人手不足の解消や多様な人材活用を目的に、外国人雇用を検討する企業は増えています。
一方で、在留資格の確認漏れや労働条件の認識違いなど、対応を誤ると法令違反やトラブルにつながるケースも少なくありません。
本記事では、求人募集から採用・雇用後・離職時までの採用フロー別に、外国人を雇用する際の注意点を15項目で整理します。
アルバイト雇用時のポイントも含め、初めて外国人雇用に取り組む企業担当者にも分かりやすく解説しておりますので、最後までご覧ください。
この記事の監修(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
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【求人募集時】外国人を雇用する際の注意点

外国人を雇用する際の求人募集は、慎重に行う必要があります。
ここでは、求人募集時に外国人を雇用する際の注意点を解説します。
1.国籍・人種による差別をしない募集内容にする
外国人を雇用する際の求人募集では、国籍や人種による差別を避けることが重要です。
労働基準法第3条では、下記のように雇用における差別的な取り扱いが禁止されており、募集内容は誰もが応募しやすいよう配慮する必要があります。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
求人票で「外国人歓迎」や「日本語が堪能な方」などの表現を用いる場合でも、業務上必要な条件として具体的に示すことが求められます。
特定の国籍を優遇・排除するような表現は避け、応募者のスキルや経験を基準に評価する姿勢が大切です。
また、業務内容や求めるスキルを明確に記載することで、応募者が条件を正しく理解でき、採用後のミスマッチ防止にもつながります。
引用:e-GOV法令検索「労働基準法」
2.日本人と同一条件で募集条件を設定する
外国人を雇用する際には、日本人と同一の条件で募集を行うことが原則です。
給与や勤務時間、福利厚生などについて国籍による差を設けることは、労働基準法や雇用機会均等法等の観点からも認められていません。
特に、賃金については最低賃金法や「同一労働同一賃金」の原則が外国人労働者にも適用されます。
そのため、最低賃金を下回る設定は当然認められず、日本人と同一の業務内容であれば、原則として同等の賃金水準とする必要があります。
募集要項では、外国人にのみ適用される特別な条件を設けず、すべての応募者に同じ基準を適用する必要があります。
外国人に不利となる条件や、特定の国籍を前提とした表現は避けましょう。
また、外国人雇用に関する制度やルールは変更されることも多いため、最新情報を確認したうえで募集条件を整備することが、法令違反リスクの回避につながります。
3.業務内容と在留資格の対応関係を事前に整理する
外国人を雇用する際には、業務内容と在留資格の対応関係を事前に整理することが不可欠です。
日本にはさまざまな在留資格があり、それぞれ就労できる業務範囲が明確に定められています。
募集予定の業務が、どの在留資格に該当するのかをあらかじめ確認しておく必要があります。特に技能実習や特定技能の場合は注意が必要です。
これらの在留資格では、従事可能な業務が職種・作業単位で厳格に限定されており「技術・人文知識・国際業務」のように業務内容を柔軟に解釈・運用することは認められていません。
許可されていない作業に従事させた場合、不法就労に該当するおそれがあります。
また、海外から外国人材を呼び寄せて採用する場合は、入国前の準備がより重要です。
職種が在留資格に該当するか、具体的な作業内容が許容範囲内かを細かく整理し、在留資格認定証明書(COE)の申請内容と実態が一致するようにしておく必要があります。
業務内容と在留資格が適合していない場合、法令違反となるだけでなく雇用契約が無効となる可能性もあります。
求人票の作成段階から業務内容を具体的に定義し、不明点があれば行政書士などの専門家に相談することで、外国人雇用に伴うリスクを抑えることができます。
確認すべきなのは外国人側の要件だけではありません。
