特定技能 採用は、人手不足分野で即戦力人材を確保できる制度活用の選択肢です。技能試験や日本語能力を備えた人材をフルタイムで雇用できる一方、支援計画や受入体制、生活面のサポート整備、コミュニケーション設計など実務負担も伴います。
本記事では、採用のメリット・デメリット、対象職種の全体像、募集チャネルと選考のポイントを、失敗事例とチェックリストで具体的に解説します。

(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
特定技能外国人を採用するメリット
特定技能外国人を採用するメリットは、企業にとって非常に大きな利点があります。このセクションでは3つのメリットについて、丁寧に一つひとつ解説します。
即戦力を確保できる
特定技能外国人を採用する最大のメリットは、即戦力となる人材を確保できる点です。特定技能制度では、特定の技能を持つ外国人が日本で働くことを認めており、これにより企業は必要なスキルを持った人材を迅速に採用することが可能になります。
特に、人手不足が深刻な業界では、即戦力としての活躍が期待できるため、業務の効率化や生産性向上に寄与します。
また、特定技能外国人は、技能試験や日本語能力試験をクリアしているため、一定の能力が保証されている点も安心材料です。これにより、企業は新たな教育や研修にかかる時間を短縮し、早期に戦力化することができます。
介護・建設以外は、雇用人数に制限がない
特定技能外国人を採用する際の大きなメリットの一つは、介護や建設業界を除けば、雇用人数に制限がない点です。これにより、企業は必要な人数を自由に採用できるため、急な人手不足にも柔軟に対応できます。
特に、製造業やサービス業などでは、業務の繁忙期に合わせて多くの人材を確保することが可能です。この制度を活用することで、企業は生産性を向上させ、競争力を維持することが期待できます。
また、特定技能外国人は即戦力として活躍できるため、短期間での業務の立ち上げや拡大にも寄与します。
技能実習からそのままスムーズに移行できる
特定技能外国人を採用する際の大きなメリットの一つは、技能実習生から特定技能へのスムーズな移行が可能である点です。
技能実習制度を経て日本での生活や業務に慣れているため、企業側は新たに教育や研修を行う必要が少なく、即戦力として活躍してもらいやすいのです。この移行プロセスは、特に人手不足が深刻な業界において、迅速な人材確保を実現する手段となります。
また、既に日本語や業務に関する基本的な知識を持っているため、コミュニケーションの面でもスムーズに業務を進めることができるでしょう。これにより、企業は短期間で生産性を向上させることが期待できます。
特定技能外国人を採用するデメリット
特定技能外国人を採用する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。メリットだけをみるのではなく、デメリットも理解した上で進めていきましょう。
言語の壁が大きい
特定技能外国人を採用する際の大きなデメリットの一つは、言語の壁です。日本語が堪能でない外国人労働者とのコミュニケーションは、業務の円滑な進行に影響を及ぼす可能性があります。
特に、業務指示や安全に関する情報を正確に伝えることが求められる職場では、言語の障害が重大な問題となることがあります。
また、言語の壁は単に業務上のコミュニケーションに留まらず、職場の人間関係やチームワークにも影響を与えることがあります。日本語が不自由な外国人労働者は、同僚との交流が難しく、孤立感を感じることも少なくありません。
したがって、特定技能外国人を採用する際には、言語教育やコミュニケーション支援を行うことが重要です。これにより、外国人労働者が職場にスムーズに溶け込むことができ、業務の効率化を図ることが可能になります。
日本人の雇用と比較すると、様々な手続きがあるため工数がかかる
特定技能外国人を採用する際には、日本人を雇用する場合と比べて多くの手続きが必要となります。
まず、特定技能ビザの取得に関する申請や、必要な書類の準備が求められます。これには、雇用契約書や支援計画書の作成、さらには外国人の日本語能力や技能試験の合格証明書の確認などが含まれます。
また、特定技能外国人を受け入れるためには、生活面でのサポート体制を整える必要があります。住居の手配や生活に関する情報提供、さらには日本語のコミュニケーション支援など、これらも企業の負担となります。
日本人の雇用と比べて採用の前後で費用がかかる
特定技能外国人を採用する際には、日本人を雇用する場合とは異なる、特有の費用が発生します。
