外国人労働者を採用する際に
「最低賃金は日本人と違うのか」
「安く雇用できるのではないか」
と、疑問に思っている方もいるでしょう。
実際には、外国人であっても最低賃金は日本人と同様に適用されるうえ、制度や雇用形態によっては想定以上のコストがかかるケースも少なくありません。
本記事では、外国人労働者の最低賃金や技能実習生の賃金の考え方、賃金格差が生まれる理由などを解説します。企業が押さえておくべき注意点やトラブルを防ぐポイントも紹介するので、外国人雇用の判断材料としてぜひ参考にしてみてください。
INDEX
外国人労働者の最低賃金は?

外国人労働者の最低賃金は、日本人労働者と同様に「最低賃金法」に基づいて適用されます。
国籍による区別はなく、すべての労働者が対象です。
そのため、外国人であっても地域ごとに定められた最低賃金を下回る給与で雇用することは認められていません。
また、アルバイトやパートなどの外国人であっても最低賃金の適用対象となるため「アルバイトだから安く雇用できる」ということはなく、日本人と同様に最低賃金以上の給与を支払う必要があります。
日本の最低賃金は全国一律ではなく、都道府県ごとに設定されている「地域別最低賃金」が基準となります。地域の物価や生活水準に応じて金額が異なるため、勤務地に応じた最低賃金を確認することが重要です。
主な地域の最低賃金は以下のとおりです。
■令和7年度地域別最低賃金の全国一覧
| 都道府県 | 最低賃金 | 都道府県 | 最低賃金 | 都道府県 | 最低賃金 | 都道府県 | 最低賃金 |
| 東京都 | 1,226円 | 神奈川県 | 1,225円 | 大阪府 | 1,177円 | 埼玉県 | 1,141円 |
| 千葉県 | 1,140円 | 愛知県 | 1,140円 | 京都府 | 1,122円 | 兵庫県 | 1,116円 |
| 静岡県 | 1,097円 | 三重県 | 1,087円 | 広島県 | 1,085円 | 滋賀県 | 1,080円 |
| 北海道 | 1,075円 | 茨城県 | 1,074円 | 栃木県 | 1,068円 | 岐阜県 | 1,065円 |
| 群馬県 | 1,063円 | 富山県 | 1,062円 | 長野県 | 1,061円 | 福岡県 | 1,057円 |
| 石川県 | 1,054円 | 福井県 | 1,053円 | 山梨県 | 1,052円 | 奈良県 | 1,051円 |
| 新潟県 | 1,050円 | 岡山県 | 1,047円 | 徳島県 | 1,046円 | 和歌山県 | 1,045円 |
| 山口県 | 1,043円 | 宮城県 | 1,038円 | 香川県 | 1,036円 | 大分県 | 1,035円 |
| 熊本県 | 1,034円 | 島根県 | 1,033円 | 愛媛県 | 1,033円 | 福島県 | 1,033円 |
| 山形県 | 1,032円 | 長崎県 | 1,031円 | 秋田県 | 1,031円 | 鳥取県 | 1,030円 |
| 佐賀県 | 1,030円 | 青森県 | 1,029円 | 鹿児島県 | 1,026円 | 高知県 | 1,023円 |
| 宮崎県 | 1,023円 | 沖縄県 | 1,023円 |
また、日本の最低賃金には「地域別最低賃金」と「産業別特定最低賃金」の2種類があります。
産業別特定最低賃金は特定の業種に従事する労働者に適用されるもので、外国人労働者も対象です。
地域別最低賃金と産業別特定最低賃金の両方が適用される場合は、いずれか高い方の金額が最低賃金として適用されます。
最低賃金は毎年見直しが行われるため、企業は最新の金額を確認し、常に基準以上の賃金を設定する必要があります。
外国人労働者の給与を決める際も、日本人と同じ基準に基づき、最低賃金を下回らないよう適切に設定することが重要です。
外国人技能実習生の最低賃金は?