受入企業側にも、事業内容・体制・過去の法令遵守状況など、雇用できる要件が複数定められています。
要件を満たしていない場合、在留資格の申請が認められない、または雇用継続ができなくなる可能性があります。
例えば、技能実習と特定技能では、主に下記のような要件を満たす必要があります。
| 在留資格 | 要件 |
| 技能実習 |
|
| 特定技能 |
|
制度や要件は在留資格ごとに異なり、細かな判断が必要となるため、実際の採用時には行政書士などの専門家に確認することが望ましいでしょう。
【採用時】外国人を雇用する際の注意点

外国人を採用する際には、求人募集時だけでなく、採用時にも特有の注意点があります。
ここでは、採用時に外国人を雇用する際の注意点を解説します。
4.在留資格・在留期間・就労可否を必ず確認する
外国人を雇用する際には、在留資格・在留期間・就労可否を必ず確認する必要があります。
在留資格は日本で認められる活動内容を定めるものであり、従事させる業務内容と一致していなければなりません。
業務内容と在留資格が適合していない場合、不法就労となり、企業側にも大きなリスクが生じます。
特に技能実習や特定技能は、在留資格の変更や更新ルールが他の資格と異なります。
特定技能では、受け入れ分野の要件や試験の有無、登録支援機関による支援体制の有無などが在留資格の維持に影響します。
また、海外在住者を採用する場合は、原則として在留資格認定証明書(COE)の取得が前提となるため、申請内容と実際の業務に齟齬が生じないよう注意が必要です。
5.業務に必要な日本語能力があるか実務レベルで確認する
外国人を雇用する際には、業務に必要な日本語能力を実務レベルで確認することが重要です。
特に顧客対応や社内コミュニケーションが求められる職種では、日本語の理解力や会話能力が業務の円滑な遂行に直結します。
そのため、日本語能力試験(JLPT)などの資格だけで判断するのではなく、実際の業務を想定した確認が必要です。
面接時に日本語での会話を行い、質問への受け答えや指示理解の程度を確認するほか、業務に近い場面を想定したロールプレイを行うことで、実務に必要な日本語能力を把握しやすくなります。
また、採用後に日本語研修やサポート体制を整えることで、業務の定着やトラブル防止にもつながります。
6.雇用条件書(雇用契約書)を必ず書面で交付する
外国人を雇用する際には、雇用条件書または雇用契約書を必ず書面で交付することが重要です。
労働条件を書面で明示することは労働基準法第15条、労働準法施行規則第5条の規定で定められており、外国人労働者に対しても例外はありません。
言語や制度理解の違いから誤解が生じやすいため、わかりやすい日本語や母国語等での書面での交付は特に必須といえます。
雇用条件書には、労働時間、賃金、休日・休暇、業務内容、就業場所などの基本的な労働条件を明記します。
また、在留資格に基づく就労範囲や契約期間を明確にすることで、認識のズレを防ぐことができます。
採用時に内容を丁寧に説明し、双方が合意したうえで署名を行うことで、後々のトラブル防止や安定した雇用関係の構築につながります。
参考:厚生労働省愛媛労働局「労働条件の明示について」
7.労働条件を正しく理解しているか丁寧に確認する
外国人を雇用する際には、労働条件を本人が正しく理解しているかを採用時に丁寧に確認することが重要です。
日本の労働法や慣習に不慣れな場合、認識の違いからトラブルが生じるおそれがあります。
採用時には、賃金、労働時間、休日・休暇、残業の有無などの基本的な条件を、書面を用いて具体的に説明しましょう。
特に残業やシフトの考え方は誤解が生じやすいため、例を交えながら説明することが効果的です。
必要に応じて、やさしい日本語や母国語の資料を活用することも有効です。
説明後は内容を理解しているかを確認し、合意事項を記録として残すことで、採用後の認識のズレやトラブルの防止につながります。
8.外国人雇用状況の届出・社会保険手続きを行う
外国人を雇い入れた場合、事業主はハローワークへ届出を行う義務があります。
雇用保険の被保険者となる場合は「雇用保険被保険者資格取得届」等の提出により届出を行い、雇入れは翌月10日までが期限です。
