外国人採用ガイド

資格外活動許可とは?留学生アルバイトの28時間ルールと雇用時の注意点

留学生をアルバイトとして採用する際、「資格外活動許可」は避けて通れないテーマです。最近は多くの企業が外国人留学生の雇用を検討していますが、28時間ルールや在留カードの確認方法、雇用に伴うリスクなど、具体的なルールがよく分からず悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、資格外活動許可の基本から種類・取得方法、アルバイト雇用時の注意点まで、採用現場で押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。初めて留学生を雇用する方にも役立つ内容です。

安藤 祐樹この記事の監修
きさらぎ行政書士事務所
行政書士 安藤 祐樹
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

資格外活動許可とは

資格外活動許可とは、日本に滞在する外国人が本来の在留資格で認められていない仕事やアルバイト、または報酬を伴う事業活動を行う際に必要となる許可です。

この許可を取得せずに在留資格外の収入を得る活動を行った場合、不法就労とみなされ、本人や雇用主に対して厳しい法的措置が科される可能性があります。

資格外活動許可の取得には、現在保持している在留資格の本来の活動を妨げないことが前提となっており、たとえば学業優先の留学生や扶養関係が前提の家族滞在者がフルタイムで働くことは認められていません。

資格外活動許可の種類

資格外活動許可には、「包括許可」と「個別許可」という2つの種類が存在します。

ここでは、それぞれの特徴や違いについて解説します。

包括許可

包括許可とは、在留資格の本来の活動以外に週28時間までの範囲で報酬を得る就労や収益を目的とした事業活動を認める許可です。

この許可は特定の職場や業務に限定されるものではなく、法律で認められた範囲内であれば、外国人自身が自由に職種や勤務先を選択して働くことができます。

包括許可が適用される代表的な例として、留学生や家族滞在者のアルバイト、あるいは日本の学校を卒業後に継続して就職活動を行う特定活動の在留資格を持つ方のアルバイトが挙げられます。

なお、包括許可の取得にあたっては、本来の活動に支障がないことや風俗営業など禁止されている業務に従事しないことが前提となります。

個別許可

個別許可とは、包括許可の対象外となる活動を行う際に、その都度業務内容ごとに審査を受けて与えられる許可です。

たとえば、留学生がインターンシップを目的に週28時間を超えて働く場合や、大学教員の在留資格を持つ方が民間企業で語学指導に従事するケースなどが個別許可の代表例とされています。

また、個人事業主として活動する場合や、報酬が成果報酬型などで労働時間の把握が難しい活動についても、この個別許可を申請することとなります。

このように個別許可は、就労先や活動内容ごとに細かく審査・指定されるため、包括許可に比べて手続きや審査が厳格に行われるのが特徴です。

28時間の時間制限の計算方法

28時間の時間制限は、1週間のどの曜日から計算しても、連続する7日間の労働時間が28時間を超えないよう管理する必要があります。

月をまたぐ場合でも合計時間はリセットされないため、常に直近の7日間で制限を超えないよう注意しましょう。

留学生は長期休業中に限り週40時間まで働ける

長期休業期間中の留学生が資格外活動許可を受けている場合は、1日8時間までアルバイトに従事することが認められています。ただし、労働基準法に反して週40時間を超えて就労することは認められません。

この期間は通常の28時間制限よりも多く働けますが、学則で定められた夏休みや春休みなどに限定されます。

業務内容の制限

包括資格外活動許可を受けていたとしても、風俗営業に関連する業種で働くことは禁止されています。

たとえば、キャバクラや麻雀店、パチンコ店、ゲームセンターといった店舗も対象となり、こうした職種での就労は認められていません。

また、報酬が成果報酬型などで実働時間の管理が難しい業務については、包括許可の範囲外となるため個別許可の取得が必要です。雇用側も業種や労働条件を正しく確認することが重要です。

資格外活動許可の要件

資格外活動許可を取得するためには、以下の要件を満たしている必要があります。

・現在の在留資格の活動を阻害する内容でないこと
・現在の在留資格の活動(例:留学生の場合は学業)を行っていること
・刑事・民事を問わず法令違反となる行為を含まないこと
・風俗営業などに従事しないこと
・収容令書や意見聴取通知書の送達、通知を受けていないこと
・素行が良好であること

