人手不足に悩む中小企業の経営者様が、思い切って外国人を採用しようと募集してみたところ、なかなか応募が集まらない、採用してもすぐに辞めてしまうなどの状況に陥ってしまうことも少なくないのが実情。
「条件は悪くないはずなのに、なぜか外国人の採用もなかなか決まらない」
「採用してもすぐに辞めてしまい、何がいけないのか分からない・・・」
「何度言っても仕事を覚えない・・・」
などの嘆きの声も珍しくなく、対処法方も分からないままに外国人の採用をあきらめてしまう経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その一方で、自社のニーズに合った優秀な外国人材を採用して重要な役割を担ってもらい、着実に事業の拡大や新規事業への投資に結びつけることに成功している企業があるのも事実です。
いったいその違いはどこにあるのでしょうか?外国人材の活用に成功している企業は、たまたま、偶然優秀な人材にめぐり会い組織に定着してくれたのでしょうか?それとも、外国人が継続して活躍する企業には何か特長があるのでしょうか。
この記事では、外国人材が活躍できる職場の特長や、外国人に選んでもらえる会社になるために取り組めることや、外国人材に選ばれる企業になることによるメリット・デメリットをお伝えします。
外国人材に活躍してもらえる職場づくりを検討中の皆様の参考になれば幸いです。
INDEX
キャリアワールド 代表
木村 千恵子(きむら ちえこ)
企業と働く人のWin-Winな関係を支援する、外国人雇用管理士(R)の資格を持つキャリアコンサルタント。外国人留学生向けの就職支援、中小企業の従業員のキャリアとメンタルの支援、企業向けテレワーク導入支援、外国人材の採用支援を行っている。アメリカ留学経験あり。
日本で働く外国人の現状
日本で働く外国人の数は、10年前の2012年には68万2000人ほどでしたが、その数は2021年10月末時点で172万人余りに達しています。少子高齢化による人手不足に対応するための対策の一つとして、外国人の労働者をより積極的に受け入れるために2018年に入国管理法が改正され、就労が可能な新しい在留資格「特定技能」が追加されました。
新型コロナウイルスの影響による入国制限で、2020年以降の外国人労働者数はほとんど増加していないものの、人材不足が深刻な介護業界を始め多くの業界業種で外国人材の採用を真剣に検討しているため、入国制限の緩和に伴って今後一層日本で働く外国人労働者は増えていくと予測されます。
外国人が日本で働くために必要な在留資格とは
日本で働く172万人の方たちは、どのようなビザで働いているのでしょうか。日本では、外国籍の方が働くことができる労働ビザの発給を受けるための在留資格にはいくつか種類があります。
大きく分けると、従事する仕事の内容に応じて許可される在留資格と、永住権や定住権など、その人の在留資格上の身分によって従事する仕事の内容を問わずに任意の仕事に就くことができるものがあります。
したがって、外国人材の採用を検討する場合は、組織が必要とする人物像や専門性に合った就労可能な在留資格を既に取得している人、または就労可能な在留資格に申請可能な候補者を探すことから始める必要があります。
例えば、「特定技能」や「技能実習」などの在留資格の場合、あらかじめ入国管理法で指定されている特定の業界や業種に属する企業しか対象の外国人材の採用を行うことができません。一方、「技術・人文知識・国際業務」のように、業界や業種を特定せずに幅広い業界・業種での業務に従事する外国人材の採用を対象とする在留資格もあります。
自社に合った人材をどうやって見つけるか
在留資格にいくつか種類があることは分かったけれど、自社のニーズに合う外国人はどの在留資格の人なのでしょうか?また、そのような外国人をどう探したら良いのでしょうか?
