技能実習生(育成就労外国人)の受け入れを検討する中で、
「外国人にも健康保険や厚生年金への加入義務はあるのか」
「数年で帰国する予定でも社会保険料を支払う必要があるのか」
と疑問を感じていませんか。
社会保険の取扱いを誤ると、受入れ停止などのリスクにつながる可能性もあるため、制度を正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、技能実習生(育成就労外国人)に必要となる健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの概要や加入要件をわかりやすく解説します。
あわせて、社会保障協定や脱退一時金といった外国人特有の制度、任意保険の考え方、受入れ時の注意点についても紹介します。
※2027年4月より育成就労制度による外国人材の受入れが開始されますが、2030年の技能実習制度廃止までは、技能実習と育成就労の両制度が並行して運用されるため、本記事内では以下の対応表に従い両制度の用語を使用しています。
| 技能実習制度と育成就労制度の用語対応表 | ||
| 制度の名称 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
| 受入対象の外国人 | 技能実習生 | 育成就労外国人 |
| 受入事業を行う機関 | 監理団体 | 監理支援機関 |
| 外国人を受入れる企業・団体 | 技能実習実施者 | 育成就労実施者 |
| 受入れ事業を管理する公的機関 | 外国人技能実習機構 | 外国人育成就労機構 |
| 受入れの計画書 | 技能実習計画 | 育成就労計画 |
INDEX
技能実習生(育成就労外国人)も社会保険に加入する必要がある
技能実習生(育成就労外国人)を受け入れる場合であっても、日本人従業員と同様に、健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの社会保険への加入が必要です。
健康保険や厚生年金保険については、法人事業所などの適用事業所で技能実習生を受け入れる場合、原則として日本人と同様に被保険者となり、実習開始日から加入手続きを行う必要があります。
また、雇用保険や労災保険についても、労働者を雇用する事業には原則として強制適用されるため、技能実習生本人が加入を希望しない場合であっても、事業者の判断で未加入とすることはできません。
なお、2027年から開始予定の育成就労制度においても、外国人材を雇用して就労させる仕組みである点は共通しているため、現時点では社会保険の基本的な考え方についても技能実習と同様の取扱いが前提になると考えられており、受入れ企業には適切な加入手続きと保険料納付の管理が求められます。
社会保険・労働保険の概要と加入要件
技能実習生(育成就労外国人)を受け入れる際は、健康保険や厚生年金保険だけでなく、雇用保険や労災保険などの加入も必要です。
加入する保険の種類や手続きの内容は、事業所の形態や雇用状況によって異なるため、それぞれの制度の特徴や加入要件を整理して理解しておくことが重要です。
健康保険
健康保険は、業務外の病気やけがで医療機関を利用した際に自己負担額を軽減する制度であり、技能実習生(育成就労外国人)についても、健康保険の適用事業所で働く場合は日本人と同様に加入対象となります。
団体監理型の技能実習では、入国後講習期間中は雇用関係が開始していないため、講習期間中は国民健康保険へ加入し、実習実施機関(受入れ企業)で技能実習(育成就労)を開始する日から健康保険へ切り替える取扱いが一般的です。
※育成就労制度においても同様です。
ただし、従業員5人未満の一部個人事業所や、農林水産業などの非適用業種に該当する場合には健康保険が適用されず、国民健康保険の加入対象となることがあります。
厚生年金保険
厚生年金保険は、会社員などの被用者を対象とした公的年金制度であり、老齢・障害・死亡に関する給付を行うことを目的としており、技能実習生(育成就労外国人)についても、適用事業所で働く場合は原則として加入対象となります。
とくに法人事業所では強制適用となるため、外国人であることや数年後に帰国予定であることを理由に加入を避けることはできず、技能実習生(育成就労外国人)が企業の事業所へ配属され、雇用関係が開始した日から、事業主が年金事務所へ資格取得届を提出する必要があります。
ただし、農林水産業など一部の個人事業所では厚生年金保険の適用対象外となる場合があり、その場合は国民年金の加入対象となりますが、会社の都合で厚生年金から国民年金へ任意に切り替えることは認められていません。
国民年金
国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人が加入対象となる公的年金制度であり、技能実習生(育成就労外国人)についても、厚生年金保険の適用を受けない場合には国民年金へ加入する必要があります。
たとえば、厚生年金の適用対象外となる一部の個人事業所で就労する場合や、健康保険・厚生年金の資格を喪失した離職後の期間などは、国民年金の被保険者として取り扱われます。
