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「リネンサプライ分野」で特定技能外国人を受け入れるための許可要件と注意点を解説

「リネンサプライ分野は特定技能の受け入れ対象になるのか」
「受け入れにはどのような準備が必要なのか」

とお悩みではありませんか。

宿泊需要の回復や訪日外国人旅行者の増加に伴い、ホテルや旅館、医療・福祉施設を支えるリネンサプライ業界では、人材確保の重要性が高まっています。

その一方で、特定技能制度の対象となるのか、どのような要件を満たせば受け入れできるのか分からず、情報収集を進めている企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、2027年度から始まる特定技能「リネンサプライ分野」の概要や、外国人側・企業側に求められる許可要件を解説します。

あわせて、対象業務や衛生基準、受け入れ時の注意点も紹介します。

この記事の監修
安藤 祐樹
安藤 祐樹 きさらぎ行政書士事務所 / 行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

2027年度から「リネンサプライ分野」で特定技能の受け入れが始まる

2026年1月23日の閣議決定により、特定技能制度にリネンサプライ分野、物流倉庫分野、資源循環分野の3分野が新たに追加されることになりました。

このうちリネンサプライ分野は、2027年度から特定技能外国人の受け入れが開始される予定です。

ホテルや旅館、病院などで使用されるシーツやタオル類の供給を担う重要な分野ですが、訪日外国人旅行者の増加による宿泊需要の拡大に加え、慢性的な人手不足も深刻化しています。

そのため、国内人材の確保に向けた取り組みを進めても、必要な労働力を十分に確保することが難しい状況が見込まれています。

そのため、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れることで、リネンサプライ業界の安定的な運営を支える制度として活用が期待されています。

特定技能「リネンサプライ分野」の主な特徴

在留資格 特定技能1号
業務区分 リネンサプライ区分
令和10年度末までの受け入れ見込み数 4,300人
業務内容 リネン類の入荷から出荷までの一連の作業
受け入れ開始時期 2027年4月以降開始予定

リネンサプライ分野の人手不足の状況

リネンサプライ分野では、宿泊需要の拡大を支える人材の確保が重要な課題となっています。

実際に、令和6年度の有効求人倍率は3.71倍と高く、全国的に人材を集めにくい状況にありますが、令和10年度に必要となる就業者数は11万9,800人と推計されているのに対し、実際の就業者数は9万9,700人にとどまる見込みです。

そのため、生産性向上や国内人材確保の取り組みを続けても、なお7,700人程度の不足が見込まれており、一定の技能を持つ外国人材の受け入れが必要とされています。

令和10年度末までの特定技能受け入れ見込み数は4,300 人

リネンサプライ分野全体の受け入れ見込み数は、令和8年度から令和10年度までの3年間で7,700人とされています。

このうち、1号特定技能外国人については3年間で4,300人を受け入れ見込み数としています。

この4,300人という人数が令和10年度末までの受け入れ上限として運用される予定です。

なお、同じく2027年から始まる育成就労制度については、令和9年度から令和10年度までの2年間で3,400人が受け入れ見込み数とされています。

当分の間は特定技能1号のみが受け入れ対象となる

リネンサプライ分野については、現時点では特定技能1号のみが受け入れ対象とされています。

特定技能1号は、一定の専門性や技能を持つ外国人材が対象となる在留資格であり、在留期間は通算で最長5年までとされています。

これに対し、特定技能2号は、より熟練した技能を持つ人材を対象とする在留資格ですが、リネンサプライ分野ではまだ対象分野として設定されていません。

そのため、企業が制度を活用する際は、当面は1号特定技能外国人の受け入れを前提に、採用計画や支援体制を整えていく必要があります。

特定技能1号と2号それぞれの特徴

在留資格の種類 特定技能1号 特定技能2号
技能水準 試験により証明される相当程度の技能を持つ水準 熟練した技能を持つ水準
日本語能力水準 N4相当以上
※一部分野・業務区分ではN3以上
日本語能力の要件なし
実務経験 実務経験の要件なし 分野ごとに定められた年数以上の実務経験が必要
通算在留上限 原則通算5年まで
※例外的な延長措置あり
上限の定めなし
支援義務 企業による支援の義務あり 支援義務なし
家族帯同 原則不可 配偶者と子に家族滞在の在留が認められる

