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永住ビザの条件とは?失効する原因や取得するメリットを解説!

永住者(在留資格)の条件は、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる安定的な収入(適切な納税を含む)、そして「日本の利益」に合致すること、の三本柱で評価されます。

なお、日本法上に「永住権」という制度用語はなく、本記事では在留資格の一種である「永住者」を前提に記載します。

永住者の許可を得れば在留期間の更新は不要となり、職業選択や転職の自由度、住宅ローン等の与信面が向上し得ます。本記事では、原則条件と許可によるメリット、典型的な失効・取消し要因、申請の流れを実務目線で整理します。

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

永住ビザ取得の原則条件とは

ここで、永住と混同されやすい「帰化」との違いを明確にしておきましょう。

永住とは、外国籍のまま日本に永続的に住む権利を得ることです。在留カードの携帯義務や再入国許可の必要性は残ります。帰化は、元の国籍を離脱して日本国籍を取得し、日本人になることです。戸籍が作られ、日本のパスポートを持つことになります。

このセクションで解説するのは、外国籍のまま日本に住み続けるための「永住」ビザの条件です。これから解説する三つの条件を満たすことで、永住ビザの取得が可能となります。

素行が善良であること

永住ビザを取得するための第一の条件は、申請者の素行が善良であることです。具体的には、過去に重大な犯罪歴がないことや、社会的なルールを遵守していることが求められます。

日本においては、治安の維持が非常に重要視されているため、素行の善良さは審査の中で特に重視されます。

また、素行が善良であることは、単に犯罪歴がないというだけでなく、周囲との良好な関係を築いていることや、地域社会に貢献している姿勢も含まれます。

例えば、ボランティア活動や地域イベントへの参加など、積極的に社会に関与していることが評価される要素となります。

安定した収入が見込めること

永住ビザを取得するためには、安定した収入が見込めることが重要な条件の一つです。具体的には、申請者が日本国内での生活を支えるために十分な収入を得ていることが求められます。

これは、生活基盤がしっかりしていることを示すものであり、経済的な自立が確認されることで、永住ビザの取得がよりスムーズになります。

収入の安定性は、雇用形態や職業によっても異なりますが、一般的には正社員としての雇用が望ましいとされています。

また、フリーランスや自営業の場合でも、過去数年にわたる収入の実績や納税履歴が重要視されます。これにより、申請者が日本社会に貢献できる存在であることが証明され、永住ビザの取得に向けた大きな一歩となります。

永住が日本国の利益になると認められること

在留資格「永住者」の許可には、原則として「引き続き10年以上の在留」が必要です。その10年の通算には「留学」などの非就労資格も含められますが、この期間のうち少なくとも5年は、就労資格(※「技能実習」と「特定技能1号」は除外)または居住資格で在留していることが求められます。

特定技能に関しては、「特定技能2号」は就労資格に該当するため、この5年要件の対象になります。したがって、例えば特定技能1号から2号へ移行し、通算10年在留(うち5年以上を就労資格として在留)を満たせば、他の要件(素行善良・生計能力など)と併せて永住者許可の申請が可能になります。

上記は「日本国の利益」要件の中核的な一般基準で、別途、高度専門職や日本人配偶者等向けの例外・緩和も定められていますが、基本は「10年連続在留+(内)就労/居住5年」を押さえるのが実務上の出発点です。

永住ビザを取得するメリット

永住ビザを取得することで得られるメリットは多岐にわたります。ここでは、4つのメリットについて詳しく解説します。

在留期間の更新が不要になる

永住ビザを取得する最大のメリットの一つは、在留期間の更新が不要になる点です。通常、在留資格を持つ外国人は、一定の期間ごとに在留期間の更新手続きを行わなければなりません。

この手続きは煩雑で、必要書類の準備や申請費用がかかるため、負担に感じる方も多いでしょう。しかし、永住ビザを取得することで、この手間から解放されます。

これにより、長期的に日本に居住する計画を立てやすくなり、生活の安定感が増すことが期待できます。さらに、在留資格の更新が不要になることで、仕事や生活に集中できる環境が整い、より充実した日本での生活を送ることが可能になります。

職業の自由度が上がる

永住ビザを取得することで、職業の自由度が大幅に向上します。通常の在留資格では、特定の職業に制限がある場合が多く、転職や職業選択においても制約を受けることがあります。

しかし、永住ビザを持つことで、これらの制限が解除され、自分のスキルや興味に基づいて自由に職業を選ぶことが可能になります。

さらに、企業側にとっても、永住者を雇用することは安定した人材確保につながるため、雇用機会が増えるというメリットもあります。このように、永住ビザは職業選択の幅を広げ、キャリアの発展を促進する重要な要素となります。

社会的な信用度が上がる

永住ビザを取得することで、社会的な信用度が大きく向上します。これは、永住者としての地位が安定していることを示すため、金融機関や企業からの信頼を得やすくなるからです。

具体的には、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りやすくなり、より良い条件での融資を受けることが可能になります。

また、就職活動においても、永住者であることは雇用主にとって安心材料となり、採用の際のプラス要素となります。このように、永住ビザは生活の質を向上させるだけでなく、経済的な安定をもたらす重要な要素となります。

配偶者・子どもの在留資格の手続きがスムーズにする

永住ビザを取得することで、配偶者や子どもに関する在留資格の手続きが大幅に簡素化されます。通常、在留資格の取得や更新には多くの書類や手続きが必要ですが、永住ビザを持つことで、これらの手続きがスムーズに進むことが期待できます。

特に、配偶者や子どもが日本に滞在するためのビザ申請においては、永住者の地位が大きな助けとなります。これにより、家族全体が安定した生活を送るための基盤が整い、安心して日本での生活を続けることが可能になります。

