外国人採用ガイド

特定技能外国人の受け入れ費用は?料金相場や紹介手数料を詳しく解説

特定技能外国人の受け入れ費用はいくら?

「特定技能で外国人を受け入れる場合、どれくらい費用がかかるの?」
「費用の項目が多くて違いがよくわからない」

このような悩みを抱えている方もいるでしょう。

国内在住の特定技能外国人を受け入れて、1年目でかかる費用の総額はおよそ400万円です。

特定技能の受け入れには、採用時の初期費用だけでなく、支援費用や在留資格の手続き費用など、複数の費用項目があります。

本記事では、特定技能外国人の受け入れにかかる費用の内訳や相場、本人負担が可能な項目まで詳しく解説します。さらに採用ルート別の費用シミュレーションも紹介します。

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株式会社アルフォース・ワン/山根謙生この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

特定技能外国人の受け入れにかかる費用相場の総額

特定技能外国人を受け入れる際の費用は、採用経路やサポート体制によって変動します。また、国内在住者を採用する場合と、海外から呼び寄せる場合では費用が異なります。

特定技能外国人を雇用する際の、一般的な費用相場の総額は以下の通りです。

費用区分 費用の目安
受け入れ前にかかる費用 36万~156万円
海外から呼び寄せるための追加費用 38万~75万円
受け入れ後にかかる費用 7万~9万円
毎月かかる費用 25万~27万円
1年目の総額(国内採用の場合) およそ400万円

特定技能外国人の受け入れは費用が高く感じるかもしれませんが、人手不足解消につながるため、長期的にはメリットがあります。

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特定技能外国人の受け入れ前にかかる費用の内訳

特定技能外国人の受け入れ前にかかる費用の内訳は、以下の表の通りです。

項目 費用 数量 詳細
人材紹介手数料(広告費や事前ガイダンス等費用の場合もあり) 15万~90万円 1回/1名 登録支援機関によっては人材紹介費ではなく、求人広告費や、事前ガイダンス・生活オリエンテーション費用という明細になっていることもあります。
在留資格申請費 10万~15万円 1回/1名 外部委託した場合にかかる費用。社内で対応できる人材がいれば自社申請も可能です。
社宅準備費 10万~50万円 1回/1名 アパートや家具・家電・備品などの準備費用です。すでに社宅等をお持ちの場合はかからない項目です。
健康診断費 1万円 1回/1名 就業開始までにおこな健康診断費用です。
合計 36万~156万円 1人あたりの初期費用目安

費用が発生するタイミングや金額を把握しておくことで、採用計画をスムーズに進められます。それぞれの項目について詳しく解説していきます。

人材紹介手数料

特定技能外国人を紹介会社を通じて採用する場合、人材紹介手数料は1人あたり15万から90万円前後が一般的です。

人材紹介手数料は、候補者の職種や経験、日本語レベルによって変動します。

例えば、介護や外食業など需要が高い分野ではやや高めに設定されています。

利用する人材紹介会社によって紹介費用には大きな差が出るため、複数社を比較してから依頼先を選んでいきましょう。

在留資格を特定技能に切り替える手数料

在留資格の切り替えには、申請費用として10万から15万円程度が必要です。

在留資格の申請や各種手続きを外部に委託した場合は、行政書士などの専門家への報酬が発生します。

申請は自社でおこなうと、その分費用の削減が可能です。詳しい方法は以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
在留資格申請を自社で行うための基礎知識やメリット・デメリットについて解説

多くの企業では、書類不備や記載ミスで申請が差し戻されると時間とコストが余分にかかるため、行政書士に依頼するケースが増えています。

外国人採用の窓口」では行政書士事務所の一括検索サービスを無料で提供しています。ご希望のエリアや業種などを条件検索して探せますので、お気軽にご活用ください。

住まいに関わる費用

特定技能外国人の住まいに関わる費用は受け入れる企業が負担し、サポートする必要があります。

住まいに関わる選択肢は以下の表のケースを参考にしてください。

① 自社ですでに持っている社宅を提供する 家賃の一部を本人に負担してもらうことが可能です。
② 受入れ企業の名義で物件を借りて提供する 敷金・礼金・保証料などの初期費用を本人に負担してもらうことはできません。家賃の中から、給料や近隣の家賃相場と照らし合わせた常識的な金額を本人に負担してもらうことが可能です。
③ 外国人本人が不動産契約をおこなう補助をする 不動産会社や物件情報の提供、内見や契約時の同行、連帯保証人になる、または保証会社を確保し緊急連絡先になる(保証料は受入れ企業負担)などの補助を行えば、初期費用・毎月の家賃ともに支援は不要です。

