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#特定技能

特定技能外国人の単純労働は認められているのか?作業内容別の就労可否も解説

人手不足が深刻化する中で、特定技能外国人の活用を検討する企業が増えています。

しかし、産業分野ごとに従事できる業務内容や関連作業などの扱いが異なるため、現場での指導や業務設計においてさまざまな疑問が生じます。

特定技能と単純労働の関係は誤解されやすく、制度理解が不十分なまま業務設計を進めると、思わぬリスクにつながる可能性があります。

この記事では、特定技能制度において単純労働が認められているのかという基本的な考え方を整理したうえで、作業内容ごとの就労可否や注意点をわかりやすく解説します。

制度の正しい理解を深め、適切な外国人雇用を行うためのポイントを押さえましょう。

安藤 祐樹この記事の監修
きさらぎ行政書士事務所
行政書士 安藤 祐樹
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

単純労働とは?

単純労働とは、専門的な知識や高度な技能を必要とせず、比較的短期間の指導や訓練で遂行できる作業を指し、反復的で定型的な業務が中心となります。

例えば、工場のライン作業や飲食店での皿洗い、品出しといった業務は単純労働の典型例とされ、特別な資格や長期的な経験がなくても従事できる仕事が該当します。

なお、単純労働という用語自体に明確な法的定義があるわけではなく、一般的な概念として用いられている点に注意が必要です。

外国人の就労制度においては、現場作業やいわゆるブルーカラー業務も広く単純労働とみなされる場合があり、作業内容だけでなく制度上の位置づけも踏まえて判断される傾向があります。

外国人の単純労働が規制される理由

外国人の単純労働が原則として制限されている背景には、日本の在留資格制度が高度な専門性や技能を有する人材の受け入れを前提として設計されている点があります。

そのため、就労系の在留資格では主に外国人の専門的な知識や技術を活かす業務が求められ、短期間の習得で対応できる作業のみを目的とした就労は制度の趣旨から外れるとされています。

また、国内の労働市場を守る観点からも、単純作業の受け入れ拡大は賃金水準の低下や日本人の雇用機会の圧迫につながる可能性があると考えられています。

さらに、過去には不法就労や劣悪な労働環境が問題となった背景もあり、適正な雇用管理や社会秩序の維持の観点からも、単純労働は一部の在留資格を除いて原則として認められていないとされています。

特定技能制度では一部単純労働が認められている

特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野において、一定の技能や日本語能力を有する外国人材を受け入れるために創設された在留資格です。

特定技能外国人は技能評価試験などにより業務に必要な知識や実務能力があらかじめ確認されており、ある程度の専門性が担保された状態で、現場で即戦力として働くことができる制度になっています。

実際の業務では調理補助や清掃、運搬などの専門性を問われない作業も含まれる場合がありますが、これらはあくまで専門性が必要な業務に付随する範囲で認められるものです。

したがって、単純な作業のみを主たる業務とすることは制度上想定されておらず、この制度を活用する場合は外国人に従事させる業務範囲を適切に設計する必要があります。

特定産業分野とは

特定産業分野とは、特定技能制度において外国人材の受け入れが認められている産業分野のことです。

特定技能制度で外国人を受け入れるためには、単に人手不足が深刻なだけでは認められず、その産業分野の業界団体等が国内人材の確保や生産性向上に努めても、今後さらなる人手不足の加速が予想されるなど、即戦力外国人の受け入れを認めざる得ない状況にあることが要件となっています。

これらの分野は政府により指定されており、一定期間内の受け入れ人数の上限や従事可能な業務内容があらかじめ定められている点が特徴です。

特定産業分野一覧
特定技能1号(16分野) 特定技能2号(11分野)
介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、 漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、 木材産業 ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、 漁業、飲食料品製造業、外食業

なお、2027頃により新たに「物流倉庫管理」「廃棄物処理」「リネン製品供給」の3分野が特定産業分野として追加されることが決定しています。

※当面は特定技能1号のみ受入れが認められることとなります。

特定技能1号と2号

特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、それぞれ求められる技能水準や従事できる業務内容に違いがあります。

特定技能1号は、一定の知識や技能を有し、上司などの指示を受けて業務を遂行できるレベルの人材を対象としており、各分野の技能試験や日本語試験に合格することで取得が可能です。