個別許可の場合は、上記の要件に加えて、許可を受けようとする活動が「他の就労資格(特定技能と技能実習を除く)に該当する活動であること」が求められます。

資格外活動許可の取得方法

資格外活動許可の申請は、外国人本人が住んでいる地域を担当する地方出入国在留管理官署で行います。申請時の手数料はかかりません。

包括許可を申請する場合、留学生は基本的に申請書のみを提出すればよく、必要書類は最小限で済みます。

一方、個別許可を取得する際は、活動内容や報酬、勤務時間などを記載した説明書類の提出が求められ、審査には最長で2カ月程度かかる場合もあります。

なお、資格外活動許可の申請は、在留資格の更新や変更と同時に行う場合に限り、オンラインでの申請が可能です。それ以外のケースでは、原則として窓口で手続きを行う必要があります。

入国時に空港で資格外活動許可を取得する

留学生が日本へ入国する際、空港で包括資格外活動許可(週28時間以内のアルバイト許可)を申請することができます。この方法を利用すれば、到着後すぐにアルバイトを始める準備が整います。

なお、個別許可の申請を空港で行うことはできません。個別許可が必要な場合は、後日、各地の出入国在留管理局で別途手続きを行う必要があります。

資格外活動許可の有無を確認する方法

資格外活動許可の有無は、在留カードの情報を確認することで把握できます。

一般的に、在留カードの表面には、その外国人が保持する在留資格の種類や有効期限などが記載されています。

留学や家族滞在などの資格を持つ場合、表面の就労欄には「就労不可」と記載されていますが、資格外活動許可を得てもこの記載は変更されません。資格外活動の許可を持っているかどうかは、カード裏面の「資格外活動許可欄」を見る必要があります。

もし裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されていれば、適切な許可を得ていることになり、雇用側も安心して採用できます。採用時には在留カードの裏表両方を必ず確認しましょう。

資格外活動許可の有無を確認する方法1

資格外活動許可の有無を確認する方法2

画像の引用元:出入国在留管理庁|在留カードとは?

資格外活動許可を受けた外国人を雇用するメリット

留学生など、資格外活動許可を持つ外国人材の雇用は、週28時間の制限があるものの、業務内容の割り当てや手続き面での利点があります。

ここでは、そのメリットについて詳しく解説します。

業務内容の制限が少ない

資格外活動許可を受けた外国人は、風俗営業など法律で禁止されている業務を除き、就労内容に幅広い選択肢があります。

たとえば、コンビニエンスストアや小売業といった特定技能や技能実習制度の対象外となる業種でも、問題なく雇用することができます。

また、日によって異なる職務に従事する柔軟な働き方も可能です。ある日は通訳業務、別の日には接客や品出しを担当するなど、職務内容を限定せずに働ける点が魅力です。

在留資格申請など手続き負担がない

資格外活動許可を取得した外国人を雇用する場合、雇用主は入管法上の「所属機関」には該当せず、在留資格申請などの手続きに関与する必要がありません。

たとえば、留学生が在留期間の更新手続きをする際には、大学や日本語学校といった教育機関が一部書類の作成などで協力しますが、アルバイト先の雇用主がこの手続きに関わる必要はありません。

また、家族滞在者が在留資格に関する手続きを行う場合も、必要となる協力はあくまで扶養者に求められ、アルバイトを提供する企業が申請手続きに協力する義務はありません。

このため、留学生などのアルバイト採用は、雇用主側の事務的な負担が極めて少なく、気軽に雇用できる点が大きな特徴です。

資格外活動許可を受けた外国人を雇用する場合の注意点

資格外活動許可を取得している外国人を雇用する場合は、在留カードで許可の有無を確認することが重要ですが、それ以外にも押さえておきたいポイントがあります。

雇用前にしっかりと注意点を理解しておくことが、トラブル防止につながります。

外国人雇用状況届出が必要になるか確認する

外国人を採用する際には、雇用開始や退職時にハローワークへ外国人雇用状況届出書の提出が原則として求められます。

とはいえ、雇用する外国人が雇用保険の被保険者となる場合、雇用保険加入の手続きがそのまま届出を兼ねる扱いとなるため、多くの場合では特別な手続き負担は生じません。

留学生や家族滞在者が雇用保険の対象となるには、1週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあり、かつ昼間学生でないことが条件です。