被保険者とならない場合は、「外国人雇用状況届出書」を提出し、雇入れ・離職とも翌月末日までに届け出る必要があります。
また、社会保険については、外国人であっても加入要件を満たす場合、健康保険や厚生年金への加入が必要です。
特に技能実習や特定技能で外国人を受け入れる場合は、監理団体や登録支援機関との連携が前提となるケースが多く、企業単独で手続きが完結しない点に注意が必要です。
制度改正も多いため、行政書士や社会保険労務士など専門家の支援を受けながら進めることで、手続き漏れや法令違反のリスクを抑えることができます。
【雇用後】外国人を雇用する際の注意点

外国人を雇用した後は、彼らが円滑に職場に適応し、長期的に働ける環境を整えることが重要です。
ここでは、雇用後に注意すべきポイントを5つ挙げていきます。
9.在留資格・在留期限の更新を適切に管理する
外国人を雇用する企業は、在留資格の内容や在留期限を継続的に管理することが重要です。
在留資格は日本で認められる活動内容を定めるものであり、従事する業務がその範囲内であるかを把握しておく必要があります。
在留期限を過ぎた状態で就労を継続させた場合、不法就労に該当し、企業側も法令違反となるおそれがあります。
在留資格の更新申請は、在留期限のおおむね3カ月前から行うことが可能です。
期限直前になると手続きが間に合わない場合もあるため、余裕をもって準備を進める必要があります。
申請にあたっては、外国人本人の協力が不可欠であり、雇用主として必要な書類準備やスケジュール管理を支援することが重要です。
また、就労先や職務内容に変更が生じた場合には、在留資格の適合性を再確認しましょう。
必要に応じて適切な手続きを行うことで、雇用後のトラブル防止につながります。
10.試用期間や日本の職場ルールを丁寧に説明する
外国人を雇用する際には、試用期間の位置づけや日本の職場ルールについて、採用後の早い段階で丁寧に説明しましょう。
これは、文化や慣習の違いから、日本の職場環境に戸惑いを感じるケースも少なくないためです。
試用期間中の業務内容や評価基準、期待される役割を具体的に伝えることで、本人が安心して業務に取り組めるようになります。
また、時間厳守や報告・連絡・相談(ホウレンソウ)といった日本特有の職場ルールについても、実例を交えながら説明すると理解が深まります。
事前にルールや考え方を共有しておくことで誤解や行き違いを防止でき、職場への円滑な適応につながります。
11.教育環境・相談体制を整えて定着を支援する
外国人従業員の定着を図るためには、教育環境や相談体制を整えることが欠かせません。
業務内容や進め方を体系的に学べる研修やOJTを用意し、マニュアルや手順書を整備することで、不安を軽減しやすくなります。
あわせて、業務上の疑問や職場での悩み、生活面の不安などを相談できる体制を整えることも重要です。
定期的な面談や相談窓口を設け、担当者を明確にすることで、問題の早期把握につながります。
特に技能実習や特定技能では生活支援や相談支援が制度上求められる場合もあるため、企業側が関与すべき範囲が広いことを理解し、継続的なフォローを行うことが求められます。
12.文化・価値観・宗教の違いを理解し尊重する
外国人を受け入れる職場では、文化や価値観、宗教の違いを理解し、尊重する姿勢が必要です。
挨拶や時間感覚、コミュニケーションの取り方などは国や地域によって異なり、無意識の誤解が生じることもあります。
また、宗教上の理由による礼拝時間や食事制限など、配慮が必要なケースもあります。
業務に支障が出ない範囲で柔軟に対応することで、働きやすい環境づくりにつながるでしょう。
こうした違いを前提に受け止め相互理解を深めることで、職場のコミュニケーションが円滑になり、多様な人材の強みを活かした組織づくりが可能となります。
13.ハラスメント防止と安全配慮義務を徹底する
外国人を含むすべての従業員が安心して働けるよう、ハラスメント防止と安全配慮義務を徹底することが重要です。
異文化環境では、意図せず相手を傷つけてしまう言動が問題となる場合もあります。
