査期間 2025年2月19日〜2025年3月4日
回答数 118名

〈回答者年代内訳〉

年代 人数
20~29歳 8名
30~39歳 23名
40~49歳 38名
50~59歳 30名
60歳~ 19名

INDEX

物流・運送業界の外国人ドライバーの雇用状況の実態

Q1:あなたの職場での外国人ドライバーの雇用状況を教えてください【n=118/単一回答】

Q1:あなたの職場での外国人ドライバーの雇用状況を教えてください

「雇用経験あり(現在も雇用中)」が27.1%、「雇用経験あり(現在は雇用なし)」が15.3%となり、全体の 42.4%の事業所が外国人ドライバーの雇用経験があることがわかりました。また、「雇用検討中」が10.2%と一定の割合を占める一方、「雇用する予定なし」が47.5%と約半数に上っています。

この結果から、物流・運送業界における外国人ドライバーの雇用は着実に進んでいる ものの、依然として慎重な姿勢を取る事業所も多いことが明らかになりました。特に、「雇用経験あり(現在は雇用なし)」が15.3%存在することから、日本語での業務遂行の難しさ、運転免許の取得要件、労働環境の違いなどが雇用継続の障壁となっている可能性が考えられます。

一方で、「雇用検討中」が10.2%存在することからも、外国人ドライバーの受け入れを前向きに考える事業所が増えていることが伺えます。特定技能制度の活用が進み、運転免許取得の支援や日本語教育、受け入れ環境の整備 が強化されれば、外国人ドライバーの雇用拡大がさらに加速し、人手不足解消への貢献が期待されます。

Q2:どのような方法で外国人ドライバーを採用しましたか【n=114/単一回答】

Q2:どのような方法で外国人ドライバーを採用しましたか

「公的機関(ハローワーク・外国人雇用センターなど)」を利用して採用した事業所が40.4%と最も多く、次いで「求人広告」が30.7%を占めました。一方、「人材紹介会社(登録支援機関含む)」は14.0%、「リファラル(縁故)」は14.9%となりました。

この結果から、外国人ドライバーの採用においては、公的機関を活用するケースが最も多い ことがわかります。これは、ハローワークや外国人雇用センターを通じた採用が、コストを抑えつつ幅広い求職者にアプローチできる点が影響していると考えられます。また、求人広告も一定の割合を占めており、自社で直接募集を行う企業も多いことが伺えます。

一方で、人材紹介会社の活用は比較的少なく、特に外国人雇用に特化した登録支援機関の活用は限定的であることが読み取れます。これは、外国人ドライバーの雇用がまだ発展途上にあるため、専門の紹介サービスの認知度が十分に浸透していない可能性が考えられます。今後、特定技能制度の普及に伴い、人材紹介会社や登録支援機関の活用が増えることで、より円滑な外国人雇用が進むことが期待されます。

Q3:外国人ドライバーの採用は、あなたの職場にとって成功だったと思いますか【n=118/単一回答】

Q3:外国人ドライバーの採用は、あなたの職場にとって成功だったと思いますか

「成功だった」と回答した事業所は12.7%にとどまり、「どちらとも言えない」が61.0%と最も多い結果となりました。一方で、「成功ではなかった」と回答した事業所は26.3%を占めています。

この結果から、外国人ドライバーの採用に関しては、成功と感じている事業所はまだ少数派であり、多くの企業が判断を保留している状況であることがわかります。「どちらとも言えない」が6割を超えている点から、採用後の定着率や業務適応の可否がまだ評価しきれていない、あるいは試行錯誤の段階にある事業所が多いと考えられます。

また、「成功ではなかった」とする事業所が一定数存在することから、日本語での業務遂行の難しさや、運転免許の取得要件、文化的な適応の課題などが採用後の課題として影響している可能性があります。今後、特定技能制度の活用や、企業側のサポート体制の強化により、外国人ドライバーが活躍しやすい環境を整備することが求められます。これにより、成功事例が増え、外国人雇用の定着が進むことが期待されます。

Q4:外国人ドライバーを採用した理由を教えてください【n=118/単一回答】

Q4:外国人ドライバーを採用した理由を教えてください

「人材不足の解消」が72.0%と圧倒的に多く、次いで「若手労働力の確保」が11.0%を占めました。一方で、「新たな運送ルート・顧客の開拓」5.9%、「外資系企業・荷主への対応」5.1%、「その他」5.9%と、それ以外の理由は比較的少数でした。

