深刻化する人手不足を背景に、外国人の就労を受け入れる企業が増えています。多言語対応や国際的な発想を取り込む一方、在留資格の適合チェック、労働条件の擦り合わせ、日本語教育支援など慎重な体制整備が欠かせません。
本記事では受け入れメリットと注意点、採用から定着までの実務ポイントを解説します。さらに、ビザ期間や離職時の届出義務を怠ると罰則や事業停止リスクも生じます。

(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
外国人の就労に際して企業側が注意すべきポイント
外国人を雇用する際には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。これから解説するポイントに十分注意して、外国人労働者を雇用しましょう。
在留資格を所持しているか確認する
外国人を雇用する際、最も重要なポイントの一つが在留資格の確認です。在留資格は、外国人が日本でどのような活動を行うことができるかを示すものであり、適切な資格を持っていない場合、就労が認められません。
企業は、採用前に候補者が必要な在留資格を所持しているかを確認することが求められます。これにより、法的なトラブルを避けることができ、安心して外国人労働者を受け入れることが可能になります。
また、在留資格の種類によっては、特定の職種や業務に制限があるため、業務内容との整合性も確認することが重要です。
日本語レベルが十分か確認する
外国人労働者を雇用する際、日本語のコミュニケーション能力は非常に重要です。業務の指示や社内のルールを理解するためには、一定の日本語レベルが求められます。
特に、顧客対応やチーム内での協力が必要な職種では、言語の壁が業務の効率を大きく左右することがあります。そのため、採用時には日本語能力試験(JLPT)などの資格を参考にすることが有効です。
また、面接時に実際の会話を通じて、候補者の日本語の理解度や表現力を確認することも重要です。必要に応じて、日本語研修などのサポートを行うことで、スムーズな業務遂行を促進することができます。
労働条件を入念に擦り合わせておく
外国人労働者を受け入れる際には、労働条件の明確な擦り合わせが不可欠です。特に、給与、勤務時間、休日、福利厚生などの基本的な労働条件については、事前に詳細を確認し、双方が納得できる形で合意を形成することが重要です。
文化や慣習の違いから誤解が生じることもあるため、具体的な内容を文書化し、契約書として残しておくことが望ましいでしょう。
また、労働条件に関する説明は日本語だけでなく、外国人労働者の母国語でも行うことで、理解を深める手助けになります。
就労ビザ(在留資格)の期間を把握しておく
外国人を雇用する際には、就労ビザ(在留資格)の期間を正確に把握することが重要です。
ビザの有効期限が切れると、労働者は日本での就労ができなくなり、企業側にも多大な影響を及ぼします。特に、ビザの更新手続きは期限が近づくにつれて煩雑になることがあるため、早めに準備を進めることが求められます。
また、ビザの種類によっては、更新の際に必要な書類や条件が異なるため、事前に確認しておくことが必要です。これにより、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることができ、企業としてもスムーズな運営が可能になります。
採用・離職時に正しく届けを提出する
外国人労働者を採用する際には、在留資格に基づく法的な手続きが不可欠です。特に、採用時には「雇用契約書」や「在留資格変更届」を正確に提出する必要があります。
これにより、外国人労働者が適切な在留資格を持っていることを確認し、法令遵守を図ることができます。
また、離職時には「退職届」を提出することも必要です。この手続きが怠られると、企業側に罰則が科される可能性があるため、注意が必要です。
宗教や文化の違いを理解する
外国人を受け入れる際には、宗教や文化の違いを理解することが重要です。異なるバックグラウンドを持つ従業員が集まることで、職場の多様性が生まれ、さまざまな視点やアイデアが交流する機会が増えます。
しかし、文化的な誤解や宗教的な慣習に対する無理解は、職場の雰囲気を悪化させる要因となることがあります。例えば、特定の宗教を持つ従業員がいる場合、礼拝の時間や食事制限に配慮する必要があります。
また、文化的なイベントや祝日を尊重することで、従業員が働きやすい職場作りにもつながります。企業側は、これらの違いを理解し、受け入れる姿勢を持つことで、より良い職場環境を築くことができるでしょう。
外国人の就労を受け入れるメリット
外国人の就労を受け入れることには、企業にとって多くのメリットがあります。これから説明するメリットを踏まえ、外国人の方の採用を視野に入れましょう。
人手不足が解消される
深刻な人手不足は、多くの業界において共通の課題となっています。特に、製造業やサービス業では、労働力の確保が企業の成長を左右する重要な要素です。外国人の就労を受け入れることで、これらの業界における人手不足を効果的に解消することが可能になります。