自社に合った外国人材を探す方法の一つは、外国人材専門の人材紹介会社に相談して自社が求める人物像や担当させたい事業内容などを伝えて探してもらうことです。
日本で働く外国人と言っても、その出身国や地域は様々です。2021年10月時点では、国籍別ではベトナム国籍の労働者が一番多く、約45万人で全体の約26%、次いで中国国籍が約39万人で全体の23%となっています。
(参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在))
では、そのような外国籍の方は主にどんな業界や業種で仕事に就いているのでしょうか。
同じく2021年10月のデータでは、外国籍の労働者は①製造業(27.0%)②卸売・小売業(13.3%)、③宿泊・飲食業(11.8%)の順に多く従事していることが分かります。
参考までに、それぞれの業種に従事する外国人材の国別の割合は、以下の通りです。
<製造業が多い国>
ブラジル40.9%
インドネシア38.4%
ペルー36.9%
ベトナム35.7%
フィリピン34.2%
<卸売業、小売業が多い国>
中国20.4%、
韓国20.1%
<宿泊業、飲食サービス業が多い国>
ネパール30.1%
自社の業界や業種によって、従事している外国人が多い国籍があるかをあらかじめ確認しておくと採用方針を検討する上で参考になる場合があります。
自社に合った外国人材をどのようなルートで探すかについては、海外拠点を持つ企業や海外に取引先を持つ企業の場合は、そのルートで候補となる人材を紹介してもらう方法があります。
しかし、そのようなつながりを持たない企業では、外国人材を専門に扱う人材紹介会社に相談したり、留学生を受け入れている大学や専門学校などの教育機関のキャリアセンターに募集情報を公開する方法などがあります。
労働市場としての日本
日本で働く外国人材の数は増え続けていますが、そもそも外国籍の人はなぜ日本で働きたいと考えるのでしょうか。
日本での就職を希望する留学生の中には、来日のきっかけや理由として、日本のアニメや安くておいしい食べ物が豊富にあるから、先端技術を学びたい、日本の文化やおもてなしに触れたいなどを挙げる人が多くいます。
これらの理由の特長として、日本で「暮らしたい」という希望が強いことがあり、それを叶えるためには長期滞在のビザ(在留資格)が必要なため、それを可能にするために働きたいと考える人が多いのです。
日本での仕事の経験で技術を身につけて将来のキャリアに活かそうという考えで日本での就職を希望する外国人もいますが、仕事そのものや将来のキャリアアップのためという視点よりも、日本での快適な暮らしを継続できる仕事ならばそれほど職種や仕事の内容にこだわらないという外国人材も多いというのがここ数年の傾向と言えるでしょう。
日本を世界の中の労働市場の一つとして見た場合、外国人材にとっての日本は必ずしも「働く場所」として最適だとの認識ではなく、どちらかというと「生活しやすい場所」として好まれているという事情が優先していると考えられます。
そのため、「働く場所」と「生活しやすい場所」がその人にとって日本以外の国のほうが評価が高く、さらに国外からの人材に対する受け入れに積極的な国があれば、条件次第では簡単に日本での仕事をやめてそちらの国の仕事へ転職してしまう可能性があるということです。
外国人材の採用を考える上では、日本の労働市場が外国人からどう見られ評価されているかについても実情を把握した上で、選考方法などを検討することが重要です。
職場における日本の常識、世界の非常識
外国人材を自社の職場に受け入れるにあたって、「日本の職場の常識」=「日本以外の職場の非常識」などとよく言われることがあります。これは、日本の一般的な企業の職場で常識的に行われている習慣や行動規範であっても、実は日本以外の国の職場では全く考えられないような習慣や行動規範であることも少なくないということを象徴的に示しています。
例えば、日本の職場では始業前に朝礼を行う企業も珍しくありませんが、始業前の時間にしかも立ったまま毎朝数十分にもおよぶ全員参加必須という習慣は海外の企業ではあまり見られません。
また、日本企業の中では、会議とは名ばかりで参加者の中で発言するのは主催者一人だけで実質的な議論はなく、結論も始めから決まっているような形骸化した会議が行われている組織もあるかもしれません。
そのような会議は、日本とは異なる教育やビジネス環境で過ごしてきた外国人材にとっては時間の浪費と映り、日本の組織で自分が活躍できる機会を得られるのか不安に感じ、モチベーションが下がる要因の一つになる可能性があります。
また、いわゆるサービス残業が普通に行われている企業の場合、外国人材に残業の必要性を客観的な妥当性をもって説明し納得してもらうことに苦労するかもしれません。外国人材は日本人とは異なる価値観と文化の中で教育を受けてきているため残業についての感覚も日本人とは違い、明確かつ納得性の高い理由の説明が必要となります。できれば、外国人材の採用を機会に、サービス残業そのものを見直して廃止するように取り組むきっかけとするほうが日本人社員のモチベーションアップにもつながります。