一方で、特定技能2号はより高度で熟練した技能を持つ人材向けの在留資格であり、管理者としての実務経験にもとづき、現場の中核として業務を担うことが期待されています。

このように、1号は基礎的な技能による実務対応、2号は熟練した技術による業務遂行という位置づけとなっており、技能水準に応じて役割が明確に区分されています。

特定技能の在留資格の特徴

特定技能の在留資格は、1号と2号で在留期間や家族帯同の可否などの制度設計に違いがあります。

特定技能1号は、在留期間が通算で最長5年とされており、家族の帯同は原則として認められていません。

特定技能2号は熟練した技能を前提とするため在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も可能です。

特定技能1号と2号の在留資格の特徴は以下の通りです。

特定技能1号と2号の在留資格の特徴

在留資格 特定技能1号 特定技能2号
在留期間の上限 原則通算5年が上限 上限なし(更新は必要)
技能水準 相当程度の技能 熟練した技能
日本語能力水準 JLPT N4以上またはJFT-Basic合格水準 法律上の要件なし
実務経験 法律上の要件なし 管理者としての実務経験が必要

※年数は分野により異なる

家族の帯同 原則不可 配偶者と子の帯同可
支援義務 企業側に支援義務あり 支援義務なし

特定技能の作業内容別の就労可否

特定技能では、産業分野ごとの運用要領において、主たる業務と関連業務の概要が説明されていますが、各現場における業務は多岐にわたり運用要領だけで就労の可否を判断するのはとても難しいです。

そこで以下では、代表的な単純作業を含む業務内容について、従事させることができるか否かの判断材料となるような情報を共有します。

販売業務

特定技能制度において、コンビニやスーパーマーケットなどでの一般的な販売業務は、対象分野に含まれないため原則として従事することはできません。

これは、小売業が特定産業分野に該当しておらず、制度趣旨に合致しないためです。

一方で、宿泊施設内の売店や外食業の店舗での物品販売など、主たる業務に付随する形で行われる販売行為については、それぞれの分野別運用要領において関連業務として認められる場合があると説明されています。

