人手不足への対応策として、特定技能外国人の採用を検討する企業が増えていますが、特定技能は仕組みが複雑で、実務の疑問が次々に出てきやすい制度でもあります。
この記事では、特定技能外国人の採用や雇用契約の内容、登録支援機関や支援義務の概要、在留資格申請の基本まで、よくある質問に対する回答をわかりやすく解説します。
この記事の監修きさらぎ行政書士事務所
行政書士 安藤 祐樹
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)
特定技能外国人の採用に関する質問
海外から採用する場合の就労開始までの期間の目安を教えてください
海外から特定技能外国人を採用する場合、就労開始までには状況により差はあるものの、おおむね3〜8か月程度を要することが多いです。
雇用契約締結後に必須となる在留資格認定証明書交付申請では、平均して2か月前後を見込む必要があります。
また、認定証明書の交付後には、現地の日本大使館・総領事館での査証発給申請が必要となるため、最短であっても全体で3か月程度はかかります。
業種によっては、関係省庁への手続きが追加で求められる場合もあり、準備期間を含めて半年以上かかることも想定しておく必要があります。
転職者の場合は雇用契約締結と同時に就労開始できますか?
特定技能外国人が転職する場合、雇用契約を締結しただけでは新しい勤務先で直ちに就労を開始することはできません。
なぜなら、特定技能では雇用契約の内容自体が在留資格審査の対象となり、雇用契約締結後に在留資格変更許可申請を行う必要があるためです。
このため、入管庁から転職先での就労を認める許可が下りるまでは、転職先企業で業務に従事することは認められません。
どの国の外国人材を採用できますか?
2026年1月現在、特定技能外国人の受け入れについて国籍による包括的な制限はなく、原則として幅広い国・地域の人材を採用することが可能です。
ただし、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域として告示で定められているイラン・イスラム共和国については、特定技能外国人としての受け入れが認められていません。
また、特定技能制度では日本政府が二国間覚書を締結している国があり、これらの国では現地での試験実施などの協力体制が整えられています。
そのため、実務上はベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなど、覚書を締結している17か国の出身者が多いです。
受け入れ費用の目安を教えてください
特定技能外国人を受け入れる際の費用は、毎月支払う給与とは別に初期費用や継続費用が発生します。
具体的には、人材紹介会社を利用する場合の紹介料が20万~30万円程度、登録支援機関へ委託する場合の支援費用が月額2万~3万円程度、在留資格申請を外部に依頼する場合の手数料が5万~10万円程度が目安です。
さらに、分野によっては特定技能協議会など指定団体への会費が必要となるほか、国によっては現地の送り出し機関に対する月額費用が発生するケースもあります。
一方で、人材募集や支援、在留資格申請をすべて自社で行う場合は、これらの外部委託費用を抑えることが可能です。
特定技能外国人の日本語能力はどの程度ですか?
特定技能外国人には原則として日本語能力試験N4相当以上の語学力が求められており、日常生活や業務に関する基本的な日本語を理解できる水準とされています。
ただし、日本語能力試験は主に読む・聞く能力を評価する試験であり、会話力や発話の流暢さは直接測定されない点が特徴です。
また、さらに高いレベルのN3やN2に合格している人材も一定数存在するため、日本語の読解力や語彙力には個人差が見られます。
そのため、実際の職場でのコミュニケーション力については、面接や配属後の指導を通じて確認・補完していくことが重要になります。
どのような業種で特定技能の受け入れが可能ですか?
2026年1月現在、特定技能1号では人手不足が顕著な16の産業分野において外国人材の受け入れが認められています。
具体的には、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が対象分野に含まれます。
一方で、より熟練した人材を想定する特定技能2号については、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の11分野に限定されています。
特定技能の雇用契約に関する質問
特定技能外国人の給与はどのように設定すべきですか?
特定技能外国人の給与は、同じ業務に従事する日本人従業員と比較して同等以上の水準で設定することが求められています。
ただし、職務内容が同一であっても、経験年数や技能レベルなどに合理的な差がある場合には、その事情を踏まえた賃金差を設けること自体は否定されていません。
また、国籍にかかわらず最低賃金を下回る報酬は認められず、労働基準法や最低賃金法の遵守が前提となります。
日本人の雇用と異なるルールはありますか?
