外国人採用ガイド

【保存版】フィリピン人を雇用する前に知っておきたい「MWO(旧POLO)」「DMW(旧POEA)」の手続きや注意点

フィリピン人を雇用する前に知っておきたいMWO(旧POLO)」「DMW(旧POEA)」の手続きや注意点

※2023年3月、フィリピン政府の組織再編による統廃合によって「POLO⇒MWO」「POEA⇒DMW」に名称が変更になっています。

深刻な人手不足に対応するために、日本でも多くの企業が取り組みを始めている「外国人採用」

その中でも、「英語が話せる、明るくフレンドリーな性格でホスピタリティが高い、失踪トラブルが少ない」といった特徴から、フィリピン人技能実習生や特定技能外国人の採用ニーズが高まっています。

初めてフィリピン人の採用を検討する場合、多くの方がご存知ないのが、フィリピン人雇用の時だけに必要になる「MWO(旧POLO)」「DMW(旧POEA)」といったフィリピン行政機関での手続き。

そこで今回の記事では

「フィリピン人を受け入れにどんな手続きが必要?」
「フィリピン人の受け入れに必要なMWO・DMWって何?」
「フィリピン人を受け入れる際に注意することは?」

といった疑問にお答えしていきます。

フィリピン人の雇用には独自ルールや手続きがあるため、他の国から外国人を受け入れるよりも時間や手間がかかるだけでなく、正確に手続きを行えないと内定取り消しや不法就労になってしまう危険性もあります。

事前にこれらのルールを知っておくことで、スムーズかつ違反ない雇用をすることができますので、フィリピン人技能実習生、特定技能外国人の採用を検討されている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

 

 

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。
自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

フィリピン人を雇用する前に覚えておきたい重要用語

フィリピン人を雇用する際に必要な申請・手続きではフィリピンの行政機関などの名前を表す英語が多く登場します。申請の流れを確認する前に、5つの重要用語について確認しておきましょう。

①DOLE(フィリピン労働雇用省)

DOLE(ドール/ドーレ)は、「Department of Labor and Employment」の略称で、フィリピンにおける労働者・雇用に関する規制や監督などを行う官庁です。主な職務は労働者の保護となっており、フィリピン人労働者は雇用主に対して問題や不服がある場合、DOLEに不服申し立てを行って和解を図ります。外国企業に雇用されているフィリピン人労働者について問題が発生した場合は、国内企業よりも厳しい対応をされることが多いようなので日本企業としては注意が必要です。

②DMW(フィリピン移住労働省)

DMW(旧POEA)は、「Department of Migrant Workers」の略称で、フィリピン人労働者の就職先の審査や送り出し機関(人材斡旋業者/エージェント)へのライセンス付与などを行う機関です。海外で働くフィリピン人の人権を守ることを目的としています。

DMWの企業審査に通過すると、フィリピン人に対してOEC(海外雇用許可証)が発行されます。就労を目的とした出国の場合、このOECが発行されないまま海外で働いてしまうと、フィリピンに一時帰国した際に出国することができなくなるためOECが必須となります。

フィリピン人を雇用する企業は、まずはじめにDMWがライセンスを認定した「送り出し機関」と契約し、就労までの手続きを進めていくことになります。

③MWO(フィリピン移住労働者事務所)

MWO(旧POLO)は、「Migrant Workers Office」の略称で、上記DMWの日本における出張所に位置する機関です。海外各地に拠点がありますが、日本では東京と大阪の2つの拠点があり、それぞれフィリピン大使館内に所在しています。

DMW認定の送り出し機関と契約を締結したあと、MWOに直接出向いて手続きを進める必要があります。

④OWWA(フィリピン海外労働者福祉庁)

OWWA(オーワ)は、「Overseas Workers Welfare Administration」の略称で、海外で働くフィリピン人労働者とその家族に福利厚生サービスを提供する機関です。海外で働くフィリピン人の権利保護、保険サービス、技能訓練、生計支援などを主な職務としています。

日本で就労するフィリピン人は、出国時に必ずOWWAに加入する必要があります。

「MWO(旧POLO)」「DMW(旧POEA)」申請の具体的な流れ

ここからは、海外に居住しているフィリピン人技能実習生や特定技能外国人を新たに受け入れる場合の申請や手続きの流れについて解説していきます。

日本に在留しているフィリピン人技能実習生や特定技能外国人を受け入れる場合もほぼ同じ手続きが必要となりますので、以下の流れを覚えておくと役に立ちます。ここでご紹介する一連の手続きには、約6ヵ月~10ヵ月程度の期間がかかります。

