「自動車運送業の特定技能はいつから始まるの?」
「受け入れる際の具体的なルールや要件は?」
「特定技能外国人ができる業務の範囲は?」
このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。
特定技能制度に自動車運送業が追加されることは知っているけれど、いつから、どのような運用で開始するのかご存じない方も多いです。
制度は2024年3月から開始しており、2025年3月には制度初の特定技能外国人ドライバーも誕生しています。
本記事では、特定技能「自動車運送業」の開始時期とその制度内容についてご紹介します。
この記事を読むことで、制度の概要を把握し、自社の環境を整えることで採用活動をスムーズに始められます。
特定技能外国人本人と受入れ企業それぞれで満たすべき要件をわかりやすく解説していますので、参考にしてみてください。
特定技能外国人の採用を検討したい方へ
この資料でわかること
- 特定技能制度で従事できる分野
- 在留資格「特定技能1号」の取得条件
- 特定技能1号外国人を雇用する流れ
- 登録支援機関の役割と仕事内容
この記事の監修きさらぎ行政書士事務所
行政書士 安藤 祐樹
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)
INDEX
特定技能「自動車運送業」はいつから始まる?

令和6年3月29日、政府が実施する「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において、特定技能の受け入れ対象分野の枠組みに、自動車運送業を追加することが閣議決定されました。
この決定により、自動車運送業を営む企業は、人手不足の解消を目的に、特定技能の在留資格を持つ外国人ドライバーを受け入れることが可能になりました。
運用の開始までには、以下のような流れとなっています。
- 特定技能「自動車運送業」の制度決定は2024年3月
- 自動車運送業の現場業務は2025年から本格スタート
それぞれの時期について詳しく見ていきましょう。
参考:国土交通省|「車運送業分野」特定技能1号評価試験を開始します
特定技能「自動車運送業」の制度決定は2024年3月
自動車運送業は、2024年3月29日に特定技能へ追加されることが閣議決定されました。2024年4月には、厚生労働省や国土交通省など関係省庁により整備された運用要項が公開されています。
今後の受け入れ見込みは、向こう5年間で最大2万4,500人です。
令和6年12月19日に自動車運送業分野の上乗せ基準告示が施行されたことにより、特定技能外国人を受け入れることが可能となりました。
上乗せ基準とは、国土交通省がそのほかの特定技能の要件に加えて、自動車運送業で外国人が安全に働けるように企業側に求めた定めです。
参考:自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|法務省
自動車運送業の現場業務は2025年から本格スタート
自動車運送業の特定技能試験は、2024年12月に第一回が実施されました。
外国人が特定技能の在留資格を取得し、自動車運送業の分野で働くためには、運転免許の取得や技能評価試験の合格など、複数の要件を満たさなければならないため、実際の受け入れは2025年以降に徐々に活発化していくことになるでしょう。
以下は、2025年8月時点で確認ができている現場業務に関する各協会からの報告です。
タクシードライバーの運用
特定技能外国人のタクシードライバーは、準備期間を経て2025年7月30日から乗務を開始しています。
参考:第1回自動車運送業分野特定技能 協議会 資料|ハイヤー・タクシー連合会
トラックドライバーの運用
トラック分野においても、研修などをおこなったのちの2025年3月28日に初の特定技能外国人ドライバーが誕生しています。
参考:第1回自動車運送業分野特定技能 協議会 資料|全日本トラック協会
各協会も人手不足が深刻なことから、外国人を受け入れられるよう積極的な体制構築に取り組んでいます。
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特定技能「自動車運送業」の対象業務【バス・タクシー・トラック】

自動車運送業で特定技能外国人を受け入れ可能な業務区分は、「バス運転者」「タクシー運転者」「トラック運転者」の3種類です。
| 分野名 | 自動車運送業 |
| 業務区分 | バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者 |
| 在留資格 | 特定技能1号 |
| 所管官庁 | 国土交通省 |
今回の枠組みでは、特定技能1号のみの受け入れとなっており2号は対象外です。
特定技能「自動車運送業」の各区分の業務内容は以下の通りです。
| 業務区分 | 主な業務 |
| バス運転者、タクシー運転者 | 運行業務および接遇業務など |
| トラック運転者 | 運行業務および荷役業務など |
なお、全ての業務区分において、上記の業務内容以外に「車両の清掃」や「運行前後の準備・片付け」など、日本人従業員が通常おこなう自動車運送関連業務に従事することも可能です。