特定技能外国人の雇用における労働関係法令の基本的な枠組みは日本人と同様ですが、在留資格制度に基づく追加的な配慮が求められます。
具体的には、特定技能外国人が一時帰国を希望する場合、企業は外国人従業員が円滑に一時帰国できるよう配慮することが求められます。
また、受け入れ企業は特定技能外国人に対し、就労面だけでなく生活面も含めた支援を行う体制を整える義務があります。
パートタイムでの受け入れは可能ですか?
特定技能外国人の雇用は原則としてフルタイム勤務が求められており、パートタイムでの受け入れは認められていません。
具体的には、フルタイムとは週5日以上かつ年間217日以上の就労、かつ週30時間以上の労働時間を満たす形態を指します。
派遣社員としての受け入れは可能ですか?
特定技能外国人を派遣社員として受け入れることは、原則として認められていません。
ただし、2026年1月現在、農業分野と漁業分野に限っては例外的に派遣形態での就労が可能とされています。
これらの分野は季節による業務量の変動が大きく、繁忙期と閑散期の差が顕著であるという事情を踏まえた制度上の配慮です。
副業でアルバイトをすることはできますか?
特定技能外国人は指定された企業との契約に基づく業務のみ許可されているため、副業としてアルバイトで収入を得ることは原則としてできません。
在留資格制度上、他の活動で報酬を得るには資格外活動許可が必要ですが、運用上、特定技能についてはこの許可が認められる可能性は低いです。
特定技能の支援義務に関する質問
特定技能外国人に対する支援義務とはどのような内容ですか?
特定技能1号の外国人を雇用する企業は、外国人が安定して就労・生活できるよう法令で定められた支援の実施を義務付けられています。
入管法令により定められている義務的支援10項目は以下の通りです。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保、生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
一方で、熟練した技能を前提とする特定技能2号については、同様の支援義務は課されていません。
登録支援機関とは何ですか?
登録支援機関とは、出入国在留管理庁に登録された、特定技能1号外国人に対する支援業務を行う専門機関のことです。
これらの機関は、法令で定められた支援内容を適切に実施できる体制を備えており、入管庁が公表する登録名簿に掲載されています。
受け入れ企業は登録支援機関と支援委託契約を締結することで、自社で支援業務を行わなくても義務を履行したものと扱われます。
登録支援機関への委託費用はいくらくらいですか?
登録支援機関へ支援業務を委託する場合の費用は、月額2万~3万円程度が目安とされています。
ただし、支援の範囲や対応言語、面談頻度などは登録支援機関ごとに異なり、提供内容に応じて金額に差が生じます。
自社で支援業務を行うことも可能ですか?
特定技能1号外国人に対する支援業務は、要件を満たせば受け入れ企業が自社で実施することも可能です。
ただし、就労系の在留資格で在留する外国人を受け入れ・管理した実績がない企業の場合、同等の経験や体制があることを客観的に示せなければなりません。
そのため、実務上は多くの企業が登録支援機関と契約し、支援義務を委託する形を選択しています。
特定技能の在留資格に関する質問
特定技能で無期雇用は可能ですか?
特定技能で無期雇用が一律に禁止されているわけではありませんが、在留資格の性質に応じた契約形態を選ぶ必要があります。
特定技能1号には通算在留期間5年の上限が設けられているため、実務上は1年から3年程度の有期雇用契約を更新しながら雇用するケースが一般的です。
一方で、在留期間の更新に上限がない特定技能2号については、無期雇用契約を締結することも制度上問題ありません。
特定技能から永住権の取得は可能ですか?
特定技能から永住許可を取得することは制度上不可能ではありませんが、特定技能1号のままでは要件を満たすことが難しいのが実情です。
特定技能1号は通算在留期間が5年に限られており、永住許可に必要な「引き続き10年以上在留」の年数要件を充足できません。
また、特定技能1号での在留期間は、「就労系または居住系在留資格で5年以上在留していること」を求める年数要件にも算入されません。
そのため、永住許可を目指す場合は、特定技能2号や技術・人文知識・国際業務などの在留資格へ移行し、必要な在留年数を積み上げる必要があります。
在留資格の申請はどこで行うのですか?