この結果から、外国人ドライバーの雇用は主に人手不足対策として導入されていることが明らかになりました。物流・運送業界では、長時間労働や厳しい労働環境による日本人ドライバーの不足が深刻化しており、特に若手の採用が難しい状況にあります。そのため、外国人労働者を活用し、労働力を確保しようとする事業所が多いと考えられます。

厚生労働省によると、令和6年9月の「輸送・機械運転従事者」における有効求人倍率は以下のようになっています。

職業 有効求人倍率
輸送・機械運転従事者 2.20
鉄道運転従事者 1.02
自動車運転従事者 2.62
船舶・航空機運転従事者 0.60
その他の輸送従事者 0.74
定置・建設機械運転従事者 1.89
職業全体 1.14

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」

特に高いのは「自動車運転従事者」の2.62倍で、職業全体の1.14倍と比較すると2倍以上になっています。今後しばらくは有効求人倍率の高止まりが予測されるため、外国人ドライバーの雇用は拡大基調を迎えると言えるでしょう。

また、「新たな運送ルート・顧客の開拓」や「外資系企業・荷主への対応」といった理由は少数派であることから、現在の外国人ドライバーの雇用は、戦略的な市場拡大よりも、まずは既存業務の維持のために行われていると推測されます。今後、外国人ドライバーが定着し、運送業務に慣れることで、海外市場との連携強化や、新たな事業展開につなげる動きも考えられます。

物流・運送業界の外国人ドライバーを採用する際の課題

Q5:外国人ドライバーを採用するにあたっての課題を教えてください【n=118/単一回答】

Q5:外国人ドライバーを採用するにあたっての課題を教えてください

「社内外での日本語コミュニケーションの難しさ」が53.4%と最も多く、次いで「日本の交通ルール・マナーの理解不足」が16.9%を占めました。また、「早期離職の懸念」と「運転技術・経験不足」がともに10.2%と一定の割合を示し、「文化・宗教の違いによるトラブル」5.1%、「外国人特有の費用負担が大きい」3.4%と続きました。

また、具体的な事例については、以下のような回答がありました。

1. 社内外での日本語コミュニケーションの難しさ(53.4%)

  • 「業務上の指示や安全確認、お客様対応などで正確な意思疎通が必要。運行管理者や同僚とのやり取りで誤解が生じると業務ミスや安全リスクが高まるから。」
  • 「電話対応が難しく、配送先の指示を正しく理解できず、誤った場所に届けてしまったことがある。」

2. 日本の交通ルール・マナーの理解不足(16.9%)

  • 「日本の交通ルールは細かく、一時停止や歩行者優先の意識が厳しく求められるため、母国とは異なるルールに戸惑うことが多い。」
  • 「駐車ルールや荷下ろしのマナーも地域ごとに異なるため、適応には時間がかかる。」

3. 早期離職の懸念(10.2%)

  • 「1か月程度で突然辞めるケースがあり、それ以降は外国人採用を控えている。」
  • 「お金を稼ぎ終わると何も言わずに飛んでしまうことがあり、離職の際の手間が多い。」

4. 運転技術・経験不足(10.2%)

  • 「日本の道は狭く、高架下の高さ制限などの違いに対応しづらく、運転技術の不安がある。」
  • 「運転経験が浅いため、事故のリスクが高まり、会社の経営にも影響を与える。」

5. 文化・宗教の違いによるトラブル(5.1%)

  • 「報連相の概念がなく、問題が発生しても自己判断で処理してしまい、クレームにつながる。」
  • 「食事や礼儀などの文化的な違いから、同僚や取引先との関係構築に時間がかかる。」

6. 外国人特有の費用負担が大きい(3.4%)

  • 「日本の交通ルールを学んでもらうために、研修やセミナーを実施する必要があり、コストがかかる。」
  • 「特定技能ビザの取得や更新の手続きが複雑で、管理コストが増える。」

この結果から、外国人ドライバーの雇用において最大の課題は「日本語でのコミュニケーション」 であることがわかります。業務上の指示や安全確認が正確に伝わらないと、業務ミスや安全リスクが高まります。また、電話対応が難しく、配送先の指示を誤解して誤配送が発生するケースもあります。

日本の交通ルールやマナーの理解不足も課題の一つです。 一時停止や歩行者優先など、母国と異なるルールに戸惑うことが多く、違反や事故のリスクが高まります。また、駐車ルールや荷下ろしのマナーが地域ごとに異なるため、適応に時間がかかることも指摘されています。

