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技能実習生や特定技能外国人もクレジットカードは作れるの?審査のポイントを解説

買い物をした際の支払い方法は多様化し、クレジットカードの他、交通系ICやPayPayといったQRコード決済サービスも普及しています。

実は、ベトナムや東南アジア諸国では、電子マネーの普及率は日本よりもはるかに高く、特に若者世代にとってはキャッシュレスがごく当たり前のことになっています。

そのため、来日後に突然現金払いしかできない生活になると、戸惑ったりストレスを感じてしまうことがあります。

また、クレジットカードなどのキャッシュレスでの支払いは、コロナ禍でさらに加速しました。フードデリバリーやオンラインショップなど、現金を受け付けないサービスやお店もあります。

クレジットカードを持っていれば、気軽に自分の好きなものが買え、日々の生活の満足度が上がります。生活への満足度が上がれば、会社への定着率も上がりますよね

本記事では、技能実習生や特定技能外国人などの外国人労働者がクレジットカードを作る方法と、その審査のポイントについて詳しく解説していきます。

日本で働く外国人の日常生活に関わることなので、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事の監修
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。

日本でクレジットカードを作れる外国人

航空券の購入からフードデリバリーの支払いまで、クレジットカードは日常生活において必須のアイテムです。

前述の通り、アジア諸国からきた外国人にとっては、日本人以上にキャッシュレスの生活は当たり前のものとなっています。

しかしながら、そもそも身分系在留資格者(永住・定住・配偶者)以外の外国人は、クレジットカードを作ることはできるのでしょうか?

答えはYESです。

身分系在留資格を持たない外国人でも、クレジットカードを作ることができます。

しかし日本人とは異なる審査の基準が設けられており、それらをクリアする必要はあります。

また、外国人とひとくちに言ってもいろいろな人がいます。

例えば、留学生として日本の学校に通う学生や、観光目的で入国した短期滞在者、技能実習生や特定技能など仕事のために入国している人など、状況はさまざまです。

どういった在留資格の外国人がクレジットカードを申請できるのか、審査では何を確認されるのかといった点を詳しく見てみましょう。

就労できる在留資格の保持者

日本で就労するには、「在留資格」(俗にいう就労ビザ)が必要です。

就労が可能な在留資格は19種類あり、クレジットカードを申請するにはこの19種類の中のいずれかの資格に当てはまる必要があります

また、それぞれの在留資格には「在留期間」が定められています。在留期間とは、在留資格を持つ外国人が日本に滞在できる期間のことです。

<就労在留資格19種一覧>

在留資格 該当例 在留期間
外交 外国政府の大使、公使等及びその家族 外交活動の期間
公用 外国政府等の公務に従事する者及びその家族 5年、3年、1年、3カ月、30日、または15日
教授 大学教授等 5年、3年、1年または3カ月
芸術 作曲家、画家、作家等 5年、3年、1年または3カ月
宗教 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 5年、3年、1年または3カ月
報道 外国の報道機関の記者、カメラマン等

 

5年、3年、1年または3カ月
高度専門職 ポイント制による高度人材
研究者、大学教授、会社役員など
5年または無期限
経営・管理 企業等の経営者、管理者等 5年、3年、1年、6カ月、4カ月または3カ月
法律・会計業務 弁護士、公認会計士等 5年、3年、1年または3カ月
医療 医師、歯科医師、看護師等 5年、3年、1年または3カ月
研究 政府関係機関や企業等の研究者等 5年、3年、1年または3カ月
教育 高等学校、中学校等の語学教師等 5年、3年、1年または3カ月
技術・人文知識・国際業務 大学で学んだ専門分野や外国企業での10年以上の経験などと関連する活動
機械工学等の技術者等、通訳、デザイナー、語学講師など※単純労働不可
5年、3年、1年または3カ月
企業内転勤 外国の事業所から日本にある支店の転勤者(活動範囲は技人国と同様) 5年、3年、1年または3カ月
介護 介護福祉士 5年、3年、1年または3カ月
興行 俳優、歌手、プロスポーツ選手等 3年、1年、6カ月、3カ月、または15日
技能 外国料理の調理師、スポーツ指導者等 5年、3年、1年または3カ月
技能実習 技能実習生 1年以内または2年以内
特定技能 特定産業分野における熟練技能が必要な活動 1号:1年、6カ月または4カ月/2号:3年、1年または6カ月

在留期間は3カ月以上

「在留期間」が3カ月未満の外国人はクレジットカードを作ることができません。

在留資格を有していても、在留期間が3カ月未満と定められている在留資格も存在するため注意が必要です。

留学の在留資格保持者

在留資格が「留学」である外国人学生もクレジットカードの申請が可能です。

大学生、大学院生、短大生、専門学生など(高校生を除く)のために、収入審査の厳しくない留学生向けクレジットカードがあります。

観光での滞在者はNG

観光目的で滞在している外国人は、クレジットカードを作ることができません。

短期滞在によるビザ免除国の滞在はこれに該当します。

必要な身分証明書

外国人がクレジットカードの申請をするためには、「在留カード」または「特別永住証明書」といった身分証明書の提示が必要となってきます。

身分証の提示とひとことで言っても、その種類を判断したり関連書類を読んだりと、一連の作業は簡単なものではありません。

日本人でも面倒なプロセスですが、受入れ企業側でもきっちりとサポートしてあげることで外国人労働者から信頼を得ることができます。

信頼関係は地道な作業の積み重ねの上に成り立ちます。しっかりと最後までサポートしていきましょう。

それでは、それぞれの身分証について詳しくみてみます。

在留カード

中長期的に日本に滞在する外国人に対し発行されるカードです(観光目的など3カ月未満の短期滞在者には発行されません)。

カードには、名前、国籍、住居地の他、在留資格も記載されています。在留資格とは、技能実習、特殊技能、報道、医療といった資格を指します。(*上述の“就労在留資格19種一覧”参照)在留カードには「証明書」と「許可証」という2つの役割があります。