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した場合や雇用継続が困難となった場合に、生活や再就職を支援するための制度であり、技能実習生(育成就労外国人)についても、雇用関係がある場合は原則として加入対象となります。
労働者を1人でも雇用する事業は強制適用が原則となっているため、技能実習生本人が加入を希望しない場合であっても、事業主の判断で未加入とすることはできず、雇用開始後は所定の期限内にハローワークで手続きを行う必要があります。
一方で、農林水産業の一部では「暫定任意適用事業」とされており、常時5人未満の労働者を使用する個人経営事業などでは、一定条件のもとで任意加入となるケースがあります。
なお、技能実習制度と同様に、育成就労制度においても外国人材を雇用して就労させる仕組みであることに変わりはないため、雇用保険についても日本人と同様の適切な加入管理が求められると考えられています。
労災保険
労災保険は、業務中や通勤中の事故によって労働者が負傷・疾病・障害・死亡した場合に必要な補償を行う制度であり、技能実習生(育成就労外国人)についても、日本人労働者と同様に適用されます。
労災保険は労働者を1人でも雇用している事業場であれば、雇用形態や勤務日数に関係なく原則として加入義務があるため、技能実習生のみを対象外とすることは認められていません。
なお、建設業や農業など労働災害リスクが高い業種では、技能実習生の受入れにあわせて外国人技能実習総合保険などの任意保険へ加入するケースも多く、育成就労制度においても安全配慮や災害補償体制の整備は引き続き重要になると考えられます。
介護保険
介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支えるための制度であり、技能実習生(育成就労外国人)であっても、一定の年齢要件を満たす場合には日本人と同様に加入対象となります。
健康保険へ加入している40歳以上65歳未満の人は介護保険の第2号被保険者となるため、技能実習生(育成就労外国人)についても該当する場合は健康保険料とあわせて介護保険料が徴収されます。
一方で、40歳未満は介護保険料の徴収対象外となるため、実務上は若年層が中心となる技能実習制度では介護保険料が発生しないケースも少なくありません。
外国人労働者の社会保険に関する特例制度
外国人労働者の社会保険には、日本人にはない特有の制度も設けられており、保険料の二重負担や帰国時の取扱いなどを理解しておくことが重要です。
受入れ企業側も概要を把握しておくことで、外国人材への説明がしやすくなります。
社会保障協定
社会保障協定とは、日本と協定締結国の間で、年金制度への二重加入や保険料の二重負担を防ぐために設けられている制度であり、日本での就労期間が5年を超えない見込みで海外から派遣されるケースでは、母国の社会保障制度のみに加入し、日本の厚生年金保険への加入が不要となる場合があります。
ただし、技能実習制度(育成就労制度)は日本国内の企業との雇用関係を前提とする仕組みであることから、実務上は日本の社会保険へ加入することが一般的であり、社会保障協定が直ちに適用されるとは限らない点にも注意が必要です。
脱退一時金
脱退一時金とは、日本国籍を有しない外国人が厚生年金保険や国民年金の加入期間を一定以上有したまま帰国する場合に、納付した保険料の一部について払い戻しを受けられる制度です。
技能実習生は数年間の在留後に帰国するケースが多く、老齢年金の受給資格期間である10年を満たさないまま出国することも少なくないため、受入れ企業としても制度概要を把握しておくことが重要です。
脱退一時金は自動的に支給されるものではなく、日本国内に住所を有していないことや、最後に被保険者資格を喪失した日から2年以内であることなどの要件を満たした上で本人による請求手続きが必要となります。
なお、技能実習制度と同様に育成就労制度においても、一定期間の就労後に帰国するケースが想定されるため、外国人材から保険料負担について質問を受けた際には、脱退一時金制度の存在を適切に説明できるようにしておくことが望まれます。
技能実習生(育成就労外国人)に関連する任意加入の保険制度
技能実習生(育成就労外国人)の受入れでは、健康保険や労災保険などの公的保険に加えて、任意で加入する民間保険を活用するケースもあります。
これらは社会保険そのものではありませんが、公的保険で補いきれない部分への備えや、一定場面での補償強化を目的として利用されており、制度によっては社会保険を補完する役割を持っています。
外国人技能実習総合保険
外国人技能実習総合保険は、健康保険や労災保険などの公的保険で補いきれない部分をカバーするための任意保険であり、技能実習生の受入れにあわせて加入する企業や監理団体もみられます。
とくに、健康保険利用時の自己負担分や、疾病・事故・賠償責任などへの備えとして活用されることが多く、商品内容によっては死亡保険金や救援費用、自転車事故に関する補償などが含まれる場合もあります。
