外国人採用ガイド

家族滞在ビザの種類とは?取得条件やポイントを解説!

家族滞在ビザの種類とは?取得条件やポイントを解説!①

外国人社員の家族を日本に呼び寄せる際に必要となるのが「家族滞在ビザ(在留資格:家族滞在)」です。

企業にとっては、家族帯同の仕組みだけでなく、家族滞在ビザを持つ外国人が「就労できるか」「雇用可能か」という点を正確に理解しておくことが重要です。

特に、誤った形で雇用した場合は不法就労と判断されるおそれがあり、企業側にも罰則が及びます。

この記事では、企業が押さえておきたい家族滞在ビザの基礎知識と注意点をわかりやすく解説します。

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

家族滞在ビザの外国人は就労できるのか?

家族滞在ビザの種類とは?取得条件やポイントを解説!②

家族滞在ビザを持つ外国人は、原則として日本で就労することはできません。

家族帯同を目的とした在留資格のため、フルタイム勤務は認められておらず、就労を希望する場合は必ず「資格外活動許可」を取得する必要があります。

この許可を得れば、週28時間以内の範囲でアルバイト勤務が可能です。

企業が家族滞在ビザの外国人を採用する際は、在留カード裏面に資格外活動許可が付与されているか、勤務時間の制限を守れるかを厳密に確認する必要があります。

家族滞在ビザの種類とは

家族滞在ビザを持つ外国人が日本で就労する場合に必要となる「資格外活動許可」には、許可方式として「包括許可」と「個別許可」の2つが存在します。

企業が家族滞在者を雇用する際は、この資格外活動許可の有無と種類が非常に重要となります。

ここでは、家族滞在ビザ保有者が働く際に関係する「包括許可」と「個別許可」について解説します。

勤務先や業務内容を特定しない「包括許可」

「包括許可」とは、特定の勤務先や業務内容を指定せずに、週28時間以内のアルバイトを認めるものです。

許可を得た外国人は、飲食店、販売、清掃、軽作業など、一般的なパート・アルバイトに幅広く従事できます。

ただし、風俗営業関連など法律で禁止されている業種では働けません。

また、包括許可が付与されても「週28時間以内」という制限は厳格に適用されます。

企業が採用する際は、在留カード裏面に「資格外活動許可あり」と記載されているかを必ず確認することが重要です。

勤務先や業務内容を指定された「個別許可」

「個別許可」も資格外活動許可の一種で、特定の勤務先・特定の業務内容に限定して就労を認める方式です。

例えば、特定の教育機関での語学指導やイベントでの出演など、個別の活動に対して許可が出されるケースが該当します。

許可内容に記載された企業や業務以外で働くことはできず、範囲外の業務に従事すると不法就労に該当する可能性があります。

企業が採用する場合は、申請された業務内容と許可の範囲を確認したうえで、契約内容が許可条件に合致しているかを慎重にチェックする必要があります。

家族滞在ビザの取得条件

家族滞在ビザの種類とは?取得条件やポイントを解説!③

家族滞在ビザを取得するためには、日本で働く外国人本人(扶養者)が、配偶者や子を日本へ呼び寄せ、生活を維持できるだけの経済的・社会的条件を満たしている必要があります。

ここでは、審査時に重視される3つのポイントについて解説します。

家族が申請者から現実的に生活扶助を受けていること

家族滞在ビザの審査では、扶養者となる外国人(日本に在留する本人)が、配偶者・子を現実的に扶養できるかどうかが重要な判断材料となります。

そのため、扶養者に安定した収入があり、家族の生活費を十分に賄えることを証明する必要があります。

具体的な書類としては、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、納税証明書、銀行残高証明などが求められます。

入国管理局は「生活費を毎月送金できていたか」「家族の生活を日本において実際に支えられるか」を重視するため、家賃・食費・教育費などの支出を含め、どのように生活を維持するのか説明できるといいでしょう。

現実的な生活扶助が確認できない場合、家族滞在ビザの取得が難しくなるため、扶養者自身が収入状況を整理し、必要な書類を揃えて申請することが大切です。

同居後の生活を支えられる安定した経済基盤があること

家族滞在ビザでは、扶養者が家族と同居したあとも継続的に生活を支えられる経済基盤を持っているかが審査されます。

これは、家族が日本で安定した生活を送るために不可欠な条件です。

ポイントとなるのは、扶養者の収入が一定の基準を満たしているかどうかです。

月々の給与、預貯金、その他の収入源について書類で説明し、家族の生活費、住居費、医療費、教育費などを支えるだけの能力があると認められる必要があります。

企業にとっても、外国人社員の家族が安定して生活できることは、社員が安心して勤務を続けるうえで重要な要素です。

家族帯同を希望する社員がいる場合、企業側が収入証明書類の取得方法を案内するなど、サポート体制を整えるとスムーズです。

配偶者・子との関係性を客観的に証明できる資料があること

家族滞在ビザでは、配偶者・子との関係が“法的かつ客観的”に証明されているかを重視します。

提出が求められる主な資料は以下のとおりです。

  • 結婚証明書(配偶者)
  • 出生証明書(子)
  • 戸籍謄本や家族関係証明書(国によって形式が異なる)
  • 扶養者の在留カード又は旅券の写し
  • 在職証明書又は営業許可書の写し等

