人材不足解消のため、あるいは優秀な人材を求めて外国人社員を雇用したものの、外国人社員のマネジメントに悩む人は少なくありません。異なるバックグラウンドをもつ外国人社員に対して、日本人の感覚や勘に頼ってマネジメントを行うと、外国人社員の能力を十分に引き出せない可能性が高いです。
本記事では、外国人社員をマネジメントする立場の方へ向けて、効果的なマネジメントのコツや注意点をご紹介します。外国人雇用に取り組む方はぜひ参考にしてください。
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(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
外国人社員のマネジメントが企業に重要視される理由
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)によると、日本で働く外国人労働者は約172万人となり、過去最高数値を記録しています。外国人社員と肩を並べて働く機会が増えるにつれて、「外国人社員をうまくマネジメントできない」「そもそもどのように接したらいいかわからない」など、悩みを抱える方も増えています。
パーソル総合研究所の調査によると、日本人は外国人材の定着に必要な「表現力(言語)」の能力が不足している傾向となっています。一方で、「受容力」のスキルは高く、調和的な雰囲気でマネジメントすることが得意だそうです。
このように、日本人がどのようなマネジメント手法を得意・不得意とするかを理解しなければ、早期離職につながるリスクが高まります。外国人社員に対して、どのように向き合うべきか、今一度確認やルール決めが必要といえるでしょう。
失敗しやすい外国人社員のマネジメント
最初に、外国人社員のマネジメントの失敗例を3つご紹介します。自社のマネジメント手法と照らし合わせながら、振り返りのきっかけにしていただければ幸いです。
- 特別扱いする
- 仕事の指示を曖昧にする
- 日本の価値観を押しつける
それぞれみていきましょう。
特別扱いしてしまう
外国人社員のマネジメント失敗例の一つ目は、外国人だからと特別扱いをすることです。社員の評価を行う際は、仕事の成果や日々の取り組み姿勢などに対して、人事評価制度にもとづいて判断する必要があります。しかし、外国人がミスをしたときに「外国人だから仕方がない」と特別扱いしたり、「外国で頑張っているから加点評価しよう」など、属人的な目線で評価をしてしまうと、不公平・不平等になりかねません。
- 評価基準は数字を用いてできるだけ明確にする
- ミスをした際は、原因を特定して再発防止策を考える
- 言語の間違いや日本マナーは放置せずに指摘をする
など、ごく当たり前のことを徹底して行う必要があるでしょう。例えば、「お客さまや目上の方は上座に座る」といった日本人のマナーも、外国人だから仕方がないと放置せずに指摘すると良いでしょう。外国人社員だけを特別扱いした結果、同僚の日本人社員が不満を持つこともあるため、双方をフェアに評価する姿勢が重要です。
仕事の指示を曖昧にする
外国人社員への仕事の指示が曖昧なせいで、失敗するケースも少なくありません。日本人は「阿吽の呼吸」「空気を読む」文化があるため、曖昧な指示でもコミュニケーションがとれると考える人もいるでしょう。
しかし、外国人社員をマネジメントする際は、「なるべく早くやってね」「時間があるときによろしくね」ではなく、「何日の何時までに」「今の仕事が終わったら、次はこの仕事に取りかかってほしい」などと明確な指示に落とし込む必要があります。できるだけ数字や固有名詞を使用して明確なコミュニケーションを心掛けましょう。
日本の価値観を押しつける
日本には、「先輩には敬語で話す」「目上の人には自分から挨拶する」といった独自の価値観があります。これらを一方的に押しつけてしまうと、外国人社員がストレスを感じてうまくいかないケースもあるでしょう。
郷に入っては郷に従えと考える人もいるかもしれません。しかし、文化や信仰する宗教の違いから、ときには「理解はできるけれど、受け入れることはできない」こともあるはずです。「昔からある」「みんながやっている」といった返答ではなく、「なぜ日本にはその慣習があるのか」「日本人はなぜ、どのように考えているのか」を、なるべくかみ砕いて説明する必要があるでしょう。