外国人技能実習生の最低賃金も、日本人労働者と同様に「最低賃金法」に基づいて適用されます。
そのため、技能実習生であっても地域ごとに定められた最低賃金を下回る給与で雇用することは認められていません。
また、日本の最低賃金には「地域別最低賃金」と「産業別特定最低賃金」の2種類があり、これらは国籍や在留資格にかかわらずすべての労働者に適用されます。技能実習生も例外ではありません。
特定の業種に従事する場合は産業別特定最低賃金の対象となることがあり、両方が該当する場合には、いずれか高い方の金額が最低賃金として適用されます。
たとえば、大阪府の製造業では、地域別最低賃金(例:1,170円台)に対して、鉄鋼業や機械器具製造業などでは1,180円〜1,190円台の産業別最低賃金が設定されているケースがあります。
このような場合、該当する業種で働く技能実習生には、地域別ではなく産業別の高い最低賃金が適用されます。
なお、産業別特定最低賃金は技能実習生に限らず、日本人を含むすべての労働者に適用される制度です。
そのため「技能実習生だけ特別な最低賃金がある」というわけではない点に注意が必要です。
技能実習制度は人材育成を目的とした制度ではありますが、労働者として働く以上、最低賃金のルールは厳格に適用されます。
企業は制度の趣旨だけでなく、法令に基づいた適切な賃金設定を行うことが重要です。
外国人労働者の平均賃金

厚生労働省の調査によると、令和6年の外国人労働者の月額平均賃金は24万2,700円です。
在留資格別に見ると「専門的・技術的分野」は約29万円、「技能実習」は、約18万円程度といったように、制度や業務内容によって賃金水準に差がある点が特徴です。
| 在留資格区分 | 平均月収(目安) |
| 専門的・技術的分野 | 約29万円 |
| 特定技能 | 約21万円 |
| 身分に基づく在留資格 | 約30万円 |
| 技能実習 | 約18万円 |
参考:厚生労働省「在留資格区分別にみた賃金」令和6年
外国人労働者の賃金は一律ではなく、スキル・職種・在留資格などの条件によって大きく変動します。
そのため、単純に「外国人=低賃金」と考えるのではなく、どのような人材を採用するかによって適正な賃金水準を判断することが重要です。
外国人労働者の賃金格差が生まれる理由

外国人労働者の賃金は、日本人と同様に最低賃金のルールが適用される一方、実際には在留資格や職種、スキルなどによって差が生じています。
ここでは、外国人労働者の賃金格差が生まれる主な理由について解説します。
在留資格によって働ける職種や賃金水準が異なる
外国人労働者は在留資格によって就労可能な業務が制限されており、その内容によって賃金水準にも差が生じます。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」などの専門的・技術的分野では、高度な知識やスキルが求められるため、比較的高い給与水準となる傾向があります。
一方、「技能実習」や「特定技能」などは一定の業種に限定されることが多く、比較的賃金水準が低くなりやすいのが特徴です。
在留資格ごとの制度設計自体が、賃金差の一因となっています。
技能実習制度など教育・訓練目的の制度がある
技能実習制度は、日本の技術や知識を習得し母国へ持ち帰ることを目的とした制度であり、純粋な労働力確保とは性質が異なります。
そのため、即戦力としての採用を前提とした雇用とは異なり、教育・訓練の側面が強く、賃金水準も相対的に低くなる傾向があります。
また、技能実習(育成就労)は原則3〜5年、特定技能1号も通算5年といった在留期限があるため、長期的なキャリア形成が難しい点も賃金に影響します。
特定技能2号に移行できれば在留制限はなくなるものの、対象分野や要件のハードルが高く、実際に移行できるケースはまだ多くありません。
そのため、長期雇用や昇給を前提とした人材として評価されにくい側面があります。
日本語能力も賃金水準に影響する要素の一つです。
日本では管理職や責任あるポジションほど日本語でのコミュニケーション能力が求められる傾向があり、日本語能力が十分でない場合は昇進や賃上げの機会が限られやすくなります。