受入れ企業の名義で物件を借りて提供する場合は、住居の初期費用として10万から50万円前後を見込むのが一般的です。

海外在住の特定技能外国人の受け入れに追加でかかる費用

海外在住の特定技能外国人を採用する場合、国内採用に比べて初期費用が38万から75万円ほど高くなる傾向があります。

これは、現地面談や渡航費、送り出し機関との手数料など、海外採用特有の費用が追加で発生するためです。

主な項目は以下の通りです。

項目 費用 数量 詳細
現地訪問費 20万~30万円 1回/2名 2名の社員で、2日間の訪問の場合の目安です(往復の航空券代、宿泊費、食事代など)。オンラインで面接を完結する場合など、現地に行かない場合はかからない項目です。
特定技能外国人の渡航費/来日サポート費 15万~25万円 1回/1名 特定技能外国人の渡航費は受入れ企業負担となり、国や時期により費用は変動します。
送り出し機関費用 3万~20万円 1回/1名 特定技能外国人に対する教育費と仲介手数料で、国により上限額が異なります。
合計 38万~75万円 1人あたりの初期費用目安(海外採用の場合のみ)

それぞれの費用の目的と金額感を理解しておくことで、採用前に正確な予算を立てられます。

現地訪問・面談費

現地での採用面談や候補者との打ち合わせをおこなう場合、20万から30万円前後の費用がかかります。費用の内訳は以下の通りです。

現地訪問・面談費

  • 渡航費
  • 宿泊費
  • 通訳費
  • 現地コーディネート料など

直接面談を実施することで、候補者の人柄や日本語力を確認でき、採用後のミスマッチを防げます。コストを抑えたい場合は、オンラインで面談する方法もありますので検討してみてください。

渡航費・来日サポート費

海外在住の特定技能外国人が日本に入国する際には、渡航費や来日サポート費として20万から30万円程度が発生します。

費用には以下の項目が含まれます。

渡航費・来日サポート費

  • 航空券代(渡航費)
  • ビザ申請サポート費
  • 空港からの送迎費
  • 生活オリエンテーション代など

これらの費用は企業側が負担するケースが多いです。事前に契約で負担範囲を明確にしておくとトラブルを防げます。

送り出し機関費用

海外の送り出し機関(外国人技能実習生を海外で募集し、日本の受け入れ企業へ送り出す役割を担う現地の機関)に支払う手数料は、3万から20万円前後が一般的です。

送り出し機関では、主に以下の内容を担います。

送り出し機関費用

  • 現地で候補者の募集
  • 面接調整
  • 書類準備
  • 日本語教育

信頼性の低い機関を選ぶと、手数料が不透明であったり、候補者の教育レベルにばらつきが出たりする場合があります。

契約前に費用の明細やサポート範囲を確認し、トラブルを防いでいきましょう。

以下の記事では、送り出し機関の費用や選び方について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【関連記事】
送り出し機関とは?技能実習や特定技能で外国人を受け入れる費用や認定機関の選び方

特定技能外国人を受け入れた後にかかる費用

特定技能外国人を雇用した後には、継続的に発生するランニングコストがあります。

費用の内訳は以下の表の通りです。

項目 費用 数量 詳細
登録支援機関への支援委託費 3万~4万円 毎月/1名 入管法に定められた義務的支援を登録支援機関に委託した場合の費用です。
在留資格(ビザ)の更新費 4万~5万円 1~2回/1名 在留資格(ビザ)の更新を行政書士事務所などの専門家に依頼した場合の費用です。
人件費 21万円 毎月/1名 外国人労働者の在留資格区分別賃金及び対前年増減率 |厚生労働省
教育・研修費 1万~5万円 毎年/1名 日本語教育や専門技能研修、安全衛生教育などの費用です。
健康診断や福利厚生費 1万円 1回/1名 年1回の定期健康診断は労働安全衛生法で義務付けられています。