ただし、関連業務への従事は「付随的な従事」に限られるため、専任的におこなうことはできません。
また、日本人従業員が通常おこな自動車運送関連業務であっても、「試験などで専門性が確認される業務」に従事することはできないため、「自動車整備士」などの資格が必要な業務や特定技能「自動車整備」に該当する業務などと混同しないように注意してください。
参考:ドライバーってどんな仕事?ドライバーおすすめの求人サイトも徹底紹介!|工具男子
自動車運送業の特定技能で求められる技能の水準

特定技能の制度は、技能を持つ外国人が日本で労働するためにあります。
そのため、一定の技能がないと在留資格を取得できません。
以下の3つの業務ごとに求められる水準をご紹介します。
- バス
- タクシー
- トラック
特にバスやタクシーではお客様対応の「接遇」能力が、トラックでは荷物を積み付けする「荷役」能力が重視されます。
バス
技能水準の認定には、「特定技能1号評価試験」への合格、第二種運転免許の取得が必須要件です。
運行管理者としての点検や安全運行技術に加え、多数の乗客を輸送する責務にともなう「接遇業務」が求められます。
第二種免許学科試験合格に必要な知識や、緊急時対応を含む乗客への配慮が厳格に審査され、合格することで安全かつ円滑な旅客輸送を担う即戦力として認められます。
参考:自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|法務省
タクシー
技能水準の認定には、「特定技能1号評価試験」への合格、第二種運転免許の取得が求められます。
試験では、始業終業時の点検や法令遵守に基づく安全運行能力に加え、利用者への丁寧な対応や緊急時の措置といった「接遇技能」が重点的に評価されます。
参考:自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|法務省
トラック
技能水準の認定には、「特定技能1号評価試験」への合格および第一種運転免許の取得が必要です。
評価試験においては、運行管理者等の指導監督下での運行前後の車両点検、安全な運行遂行、乗務記録作成といった基本動作を確実に行えることを確認されます。
トラックによる運搬業務では「荷役業務」が重要で、荷崩れ防止を考慮した貨物の積付け能力が特に見られます。
参考:自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|法務省
特定技能外国人が満たすべき在留資格取得の要件

特定技能1号の在留資格を取得するために満たさなければならない基本的な要件は以下の通りです。
在留資格取得の要件
- 日本上陸時に18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 相当程度の技能・知識を有していることが試験などで証明されていること
- 必要な日本語能力を有していることが試験などで証明されていること
- 法務大臣が告示で定める国・地域の旅券を所持していること
- 特定技能1号の在留期間が通算5年に達していないこと
- 本人や親族等が不当に財産を移転する契約を締結していないこと
- 本人が外国の機関に費用を支払っている場合は金額や内容を理解していること
- 送り出し国側の法令を遵守し必要な手続きを経ていること
- 食費や家賃などの定期負担金について金額が適正かつ本人が合意しており明細が発行されること
また、自動車運送業分野で就労する外国人は、特定技能1号の在留資格を取得する前に、以下の試験に合格する必要があります。
| 業務区分 | 技能試験 | 日本語試験 | 運転免許 |
| バス運転者、タクシー運転者 | 特定技能1号評価試験(バス・タクシー) | JLPT(N3)以上 | 第二種運転免許 |
| トラック運転者 | 特定技能1号評価試験(トラック) | JLPT(N4)以上またはJFT-Basic合格 | 第一種運転免許 |
また、バス運転者とタクシー運転者は、特定技能1号の在留資格を取得する前に、「新任運転者研修」を修了することが必要です。
各種試験の内容は、のちほどご紹介しますのでこのまま読み進めてみてください。
自動車運送業分野の各種試験の概要

自動車運送業分野で特定技能1号の在留資格を取得するためには、以下の試験に合格する必要があります。
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック、バス、タクシー)
- 日本語試験(JLPT、JFT-Basic)
- 自動車運転免許(第一種または第二種)
試験に合格していない場合、特定技能外国人として在留資格は取得できません。
自動車運送業分野特定技能1号評価試験
自動車運送業分野の特定技能1号評価試験は、2024年12月16日に第1回試験が開催されました。
2025年12月時点で公表されている試験の概要は以下の通りです。
| 試験の種類 | 詳細 |
| 試験形式 | ・出張方式(試験会場でペーパーテストを受験) ・CBT方式(テストセンターでコンピュータを使用して受験) |