逆にこれらの条件を満たさない場合には雇用保険の加入義務は発生しませんが、外国人雇用状況届出書の提出が必要となります。

アルバイトの掛け持ちに気を付ける

28時間制限の包括資格外活動許可を持つ外国人を採用する場合、複数のアルバイトを掛け持ちするケースに注意が必要です。

アルバイト先を複数持つこと自体は認められていますが、雇用主が分かれることで週あたりの労働時間が正確に管理できなくなる可能性が高まります。

その結果、本人も雇用主も知らないうちに28時間の上限を超えてしまうと、外国人本人だけでなく雇用側にも入管法違反のリスクが生じてしまいます。

よくあるケースとして、一つの勤務先で15時間しか働けないため、残りの13時間を他の仕事で埋めるといった働き方がありますが、雇用主側も労働時間の管理に無理が生じやすくなります。

定期的に在留状況を確認する

資格外活動許可の効力は、外国人が保有している在留資格の有効期限に連動しています。そのため、外国人従業員が、在留期間の更新や在留資格の変更を行った際には、必ず在留カードの最新情報を確認し、引き続き資格外活動許可が有効かどうかを定期的にチェックすることが重要です。

加えて、外国人が在留資格に基づく本来の活動を継続しているかどうかも雇用主として確認しておく必要があります。

たとえば、留学生が途中で退学した場合、在留カードに資格外活動許可の記載や有効期限が残っていたとしても、その後もアルバイトを続けることは認められません。

雇用主は外国人アルバイトの在留状況や許可の期限などについて、定期的な確認と適切な管理を心がけることが求められます。

許可を受けずに就労すると不法就労になる

資格外活動許可を得ずに、本来の在留資格で認められた活動範囲を超えて収入を伴う仕事や事業を行うと、不法就労とみなされ処罰対象となる可能性が生じます。

ここでは、専従資格外活動と非専従資格外活動の2種類の不法就労、そして雇用主側に適用される不法就労助長罪について解説します。

専従資格外活動罪

専従資格外活動罪とは、外国人が保有している在留資格の活動を行わずに、許可されていない仕事や事業に専ら明らかに従事して収入を得ている場合に適用される罰則規定です。

たとえば、留学生が授業に出席せずにフルタイムで働き続けていた場合、その活動は専従資格外活動と判断される可能性があります。

このような行為が発覚した場合、その外国人には3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科されることとなります。

加えて、専従資格外活動に該当する行為を行った場合には、刑事処分だけでなく、退去強制処分(いわゆる強制送還)の対象にもなります。

非専従資格外活動罪

非専従資格外活動罪は、専従資格外活動罪以外に適用される資格外活動の罰則規定です。外国人が自らの在留資格で認められている活動を継続しながらも、その範囲を逸脱して報酬を得ている場合、この非専従資格外活動罪に該当する可能性があります。

たとえば、留学生が学業を継続しながら28時間の就労制限を超えてアルバイトをしてしまった場合や、技能実習生が本来の実習業務以外のアルバイトを無許可で休日に行うケースなどが該当します。

このような非専従資格外活動を行った場合、罰則として1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。

専従資格外活動罪と異なり、非専従資格外活動罪の場合は退去強制処分(強制送還)の対象にはなりませんが、その後の在留期間更新や在留資格変更申請において不許可となるリスクが生じます。

不法就労助長罪

不法就労助長罪は、事業活動に関連して外国人に不法な就労をさせた場合に雇用主や人材紹介を行った者などに適用される罰則規定です。

この規定は、専従資格外活動や非専従資格外活動にかかわらず、就労の許可を受けていない外国人を働かせた場合に適用される可能性があります。また、不法残留者など在留資格を持たない外国人を就労させた場合にも不法就労助長罪に該当する可能性が生じます。

なお、不法就労助長罪は、過失がない場合を除き、不法就労であることを知らずに行った場合でも処罰を免れることはできません。

罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、あるいは両方が科されるため、外国人雇用の際は在留資格や資格外活動許可の有無を必ず確認することが重要です。

まとめ

本記事では、資格外活動許可の仕組みや取得方法、そして雇用主が注意すべきポイントについて詳しく解説しました。特に、28時間の就労時間制限や業務内容の制限、不法就労に関するリスクは、留学生アルバイトなどを雇用するうえで必ず押さえておくべき重要な要素です。

留学生や家族滞在者の雇用を検討している場合は、在留カードの定期的な確認や就労時間の管理を徹底するなど、適切な雇用管理体制の構築が不可欠です。不明点がある際は、入管庁などの公式情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談することで、安心して外国人を受け入れられる環境を整えることができます。

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