それぞれみてみましょう。

証明書

法務大臣が証明する「証明書」です。在留カードを有する外国人が、在留資格および在留期間をもって適法に日本に滞在することを証明する役割があります。

許可証

従来のパスポートになされた各種許可の証印等に代わって許可の様式行為となる「許可証」の役割があります。

特別永住証明書

特別永住者に対し発行されるカードです。特別永住者とは、第二次世界大戦終戦以前から日本に住居している在日韓国人・朝鮮人・中国人およびその子孫のことです。

あると利になる身分証明書

「在留カード」または「特別永住証明書」は、クレジットカードの申請の際必須となります。

その他にも提出すると審査に有利に働く証明書があります。下記に上げる6つの証明書は、多く提示すればするほど審査の上で有益に働きます。

晴れてクレジットカードを持つことができれば、携帯電話代や光熱費など、毎月発生する支払いについて漏れがなくなるため、未納などのトラブルを回避することができます。

パスポート

国外を出て海外へ行く人に対し、その国の政府が発行する当人の身分と国籍を証明する公文書です。旅券とも言います。

健康保険証

医療機関等にて保険診療を受けるための証明です。他人に貸したり、他人から借りたりして使用することは違法行為となります。

日本で取得した運転免許証

道路交通法により車やバイクの運転許可を証明する公文書になります。外国人が出身国等で取得したものではなく、日本で取得した免許証が必要となります。

写真付き住民基本台帳カード

住民基本台帳とは、住民の氏名、生年月日、性別、住所等、住民票に記載された情報を編成したものです。

住民に関する事務処理(選挙人名簿への登録や印鑑登録等)の基礎となります。

外国人が住んでいる市区町村の窓口で交付申請が可能です。カードは写真つきと写真なしが選べるので、写真つきのもの選択して発行してもらいましょう。

本人名義の銀行口座詳細

在留期間が6カ月以上で在留資格が仕事や留学の外国人は、銀行で普通口座を開設することができます。

大手主要銀行の他、ゆうちょ銀行でも口座開設が可能です。

ゆうちょ銀行では英語をはじめ、中国語、ベトナム語、タガログ語など14カ国語にて、口座開設の説明書きがHPに上がっています。

携帯電話の契約詳細

2019年の総務省の調査によると、日本でのスマートフォンならびに携帯電話の保有率は約81%となっています。

技能実習生や特定技能外国人もスマートフォンで母国の家族や友人と連絡を取っていることでしょう。

三大キャリアのドコモ、au、ソフトバンクでは多言語対応ダイヤルを設けています。英語や中国語といったメジャーな言語での対応のみになりますが、不明な点が出てきた場合には当人から電話での問い合わせが可能です。

クレジットカードの審査基準

クレジットカードの申請はしてみたものの、どういった基準で審査が行われるのか気になるところです。

日本人でも審査が下りないこともあるクレジットカードですが、外国人の場合はどういった基準で審査が行われるのかみてみましょう。

在留期間(ビザ)の期限

技能実習生や特定技能の在留資格の在留期間は、最長で5年です。

しかし期限が切れるまで数カ月しかない場合、審査に不利になると考えられます。

なぜなら申請者が利用代金の支払いを終えないうちに帰国してしまうことを、クレジットカード会社は懸念しているためです。

よって申し込みは、在留期間に余裕をもって行う必要があります。

在留資格(ビザ)の種類

一般的に配偶者ビザを保有していると、審査に通りやすいと言われています。

収入

審査の中で最も重視されるのが、支払い能力の有無です。カード保持者が利用したお金を返済できるかどうかは収入で判断されます。

よって収入証明書などで安定した収入があることを示すと、審査に通りやすくなります。

居住年数

日本にどれくらい住んでいるかというのも、ひとつの判断基準になります。

同じ場所に長期間住んでいるか1年以上日本に滞在していると、審査に有利になると言われています。

勤務年数

安定した収入に関係するため、同じ会社にどれだけ長く在籍しているかも審査のポイントとなります。

クレジットカード会社から勤務先へ在籍の有無を確認する電話が入ることもあるので覚えておきましょう。

クレジットカード・ヒストリー

過去に金融事故を起こしていると、審査には通ることは難しくなります。

金融事故とは、返済の遅れや返済ができなくなることを指します。これらの情報は指定信用情報機関というところで一定期間記録される仕組みになっています。

クレジットカード会社は申し込みを受けた時点でこの指定信用情報機関へ問い合わせ、申請者のクレジットカード・ヒストリーを確認します。

金融事故などの情報は永遠に残るわけではなく、5~10年で削除されるようになっていますが、申請のタイミングで履歴があると審査に通ることは難しくなります。

また同時に複数のクレジットカードを申し込むことは、審査に悪影響を与えます。返済能力を超えた大金を一度に手に入れようとしていると疑われる可能性があり、審査が通らないこともあります。

まとめ

技能実習や特殊技能などの在留資格を持つ外国人も、クレジットカードの申し込みをすることはできます。

しかし日本人にはない審査のポイントがいつくかあり、それらをクリアーすることが必要となります。

無事にクレジットカードを入手した後も、リボ払いをしない、使い過ぎない、他人に使わせないなどの指導をしてください。基本的なことですが、最初に伝えておけば防げるトラブルがあります。

どうしても審査に通らない場合には、デビットカードという手段もあります。実際デビットカードを使用している外国人も多くいます。

労働者と雇う側、双方にとって日常生活が楽になるよう、根気強く申請を進めていきましょう。

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