これらの書類は、原本が外国語の場合は日本語翻訳が必要です。

偽装婚や名義貸しを防ぐため、入国管理局は「実際に家族として生活しているか」を厳密に確認します。

そのため、結婚の経緯を説明する書類、同居実態の証明、送金記録などが求められる場合もあります。

これらの資料が不十分だと審査が長引いたり、不許可の可能性もあるため、事前準備をしっかり行いましょう。

家族滞在ビザに関する押さえるべきポイント

家族滞在ビザの種類とは?取得条件やポイントを解説!④

家族滞在ビザには、家族が日本で適切に生活するために知っておくべき重要なルールがいくつかあります。

制度の特性を正しく理解しておくことで、不要なトラブルや在留トラブルを避けることができます。

ここでは、家族滞在ビザに関する主要な注意点を解説します。

父母を呼び寄せることはできない

家族滞在ビザで日本に呼び寄せることができる家族は「配偶者」または「子」に限られます。

父母(両親)や祖父母、兄弟姉妹は家族滞在の対象外です。

ただし例外的に、高度専門職の親帯同など別の在留資格で認められるケースは存在しますが家族滞在ビザではありません。

外国人社員が「親も呼び寄せたい」と希望する場合は、目的や期間に応じて短期滞在ビザなど別制度の検討が必要です。

婚姻関係が解消されると家族滞在としては在留できない

家族滞在ビザは、扶養者である配偶者との婚姻関係を前提として付与される在留資格です。

そのため、離婚や別居などで婚姻関係が終了した場合は家族滞在の要件を満たさなくなり、在留継続は認められません

14日以内の速やかな届出と、新たな在留資格への変更申請が必要です。

就労ビザや特定活動など状況に応じた変更が可能ですが、条件を満たさない場合は退去を求められる可能性があります。

家族滞在では原則フルタイム就労ができない

家族滞在ビザは就労不可の在留資格です。

働く場合は「資格外活動許可」が必要で、許可があっても週28時間以内の就労に限られます。

28時間を超えて働くと不法就労となり、

  • 本人:在留取消や退去強制
  • 企業:不法就労助長罪

に問われる可能性があります。

なお「扶養者の収入130万円」問題は健康保険など社会保険制度の基準であり、家族滞在ビザそのものの条件とは直接関係しません。混同しやすいため企業側は注意が必要です。

企業は採用時に、在留カード裏面の資格外活動許可の記載内容を確認し、労働時間を管理する必要があります。

「不法就労助長罪」から学ぶ、外国人雇用で企業が陥りがちな法的リスクとその対策【行政書士監修】

婚姻・出生などの身分事項に変化があれば届出が必要

家族滞在ビザを持つ外国人に身分事項の変動(婚姻・離婚・出生など)があった場合、14日以内の届出義務があります。

届出を怠ると、在留資格の取消や今後の申請への悪影響などのリスクが高まります。

出生した子どもについても、市区町村への出生届と入国管理局で在留資格取得申請を行う必要があります。

制度を正しく理解し、変化が生じた際は速やかに手続きを行いましょう。

子どもの年齢が成人に達すると在留が認められないケースがある

家族滞在ビザで帯同できる「子」は、原則として「扶養を受ける子」を対象としています。

成人に達しても必ずしも「自動的に失効」ではありませんが、扶養実態が認められないと更新が難しくなるケースがあります。

その場合は、定住者ビザや特定活動ビザ等への在留資格変更を行うことで、在留を継続できます。

本人の進路を踏まえて、早めに在留資格を検討することが大切です。

留学ビザ所持者が扶養家族を呼ぶには通常より厳しい条件が課される

留学ビザを持つ外国人が家族を呼び寄せる場合、審査は通常より厳格です

認められる扶養家族は配偶者と子のみで、父母や兄弟姉妹は対象外です。

また、留学生は収入が限定されていることが多いため、十分な貯蓄や仕送り記録、学費・生活費を賄える経済力を詳細に示す必要があります。

さらに、留学活動を継続していること(出席率・成績)が重要視され、学業が安定していない場合は家族帯同が認められないこともあります。

家族滞在ビザの外国人を雇用する際の注意点

家族滞在ビザの種類とは?取得条件やポイントを解説!⑤

家族滞在ビザを持つ外国人を雇用する際には、いくつかの重要な注意点があります。

これらのポイントを押さえて、家族滞在ビザを持つ外国人を適切に雇用し、トラブルを未然に防ぎましょう。

週28時間以内」の労働時間を厳守する

家族滞在ビザは、原則として就労が認められていない在留資格であり、働くためには「資格外活動許可」が必須です。

許可を得ても、就労できるのは週28時間以内のアルバイトに限られます

この時間制限を超える就労は「不法就労」と判断され、下記のような重大なリスクがあります。

  • 本人:在留取消・退去強制
  • 企業:不法就労助長罪(罰則の可能性)

