外国人採用ガイド

在留資格の特定活動とは?採用の場面で遭遇しやすい例や注意点を解説

在留資格の特定活動とは?採用場面で遭遇しやすい例や注意点を解説①

外国人採用の現場では「特定活動」という在留資格に該当する候補者に出会うケースが増えています。

しかし、特定活動は法務大臣が個別に指定する多様な在留資格であり、活動内容や就労可否がケースごとに大きく異なる点が特徴です。

制度への理解が不十分なまま採用を進めると、不法就労につながる恐れがあります。

本記事では、特定活動の基本と種類、採用場面でよく遭遇するケース、企業が確認すべき注意点を整理して解説します。

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

在留資格の特定活動とは?

在留資格「特定活動」とは、法務大臣が個別に指定した活動を行う外国人に付与される在留資格です。

経営・管理や介護、技能といった一般的な就労ビザのように「職務内容」で類型化されているものではなく、活動の目的や背景に応じて許可内容が細かく異なる点が最大の特徴です。

対象となる活動は幅広く、留学生の就職活動や日本の大学卒業者向けの「特定活動46号」、ワーキングホリデー、難民申請中の特定活動など多岐にわたります。

そのため、在留カードの在留資格欄やパスポートに添付された指定書の内容について確認しなければ正確な判断はできません。

企業が採用する際は、活動内容と就労条件を個別に確認することが不可欠です。

在留資格の特定活動に関する分類とは

在留資格の特定活動とは?採用場面で遭遇しやすい例や注意点を解説②

特定活動は前述のとおり「法務大臣が個別に指定する活動」に対して与えられる在留資格であるため、ひとつの在留資格の中に多様な活動類型が存在します。

活動内容・就労可否・在留期間は類型ごとに異なるため、企業は分類を理解したうえで採用可否を判断する必要があります。

ここでは、特定活動の3つの分類について解説します。

出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動

出入国管理及び難民認定法そのものに規定されている特定活動は、次のような3つの活動が挙げられます。

  • 特定研究活動
  • 特定情報処理活動
  • 特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動

これらはいずれも、高度な研究・開発や先端的な情報処理業務に従事する外国人、またはその家族を対象にした在留資格です。

「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザよりも、より専門性の高い活動を前提としています

告示特定活動

告示特定活動とは、法務大臣が「告示」によって活動内容を列挙したもので特定活動の中で最も種類が多い分類です。

代表例は下記のとおりです。

  • 外交官等の家事使用人
  • 日本の大学卒業者およびその配偶者
  • ワーキングホリデー
  • インターンシップ
  • 製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員 など

告示特定活動は就労可・不可が号数ごとに異なるため、企業は必ず在留カードに記載された「就労制限の有無」やパスポートに添付された「指定書」を確認する必要があります。

なお、告示特定活動には下記のように複数の号数が存在しており、活動内容がそれぞれ異なります。

号数 活動内容 号数 活動内容
1号
2号
2号の2~4
外交官等の家事使用人 34号 高度専門職外国人又はその配偶者の親
3号 台湾日本関係協会職員及びその家族 36号 特定研究等活動
4号 駐日パレスチナ総代表部職員及びその家族 37号 特定情報処理活動
5号
5号の2
ワーキングホリデー 38号 特定研究等活動者又は特定情報処理活動者の配偶者又は子
6号
7号
アマチュアスポーツ選手及びその配偶者又は子 39号  36号又は37号外国人又はその配偶者の親
8号 国際仲裁代理 40号
41号
観光、保養を目的とする⾧期滞在者とその同行する配偶者
9号 インターンシップ 42号 製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員
10号 英国人ボランティア 43号 日系4世
12号 サマージョブ 44号
45号
外国人起業家及びその配偶者又は子
13号
14号 
令和7年大阪・関西万博関係者及びその配偶者又は子 46号
47号
本邦大学卒業者及びその配偶者又は子
15号 国際文化交流 50号 スキーインストラクター
16号~24号
27号~31号
二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係 (インドネシア、フィリピン、ベトナム) 51号
52号
未来創造人材及びその配偶者又は子
25号
26号
医療滞在とその同伴者  53号
54号
デジタルノマド及びその配偶者又は子
33号 高度専門職外国人の就労する配偶者 55号 特定自動車運送業準備
33号の2 特別高度人材外国人の就労する配偶者 56号
57号
令和9年国際園芸博覧会関係者及びその配偶者又は子

出典:法務省「特定活動告示」※2025年5月時点

告示外特定活動

告示外特定活動とは、「出入国管理及び難民認定法されている特定活動」にも、「告示特定活動」にも当てはまらず、個別事情に基づき法務大臣が特別に在留を認めるケースです。

代表例には下記のようなものがあります。

  • 大学や専門学校、日本語学校卒業後の就職活動
  • 人道上の配慮が必要と判断されたケース
  • 在留資格を有する外国人が扶養する高齢の親 など

告示外特定活動は書類審査が厳しく、許可率も低めとなっている点も理解しておきましょう。

企業は、告示特定活動と同様に在留カードと指定書を必ず確認し、許可された活動内容と就労範囲を正確に把握することが不可欠です。

特定活動の外国人は雇用できる?