企業はハラスメントに関する方針を明確にし、研修や周知を通じて理解を促す必要があります。
また、相談窓口を設け、問題が生じた際に速やかに対応できる体制を整えることも欠かせません。
あわせて、安全ルールや緊急時の対応方法を丁寧に説明し、外国人従業員が日本の労働環境に不安なく適応できるよう支援することで、事故やトラブルの防止につながります。
【離職時】外国人を雇用する際の注意点

外国人を雇用する際、離職時にも注意が必要です。
ここでは、離職時の対応として知っておきたい注意点について解説します。
14.在留資格・離職後の在留可否を確認する
外国人労働者が離職する際は、在留資格の種類や在留期限、離職後の在留可否を正しく把握しておく必要があります。
在留資格の多くは就労先や活動内容と結び付いているため、雇用契約の終了が在留状況に影響するためです。
技能実習は原則として転職が認められておらず、やむを得ない事情がある場合を除き、実習先の変更には厳格な手続きが必要です。
一方、特定技能は分野内での転職が可能ですが、在留期間や更新要件の管理が厳しく、離職後の状況によっては在留資格の更新が認められない場合があります。
技術・人文知識・国際業務や身分系の在留資格は比較的柔軟な運用がされていますが、離職後も適切な手続きを行うことが前提となります。
いずれの在留資格でも、離職後の対応を誤ると在留上の問題が生じるおそれがあるため、企業は在留資格の種類や在留期限を確認し、必要に応じて手続きに関する情報を丁寧に案内しましょう。
15.ハローワークへ離職の届出を行い、不当な対応を防止する
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第七条では、外国人労働者が離職した場合にも、事業主がハローワークへ届け出ることを義務付けています。
雇用保険の被保険者である外国人については「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出することで離職の手続きを行います。
届出の期限は、離職の場合翌日から起算して10日以内です。
また、雇用保険被保険者とならない外国人の場合は「外国人雇用状況届出書」を、翌月末日までに提出します。
これらの届出は、雇用保険制度や外国人雇用管理を適正に運用するためのものであり、手続きの遅れや漏れがあると、行政指導や是正対応の対象となる可能性があります。
離職理由や雇用期間などを正確に記載し、事実に基づいた届出を行いましょう。
企業として法令遵守を徹底し、離職時の手続きを適切に行うことが、トラブル防止や信頼性の維持につながります。
参考:e-GOV法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
外国人アルバイトを雇用する際の注意点
アルバイトとして外国人が就労できるかは在留資格によって異なります。
留学生や家族滞在の場合は、事前に資格外活動許可を受ける必要があります。
就労時間については「週28時間以内」に制限が設けられています。
これらを確認せずに就労させると、不法就労となるおそれがあります。
また、募集や労働条件については、日本人アルバイトと同一条件とすることが原則です。
賃金や労働時間、休日などを明確に示し、国籍による不利益な取り扱いが生じないよう注意が必要です。
あわせて、日本の労働ルールや職場の決まりについて、わかりやすく説明することも重要です。特に労働時間や給与の取り決めは誤解が生じやすいため、丁寧に共有することでトラブルの防止につなげましょう。
まとめ
本記事では、在留資格と業務内容の関係、労働条件の明確化、届出や更新管理など、実務上つまずきやすいポイントを15項目に整理しました。
特に技能実習や特定技能など海外から人材を受け入れるケースでは、企業単独での対応が難しい場面も少なくありません。
在留資格手続きは行政書士、労務管理は社会保険労務士、採用支援は監理団体や登録支援機関など、専門家の力を適切に活用しながら、法令遵守と安定した外国人雇用を実現していきましょう。
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