企業は、シフト管理や就労時間の記録、在留カード裏面の「資格外活動許可」確認を徹底する必要があります。

また、風俗営業など一部業種では就労が禁止されているため、雇用前に業務内容が許可範囲に含まれるか必ず確認しましょう。

扶養者の扶養を外れる収入(130万円の壁)に注意する

「130万円の壁」は健康保険の扶養基準に関するもので、入国管理局の家族滞在ビザの要件とは直接関係しません。ただし、企業の実務上は影響が出る場合があります。

家族滞在ビザ所持者が年収130万円を超えると、扶養から外れて自分で保険に加入する必要が出たり、扶養者(外国人社員)の保険料負担や税負担に影響したりする可能性があります

そのため、企業が家族滞在ビザの外国人を雇用する際には、社会保険加入や税金といった側面でも双方の負担を確認し、トラブル防止に努める必要があります。

在留期限と資格外活動許可の有効期限を管理する

家族滞在ビザには在留期限があり、多くの場合1年または3年、5年ごとに更新が必要です。

在留期限を超えると不法滞在となり、企業側も雇用継続ができなくなります。

また、資格外活動許可にも有効期限があります。この期限は在留期限に連動し、更新後は新しいカードに記載される必要があります。

企業は、雇用時・更新時に在留カード(表面・裏面)や在留期限、資格外活動許可の有効期限を必ず確認し、期限管理を徹底しましょう。

特に期限切れは雇用契約が無効になるだけでなく、企業側への法的リスクにもつながります。

外国人労働者の不法滞在とは?起きる原因と対処方法を解説!

フルタイム雇用したい場合は「就労ビザ」への変更が必要

家族滞在ビザではフルタイム就労は認められません。

このため、企業が本人をフルタイムスタッフとして雇用したい場合は、適切な就労目的の在留資格へ変更申請が必須です。

代表的な就労ビザには、下記などがあります。

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 特定技能
  • 企業内転勤

在留資格の変更申請には、雇用契約書、業務内容の説明資料、企業の決算書など企業側が準備する書類も多いため、採用のタイミングに合わせて早めに手続きを進めることが必要です。

就労ビザが許可されるまでフルタイム勤務はできないため、この点も企業側が管理する必要があります。

就労ビザとは?在留資格16種や期限、取得する条件・方法を解説

留学生の配偶者の場合、条件が異なるケースがある

留学生の配偶者が家族滞在ビザを取得する場合、審査基準は通常より厳しくなる傾向があります。

具体的には、留学生本人の学業状況や留学生本人の生活費・学費を賄える経済力、扶養する家族を日本で支える十分な資金などが詳しくチェックされます。

また、留学生本人が退学・休学・卒業などで在留資格を失うと、配偶者の家族滞在ビザも影響を受けるため注意が必要です。

就労に関しては、家族滞在ビザとしてのルールが適用され、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトが可能です。

企業は留学生配偶者を採用する際、在留状況や学業継続の有無、家族滞在として適格かどうかを確認し、適切な管理を行わなければなりません。            

まとめ

家族滞在ビザは、外国人社員の家族を日本に呼び寄せるための重要な手段ですが、その取得や運用には多くの注意点があります。

ビザの種類や取得条件、就労に関するルールを理解することで、企業は適切な雇用を行い、法的リスクを回避することができます。

今後も家族滞在ビザに関する知識を深め、適切な対応を行うことが、企業の国際化を進める上での鍵となります。

「外国人採用の窓口」が
あなたの採用活動をサポート!

外国人採用の窓口は
外国人採用に特化したBtoBマッチングサービスです。

日本全国 10,000社 を超える
監理団体・登録支援機関・外国人紹介会社を一括で検索し
簡単に比較・相談・検討することができます。

「外国人の採用方法が分からない」
「技能実習生や特定技能外国人の依頼先が分からない」
「監理団体や会社がたくさんあって探すのが大変」
「手続きや申請が複雑で自社では行えない」

といったお悩みのある方は
今すぐ無料相談ダイヤルまでお電話ください!

外国人採用の専門家が丁寧に対応させていただきます(全国対応)。

「外国人採用の窓口」にできるコト

・外国人採用のご相談
・監理団体のご紹介
・登録支援機関のご紹介
・外国人紹介会社のご紹介
・行政書士事務所のご紹介

ご利用料金

ご利用料金は完全無料です。
サイトのご利用から監理団体・登録支援機関等のご紹介まで
一切料金はかかりません。
安心してご利用くださいませ。

Copyright© 外国人採用の窓口 , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.