| 受験資格 | ・受験日において、年齢が満17歳以上(インドネシアの試験では満18歳以上)であること ・受験日において、日本または外国の有効な運転免許を有していること ・日本国内で受験する場合は何らかの在留資格を有していること ・法務大臣が告示で定める国・地域の旅券を所持していること ・日本国籍を持っていないこと |
| 技能実習(2号または3号)修了者の試験免除 | なし |
| 試験実施国 | インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、キルギス、スリランカ、タイ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、日本 |
| 受験料 | ・5,000円(日本国内) ・37米ドル(海外) ※為替レートの変動により改定される可能性があります。 |
| 合格証明書発行手数料 | 14,000円(税抜) |
参考:自動車運送分野 試験の詳細|一般財団法人日本海事協会
なお、日本国内で開催される試験については、2025年3月3日のCBT方式の受付開始にともない、出張方式の試験受付は3月末で終了となります。
2025年8月時点での合格率
特定技能「自動車運送業」の全体では73.2%です。
区分別では、トラック72.1%、タクシー70.5%、バス86.4%となっております。
参考:特定技能1号評価試験 実施報告|日本海事協会
日本語試験(JLPT、JFT-Basic)
自動車運送業分野で特定技能1号の在留資格を取得するために求められる日本語能力の基準は以下の通りです。
| 業務区分 | 必要な日本語能力 | 試験免除制度 |
| トラック運転者 | 日本語能力試験(JLPT)N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)合格 | 技能実習(2号または3号)を良好に修了した者は、業務の関連性を問わず日本語試験免除 |
| バス、タクシー運転者 | 日本語能力試験(JLPT)N3以上 | なし |
接遇をともなう業務の場合は、トラックドライバーより高い日本語能力が必要です。
自動車運転免許
自動車運送業分野で特定技能1号の在留資格を取得するためには、申請人(外国人本人)が自動車運転免許を保有している必要があります。
必要な運転免許の種類は、トラック運転者が「第一種運転免許」、バスおよびタクシー運転者が「第二種運転免許」です。
日本国内で有効な運転免許を取得する方法には、各都道府県公安委員会が実施する運転免許試験に合格して取得する方法と、外国の運転免許を日本の運転免許に切り替える方法(外免切替)の2種類があります。
運転免許試験に合格して取得する方法
| 業務区分 | 運転免許の種類 | 受験資格 |
| トラック | 第一種運転免許 | ・普通免許:18歳以上 ・準中型免許:18歳以上・中型免許:20歳以上かつ普通免許、準中型免許、大型特殊免許いずれかの保有期間が2年以上・大型免許:21歳以上かつ中型免許、普通免許、準中型免許、大型特殊免許いずれかの保有期間が3年以上 |
| バス・タクシー | 第二種運転免許 | 21歳以上かつ大型免許、中型免許、普通免許、準中型免許、大型特殊免許いずれかの保有期間が3年以上 |
なお、「受験資格特例教習」を受講すれば、19歳以上かつ運転経歴1年以上で、中型免許、大型免許、第二種免許の受験資格を得ることが可能です。
外免切替により日本の運転免許を取得する方法(第一種のみ)
外免切替とは、外国で取得した運転免許を試験免除で日本の運転免許に切り替える制度のことです。切り替えが可能な運転免許は、第一種運転免許に限られます。
通常、日本の運転免許を取得するためには、「適正」「技能」「知識」の3項目の基準を満たす必要があります。
外免切替を希望する者は、運転免許試験場で「知識確認」および「技能確認」を受け、その結果、一定の基準を満たした場合に「学科試験」および「実技試験」が免除されます。
ただし、以下の国の運転免許からの切り替えの場合は、日本と同等水準の免許制度を有しているなどの理由により、「技能確認」または「知識確認・技能確認の両方」を受けることなく試験免除されます。
なお、たとえ有効な外国免許を保有していても、その国に過去に通算3ヵ月以上滞在していない場合は、日本の運転免許に切り替えることはできません。
| 知識確認・技能確認の両方が免除される国 | 技能確認のみ免除される国 |
| アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州、ワシントン州)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェ-デン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェ-、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾 | アメリカ合衆国(インディアナ州) |
免許の内容や個人の滞在期間に注意して、取得ができないという事態の発生を防ぎましょう。
受け入れ企業が満たすべき要件