これらを把握しておくことで、採用後の維持コストを正確に計算し、長期的な雇用計画を立てやすくなります。

登録支援機関への支援委託費用

特定技能外国人の支援を外部に委託する場合、月額2万から4万円前後の支援委託費用が発生します。

登録支援機関は主に以下の支援を行います。

登録支援機関への委託費用

  • 日本語教育
  • 居住まわりの手続き
  • トラブル対応
  • 対応困難な煩雑な業務

支援内容が充実している機関ほど費用は高くなりますが、結果的に定着率向上やトラブル防止につながります。

登録支援機関について、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

【関連記事】
登録支援機関とは?申請方法と失敗しない選び方のポイントを解説

登録支援機関を選ぶ際は質を比較し、自社の体制に合った契約を選択します。

しかし、数多く存在する登録支援機関の中から気になる機関を探し出すのは大変です。

自社の条件に合った機関をお探しの際は「外国人採用の窓口」をご利用ください。

ご希望のエリアや雇用したい国籍などの条件で検索し、最適な支援機関をご紹介できます。完全無料のサービスなのでお気軽にお試しください。

在留資格の更新費

特定技能外国人は1年ごとに在留資格を更新する必要があり、申請手数料として6千円かかります。

また、行政書士に依頼する場合はさらに、別途4万から5万円の報酬が加算されます。更新申請では、雇用契約書や勤務実績、納税証明書などを提出します。

書類不備で審査が長引くと就労に影響するため、早めに準備しておきましょう。

【関連記事】
在留カード更新ができない理由とは?更新手順も解説!

参考:在留資格変更許可申請|出入国在留管理庁

人件費

特定技能外国人に支払う給与は日本人と同等以上の水準が法律で義務付けられており、月給およそ21万円が平均的な相場です。

業種や地域、職種によって異なりますが、製造業や介護業界、外食業などでこの相場が一般的です。

また、残業代や各種手当も日本人社員と同じ基準で支払う必要があります。

参考:外国人労働者の在留資格区分別賃金及び対前年増減率 |厚生労働省

教育・研修費

外国人材のスキル定着を促すためには、毎年1万から5万円程度の教育・研修費がかかります。内容は業務マナー研修や日本語教育、資格取得支援など多岐にわたります。

教育投資はコストではなく、長期的なパフォーマンス向上への投資です。職場文化の理解が進むことで離職リスクを減らせます。

また、オンライン教材や助成金制度を活用すれば、費用を抑えつつ質の高い研修が可能です。

【関連記事】
最新!外国人雇用で利用できる助成金一覧|最大72万円の受け取りが可能

健康診断や福利厚生費

特定技能外国人も日本人社員と同様に、年1回の健康診断費として1万円程度が必要です。

企業が費用を負担するケースが多く、福利厚生制度の整備も必要です。

また、外国人材は生活面での不安を抱えやすいため、社内サポート体制の充実が求められます。

こうした対応に備え、サポート費用として別途予算を見込んでおきましょう。

特定技能外国人に本人負担させても可能な費用

特定技能外国人に本人負担させても可能な費用特定技能外国人の採用では一部の費用については本人負担が認められています。

ただし、本人の意思に基づく支払いであること、また不当な金銭徴収にならないことが前提条件です。

一般的に本人負担が認められているのは以下のような費用です。

費用項目 注意点
住居費・水道光熱費 給与天引き時は明確な内訳を提示
携帯電話やWi-Fi契約費 企業名義契約の場合は控除不可
食費・通勤交通費 実費精算・給与控除など適正処理が必要

このように、生活に関わる実費や本人が選択できる費用については負担を求められます。

しかし、仲介手数料や支援委託費などの業務関連費用は企業負担が原則です。

【パターン別】特定技能外国人を受け入れにかかる費用シミュレーション

実際の受け入れ費用は採用パターンや業種によって大きく異なります。

ここでは代表的な5つのパターンについて、具体的な費用シミュレーションを紹介します。

  1. 日本在住の特定技能外国人を受け入れる場合
  2. 海外在住の特定技能外国人を受け入れる場合
  3. 技能実習生を特定技能へ移行する場合
  4. 建設業で特定技能受け入れる場合
  5. 特定技能2号を受け入れる場合