在留資格の特定活動とは?採用場面で遭遇しやすい例や注意点を解説③

特定活動の外国人を雇用することは可能ですが、就労の可否や働ける範囲は類型ごとに大きく異なるため、在留カードと指定書の確認が必須です。

特定活動には、就職活動やワーキングホリデーのように就労が認められるものもあれば就労不可の類型も存在します

就労できる場合でも、業務内容が「指定書に記載された活動範囲内」である必要があり、範囲外の業務に従事させると不法就労に該当します。

また、特定活動で働く外国人も労働基準法の適用を受けるため、適正な労働条件を整えることが企業の責務です。

採用にあたっては、在留期間、就労の可否、職種の制限を正確に把握し、書類の有効性を確認したうえで雇用判断を行う必要があります。

企業が採用場面で遭遇しやすい特定活動

在留資格の特定活動とは?採用場面で遭遇しやすい例や注意点を解説④

在留資格である「特定活動」は種類が多く、就労可否もそれぞれ異なるため、企業が採用時に正確に把握することが欠かせません。

以下では、実際に企業が応募者として接触しやすく、かつ就労可否が明確な特定活動について解説します。

就職活動を継続する留学生向けの特定活動

就職活動を継続する留学生向けの特定活動は、主に日本の大学や専門学校で学んだ外国人学生が、卒業後に日本での就職を目指す際に利用できる在留資格です。

この特定活動は、留学生が日本の企業での就職活動を行うための期間を設けるものであり、通常は卒業後の1年間が認められています。

就労は資格外活動許可を受けていれば可能ですが、週28時間以内と定められています。

企業としては、採用の際に在留カードに記載された資格外活動許可の有無を必ず確認することが必要です。

日本の大学卒業者を対象とした特定活動46号

「特定活動46号」は、日本の大学(大学院を含む)を卒業した外国人を対象とした就労可能な在留資格です。

習得した知識や高い日本語能力を有する人材を、日本で受け入れることを目的としています。

就労はフルタイム勤務が可能です。対象者は日本の大学卒業者で、一定の語学力などの基準を満たす方となっています。

ただし、単純作業のみに従事することはできません。企業は業務内容が適合しているか確認が必要です。

在留資格「特定活動46号」とは?取得条件や雇用するメリット・デメリット

難民認定申請中に付与される特定活動

難民認定申請中の外国人には、生活維持のため就労可能な特定活動の在留資格が与えられるケースがあります

ただし、就労開始には就労の許可が必須であり、職種や条件といった許可内容は個別で判断されます。

「特定活動」は、在留カード上では 就労可・不可にかかわらず同じ名称で表示されます。

そのため、難民認定申請中の外国人を採用する場合は在留カードだけで判断することはできません

企業は必ずパスポートに添付される指定書も確認し、許可された範囲内の活動かどうかを慎重に判断する必要があります。

特定技能への移行準備としての特定活動(6カ月)

特定技能への移行準備としての特定活動は、特定技能1号への移行を準備するために付与される短期の特定活動です

特定技能1号での就労予定の受入れ機関で就労することが可能です。

令和6年1月9日以降の申請については、付与する在留期間が4カ月から「6カ月」に変更となりました。

在留期間の更新については、やむを得ない事情があると認められる場合に1回限り認められます。

特定技能1号で必要な技能試験及び日本語試験に合格していること、予定している特定技能1号の業務と同様の業務に従事すること等が条件となっている点に注意が必要です。

休暇を楽しみながら働けるワーキングホリデー

ワーキングホリデーは、原則として18歳以上30歳以下の青年が、日本で休暇を過ごしながら付随的に就労できる制度です

特定活動の中で自由度の高い就労が認められる類型のひとつです。

要件は、相手国・地域に居住する自国民・住民であることや、一定期間相手国・地域において主として休暇を過ごす意図を有すること、子又は被扶養者を同伴しないこと等と定められています。また、風俗営業等に従事することは禁止です。

雇用の際は、在留資格欄の「特定活動」の記載の有無やパスポートに添付される「指定書」に、ワーキングホリデーとしての活動を許可されていることを確認しましょう。

報酬を受け取るインターンシップ(特定活動9号)