特定技能とは?1号・2号や技能実習制度の違い、受け入れ条件を解説

リネンサプライ分野の業務内容

リネンサプライ分野で特定技能外国人が従事する業務は、リネン類の入荷から出荷までの一連の作業とされています。

主な業務には、仕上げ作業として、機械への投入、検品、結束・包装、機械操作、機械メンテナンス、仕上げラインの管理・指導、安全衛生業務などがあります。

使用資材の運搬や清掃などは、日本人従業員も通常行う関連業務であれば、付随的に従事することも可能です。

外国人側に課せられる許可要件

リネンサプライ分野で特定技能外国人を受け入れるには、企業側の準備だけでなく、外国人本人が一定の基準を満たしているか確認することが重要です。

リネンサプライ分野特定技能1号評価試験に合格していること

この分野で特定技能1号の在留資格を取得するには、リネンサプライ分野特定技能1号評価試験への合格が必要です。

この試験は、リネン類の取り扱いや仕上げ作業、安全衛生など、実際の業務に必要な知識や技能を確認するものになると考えられています。

なお、2026年時点ではリネンサプライ分野特定技能1号評価試験の具体的な試験内容や実施方法はまだ公表されていません。

受け入れを検討する企業は、試験制度の整備状況を確認しながら、候補者の学習支援や採用時期を検討していくことが大切です。

JLPT N4相当以上の日本語試験に合格していること

特定技能1号の在留資格を取得するには、技能水準だけでなく一定の日本語能力も求められます。

リネンサプライ分野では、日本語教育の参照枠A2相当以上が基準とされ、日本語能力試験(JLPT)の N4以上、またはJFT-Basicの合格が目安となります。

この水準は、身近な事柄について基本的な表現を理解し、日常的な範囲で簡単なやり取りができる程度とされています。

JLPT(日本語能力試験)とは?N1〜N5の難易度や試験内容も解説

18歳以上かつ健康状態が良好であること

特定技能の在留資格を取得する外国人は、18歳以上であることが必要です。

また、健康状態が良好であることも求められます。

特定技能の在留資格認定証明書交付申請と在留資格変更許可申請では、健康診断書の提出が必要となり、就労に問題がない健康状態であることを証明しなければなりません。

企業側に課せられる許可要件

特定技能の審査は、外国人を受け入れる企業側にも、制度を適正に運用するための許可基準があります。

ここからは、リネンサプライ分野で受け入れを進める前に確認すべき企業側のポイントを解説します。

1号特定技能外国人支援計画を定め適正に履行すること

特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、計画に沿って支援を実施する必要があります。

支援の内容には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーションなど、入管法令により定められた10項目の支援義務が課せられています。

また、企業が任意に定める任意的支援を実施することも可能ですが、支援計画に盛り込んだ任意的支援については履行義務が生じます。

義務的支援10項目は以下の通りです。

  • 事前ガイダンスの実施
  • 入国・帰国時の送迎
  • 住居の確保や生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーションの実施
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進支援
  • 転職時の支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談と行政機関への報告

特定技能の義務的支援とは?10項目の支援内容と任意的支援との違いについて解説

支援の実施は登録支援機関に委託することができる

受け入れ企業だけで支援を行うことが難しい場合は、出入国在留管理庁の名簿に登録された登録支援機関に支援を委託できます。

登録支援機関とは、受け入れ企業に代わって1号特定技能外国人への生活支援や定期面談などを行う専門機関のことです。

特定技能外国人を受け入れる際は、自社で対応できる範囲を確認したうえで、必要に応じて登録支援機関の活用を検討しましょう。

登録支援機関とは?申請方法と失敗しない選び方のポイントを解説

業界団体が定めた「衛生基準」の認定を受けた施設で受け入れること

リネンサプライ分野では、業界団体が定める衛生基準の認定を受けた施設でなければ特定技能外国人を受け入れることができません。

具体的には、日本リネンサプライ協会の「リネンサプライ業に係わる洗濯施設及び設備に関する衛生基準」、または医療関連サービス振興会の「寝具類洗濯業務に関する基準(認定基準)」のいずれかを満たす必要があります。

受け入れを検討する企業は、自社施設が対象となる認定を受けているか、早めに確認しておくことが大切です。

特定技能協議会に加入し必要な協力を行うこと

リネンサプライ分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、分野別協議会の構成員になることが求められます。