まず、採用プロセスにおいては、海外から候補者を探す場合、現地の送り出し機関や日本の人材紹介会社に支払う人材紹介手数料が必要になることが一般的です。この費用は、1名あたり20万円から50万円程度が相場とされています。
次に、行政手続きの費用として、在留資格の申請を行政書士などの専門家に依頼する場合、その報酬が発生します。
さらに、採用後には、法律で定められた支援計画を自社で実施するか、登録支援機関に委託する必要があります。自社で支援を行う場合でも、通訳の雇用や各種サポートのための人件費がかかります。
外部の登録支援機関に支援計画の全てを委託する場合、その費用として月額で1名あたり2〜3万円程度が必要になるのが一般的です。
特定技能に含まれる職種とは
特定技能制度では、人手不足が深刻な16の産業分野で、即戦力となる外国人材の受け入れが可能です。介護、建設、製造業から、飲食、宿泊、農業まで分野は多岐にわたります。
このうち介護を除く15分野では、熟練技能を認められることで長期就労が可能な「特定技能2号」への道も開かれています。
- 介護
- ビルクリーニング(※2号移行可能)
- 建設(※2号移行可能)
- 造船・舶用工業(※2号移行可能)
- 自動車整備(※2号移行可能)
- 航空(※2号移行可能)
- 宿泊(※2号移行可能)
- 農業(※2号移行可能)
- 漁業(※2号移行可能)
- 飲食料品製造業(※2号移行可能)
- 外食業(※2号移行可能)
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(※2号移行可能)
- 自動車運送業(※2号移行可能)
- 鉄道(※2号移行可能)
- 林業(※2号移行可能)
- 木材産業(※2号移行可能)
介護関連
特定技能外国人が活躍できる分野の一つが介護関連です。日本は高齢化が進んでおり、介護業界では人手不足が深刻な問題となっています。
このような背景から、特定技能制度を利用して外国人を採用することは、即戦力となる人材を確保する有効な手段となります。
特に、介護福祉士の資格を持つ外国人は、専門的な知識と技術を持っているため、即座に現場での業務に従事することが可能です。また、介護関連の職種は、特定技能の中でも需要が高く、今後もさらなる人材確保が求められるでしょう。
建設・製造・整備関連
特定技能外国人が活躍できる分野の一つに、建設・製造・整備関連があります。これらの業種は、日本国内での人手不足が深刻化しているため、特定技能制度を通じて即戦力となる人材を確保することが求められています。
特に建設業界では、技術者や作業員の需要が高く、外国人労働者の受け入れが進んでいます。製造業においても、熟練した技能を持つ外国人が求められており、特定技能を持つ人材は、ライン作業や機械操作などで即戦力として活躍できます。
また、整備関連では、自動車や機械のメンテナンスを行う技術者が必要とされており、特定技能外国人がその役割を担うことで、業務の効率化が図られています。
交通・運輸関連
特定技能外国人が活躍できる職種の一つに、交通・運輸関連があります。この分野では、トラック運転手やバス運転手、物流管理など、さまざまな職種が含まれています。
日本国内では、運輸業界の人手不足が深刻化しており、特定技能制度を通じて外国人労働者を受け入れることで、即戦力となる人材を確保することが可能です。
特に、運転技術や交通ルールに関する知識を持った外国人は、即座に業務に適応できるため、企業にとって大きなメリットとなります。
農林水産業関連
特定技能外国人は、農林水産業においても重要な役割を果たしています。この分野では、農業や漁業、林業など多岐にわたる職種が対象となり、特に人手不足が深刻な状況にあります。
特定技能制度を活用することで、即戦力となる外国人労働者を確保できるため、作業の効率化や生産性の向上が期待できます。
また、外国人労働者は多様な技術や知識を持ち込むことができ、国内の農林水産業の発展にも寄与するでしょう。
サービス・飲食関連
特定技能外国人が活躍できる分野の一つに、サービス・飲食関連があります。この分野では、飲食店や宿泊施設、観光業など多岐にわたる職種が含まれています。
特に、接客業務や調理業務においては、即戦力としての人材が求められています。日本の飲食文化やサービス業の特性を理解し、顧客に対して高品質なサービスを提供できる外国人材は、企業にとって大きな資産となります。
さらに、外国人スタッフの多様性は、国際的な顧客層へのアプローチにも寄与し、企業の競争力を高めます。
特定技能外国人を採用する方法とは