特定活動9号は、大学や専門学校に在籍する外国人が日本企業で報酬を受け取るインターンシップを行う際に認められる在留資格です。

就労は許可されていますが、活動内容や範囲は在留カードとともに交付される「指定書」に明確に定められるため、雇用者はその範囲内のみで雇用する必要があります。

対象となる条件は主に下記のとおりです。

  • 海外の大学の学生であること
  • インターンシップの業務内容が大学の専攻に関係していること
  • 日本入国時に18歳以上である

また、インターンシップはあくまで教育的目的に基づく必要があり、企業は通常のアルバイトや一般雇用と混同しないよう注意が求められます。

外国人留学生のインターンシップとは|メリットや受け入れの流れも解説

夏季の短期就労を目的としたサマージョブ

特定活動におけるサマージョブは、外国の大学において授業が行われない期間、なおかつ3カ月を超えない期間に認められる短期就労の在留資格です。

サマージョブ制度の対象となるのは、海外の大学に在籍する学生です。

学位が授与される教育課程に在籍していることが条件であり、通信教育のみを行う課程の学生は対象外となります。

サマージョブの特定活動で認められるのは、本国の大学と日本の企業・団体との契約に基づき、大学が指定した業務に報酬を受けながら従事することです。

企業は採用時に、在留カードと指定書から就労範囲を必ず確認しましょう。

特定活動の外国人を雇用する際の注意点

在留資格の特定活動とは?採用場面で遭遇しやすい例や注意点を解説⑤

特定活動の外国人を雇用する際には重要な注意点があります。

注意点をしっかりと把握して適切な手続きを行うことで、特定活動の外国人を安心して雇用することができるでしょう。

ここでは、特定活動の外国人を雇用する際の注意点を解説します。

在留カードの就労条件を確認する

特定活動の外国人を採用する際、まず確認すべきなのが 在留カードの「就労欄」 です。

ここには「就労不可」や「指定書により特定活動のみ可」など、働ける範囲が明記されており、企業が提供する業務を行えるかどうかを判断する重要な情報になります。

特定活動の種類によっては、働ける時間や職種が大きく制限されることがあります。

例として、就職活動中の留学生向け特定活動は原則としてフルタイム勤務が認められず、特定技能への移行準備の特定活動では、移行予定の分野に限って就労が許可されます。

在留カードの就労条件を確認することで、企業側は不法就労を未然に防ぎ、適法かつ適切な雇用環境を整えることができます。

指定書に記載されている活動内容を確認する

特定活動の外国人の場合、在留カードとあわせて必ず確認したいのが 「指定書」 です。

指定書には、その外国人が行うことを許可された活動内容・就労の可否・働ける期間などが詳細に記載されています。

企業が提供する業務が指定書の範囲に含まれていない場合、たとえ当人が働く意思を持っていても就労は認められません。

また、指定書の内容は更新のタイミングで変更されることもあるため、最新の情報かどうかも必ず確認する必要があります。

指定書を正しく読み取ることができれば、法令違反を避け、安心して雇用を進めることができるでしょう。

特定活動は不許可のリスクがあることも理解しておく

特定活動は在留資格の中でも個別審査の色が強く、申請が不許可となるケースも珍しくありません。

活動内容が告示や法務省の想定する範囲から外れていたり、提出書類に不備があったりすると許可が得られない場合があります。

企業としては、採用予定者の申請内容や提出書類が整っているかを事前に確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

特定活動が不許可となった場合、そのまま雇用を続けると不法就労に該当する可能性があるため、慎重に状況を見極める必要があります。

在留資格の審査が不許可になる原因と再申請時の対策について具体的な事例をもとに解説します

審査期間を踏まえて早めに準備を進める

特定活動の申請や更新には、一般的に1〜2カ月の審査期間が必要です。

特に特定活動は個別審査の要素が強いため、想定より時間がかかるケースも多く見られます。

採用開始日から逆算して余裕を持って準備し、必要書類を早めに整えておくことで、雇用スケジュールへの影響を最小限に抑えることができます。

書類に不備があると審査が長引く原因にもなるため、事前のチェック体制を整えておきましょう。

まとめ

特定活動は類型ごとに就労条件が大きく異なるため、外国人を採用する企業には正確な理解が欠かせません。

雇用前には在留カードの就労条件と指定書の記載内容を必ず確認し、活動内容が適法かどうかを慎重に判断する必要があります。

また、特定活動は不許可となる可能性もあるため、早めの準備と情報収集が重要です。

本記事の内容を参考に、適切な手続きを踏みながら外国人採用を安心して進めていきましょう。

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