STEP1:送り出し機関と契約締結、必要書類の準備

フィリピン人を雇用する際、現地の送り出し機関を介さずに直接雇用することは原則禁止されています。

そのため、フィリピン人を雇用するためにはDMWの認定を受けた送り出し機関と人材募集・雇用に係る募集取決め(Recruitment Agreement ※頭文字を取って、RAと呼ばれる)を締結し、送り出し機関を通じて雇用しなければなりません

送り出し機関と受け入れ企業が捺印・サインをした契約書は公証人役場で公証を受ける必要があります(公証にかかる手数料は約1万円程度)。

送り出し機関との契約書の他、履歴事項証明書や雇用契約書、給与に関する説明書類などの必要書類も並行して準備していきます。必要書類は技能実習と特定技能で異なる上、MWO東京とDMW大阪でも求められる書類が異なるため、事前にMWOのホームページで確認しておきましょう。

また、履歴事項証明書などの日本語の書類はすべて英訳が必要です。自社で翻訳が難しい場合は翻訳会社などに依頼する必要があるため、費用や作業時間がかかる点も考慮しておく必要があります。

必要書類の例
・雇用契約書原本
・給与詳細
・業務詳細
・業務遂行に必要なスキル詳細
・登記簿謄本(原本)
・会社説明資料
・会社情報
・代表者パスポート(コピー可/カラー)

STEP2:MWO(旧POLO)への登録申請

必要書類が揃ったら、MWOへ書類を提出します。提出方法は、オンラインまたは郵送も可能です。

その際、技能実習生を受け入れる場合は監理団体から申請しますが、特定技能外国人を受け入れる場合は受け入れ企業が自ら申請しなければならないため注意が必要です。

登録支援機関に特定技能外国人の支援を委託する場合でも、MWOへの登録申請においては登録支援機関が窓口となって申請することができません。そのため、申請書類提出後に不備や確認事項があった場合はMWOから直接受け入れ企業に電話や書面で連絡があります。

MWOからの電話連絡は英語の場合が多いですが、日本語の通訳を介して連絡があるケースもあります。MWOから電話で修正や追加書類提出の依頼があった場合、別途書面で連絡が来ることはないため正確に内容を聞き取る必要があります。どうしても英語が聞き取れない場合は、日本語の話せるスタッフに替わってほしいと依頼しましょう。

STEP3:MWO(旧POLO)との面接

書類審査(審査期間は約2週間程度)に通過すると、MWOから面接のお知らせが届きます。面接当日は受け入れ企業の代表者(または副社長に相当する方)がMWO東京またはMWO大阪に出向き、MWO担当官から事業内容や雇用の目的について英語で質問を受けます。面接には通訳を同席させることも可能です。新型コロナウイルス感染症が拡大してからはMWOによる面接は行われないケースも多くなっています。

フィリピン人が就労する勤務地によってMWOの窓口が変わります。それぞれ以下の通りとなりますのでご確認ください。

名称 所在地 問合せ先 管轄エリア
MWO 東京 〒106-8537
東京都港区六本木5-15-5
フィリピン大使館内
03-6441-0428 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、長野県、静岡県、山梨県、沖縄県
MWO 大阪 〒541-0047
大阪府大阪市中央区淡路町4-3-5
URBAN CENTER 御堂筋7F
06-6575-7593 富山県県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、島根県、岡山県、鳥取県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県

※沖縄県はMWO 東京の管轄となりますのでご注意ください。

STEP4:MWO(旧POLO)から許可書類の到着

面接審査に通過すると、MWOが申請書類に捺印・サインをした許可書類(Original MWO-Verified Document)が届きます。

MWOから書類が届く場合、不備があるために差し戻される場合と許可が下りた場合の2つのケースがあります。慣れないうちは判別が難しいかもしれませんが、提出した各書類にMWOの印鑑が押されていれば許可が下りたと判断できます

STEP5:許可書類を送り出し機関に送付

DMW(旧POEA)から正式に許可を受けるために、MWO(旧POLO)からの許可書類一式をSTEP1で契約をした送り出し機関へ送ります。DMW(旧POEA)への書類提出は受入れ企業からではなく、認定送り出し機関しか行うことができません。

また、許可書類を送付する際、事前にPDFデータをメールで送るなどして送り出し機関に内容を確認してもらいましょう。単純なスペルミスや日付の記載ミスでもMWO(旧POLO)はそのまま通ってしまうことがありますが、DMW(旧POEA)は審査の目が厳しいため許可が下りないというケースもあります。

DMW(旧POEA)の時点でミスが発覚すると、送り出し機関を経由して書類を送り返してもらい、またMWO(旧POLO)に修正してもらう必要があるため、郵送費用や時間が余計にかかってしまいます。そのような事態を防ぐためにも、DMW(旧POEA)への送付前に内容を事前に送り出し機関にチェックしてもらうことをおすすめします。