特定技能「自動車運送業」の在留資格を持つ外国人を雇用する場合、受け入れ企業側にも満たすべき要件があります。
主な要件は、以下の3つです。
- 受け入れ企業側に課せられる分野特有の要件
- 雇用契約は特定技能外国人本人と直接結ぶ
- 自動車運送業分野特定技能協議会へ加入する
特定技能外国人が安全に、そして安心して働ける環境を作ることが企業には求められます。
参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領|法務省
受け入れ企業側に課せられる分野特有の要件
自動車運送業分野で特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、以下の基準を満たす必要があります。
特定技能1号の受け入れ企業が満たすべき基準
- 自動車運送事業をおこなう者であること
- 安全性優良事業所(Gマーク)の認定を受けた事業者であること
- 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員であること
- 自動車運送業分野特定技能協議会に必要な協力をおこなうこと
- 国土交通省がおこなう調査・指導に協力すること
- 旅客自動車運送事業の場合は新任運転者研修を実施すること
基準を満たしていないと判断された場合は、外国人の受け入れの中止も考えられます。企業の運営にも影響が出る可能性があるため必ず把握しましょう。
雇用契約は特定技能外国人本人と直接結ぶ
自動車運送業分野では、労働者派遣契約で特定技能1号の在留資格を取得することはできません。
直接雇用を前提に許可を取得した特定技能1号外国人を他社に派遣した場合、または他社から派遣を受け入れた場合は、入管法違反や著しく不当な行為とみなされ、特定技能外国人の受け入れが5年間停止される可能性があるため、注意が必要です。
自動車運送業分野特定技能協議会へ加入する
自動車運送業の特定技能外国人を受け入れるためには、所属機関、登録支援機関の双方が自動車運送業分野特定技能協議会に加入していることが条件です。
受け入れ企業の協議会への入会は、特定技能(特定活動の場合を含む。)の在留資格申請までに完了している必要があります。
加入に関する届出事項の内容確認には、1ヵ月程度を要するので余裕を持った手続きをおこないましょう。
参考:自動車運送業分野の基準について|法務省
協議会には、登録支援機関も加入している必要があります。登録支援機関とは、受け入れ企業からの委託を受けて、特定技能1号の外国人に対して就労支援をおこなう専門機関のことです。
受け入れ企業が登録支援機関に委託すると、支援計画書の作成や義務的支援の実施を代行してもらえるため、社内の業務負担を軽減できます。
登録支援機関の役割や委託するメリットは以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
【関連記事】
登録支援機関とは?申請方法と失敗しない選び方のポイントを解説
新任運転者研修を実施する
自動車運送業分野のバスおよびタクシー区分では、特定技能1号在留資格取得の必須要件として、受け入れ企業による「新任運転者研修」の実施が義務付けられています。
研修は、旅客自動車運送事業運輸規則に基づき、法令、地理、安全に加え接遇に関する座学や実技指導、適性診断等をおこなうものです。
業界団体が定める効果測定の基準を満たして修了する必要があります。在留資格変更申請時には、その修了を証する書類の提出が必須となります。
参考:自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|法務省
参考:貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針|法務省
外国人材を受け入れる際には、新人運転者研修以外にも準備が必要です。
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特定技能外国人の受け入れるかお悩みの方に
この資料でわかること
- 外国人雇用の簡易診断チャート
- 在留資格「特定技能」の特徴
- 特定技能の対象分野
- 特定技能外国人受け入れの基本条件
特定技能「自動車運送業」に関する3つの注意点

特定技能の中でも自動車運送業特有の注意するべき点があります。
注意するべき点は、以下の3つです。
- 技能実習・育成就労の関連職種では自動運送業の追加予定はなし
- 文化や価値観の違いによる運転の違いを認識する
- 運転免許取得期間中は「特定活動」の在留資格を取得する
特に資格取得は必須であるものの、技能実習制度とは異なる運用となっています。特定技能外国の受け入れに際し、トラブルが発生しないよう正しく把握しましょう。
技能実習・育成就労の関連職種では自動運送業の追加予定はなし
多くの産業分野において、技能実習2号または3号を良好に修了した技能実習生が特定技能1号に移行する場合、特定技能で従事する予定の業務と技能実習で修得した技能に関連性が認められれば、「特定技能1号評価試験」の受験が免除されます。