外国人技能実習総合保険は法律上の加入義務がある制度ではないため、加入するかどうかは受入れ企業や監理団体の判断によりますが、慣れない日本で生活する技能実習生への配慮として導入されるケースもあります。
また、今後の育成就労制度においても外国人材の生活支援や安全管理の重要性は高まると考えられるため、公的保険と任意保険の役割を整理した上で必要性を検討することが大切です。
労災保険の代替となる民間任意保険
技能実習生(育成就労外国人)を受け入れる事業所では、原則として労災保険関係成立届を提出し、労災保険へ加入する必要がありますが、農林水産業の一部では「暫定任意適用事業」に該当するケースがあります。
たとえば、労働者数5人未満の個人経営農家や、一定の個人経営による林業・畜産業・養蚕業・水産業などでは、労災保険が強制適用とならない場合がありますが、技能実習制度においては外国人技能実習機構(OTIT)の運用上、民間任意保険などによる補償措置が求められています。
なお、育成就労制度においても外国人労働者の保護は重視されると考えられており、農業・漁業・畜産分野などの受入れでは、労災保険や代替保険の取扱いについて引き続き注意が必要になる可能性があります。
自転車損害賠償責任保険
自転車損害賠償責任保険は、自転車事故によって第三者へ損害を与えた場合に備える任意保険であり、技能実習生が自転車通勤を行うケースでは加入を検討する事業者もあります。
とくに、住居から職場まで自転車で移動する場合は、通勤中の事故リスクもあるため、自転車損害賠償責任保険の必要性は高まります。
なお、自転車保険は法律上必須ではありませんが、地域によっては条例で加入が求められる場合もあるため、受入れ地域のルールを確認しておくことが大切です。
技能実習生(育成就労外国人)の社会保険加入に関する注意点
技能実習生(育成就労外国人)の社会保険では、加入の有無だけでなく、加入時期や書類記載、転籍時の取扱いなど実務上の注意点も多く存在します。
制度理解が不十分なまま受入れを進めると、罰則や受入停止につながる可能性もあるため、適切な管理体制を整えておくことが重要です。
入国後講習中・離職中・転籍時の取扱い
入国後講習期間中の技能実習生(育成就労外国人)は、実習実施機関との雇用関係がまだ成立していないため、健康保険ではなく国民健康保険へ加入することとなります。
そして、講習終了後に実習実施機関(受入れ企業)へ配属された時点で健康保険や厚生年金保険の加入手続きを行う必要があります。
また、離職や転籍によって被保険者資格を喪失した場合には、空白期間中に国民健康保険や国民年金への切替えが必要となることがあります。
なお、技能実習制度では原則として転籍が限定されていましたが、育成就労制度では一定の条件下で転籍が認められる予定であるため、今後は転籍時の社会保険関係手続きを行う機会が増える可能性があります。
雇用条件書や給与明細への記載内容
雇用条件書や給与明細では、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などの控除内容を適切に記載し、外国人材本人が理解できる状態にしておくことが重要です。
とくに、技能実習生(育成就労外国人)は日本の社会保険制度に不慣れな場合も多く、保険料控除の理由が十分に説明されていないと、給与の手取り額に対する不信感やトラブルにつながる可能性があります。
また、社会保険料は法律に基づいて徴収されるものであり、企業判断で未加入や未控除とすることは認められていないため、雇用条件書の内容と実際の給与控除額に相違が生じないよう注意が必要です。
加入手続きを怠った場合は罰則や受入停止のリスクがある
技能実習生(育成就労外国人)の社会保険加入は企業の任意ではなく法律上の義務であるため、加入手続きや保険料納付を怠った場合には行政指導や追徴、罰則の対象となる可能性があります。
技能実習生(育成就労外国人)を受入れるにあたっては、外国人技能実習機構(外国人育成就労機構)や監理団体(監理支援機関)、外部監査人による監査や訪問指導が行われます。
社会保険未加入や不適切な給与控除が確認された場合には、改善指導や技能実習計画認定への影響が生じることがあります。
社会保険への適切な加入は、外国人材の保護だけでなく、在留資格手続きや適正な受入れ体制を示す重要な要素として扱われているため、雇用条件書やその他帳簿書類との整合性も含めて管理することが重要です。
まとめ
技能実習生(育成就労外国人)を受け入れる場合は、日本人労働者と同様に健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険などへの適切な加入が求められます。
農業や漁業など一部業種では保険制度の取扱いが複雑になる場合もあるため、受入れ開始前に監理団体や社会保険労務士などの専門家へ確認しながら進めることをおすすめします。
制度を正しく理解し、適切な社会保険管理を行うことで、外国人材が安心して働ける受入れ体制を整えやすくなります。
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