協議会に加入した後は、協議会で決められた措置を実施し、制度の適正な運用に必要な協力を行う必要があります。

また、厚生労働省やその委託先が行う調査、指導に対しても、受け入れ企業として適切に対応しなければなりません。

特定技能の分野別協議会とは?加入の義務や時期、入会費用について解説します

適正な条件で雇用契約を締結していること

特定技能外国人を受け入れる企業は、外国人本人と適正な雇用契約を結ぶ必要があります。

雇用契約では、従事する業務内容、労働時間、休日、賃金などの労働条件が明確になっていなければなりません。

特に報酬については、同じ業務に従事する日本人と同等以上の水準であることが求められます。

なお、この日本人と同等以上か否かの基準として、基本給や手当だけでなく福利厚生や休暇の取得などについても不当な取り扱いは認められない点に注意が必要です。

税や社会保険の納付義務を適正に履行していること

特定技能外国人を受け入れる企業は、税や社会保険に関する義務を適正に履行している必要があります。

法人税、消費税、源泉所得税、社会保険料などに未納がある場合、受け入れ機関としての適格性に影響する可能性があります。

そのため、特定技能外国人の採用を進める前に、納税状況や社会保険の加入・納付状況を確認しておくことが大切です。

特定技能外国人の社会保険加入のルールや手続きの流れ、企業が注意すべきポイントを解説

過去5年間に入管法や労働法に関する違反がないこと

受け入れ企業は、過去5年間に出入国や労働関係の法令に関する違反がないことが求められます。

たとえば、不法就労助長や賃金不払い、労働時間管理の不備などがある場合、受け入れ機関としての適格性に影響する可能性があります。

なお、この労働法違反等がないことについては、外国人だけでなく日本人に対する違反がある場合も基準不適合となるため注意が必要です。

過去1年以内に非自発的離職者や外国人行方不明者を発生させていないこと

受け入れ機関には、外国人材が安心して働ける職場環境を維持していることも求められます。

具体的には、受け入れ前の1年以内に企業の都合による非自発的離職者を発生させていないことや、企業が責任を負うべき事情によって外国人の行方不明者を発生させていないことが要件となります。

特定技能外国人受け入れの注意点

特定技能外国人の受け入れは、許可を取得して終わりではありません。

ここからは、制度を継続して適正に活用するために、企業が特に注意しておきたいポイントを解説します。

上限人数に達すると新規受け入れが停止される

特定技能1号は、あらかじめ定められた分野ごとの受け入れ見込み数を超えることが見込まれる場合、新たな在留資格認定証明書の交付が一時的に停止される可能性があります。

この措置は、実際の受け入れ人数が分野ごとの見込み数を大きく超えないようにするための仕組みです。

具体的には、各分野の主務大臣が人手不足の状況や受け入れ見込み数を踏まえ、必要に応じて法務大臣に交付停止を求めることとされています。

なお、交付停止後に再び人材確保の必要性が生じた場合は、主務大臣が法務大臣に対して交付再開を求めることも可能です。

外国機関含め不当な保証金等の徴収は認められない

特定技能外国人の受け入れでは、本人や家族などから保証金を徴収したり、財産を管理したりする契約は認められていません。

加えて、雇用契約を守らなかった場合に違約金を支払わせる契約など、不当に金銭や財産の移転を予定する取り決めも禁止されています。

特に注意すべきなのは、受け入れ企業が直接関与していなくても、海外の送り出し機関や仲介者との間で不適切な契約が結ばれている可能性がある点です。

そのため、採用ルートを確認する際は、本人への聞き取りや関係機関への確認を行い、保証金や違約金の契約がないことを慎重に確認する必要があります。

定期的に在留期間更新許可申請や届出義務を履行する必要がある

特定技能外国人を受け入れた後も、在留期限に応じて在留期間更新許可申請を行う必要があります。

加えて、受け入れ企業には、雇用状況や支援の実施状況などについて、年に1度の定期届出を行う義務があります。

また、雇用契約の変更、受け入れ困難、支援計画の変更などが生じた場合は、その都度、随時届出が必要です。

これらの申請や届出を怠ると、今後の受け入れや在留審査に影響する可能性があるため、採用後の管理体制まで整えておくことが重要です。

まとめ

リネンサプライ分野では、深刻な人手不足への対応を目的として、2027年度から特定技能外国人の受け入れが始まる予定です。

この記事では、制度創設の背景をはじめ、従事できる業務内容、外国人本人に求められる要件、受け入れ企業の基準や実務上の注意点について解説しました。

特に、衛生基準の認定や協議会への加入、支援体制の整備など、事前に確認すべき事項は少なくありません。

リネンサプライ分野で外国人材の活用を検討している企業は、制度開始後に慌てないよう、受け入れ要件や社内体制を早めに確認しておくことが大切です。

今後は評価試験や運用要領などの詳細も順次公表される見込みのため、最新情報を継続的に確認しながら、適切な受け入れ準備を進めていきましょう

この記事の監修
安藤 祐樹
安藤 祐樹 きさらぎ行政書士事務所 / 行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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