しかし、特定技能1号の自動車運送業分野は、関連する技能実習の職種が存在しないため、「特定技能1号評価試験」の免除制度がありません。
ただし、トラック運転者の日本語試験(N4相当以上)については、職種・作業の種類を問わず、技能実習2号または3号を良好に修了していることをもって、受験が免除されます。
※バスやタクシー運転者の日本語能力試験(N3以上)には免除制度がありません。
また、2027年以降、「技能実習」が廃止され「育成就労」の制度に移行しますが、自動車運送業分野と関連する育成就労の分野が追加されるかどうかは現状不明です。
特定技能と育成就労の受け入れ対象分野は、原則一致させる予定であると公表されていますが、自動車運送業分野では運転免許の取得が在留資格取得の前提となることを考慮すると、育成就労の制度とはなじまない分野であると判断され、追加が見送られる可能性もあります。
文化や価値観の違いによる運転の違いを認識する
受け入れ企業は、特定技能外国人との文化や価値観の違いがあることを認識しておく必要があります。
主に注意すべき点は、以下の3点です。
| 1)交通ルールを理解してもらう
国によっては、車両と歩行者がすれ違う距離が近かったり、日本では当たり前の標識がなかったりと環境が異なります。日本の試験を受けていたとしても異なる認識になっている可能性があるため、丁寧な確認をしましょう。 |
|---|
| 2)日本で求められる業務品質を知ってもらう
特にバスやタクシーでは、接遇に関する試験が含まれています。試験ではカバーしきれないシーンも幅広く教育することで日本の価値観を理解してもらう必要があります。 |
|---|
| 3)働く際のあたり前を理解してもらう
ルーチン業務が得意ではない外国人の方もいます。始業前の点検や健康に関する報告義務など、安全管理のために日頃から厳格におこなうことを理解してもらいましょう。 |
|---|
文化や価値観の異なる外国人とコミュニケーションをとるのは、簡単ではありません。
そこで外国人採用の窓口では「外国人社員とのコミュニケーションのコツ」を無料配布しております。30秒でダウンロードできますので、以下のボタンをクリックのうえ、どうぞお受け取りください。
外国人社員とのやりとりでお困りの方に
この資料でわかること
- 外国人雇用における言語課題
- 伝わりにくいコミュニケーション例
- 伝わりやすいコミュニケーション例
- 外国人社員にあった指導方法
運転免許取得期間中は「特定活動」の在留資格を取得する
自動車運送業分野で特定技能1号の在留資格を取得するためには、在留資格の申請時点において、日本国内で有効な自動車運転免許の取得が必要です。
そのため、日本の運転免許を保有していない海外居住者が、特定技能1号でこの分野の就労許可を得るためには、事前に別の在留資格で日本に滞在しながら有効な運転免許を取得し、そのうえで在留資格を特定技能1号に変更する必要があります。
このような自動車運送業分野特有の事情を考慮して、日本の運転免許取得のための在留資格として創設されたのが「特定活動55号(自動車運送業準備)」です。
この特定活動で認められる活動内容は以下の通りです。
特定活動で認められる活動内容
- 運転免許取得手続き(外免切替、教習所への通所含む)
- 新任運転者研修の受講(バス、タクシーのみ)
- 車両清掃などの自動車運送業関連業務
なお、この特定活動は運転免許の取得や研修の受講などを目的とした在留資格ですが、雇用契約の締結や外国人に対する支援義務など、特定技能1号の申請と同等の要件を満たされなければ許可を取得することはできません。
特定活動55号(自動車運送業準備)の概要は以下の通りです。
| 在留資格の種類 | 特定活動55号(自動車運送業準備) |
| 在留期間 | ・トラック運転者(6ヵ月) ・バス、タクシー運転者(1年) |
| 在留期間更新の可否 | 更新不可 |
| 協議会への加入義務 | 自動車運送業分野特定技能協議会への加入が必要 |
| 在留資格変更の注意点 | 運転免許の取得、新任運転者研修の修了など特定技能1号への移行要件を満たしたあとは速やかに在留資格の変更が必要 |
| そのほかの許可要件 | 特定技能1号(自動車運送業)と同等の基準を満たすことが必要 |
| 特定活動55号の在留期間の取扱い | 特定技能1号の通算在留期間(5年)に含まれない |
技能実習制度がない分、特定活動55号を利用して必要な資格取得していくことも外国人にきちんと伝えましょう。
特定技能「自動車運送業」の理解を深めてスムーズな受け入れをしよう

特定技能「自動車運送業」は、これから受け入れが広がる分野です。
ほかの特定技能とは異なり技能実習制度はありませんが、自動車運送業分野には、運転免許取得のための特定活動55号(自動車運送業準備)など、特別な受け入れ制度があります。事前にこれらの制度を十分理解したうえで採用計画を立てることが、スムーズな受け入れにつながります。
複雑な制度内容となるため受け入れに不安がある場合は、専門の知識を持つ人材紹介会社や登録支援機関の活用も検討してみてください。
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