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特定技能制度の生活オリエンテーションとは?時間や内容を解説!

特定技能の「生活オリエンテーション」を解説!実施内容・時間・注意点など【事例付き】

「特定技能制度の生活オリエンテーションって何をすればいいの?」
「実施する時期や時間などのルールを詳しく知りたい」

このようなお悩みをお持ちの方もいるでしょう。

生活オリエンテーションは、特定技能1号の外国人が安心して日本で生活できるように必要な情報を提供する取り組みです。10項目の義務的支援の1つであり、必ず実施する必要があります。

本記事では、生活オリエンテーションの概要や実施時期、実施時間、内容について詳しく解説します。実践事例も紹介していますので、参考にしてみてください。

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  • 義務的支援の内容
  • 自社対応と外部委託の選択肢
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株式会社アルフォース・ワン/山根謙生この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人・外国人含め全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績を持つ人材採用コンサルタント。監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用にも取り組んでいる。外国人雇用労務士、外国人雇用管理主任者資格、採用定着士認定保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

特定技能制度における生活オリエンテーションとは

生活オリエンテーションとは、特定技能1号の外国人材に対して、日本での生活に必要な情報を受入企業が提供する取り組みを指します。

これは、特定技能1号外国人に対する10項目の義務的支援の1つとして定められています。

対象と目的

対象は特定技能1号のみで、特定技能2号は対象外です。特定技能1号は日本での生活経験が浅く、言語や文化の違いに戸惑う場合も多いため、手厚い支援が必要です。

生活オリエンテーションは、外国人材が日本のルールやマナーを理解し、トラブルを未然に防ぐ目的でおこないます。

生活上の不安を解消できれば、長期的な就労定着が期待できます。外国人材の円滑な生活と就労を助けると同時に、受入企業のリスク管理にもつながる取り組みです。

生活オリエンテーションの実施を自社で対応するのが難しい場合は、登録支援機関に委託する方法があります。登録支援機関とは、特定技能1号の外国人に対して受け入れ企業に代わって支援する機関です。

外国人採用の窓口」では、希望するエリアの登録支援機関を検索でき、貴社のニーズを満たした最適なパートナーを見つけられます。無料で利用できるので、お気軽にお試しください。

登録支援機関についてや、登録支援機関に委託せずに特定技能1号外国人を自社支援するケースについて以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

【関連記事】
登録支援機関とは?申請方法と失敗しない選び方のポイントを解説
登録支援機関に委託せずに特定技能1号の自社支援をするメリット・デメリットを解説

生活オリエンテーションと事前ガイダンスの違い

生活オリエンテーションと事前ガイダンスは、どちらも特定技能1号外国人に対する情報提供を主体とした義務的支援です。しかし、実施の目的や時期には以下のような違いがあります。

生活オリエンテーション 事前ガイダンス
実施時期 入国後・在留資格取得後 入国前・在留資格申請前
主な目的 日本での生活・労働に必要な情報提供(ルール、マナーなど) 入国手続き、雇用契約、業務範囲などの説明

どちらも特定技能1号外国人にとって欠かせない支援です。入国前に必要な手続きの説明(事前ガイダンス)、入国後の生活支援(生活オリエンテーション)というように、目的が分かれていると考えると全体像がつかめます。

特定技能制度における事前ガイダンスについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【関連記事】
特定技能制度における事前ガイダンスとは?説明する内容や基本ルールを解説

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生活オリエンテーションの実施ルール

生活オリエンテーションには、以下の守るべき実施ルールがあります。

  1. 実施時期
  2. 実施時間

1つずつ解説していきます。

実施時期|入国後または在留資格変更後

生活オリエンテーションは、特定技能1号の外国人材が日本に入国したあと、またはほかの在留資格から特定技能1号へ変更したあとにおこないます。

生活オリエンテーションは、特定技能1号外国人が日本での生活や就労を円滑に始められるための義務的支援なので、実際に生活・就労が始まる前に実施するように義務付けられています。

実施時間|最低8時間の実施

生活オリエンテーションの実施時間は、原則として8時間以上おこなうよう求められています。これは、日本での生活全般、行政手続き、医療・防災、法的保護など、幅広い情報を十分に提供し、外国人材の疑問や不安を解消するための目安です。