清掃業務

特定技能において清掃業務が主たる業務として認められるのは、ビルクリーニング分野に限られ、建物内の衛生環境を維持する専門業務として位置付けられています。

この分野では、床や設備の清掃などを専従で行うことが制度上想定されており、他の分野とは異なり清掃自体が中心業務となります。

一方で、宿泊分野では客室整備や館内設備の点検などに関連して清掃に従事することは認められていますが、清掃のみを専門に行う働き方は制度の趣旨に適合しません

また、他の分野でも清掃はあくまで付随的な業務として扱われるにとどまり、主業務として従事させることは認められていない点に注意が必要です。

食器洗い

特定技能において食器洗いは、多くの現場で必要とされる作業であるものの、制度上は主たる業務として位置付けられていません。

特に外食分野では、調理や接客といった業務に付随して食器の洗浄を行うことは認められていますが、食器洗いのみを担当させることは想定されていません

これは、特定技能が一定の専門性や実務能力を前提とした在留資格であり、単純な作業に限定した配置が制度の趣旨と合致しないためです。

他の分野においても同様に、食器洗いはあくまで補助的な業務として位置付けられ、主業務と併せて従事させる必要があります。

洗濯業務

特定技能における洗濯業務は、多くの現場で必要とされる作業であるものの、主たる業務として認められるケースは限定されています。

例えば介護分野では、利用者の衣類の洗濯などを行うことがありますが、これは身体介護などに付随する業務として位置付けられています。

同様に、宿泊分野においてもリネン類の取り扱いなどに関連して付随的に洗濯に従事することは可能ですが、洗濯業務のみを担当させることは制度上想定されていません。

なお、今後導入が見込まれているリネンサプライ分野では、クリーニング業務を中心とした専門的な洗濯作業が主業務として認められる可能性があります。

梱包作業

特定技能において梱包作業は、多くの現場で発生する業務であるものの、主たる業務として単独で従事することは認められていません。

例えば製造分野では、加工や組立、検査といった専門的な作業を前提に在留資格が付与されており、梱包はこれらに付随する工程として位置付けられます。

そのため、梱包作業のみを担当させる配置は、技能を要する業務に従事するという制度の趣旨から外れることになります。

この考え方は他の分野にも共通しており、梱包はあくまで補助的な役割にとどまり、主業務と併せて従事させる必要があります

荷物運搬

特定技能において荷物の運搬作業は、多くの業種で発生する一般的な業務であるものの、それ単体で従事することは認められていません。

これは、この在留資格が特定の技能や専門性を前提として付与されているため、運搬のみの業務では制度の趣旨に適合しないためです。

ただし、自動車免許を取得した外国人が特定技能「自動車運送業」の許可を得て、引っ越し業者において荷物運搬作業に従事することは主な業務の一部として認められる可能性もあります

自動車の運転

特定技能外国人であっても、日本の運転免許を取得して自動車を運転すること自体は制度上問題ありません。

ただし、業務として運転を行う場合には、在留資格で認められた業務範囲に含まれているかを慎重に確認する必要があります。

例えば、自動車運送業分野で許可を受けている場合は、定められた業務区分に基づき運転業務に従事することが可能です。

ただし、他の分野において利用者の送迎や荷物の運搬などを目的とした運転業務については認められない場合もあり、実際の運用では他の日本人従業員の業務内容や業務上の必要性を踏まえて総合的に判断されることとなります。

特定技能の単純労働が不法就労に該当する可能性はあるのか

特定技能では付随的に単純な作業に従事することは可能ですが、試験において確認された専門性を要する業務が中心でなければなりません。

そのため、単純作業のみに従事させた場合は在留資格の範囲を逸脱し、不法就労に該当する可能性もあります。

何らかの在留資格の許可を得て日本に滞在している外国人が行う不法就労には、専従資格外活動と非専従資格外活動の2種類の類型があるため、それぞれ解説します。

専従資格外活動

専従資格外活動とは、在留資格で許可された活動とは異なる業務に明らかに専ら従事している状態を指し、制度上は重大な違反と位置付けられています。

このような状態は退去強制事由に該当し、いわゆる強制送還の対象となるおそれがあるため注意が必要です。

例えば、特定技能「建設」の許可を受けた者が、建設の業務を行わずに継続的に外食業の業務に従事している場合は、許可された活動から逸脱していると判断される可能性があります。

また、特定技能は受入れ機関との契約内容に基づいて許可が与えられるため、同一分野であっても手続きを経ずに転職した場合には、専従資格外活動とみなされるリスクがあります。

非専従資格外活動

非専従資格外活動とは、主として許可された業務に従事しているものの、一部で在留資格の範囲を超えた活動を行っている状態を指します。

この場合、日常の業務の大半が適法であっても、許可されていない業務に従事している点で制度上の問題が生じます。

例えば、特定技能「介護」で働きながらアルバイトで外食業に少しだけ従事する場合や、同一事業所内で経理業務など別の在留資格に該当する業務を行うケースが該当する可能性があります。

このような状態は直ちに退去強制の対象とはならない場合もありますが、在留期間の更新時に不許可と判断されるリスクがあるため、業務範囲の管理が重要です。

外国人を雇用する際は業務範囲を明確化しましょう

外国人を雇用する際は、在留資格で認められた業務内容を正確に把握し、業務範囲を明確に設定することが重要です。

そのうえで、主たる業務と関連業務の区分を整理し、どの作業が許容されるかを事前に検討しておく必要があります。

また、実際の運用においても、現場の状況に応じて業務内容が逸脱していないかを定期的に確認する体制が求められます。

このように、適切な業務管理を行うことで不法就労のリスクを防ぎ、安定した雇用関係の維持につなげることができます。

まとめ

特定技能では一定の専門性を前提とした業務に従事することが求められており、付随的に単純な作業を行うことは認められる一方で、それのみを主業務とすることはできません。

作業内容ごとに就労の可否が異なるため、制度の趣旨を踏まえた正しい理解が重要です。

そのため、外国人の受け入れを検討する際は、従事させる業務が在留資格の範囲内に収まっているかを事前に整理し、運用時も逸脱がないかを確認することが求められます。

迷う場合は専門家に相談し、適切な雇用管理を行うことが円滑な受け入れにつながります。

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