日本人は相手の意見や立場を理解するのが得意とはいえ、その想いを言語化して伝えるのが苦手です。日本人の特徴を理解しつつ、適切なコミュニケーションをとることが重要です。
外国人社員をマネジメントする5つのコツ
外国人社員のマネジメントをするときに、ぜひ意識していただきたい3つのコツをご紹介します。
- キャリアパスを示す
- 定期的に面談を行う
- 日本の言語や文化を伝える
- 母国について調べる
- 褒めて伸ばす
以上の5点を詳しくみていきましょう。
キャリアパスを示す
キャリアパスを示す方法は、外国人社員のモチベーションをあげる方法として有効です。外国人社員は、仕事の成長がキャリアアップにつながると考えています。そのため、「これは自分の成長につながらない仕事」だと感じると、退職を考えはじめる人も少なくありません。また、決まった内容の仕事ばかりだと、やりがいを感じられず不満をためてしまうでしょう。
逆にいえば、自分のキャリアアップにつながる仕事をしていると理解できれば、仕事に前向きに取り組んでくれるはずです。
キャリアパスを示す際は、自社の人事制度にもとづき、書面による説明が有効です。口頭説明では、言った言わない問題になる可能性がありますし、日本語が聞き取れなかった場合にトラブルのもとになります。外国人社員が自身の役割と習得すべきスキル、将来のキャリアステップを理解できるよう、明確に示すと良いでしょう。
定期的に面談を行う
定期的に面談の機会を設けて、外国人社員の悩みや意見、モチベーションなどを確認することが重要です。仕事内容や待遇などについて、不満が全くないという人は少数派だと捉え、マネジメント側から積極的に声掛けを行うと良いでしょう。
中には、業務面の問題ではなく、住居や食事、日本の制度・手続きまわりなどで困りごとを抱えている方もいるでしょう。慣れない外国で何か悩みを抱えていないか気付くためには、定期的な面談が有効です。
日本の言語や文化を伝える
日本の言語や文化を積極的に知りたいと考えている外国人社員は少なくありません。数ある国の中から日本を選んだのはなぜか、日本の何に魅力を感じているかを聞き出しながら、双方の理解を深めていくと良いでしょう。
例えば、地域でおすすめの飲食店を紹介したり、ガイドショップに載っていないような地元民が好むお店を紹介したりするのも良いでしょう。日本文化なんてわからないと不安がらずに、身近なことから紹介することをおすすめします。日本の文化を理解すれば、愛着が湧き、より一層精力的に仕事に取り組んでくれるでしょう。
母国について調べる
母国の価値観や宗教観をマネジメント側が学ぶことで、外国人社員への理解が深まり、より相手の立場にたったコミュニケーションができるようになります。外国人社員も、相手が歩み寄ってくれると感じれば、お互いに話しやすくなるメリットもあります。
まずは、外国人社員の母国の地理的特徴や信仰する宗教、食文化などから調べてみると良いでしょう。調べてもわからないことは、直接本人に聞いても問題ありません。むしろ、インターネットや書籍で得た情報と、現実のあいだには、少なからずギャップが存在します。「この国の人は〇〇だ」と決めつけず、調べたうえで社員本人とコミュニケーションをとるようにしてください。
褒めて伸ばす
外国人社員をマネジメントする際は、わかりやすく褒めることも有効です。外国人は、日本人よりも直接的なフィードバックを好む傾向にあります。具体的に、「何をどのように行ったことが、なぜ良かったのか」と言葉で表現して、明確に伝えましょう。
先の章でお伝えしたように、日本人は「空気を読む」「察する」文化が根付いていますが、外国では反対に、ダイレクトなコミュニケーションを行う場合が多いです。多少オーバーに感じても、前向きな言葉でフィードバックを続ければ、外国人社員が自信をもって取り組んでくれるはずです。
まとめ
少子高齢化が続く日本では、今後も外国人労働者が増えていくでしょう。文化や価値観が異なる外国人社員のマネジメントに苦戦する人もいると思いますが、本記事でご紹介したポイントをおさえてマネジメントに取り組んでみてください。
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