一方で、一定の条件を満たす場合は、最低4時間の実施が認められます。

最低4時間で認められる例

  • 技能実習2号を良好に修了して特定技能1号へ移行する場合
  • 留学生(退学者を除く)を同一機関で引き続き特定技能外国人として雇用する場合

実施が4時間未満の場合は、適切に実施していないと判断される可能性があります。日本での生活経験が浅い外国人材には、8時間以上かけてきめ細かに支援するのが望ましいと言えます。

生活オリエンテーションの内容

生活オリエンテーションでは、外国人材が日本で生活するために必要な、幅広い情報を提供するよう求められます。

主な内容は、以下の表のとおりです。

項目 主な内容例
1. 日本での生活全般に関する情報 ・金融機関(銀行口座開設、ATM)の利用方法
・交通ルール(自転車含む)、公共交通機関の利用方法
・ゴミ出しなどの生活ルール、マナー(騒音、喫煙など)
・生活必需品などの購入場所 ・出産、子育てに関する制度(母子健康手帳など)
2. 法令遵守に関する情報 ・日本で違法となる行為(違法薬物、銃刀剣類の所持)
・在留カードの不携帯、貸し借り、口座譲渡の禁止
3. 役所・行政手続きに関する情報 ・所属機関や住居地に関する届出(住民登録など)
・社会保障(健康保険、年金)に関する手続き
・税に関する手続き(源泉徴収、住民税など)
・マイナンバー制度、自転車の防犯登録
4. 相談・苦情の申出先 ・受入企業(支援担当者)の氏名、連絡先
・国の機関(出入国在留管理局、労働基準監督署、警察など)
・地方公共団体の機関(市区町村窓口)
・母国の⼤使館・領事館の連絡先
5. 医療機関に関する情報 ・医療機関(病院)のかかり方、利用方法
・外国語対応が可能な医療機関の情報
・民間医療保険の案内
6. 防災・防犯・緊急時に関する情報 ・トラブル対応、身を守るための方策(火災予防など)
・緊急時の連絡先(110番、119番、118番)
・気象情報や災害時の情報入手方法
・避難場所、避難経路の確認
7. 法的保護に関する情報 ・入管法令や労働関係法令に関する知識
・法令違反(賃金不払、人権侵害など)の相談先
・年金(脱退一時金制度など)に関する知識

参考:1号特定技能外国人支援に関する運用要領|法務省

これらの項目について、外国人材が十分に理解できる言語(母国語など)で、丁寧に説明します。

伝えるべき内容が多くて網羅しきれるか不安な場合は、登録支援機関に委託するのも1つの方法です。専門知識・経験ともに豊富な登録支援機関に委託すれば、必要項目の抜け漏れなくオリエンテーションを実施してもらえます。

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生活オリエンテーションの実施方法

生活オリエンテーションの実施方法は、複数ありますが、どの方法を選択しても構いません。ただし、いずれの方法でも質問に迅速に応答できる体制を整えることが義務付けられています。

主な方法とそれぞれの特徴は、以下の表のとおりです。

実施方法 主な特徴
対面 ・担当者が直接説明する
・その場で質問できる
・理解度を確認しやすい
オンライン ・Web会議システムを使う
・遠隔地から実施できる
・リアルタイムで質疑応答できる
動画視聴 ・録画した動画を視聴する
・時間や場所を選ばない
・繰り返し確認できる
・別途、質問に迅速に応答できる体制が必要

動画視聴の場合は、出入国在留管理庁が多言語で提供している生活オリエンテーション動画を活用するのも1つの手です。

生活オリエンテーションを実施する際の注意点

生活オリエンテーションを実施する際の注意点は以下の3つです。

  1. 特定技能外国人が十分に理解できる言語で説明する
  2. 疑問点を迅速に解決できる体制を整える
  3. 確認書を作成し署名を得る

1つずつ解説していきます。

特定技能外国人が十分に理解できる言語で説明する

生活オリエンテーションは、特定技能1号の外国人材が十分に理解できる言語で実施する必要があります。

特定技能1号の外国人材は、一定以上の日本語レベルを持っています。しかし、日本の生活ルールや行政手続きには、聞きなれない単語や複雑な制度の説明が多いです。そのため、日本語だけではすべての内容を正確に理解しきれない可能性を考慮しなければなりません。