自社の状況に近いパターンを参考にして、必要な予算を検討してみましょう。

日本在住の特定技能外国人を受け入れる場合

すでに日本に在住している外国人を採用する場合、総額43万から165万円程度が目安です。

費用の内訳は以下の通りです。

項目 費用の相場
人材紹介手数料 15万〜90万円
在留資格申請費 10万〜15万円
社宅準備費 10万〜50万円
健康診断費  1万円
支援委託費 3万~4万/月
在留資格(ビザ)の更新費 4万~5万円

現地に渡航する必要がないため、渡航費や送り出し機関費用が不要になります。

海外在住の特定技能外国人を受け入れる場合

海外採用の場合は、総額76万から240万円程度です。

費用の内訳は以下の通りです。

項目 費用の相場
人材紹介手数料 15万〜90万円
在留資格申請費 10万〜15万円
社宅準備費 10万〜50万円
健康診断費  1万円
支援委託費 3万~4万/月
在留資格(ビザ)の更新費 4万~5万円
現地訪問費 20万~30万円
特定技能外国人の渡航費/来日サポート費 15万~25万円
送り出し機関費用 3万~20万円

初期コストは高くなりますが、母国での専門教育を受けた優秀な人材を確保できる点が魅力です。

技能実習生を特定技能へ移行する場合

技能実習から特定技能へ移行するケースでは、総額17万から29万円前後と比較的低コストで済みます。すでに日本で働いているため、住居や渡航に関する費用が不要です。

主な支出は以下の通りです。

項目 費用の相場
在留資格申請費用 10万~20万円
在留資格更新費用 4万~5万円
支援機関委託費用 3万~4万/月

技能実習から特定技能に移行できる分野は限定されているため、対象職種を事前に確認しておきましょう。

以下の記事では技能実習制度についてわかりやすく解説しています。あわせてご覧ください。

【関連記事】
技能実習制度をわかりやすく解説!目的や条件、受け入れ方法を紹介

建設業で特定技能受け入れる場合

建設業で特定技能外国人を受け入れる場合は、以下のいずれかの加入が必須なため追加で費用が発生します。

建設業で特定技能を受け入れる際の追加費用

  • JAC(建設業の労働環境改善を目的とした団体)
  • JACに加盟している39団体

さらに、建設キャリアアップシステム(CCUS)において、事業者・管理者・技術者それぞれの登録も求められます。

費用の内訳は以下の通りです。

JACの入会金 (39団体または賛助会員) 5万~24万円 毎年 建設業の労働環境などの改善を目的とした団体「JAC(または39団体のいずれか)」の入会にかかる費用です。
JAC人材管理費用 1.25万~2万円 毎月/1名 1号特定技能外国人を受け入れた場合、JACに対して支払う受入負担金です。
キャリアアップシステム事業者登録料 0.6万~6万円 毎年 建設キャリアアップシステムへの事業者登録料です。個人事業主含む、資本金500万円未満の企業から資本金5,000万円以上1億円未満の場合の一例です。
事業者アカウントの年間利用料 1.14万円 毎年/1名 建設キャリアアップシステムへの管理者1名あたりの登録料です。
キャリアアップシステム技術者登録料 0.25万円 毎年/1名 建設キャリアアップシステムへの技術者1名あたりの登録料です。

建設業は他の業種と比べて、追加で必要となる費用が多い点が特徴です。

【関連記事】
建設業界における外国人雇用の実態調査!雇用状況や方法・採用時の課題について

特定技能2号を受け入れる場合

特定技能2号は在留期間が長く、永住権の取得も視野に入れられる在留資格です。

特定技能1号から2号へ移行すると、企業は義務的支援を実施する必要がなくなります。

そのため、1号の期間中に登録支援機関へ支払っていた月3万から4万円程度の委託費は、2号へ移行した時点で発生しません。

毎月の固定コストを大幅に削減でき、長期雇用を見据える企業にとって大きなメリットとなります。

特定技能2号については以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。

【関連記事】
特定技能2号とは?在留資格取得の条件、受け入れ可能な業種、在留可能な期間などを解説

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特定技能外国人の受け入れには、初年度で400万円程度の費用が発生します。さらに、海外在住の場合は追加で費用がかかります。

費用は採用パターンや業種によって大きく変動するため、自社の状況に合わせた予算計画が必要です。

受け入れ前の準備費用から受け入れ後の継続費用まで、それぞれの項目を正確に把握しておきましょう。費用の全体像を理解しておけば、予期せぬ出費に慌てることなくスムーズに採用活動を進められます。

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