法務省の「外国人との共生に関する意識調査」によると、外国人労働者に求めるものとして「日本語能力」(60.8%)や「日本文化に対する理解」(59.4%)が高い割合を占めており、言語や文化への適応が外国人雇用の大きなポイントとなっていることが示唆されています。

外国人との共生に関する意識調査_外国人労働者に求めるもの

出典:外国人との共生に関する意識調査(日本人対象)|法務省

早期離職の懸念も大きな課題です。 1か月程度で辞めるケースや、お金を稼ぎ終わると何も言わずに離職してしまう例があり、雇用の安定性に欠ける傾向があります。さらに、運転技術や経験が不足していることで、事故のリスクが高まり、会社の経営にも影響を及ぼす可能性があります。

このような状況を踏まえると、外国人ドライバーの雇用を成功させるためには、日本語教育の充実、交通ルールの研修強化、異文化理解の促進、定着支援制度の構築が不可欠です。特に、業務の現場で発生する細かなトラブルを防ぐために、現場研修やマニュアルの整備、実践的な指導が求められるでしょう。

【2025年】特定技能制度において自動車運送業の解禁を加味した検討状況

Q6:特定技能制度において自動車運送業が解禁されましたが、ドライバー職として特定技能外国人を採用する予定はありますか【n=118/単一回答】

Q6:特定技能制度において自動車運送業が解禁されましたが、ドライバー職として特定技能外国人を採用する予定はありますか①

Q6:特定技能制度において自動車運送業が解禁されましたが、ドライバー職として特定技能外国人を採用する予定はありますか②

Q6:特定技能制度において自動車運送業が解禁されましたが、ドライバー職として特定技能外国人を採用する予定はありますか③

「すでに採用した」事業所は5.9%、「採用する予定」は15.3%にとどまり、「どちらとも言えない」が31.4%、「採用予定なし」が47.5%と、まだ慎重な姿勢を示す事業所が多いことが明らかになりました。

「すでに採用した/採用する予定」の事業所の理由として最も多かったのは「人材不足の解消」の72.7%であり、次いで「若手労働力の確保」の18.2%が挙げられています。特定技能制度を活用する背景には、業界全体の慢性的な人手不足があることがこちらでも確認できます。

一方で、「採用予定なし」と回答した事業所の主な理由として、「日本語能力の不足による言葉の壁」の33.8%が最も多く、次いで「日本の交通ルールへの理解や技術不足による事故や違反」が14.7%で懸念されていることが分かりました。

この結果は、「外国人労働者に求めるもの」として「日本語能力」や「日本文化に対する理解」を重視する傾向があるという前述の「外国人との共生に関する意識調査」とも一致しています。

今後、特定技能制度の活用を進めるためには、日本語教育の強化や運転技術研修の充実、文化適応支援などのサポート体制の整備が重要となります。また、成功事例の共有や、外国人ドライバーを受け入れた企業の実績を示すことで、慎重姿勢をとる企業の意識変化を促すことが期待されます。

【調査結果の引用・転載についてのお願い】

本リリースの調査結果・画像をご利用いただく際は、必ず「外国人採用の窓口」の調査である旨の記載および、「外国人採用の窓口」のURL(https://gaikokusaiyo.com/)へのリンク設置をお願いいたします。

記載例
出典:物流・運送業界の外国人雇用の実態調査(https://gaikokusaiyo.com/2025/03/13/27049/)/外国人採用の窓口調べ(https://gaikokusaiyo.com/)

外国人採用の窓口のサービス概要について

外国人採用の窓口ロゴマーク

「外国人採用の窓口」は、技能実習生や特定技能外国人などの「外国人労働者を雇用したい企業」と、監理団体・登録支援機関・外国人材紹介会社などの「外国人労働者を紹介したい団体・企業」とをお繋ぎするマッチングプラットフォームサービスです。

■サービスページ:https://gaikokusaiyo.com/

株式会社アルフォース・ワンの会社概要

アルフォース・ワンロゴマーク

社名:株式会社アルフォース・ワン
住所:〒125-0061 東京都葛飾区亀有3-21-11 藍ビル202
TEL:036662-5150
設立:2016年10月3日
代表者:代表取締役 山根 謙生
事業内容:人材採用支援事業、メディア運営事業
URL:https://ulforce-one.co.jp/
お問い合わせ:https://ulforce-one.co.jp/contact/

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