外国人材に選ばれる企業になるメリット
外国人材の採用と定着は簡単ではありませんし、どの外国人材にも同じ対応で上手くいく訳でもありません。一人ひとりの個性や文化的な背景に合わせて社内の受け入れ態勢を柔軟に整えていく必要があります。
そのような努力をしてでも、外国人材を採用し活用することに本当にメリットがあるのでしょうか。外国人材をどのように活かし活躍してもらえば良いかは組織ごとにさまざまな形の答えがあるでしょう。
しかし、外国人材に選ばれる企業になることのメリットは、これから更に進む超高齢化社会に向けて無視できないくらい大きいと考えられます。
VUCA時代に生き残る企業になるために必要な経営戦略
外国人材に選ばれる企業になることは、予測不可能な未来に向けて多様な視点で事業を展開するために避けることができません。世界の主要先進国での高齢化が進む中で、働き盛りの労働人口を確保する上でも、外国人材に活躍してもらうことで外国人消費者のニーズをつかんだ経営戦略をとれるかどうかは企業の成長戦略にとってより深刻な課題となるからです。
外国人材に選ばれるだけでなく、日本人の優秀な人材も集まる
外国人材に選ばれる企業になることは、より多様な人材が働きやすい環境を整えることであるため、自然に日本人の優秀な人材にとっても魅力的な企業となるのです。
もし外国人材に選ばれる企業になることで何かデメリットがあるとしたら、それは選ばれる努力を継続しなければならないことが唯一のデメリットといえるかもしれません。
外国人材が活躍できる職場の5つの特長
外国人材が活躍できる職場にしたいけれど具体的にどんなことをすればそのような職場にできるのか分からない、という経営者や担当者の方もいらっしゃるでしょう。そのような方のために特長を5つご紹介します。
特長1:外国人材を採用する目的とその役割が社内で理解されている
外国人材が活躍できる職場にするには、その土台としてどのような目的で外国人材を採用するのか、その目的と外国人材に担ってもらう役割についてできるだけ具体的に定義し、組織全体でよく理解されるまで周知を繰り返すことが大切です。外国人材の方にどのような役割を担ってもらうのかが組織の中で理解されていないと、外国人材を孤立させてしまう恐れがあり、外国人材の良さを発揮してもらえません。
特長2:社内のキャリアパスと昇給・昇格の基準を明確にしている
日本人の社員にも言えることですが、外国人材は日本人に比べて昇給・昇格に対する意欲が旺盛な傾向があります。何についてどのような成果を上げればより大きな役割を担当できるのかを明確にすることは、外国人材のモチベーションを保つ上でとても重要です。
特長3:業務遂行上必要な社内の暗黙知や不文律を見直し明文化している
日本とは異なる教育や文化背景で育った外国人にとっては、日本の組織の中にある「いわずもがな」の習慣やルールは理解できません。外国人材には理解しづらい社内の暗黙知をあえて明文化して、いわゆる「空気を読む」ことをしなくても明確なコミュニケーションが取れる組織になることが、外国人材が活躍できる職場になるためには必要となります。
特長4:文化・信仰に配慮した休暇・休憩時間等の制度の見直しを実施している
外国人材の中には、出身国や地域によって信仰する宗教の影響を強く受けた生活様式を持っている人たちもいます。日本では一般的に宗教的な生活様式と言えば祝祭日に絡んだ行事が中心ですが、イスラム教やヒンズー教など、日本人にはあまりなじみのない宗教上の習慣を持つ外国人も少なくないため、個人の信仰についての偏見を持たず、批判や評価と受け取られる言動はしないように配慮する必要があります。
特長5:日本人社員の異文化理解やダイバーシティの教育が徹底されている
外国人材が活躍できる職場を目指すには、共に働く日本人社員の意識改革が欠かせません。異なる文化背景と国に育った同僚に対する人としてのリスペクトの感覚を持ち、国籍や人種に関する偏見や先入観を持たないように接することの大切さを学べるように日本人社員に対しても異文化理解やダイバーシティに関する研修などに徹底的に取り組むことは、外国人材が活躍できる職場の特長の一つです。
外国人材が活躍できる職場とは、日本人社員も共に活躍できる職場
外国人材が活躍しやすい職場では、あいまいな指示や空気を読むなどの慣習が、完全になくならないとしてもかなり減ります。それは実は日本人社員にとっても大きなメリットです。本来は、明確な指示や具体的なコミュニケーションは日本人社員同士にも好まれるものであり、そのほうが生産性も効率も良い場合が多いからです。
外国人材にとって分かりやすい指示や説明は日本人の社員にとっても分かりやすいため、「空気が読めない」個性を持った日本人にとっても居心地の良い職場づくりにつながります。
その重要性にいち早く気づいた企業の経営者の皆様は、ぜひ外国人材が活躍できる職場を実現させることにより、外国人材だけでなく日本人の人材の可能性をさらに引き出して組織の成長につながる起爆剤にしていただきたいと思います。
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