STEP6:DMW(旧POEA)から認可を受ける

送り出し機関がDMWへ書類一式を提出し、正式にDMWから認可を受けます。DMWの審査にかかる期間は約3週間程度です。

STEP7:人材募集・面接・内定

DMWから認可を受けたら、ようやく人材募集を開始でき、面接をして採用する人材を決定していきます。フィリピン現地からの採用となる場合、求人募集は契約している送り出し機関が行ってくれますのでご安心ください。

STEP8:在留資格・OEC等の手続き

採用が確定したら正式に雇用契約を締結し、日本での在留資格の交付申請に進みます。

在留資格認定証明書(COE=Certificate of Eligibility)が取得が完了後、捺印資料(Original MWO-Verified Document)と一緒に、海外にいるフィリピン人労働者本人に郵送します。フィリピン人労働者本人は、現地の日本大使館で日本から届いたCOEとパスポートを提出してビザ申請を行います。この間には、OWWA(海外労働者福祉庁)による出国前オリエンテーションの受講も必要になります。

ビザ取得後、労働者本人または送り出し機関がPOEAに申請を行い、OEC(海外雇用許可証)を取得します。

これで晴れてフィリピンを出国できる準備が整い、日本への送り出しが可能になります。

その他の注意点

MWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)に関する部分以外にも、フィリピン人の雇用手続きにあたって事前に知っておいていただきたいポイントが3つあります。

送り出し機関への手数料が高い

他のアジア諸国と比べ、フィリピン人を雇用する際には受入れ企業の費用負担が高額になるケースが多いと言われています。その原因の1つが送り出し機関へ支払う費用が高いことです。

ベトナムを始めとした東南アジア諸国では「労働者本人が多額の借金をして、送り出し機関やエージェントへの仲介手数料を支払って来日する」というケースが実際にありますが、フィリピンでは海外で働く労働者の権利が手厚く保護されており、労働者本人から仲介料などの費用を徴収することが禁じられています。そのため、フィリピンの送り出し機関は受入れ企業側にその分の手数料を請求するので結果的に支払う費用が高額になる傾向にあります。

 送り出し機関に支払う手数料の一例
・給料の1~2ヵ月分/1名
・15~30万円/1名 など

また、MWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)への申請で必要となる「送り出し機関との契約書(RA)の公証にかかる手数料」や「登記事項証明書交付時の手数料」をはじめ、他国にはないフィリピン独自の手続きにかかる費用が発生する点にも注意が必要です。

就労開始までに時間がかかる

フィリピン人を雇用する場合、MWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)での手続きだけで合計2~4ヵ月程度の時間が必要となるため、他国の人材よりも入社までに時間がかかる傾向にあります。

技能実習生の場合は約6~9ヵ月程度と他国とあまり時間的な差はありませんが、特定技能やその他の就労系在留資格の場合は、MWOへの許可申請から就労開始までに約7~9ヶ月ほどかかるケースが多いです。

日本国内にいる外国人なら2~3ヵ月、海外にいる外国人でも3~4ヶ月程度が就労開始までの目安となりますが、フィリンピン人を雇用する場合は約2倍の時間がかかると認識した上で採用計画を立てていきましょう。

特定技能は自社で申請する必要あり

前述の通り、フィリピン人特定技能外国人を雇用する場合、MWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)への一連手続きは受入れ企業自らが行う必要があります。また、申請書類提出後は書類の修正や追加書類の提出などの対応も行わなければなりません。

申請書類はすべて英語で記入する必要があったり、明確な審査基準が公開されていないため審査官によって異なる指摘事項に対応しなければならなかったりするなど、初めてフィリピン人を雇用する企業にとってはなかなかにハードルが高い手続きとなることが予想されます。

しかし、MWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)申請を自社で行うのが難しいという場合でも、フィリピン人の受け入れノウハウのある登録支援機関や行政書士事務所などに依頼して書類作成や申請全般のサポートを受けることも可能です。

ミスのないスムーズな受け入れのためにはMWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)申請のプロを頼るのが安心の選択肢といえるでしょう。

フィリピン人の雇用は余裕を持って準備しよう

フィリピン人の雇用にはMWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)への申請といった煩雑な手続きが必要となり、入社までの時間や費用もかかります。その一方、海外で働くフィリピン人は手厚い保護を受けているお蔭もあり、失踪などのトラブルが少ないというだけでなく、英語が話せる、コミュニケーション能力やホスピタリティが高いなど、雇用するメリットもとても多くあります。

▼フィリピン人の特徴については以下の記事で細かく解説しています▼

「フィリピン人」の雇用・採用のときに知っておきたいメリットや注意点(性格や価値観など)

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