特定技能に関する在留資格の申請先は、海外から新たに受け入れる場合には、外国人が就労を予定している企業の所在地を管轄する入管に対して在留資格認定証明書交付申請を行うのが原則です。
国内に在留している外国人を採用する場合は、本人の居住地を管轄する入管で申請する形が基本となります。
ただし、受け入れ企業の職員や登録支援機関、行政書士などの申請取次者が手続きを行う場合には、就労予定先の企業所在地を管轄する入管へ申請することも認められています。
在留資格申請は外部に委託できますか?
在留資格申請は、行政書士や弁護士といった、申請人に代わって申請書類等を作成することを法律で認められた専門機関に外部委託することが可能です。
また、申請書類の作成自体を外国人本人や受け入れ企業が行う場合には、登録支援機関に対して申請書類の提出や在留カードの受領といった取次業務を委託することもできます。
特定技能で従事できる業務内容に制限はありますか?
特定技能外国人が従事できる業務は、許可を受けた産業分野および業務区分に限定されており、それ以外の作業に就くことは認められていません。
在留資格の許可時には指定書が交付され、そこには就労可能な産業分野や受け入れ機関の名称が明記されます。
そのため、企業側は担当させる業務が許可範囲内であるかを常に確認する必要があります。
特定技能に移行するための特定活動について教えてください
特定技能へ移行するために必要な書類の準備が期限内に整わない場合には、特定技能1号への移行準備を目的とした特定活動の在留資格を申請することが認められています。
この在留資格が付与されると、最長6か月間に限り、特定技能1号で就労予定の受け入れ企業において就労することが可能です。
そのため、技能実習からの移行時や、国内での転職に伴う手続期間の調整手段として活用されることがあります。
実務経験がないと許可が下りませんか?
特定技能1号は、所定の試験や評価を通じて技能水準が確認されるため、原則として実務経験がなくても在留資格の許可を受けることができます。
一方、特定技能2号では、現場作業に加えて班長などの管理的立場での実務経験が要件とされ、一定期間の経験を有することが求められます。
この管理経験の具体的な年数や内容は、産業分野や業務区分ごとに定められており、一律の基準が設けられているわけではありませんが、2~3年程度の経験が必要となることが多いです。
特定技能制度全般に関する質問
技能実習との違いを教えてください
技能実習は開発途上国への技能や知識の移転を通じた国際貢献を目的とした制度です。
特定技能は国内産業の人手不足の解消を目的としており、労働力の確保を前提とした在留資格として制度設計がなされています。
採用面では、技能実習が原則として海外からの新規受け入れに限られるのに対し、特定技能は留学生からの就職や他の在留資格からの変更が可能である点などが異なります。
技人国ビザとの違いを教えてください
技人国ビザは「学術的な素養を要する業務」または「外国人特有の思考や感受性を要する業務」に従事する外国人を対象とした在留資格です。
具体的には、研究、IT開発、機械設計、企画や人事、営業などの専門職のほか、通訳、翻訳、語学指導、海外営業といった業務が想定されています。
例えば宿泊業では、技人国がフロントや通訳、マーケティング、管理業務などに限定されるのに対し、特定技能では接客、配膳、客室清掃など現場業務全般に従事できる点が大きな違いです。
特定技能外国人が失踪した場合、企業にペナルティはありますか?
企業側に責任がある事情が原因で特定技能外国人が失踪した場合は、刑事責任を問われないケースであっても、1年間は新たな特定技能外国人の受け入れが制限される可能性があります。
その場合、雇用中の他の特定技能外国人についても受け入れ停止の措置が取られる取扱いがなされます。
一方で、労務管理や支援体制に問題がなく、企業側に失踪の直接的な原因がないと判断される場合には、受け入れ停止などのペナルティは科されません。
ただし、失踪が判明した際には、原因の有無にかかわらず、事実を把握した日から14日以内に出入国在留管理庁へ届出を行う必要があります。
まとめ
本記事では、特定技能制度について、実務で疑問になりやすいポイントを整理しました。
特定技能外国人の受け入れを検討している企業にとって、制度の誤解や手続ミスは、受け入れ制限などのリスクにつながります。
最新の制度情報を確認し、必要に応じて専門家や登録支援機関への相談を検討することが、円滑な採用への近道となるでしょう。
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