一方、「技術・人文知識・国際業務」や永住者・定住者・配偶者といった身分に基づく在留資格では、就労制限が少なく長期的なキャリア形成が可能なため、結果として賃金水準が高くなる傾向があります。
なお、技能実習制度は人材育成を目的とする制度である一方、特定技能は人手不足分野での就労を前提とした制度であり、制度趣旨は異なります。
いずれの場合であっても、労働者として働く以上、最低賃金のルールは厳格に適用されます。
制度の違いや在留条件が、賃金差の背景となっているといえるでしょう。
職種・スキル・経験によって賃金水準が異なる
外国人労働者の賃金は、日本人と同様に職種やスキル、経験によって大きく左右されます。
専門職やITエンジニアなど高度な知識や技術を要する職種では高収入が期待できる一方、単純作業や労働集約型の業務では賃金が低くなりやすい傾向があります。
また、日本語能力や業務経験の有無も賃金に影響を与える重要な要素です。
つまり、外国人だから賃金が低いのではなく、担当する業務内容や個々の能力によって差が生じているといえます。
労働市場での立場や交渉力に違いがある
外国人労働者は、日本の労働市場において情報量や交渉力の面で不利な立場に置かれることがあります。
たとえば、日本語での契約内容の理解が難しい場合や、転職の自由度が在留資格によって制限される場合には、より良い条件での雇用を選びにくくなります。
また、受入企業や監理団体との関係性によっては、待遇改善の交渉が難しいケースもあります。
このような構造的な要因が、結果として賃金格差につながる一因となっています。
外国人労働者の賃金・税金に関する注意点
外国人労働者を雇用する際は、最低賃金を守るだけでなく、在留資格や税務、労務管理など幅広い観点での対応が求められます。
制度を正しく理解せずに雇用すると、法令違反やトラブルにつながる可能性もあるため、事前に押さえておくことが重要です。
日本人と同等以上の給与が求められる
外国人労働者の賃金は、日本人と同様に最低賃金法が適用されるほか、不合理な待遇差を設けてはならないという原則に基づき、適正な水準で設定する必要があります。
特に、特定技能や技術・人文知識・国際業務などの在留資格では「日本人と同等以上の報酬であること」が許可要件として明確に定められています。
つまり、最低賃金を満たしているだけでは不十分であり、同一業務に従事する日本人と比較して不当に低い給与設定は認められません。
適切な給与水準を満たしていない場合、在留資格の許可や更新に影響する可能性もあるため注意が必要です。
外国人労働者は安価に雇用できるわけではない
外国人労働者は「人件費を抑えられる」というイメージを持たれることがありますが、実際には必ずしもそうではありません。
安い賃金で外国人を雇用できると考えている経営者もいますが、賃金面においては日本人と同等以上の水準が求められるため、単純に人件費を下げられるわけではありません。
さらに、技能実習(育成就労)や特定技能での雇用では、給与以外にも監理費や登録支援機関への委託費、住居の手配・管理費など、さまざまなコストが継続的に発生します。
これらの費用を含めて考えると、日本人を雇用する場合と比較して総コストが高くなるケースも少なくありません。
「安いから外国人を雇用する」という考え方は現実的ではなく、人材確保や事業継続といった観点から戦略的に検討することが重要です。
同一労働同一賃金の原則が外国人にも適用される
外国人労働者にも、日本人と同様に「同一労働同一賃金」の原則が適用されます。
これは、同じ仕事内容や責任範囲で働く労働者に対して、不合理な待遇差を設けてはならないという考え方です。
たとえば、国籍や在留資格のみを理由に賃金や手当を低く設定することは認められません。
差を設ける場合は、業務内容や役割、能力など合理的な理由が必要となります。
企業は雇用形態や国籍にかかわらず、公平な評価基準と賃金体系を整備することが求められます。
源泉所得税は居住者と非居住者で異なる