必要に応じて通訳を手配したり、難解な専門用語を避けたりする配慮が求められます。具体例を挙げたり、イラストなどの視覚的な資料を活用したりするのも、理解を高めるうえで効果的です。

【関連記事】
特定技能外国人の雇用で通訳・翻訳は必須?必要な場面や依頼方法を解説

疑問点を迅速に解決できる体制を整える

生活オリエンテーションは、一方的な情報提供で終わらせず、外国人材からの質問に丁寧に回答し、疑問点を解消するよう求められます。

特に配慮が必要なのは、 動画視聴にて生活オリエンテーションを実施した場合です。対面やオンラインであればその場ですぐ対応できますが、動画視聴ではリアルタイムでも応答ができません。

動画視聴における具体的な対策は以下のとおりです。

対策

  • 視聴後に個別面談を実施する
  • 動画視聴後に質問できる窓口を設置する

外国人材の疑問をすべてクリアにして、安心して日本で生活できるようにサポートしましょう。

確認書を作成し署名を得る

生活オリエンテーションの実施後は、確認書を作成し、外国人材本人の署名を得る必要があります。これは、外国人材が説明された内容を理解し、必要な情報を受け取った旨を確認する目的でおこないます。

以下は、確認書に記載する事項の一例です。

確認書の主な記載事項

  • 実施した日時
  • 具体的な実施内容
  • 実施者名

作成した確認書は、受入企業または登録支援機関が保管しなければなりません。保管期限は、他の支援記録と同様に、雇用期間中および雇用契約終了後1年間です。

また、出入国管理庁では確認書の参考様式と記載例を以下のページで提供しています。

記載漏れの防止に役立ちますので活用してみてください。

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生活オリエンテーションの実践事例

ここでは、効果的だったオリエンテーションの例を3つ紹介します。

技能実習からの移行者向け:効率的な4時間プログラム

製造業A社では、技能実習3号から特定技能1号へ移行する5名のベトナム人材に対し、技能実習での経験を活かした効率的な4時間プログラムを実施しました。

■実施時間
4時間(13:00~17:00)

■実施方法
対面形式

■使用言語
日本語(N3レベル)とベトナム語の通訳併用

■時間配分
・在留資格変更に伴う新たな手続き(1時間)
・居住地域での生活情報アップデート(1時間)
・相談窓口と支援体制の説明(1時間)
・質疑応答とフォローアップ計画(1時間)

初来日の外国人材向け:実地研修を含む8時間プログラム

食品加工業B社では、初めて来日する4名のインドネシア人材に対し、座学と実地研修を組み合わせた2日間8時間の実践的プログラムを実施しました。

■実施時間
2日間で計8時間(各日4時間)

■実施方法
座学と実地研修の組み合わせ

■使用言語
インドネシア語通訳を常時配置

■研修内容・1日目(座学)
生活習慣・マナー、行政手続き、緊急時対応・2日目(実地研修)
市役所手続き体験、通勤路確認、買い物実習、避難場所確認

複数拠点向け:オンラインと対面のハイブリッド型プログラム

IT企業C社では、複数の事業所で就労する10名のネパール人材に対し、オンラインと対面を組み合わせた8時間のハイブリッド型プログラムを展開しました。

■実施時間
計8時間(オンライン4時間、対面4時間)

■実施方法
オンライン講習と対面指導の併用

■使用言語
英語とネパール語の2か国語対応

■プログラム内容・オンラインセッション
生活習慣、在留管理制度、社会保険、防災情報・対面セッション
地域ルール、医療機関案内、通勤経路確認、個別相談

これらの事例を参考にして、企業規模や外国人材の特性に合わせたオリエンテーションを実施しましょう。

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生活オリエンテーションを実施して特定技能外国人を適切に支援しよう

生活オリエンテーションは特定技能1号外国人に対する10項目の義務的支援の1つです。特定技能1号外国人が日本での生活や労働に慣れるためのサポートを目的としています。

生活オリエンテーションを実施する際は、実施時期や実施時間、説明すべき内容を把握しておく必要があります。自社での支援も可能ですが、時間と手間がかかるため登録支援機関に委託する方法も有効な手段です。

雇用した特定技能1号外国人が安心して日本での生活、業務に集中できる環境を整えるためにも、適切な生活オリエンテーションを実施していきましょう。

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