特定技能外国人を採用する方法はいくつか存在します。自社の状況やニーズに合わせて、これから解説する方法の中から最適な手段を選んでいきましょう。
人材紹介会社を利用する
特定技能外国人を採用する際、人材紹介会社を利用することは非常に効果的な方法の一つです。これらの会社は、外国人労働者の採用に特化したサービスを提供しており、企業のニーズに合った人材を迅速に見つける手助けをしてくれます。
特に、言語や文化の違いに不安を感じる企業にとって、専門のコンサルタントがサポートを行うことで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
また、人材紹介会社は、候補者のスクリーニングや面接の調整、さらにはビザ取得の手続きに関するアドバイスも行ってくれるため、企業側の負担を大幅に軽減することができます。
SNSで募集をかける
特定技能外国人を採用する際、SNSを活用することは非常に効果的な手段の一つです。特に、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのプラットフォームは、多くのユーザーが利用しており、広範囲にわたる情報発信が可能です。
これにより、特定の職種に興味を持つ外国人に直接アプローチできるため、応募者の質を高めることが期待できます。
募集投稿では、具体的な職務内容や求めるスキル、労働条件を明確に記載し、写真や動画で職場環境を伝えると効果的です。
語学学校に求人掲載をお願いする
特定技能外国人を採用する際、語学学校に求人を掲載することは非常に効果的な方法の一つです。語学学校には、日本語を学ぶ外国人が多く在籍しており、彼らは日本での就業を希望している場合が多いです。
求人を掲載することで、直接的にターゲットとなる人材にアプローチでき、採用の効率が向上します。また、学校側からの推薦や事前評価を得られるため、日本語能力や適性の把握もしやすく、選考がスムーズになります。
教育機関などと連携して募集する
特定技能外国人を採用する際、教育機関との連携は非常に効果的な方法の一つです。専門学校や大学などの教育機関は、技能を持った外国人学生を多く抱えており、彼らが卒業後に日本で働くことを希望しているケースが多いです。
これにより、企業は即戦力となる人材を確保しやすくなります。具体的には、教育機関と協力してインターンシッププログラムを実施したり、求人情報を提供することで、学生に直接アプローチすることが可能です。
また、企業側が求めるスキルや条件を教育機関に伝えることで、よりマッチした人材を紹介してもらうこともできます。このような連携を通じて、採用活動の効率を高めることができるでしょう。
外国人に特化した求人サイトに掲載する
外国特定技能外国人を採用する際、外国人に特化した求人サイトを利用することは非常に効果的です。これらのサイトは、外国人求職者が集まるプラットフォームであり、特定技能を持つ人材を効率的に見つけることができます。
求人情報を掲載することで、直接的にターゲットとなる求職者にアプローチできるため、採用の成功率が高まります。
また、これらのサイトでは、求職者のスキルや経験を詳細に確認できる機能が備わっていることが多く、企業側は自社のニーズに合った人材を選びやすくなります。
さらに、求人サイトによっては、応募者の日本語能力や特定技能の証明書を確認するサービスも提供されており、安心して採用活動を進めることができるでしょう。
ジョブフェアやマッチングイベントを活用する
外国人材の採用には、ジョブフェアやマッチングイベントの活用も有効です。企業が求職者と直接対面で話せるため、書類だけでは分からないスキルや人柄を見極めやすく、相互理解を深めることができます。
特に、ハローワークに併設されている『外国人雇用サービスセンター』などが主催するイベントは、無料で参加できる場合が多く、採用コストを抑えたい企業にとって大きなメリットがあります。
また、特定技能向けのイベントを選べば、制度に関する情報提供や手続きのサポートも同時に受けられるため、採用活動を効率的に加速させることが可能です。
まとめ
特定技能外国人の採用は、企業にとって人手不足を解消する有効な手段となります。即戦力となる人材を確保できるだけでなく、雇用人数に制限がない職種も多く、柔軟な採用が可能です。
一方で、言語の壁や手続きの煩雑さ、費用面での負担もあるため、適切な支援体制とコミュニケーション設計が重要です。本記事を参考に、特定技能外国人の採用を具体的に検討してみてください。
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