外国人労働者を雇用する際は、税務上の取り扱いにも注意が必要です。
特に、重要なのが「居住者」と「非居住者」の区分による課税方法の違いです。
日本に住所がある、または日本に1年以上居住する見込みがある場合は「居住者」として扱われ、日本人と同様に所得税が課税されます。
一方、滞在期間が1年未満の場合は「非居住者」となり、原則として給与に対して一律20.42%の源泉所得税が課されます。
この区分を誤ると、税務上のトラブルや追徴課税につながる可能性があるため、雇用時には在留期間や契約内容を確認し、適切な税務処理を行うことが重要です。
参考:国税庁「居住者と非居住者の区分」「非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率」
外国人労働者の賃金トラブルを避けるためのポイント

外国人労働者の雇用では、賃金に関する認識の違いや制度理解の不足からトラブルが発生するケースも少なくありません。
適切な対応を行うことで、離職や不満を防ぎ、安定した雇用関係の構築につながります。
低賃金は失踪や離職につながるため適正な給与水準を設定する
外国人労働者の中には、母国への仕送りを目的として働いている人も多く、給与水準は生活や就労意欲に大きく影響します。
最低賃金を満たしている場合でも、実際の生活費や期待とのギャップが大きいと、不満が蓄積し、離職や失踪といったリスクにつながる可能性があります。
特に、技能実習生や特定技能外国人は来日前に一定の収入を期待しているケースも多く、その期待を大きく下回るとトラブルに発展しやすくなります。
技能実習生などは、職種によっては最低賃金水準での雇用が可能な場合もありますが、家族への仕送りを前提として来日しているケースが多いため、低賃金は失踪や転職の要因となり得ます。
そのため、単に法令を守るだけでなく、業務内容や地域水準に見合った適正な給与設定を行うことが重要です。
昇給・昇格基準のあいまいにせず明確にする
給与や評価に関する基準が不明確な場合、「なぜ昇給しないのか」「評価が不公平ではないか」といった不満が生じやすくなります。
特に、外国人労働者は日本の評価制度に慣れていないことも多いため、基準が曖昧だと不信感につながる可能性があります。
そのため、昇給や昇格の条件、評価基準などを事前に明確にし、できるだけ分かりやすく説明することが重要です。
このような取り組みは、外国人労働者の定着だけでなく、日本人社員のエンゲージメント向上や採用改善にもつながります。
給与から控除される項目を事前に説明する
外国人労働者とのトラブルで多いのが、「手取り額」に関する認識の違いです。
社会保険料や税金、住居費などが給与から控除されることを十分に理解していない場合、想定よりも手取りが少ないと感じ、不満につながることがあります。
そのため、雇用契約の段階で控除される項目や金額の目安について丁寧に説明し、実際の手取り額のイメージを共有しておくことが重要です。
可能であれば母国語での説明や資料を用意することで、より正確な理解を促すことができます。
福利厚生の活用で実質的な手取りを高める
給与額そのものを大きく引き上げることが難しい場合でも、福利厚生を充実させることで実質的な満足度を高めることが可能です。
たとえば、住宅補助や食事補助、通勤費の支給などは、生活費の負担軽減につながり、結果的に手取りの向上と同様の効果をもたらします。
また、生活支援や相談体制の整備も、安心して働ける環境づくりに寄与します。
単に賃金額だけで判断するのではなく、総合的な待遇として魅力を高めることが、長期的な定着につながります。
まとめ
外国人労働者の最低賃金は日本人と同様に適用され、在留資格や職種によって賃金水準やコスト構造が大きく異なります。
単に「安く雇用できる」という考え方は適切ではなく、制度理解と適正な賃金設定が重要です。
賃金格差の背景や注意点を正しく把握し、適切な労務管理を行って、トラブル防止と人材の定着につなげましょう。
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