さらに、家族の在留資格が安定することで、教育や医療などの社会サービスを受けやすくなる点も大きなメリットです。

永住ビザを失効する原因とは

永住ビザは、取得後も一定の条件を満たさなければ失効する可能性があります。これから解説するリスクを理解し、適切な手続きを行うことが重要です。

再入国許可・みなし再入国許可を取らずに出国した場合

永住ビザを保持している場合でも、再入国許可やみなし再入国許可を取得せずに日本を出国すると、ビザが失効するリスクがあります。

再入国許可は、出国後に再び日本に戻る際に必要な手続きであり、これを怠ると、永住権を失うことになります。特に、長期間の海外滞在を予定している場合は、必ず事前に許可を取得することが重要です。

また、みなし再入国許可は、特定の条件を満たすことで自動的に適用されるものですが、これも適用されない場合には同様のリスクが伴います。したがって、出国前には必ず必要な手続きを確認し、適切に対処することが求められます。

再入国許可(5年有効)で再入国期限までに再入国しなかった場合

永住ビザを取得した後、再入国許可を得て出国した場合、再入国期限を守ることが非常に重要です。再入国許可は通常5年間有効ですが、この期間内に日本に戻らなければ、永住ビザは失効してしまいます。

特に、再入国期限を過ぎてしまうと、再入国許可が無効となり、永住権を失うリスクが高まります。これは、出国後に予期せぬ事情が発生した場合でも同様です。

したがって、海外での生活や仕事を計画する際には、再入国期限をしっかりと把握し、必要に応じて早めに帰国することが求められます。再入国許可を取得した際には、その条件や期限を十分に理解し、計画的に行動することが重要です。

みなし再入国許可で1年以内に再入国しなかった場合

永住ビザを保持している場合でも、みなし再入国許可を利用して出国した後、1年以内に再入国しなかった場合は、ビザが失効するリスクがあります。

みなし再入国許可とは、特定の条件を満たすことで、出国後も一定期間内に再入国できる制度ですが、その期間は原則として1年です。この期間内に再入国しなければ、永住ビザは自動的に失効します。

したがって、海外に長期間滞在する予定がある場合は、再入国の計画をしっかりと立てることが重要です。再入国を希望する場合は、事前に必要な手続きを確認し、適切な対策を講じることが求められます。

大きな刑事事件を犯した場合

永住ビザを取得した後でも、大きな刑事事件を犯すことはビザの失効につながる重大な要因です。具体的には、暴力事件や詐欺、麻薬関連の犯罪など、社会に対して深刻な影響を及ぼす行為が該当します。

これらの犯罪が発覚した場合、在留資格の見直しが行われ、最悪の場合には永住ビザが取り消されることもあります。

日本では、法令遵守が非常に重視されており、特に外国人に対しては厳格な姿勢が求められます。したがって、永住ビザを保持するためには、日常生活においても法律を遵守し、素行を善良に保つことが不可欠です。

永住ビザの申請の流れとは

永住ビザの申請は、いくつかのステップを経て行われます。これから解説する流れを理解することで、スムーズな申請が可能になります。

申請準備を行う

永住ビザの申請を行う前には、しっかりとした準備が必要です。まず、必要な書類を確認し、整えることが重要です。一般的には、在留カード、納税証明書、住民票、職業証明書などが求められます。

また、申請者の素行や収入状況を証明するための資料も必要です。これらの書類は、申請の際に提出するため、事前に準備しておくことでスムーズな手続きが可能になります。

さらに、申請書類の記入にあたっては、正確かつ誠実に情報を記載することが求められます。虚偽の情報を提供すると、申請が却下されるリスクが高まりますので注意が必要です。

出入国在留管理局へ申請書類を提出する

永住ビザの申請が整ったら、次のステップは出入国在留管理局への申請書類の提出です。この際、必要な書類をすべて揃えておくことが重要です。

一般的には、申請書、身分証明書、収入証明書、納税証明書などが求められます。書類に不備があると、審査が遅れたり、最悪の場合は不許可となることもあるため、慎重に確認しましょう。

提出方法は、直接出入国在留管理局に持参するか、郵送で行うことができます。持参する場合は、事前に予約が必要な場合もあるため、公式サイトで確認しておくと良いでしょう。

郵送の場合は、書類が無事に届くように、追跡可能な方法を選ぶことをお勧めします。申請後は、審査が行われるため、結果を待つことになりますが、通常は数ヶ月かかることが多いです。

審査期間を経て結果を受け取る

永住ビザの申請が完了した後、出入国在留管理局による審査が行われます。この審査期間は通常、数ヶ月から半年程度かかることが一般的です。

審査の内容は、申請者の提出した書類や情報が正確であるか、また、永住ビザの条件を満たしているかどうかが中心となります。審査が進む中で、追加の書類提出を求められることもありますので、迅速に対応することが重要です。

審査が終了すると、結果が通知されます。許可が下りた場合、永住ビザが発行され、正式に日本に永住する権利を得ることができます。一方で、申請が不許可となった場合は、その理由が明示されるため、今後の改善点を把握することが可能です。

まとめ

永住ビザの取得は、日本での生活を安定させるための重要なステップです。素行の善良さ、安定した収入、そして日本にとっての利益が求められる中で、これらの条件を満たすことが必要です。

取得することで、在留期間の更新が不要になり、職業選択の自由度が増すなど、多くのメリットがあります。

しかし、再入国管理や刑事罰による失効リスクも理解しておくことが重要です。これらの情報を踏まえ、永住ビザの取得を目指す方々は、しっかりと準備を進めていきましょう。

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