外国人労働者は、異なるバックグラウンドやスキルを持っており、企業に新たな視点やアイデアをもたらすことが期待されます。また、若手人材の確保も同時にすることが可能で、社内の平均年齢を下げることも可能です。
単なる人手不足の解消だけではなく、多言語を話せる人材の確保も同時にできるため、海外展開など新しい道に進むときに活躍できる人材になるポテンシャルを持っています。
外国人雇用専用の助成金などを活用できる
外国人を雇用する企業には、さまざまな助成金や支援制度が用意されています。これらの制度を活用することで、採用コストを軽減し、経済的な負担を和らげることが可能です。
例えば、外国人技能実習生を受け入れる企業には、実習生の受け入れにかかる費用を一部補助する助成金が存在します。
また、外国人雇用に特化した助成金もあり、これを利用することで、企業は人材確保にかかる経済的なリスクを軽減できます。これらの制度を積極的に活用することで、企業は人手不足の解消だけでなく、経営の安定化にも寄与することができるでしょう。
多言語対応することができる
外国人を雇用することで、企業は多言語対応の能力を高めることができます。特に、国際的なビジネス環境においては、顧客や取引先とのコミュニケーションが円滑に行えることが重要です。
外国人労働者は、母国語を活かして多様な言語での対応が可能となり、顧客サービスの質を向上させることが期待されます。
また、異なる文化背景を持つスタッフがいることで、企業内のアイデアや視点が豊かになり、今までにない発想が生まれる可能性があります。
職場に活気が生まれる
外国人の就労を受け入れることで、職場に新たな活気が生まれることは大きなメリットの一つです。異なる文化や価値観を持つ外国人社員が加わることで、チーム内のコミュニケーションが活性化し、創造的なアイデアや新しい視点が生まれやすくなります。
また、多様なバックグラウンドを持つ社員が集まることで、職場の雰囲気が明るくなり、社員同士の交流が深まります。その地域特有の文化について話たり、他言語で会話することで今までにない話題で盛り上がることができます。
これにより、チームワークが向上し、社員のモチベーションも高まるため、結果として生産性の向上が期待できます。
就労ビザ(在留資格)を持つ外国人を雇用する方法とは
外国人を雇用する際には、適切な手段を選ぶことが重要です。自社に合う方法を選ぶことで、求める人材に出会うことができるでしょう。
人材紹介会社を利用する
外国人の就労を受け入れる際、効果的な方法の一つが人材紹介会社の利用です。これらの会社は、外国人労働者の採用に特化したサービスを提供しており、企業のニーズに合った人材を迅速に見つける手助けをしてくれます。
特に、言語や文化の違いに対する理解が深い専門家が揃っているため、スムーズなコミュニケーションが可能です。
また、在留資格やビザの手続きに関するアドバイスも受けられるため、法的なリスクを軽減することができます。人材紹介会社を利用することで、企業は時間と労力を節約し、より適切な人材を確保することができるでしょう。
SNSで募集をかける
SNSは、外国人労働者を募集するための効果的な手段の一つです。特に、FacebookやLinkedIn、Xなどのプラットフォームは、広範囲にわたるユーザー層を持ち、ターゲットとなる人材に直接アプローチできる利点があります。
企業は、自社の文化や求めるスキルを具体的に示した投稿を行うことで、興味を持つ候補者を引き寄せることができます。また、SNSを通じて企業の魅力を発信することで、応募者の関心を高めることも可能です。
一方で、素性が話してみるまでわからないことも多く、適したアプローチをしないと無駄な口数がかかってしまうため注意が必要です。
語学学校に求人掲載をお願いする
外国人の就労を受け入れる際、語学学校に求人を掲載することは非常に効果的な手段の一つです。
多くの語学学校では、外国人学生が日本での就職を希望しているため、学校側も求人情報を提供することに積極的です。これにより、企業は日本語を学びながら日本での就労を希望する優秀な人材に直接アプローチできるチャンスが広がります。
また、語学学校との連携を通じて、学生の日本語能力や文化理解度を事前に把握することができるため、採用後のミスマッチを減らすことにもつながります。求人掲載の際は、具体的な職務内容や求めるスキルを明確に記載することが重要です。
教育機関などと連携して募集する
外国人の就労を受け入れる際、教育機関との連携は非常に有効な手段です。特に語学学校や専門学校と協力することで、優秀な人材を直接紹介してもらえる可能性が高まります。
これにより、求めるスキルや日本語能力を持った学生をターゲットにした採用活動が可能になります。
また、教育機関は学生の就職支援を行っているため、企業側も安心して採用を進めることができます。さらに、インターンシッププログラムを通じて、実際の業務を体験してもらうことで、相互理解を深めることができ、定着率の向上にも寄与します。
外国人に特化した求人サイトに掲載する
外国人の就労を受け入れる際、特に効果的な方法の一つが外国人に特化した求人サイトへの掲載です。
これらのサイトは、外国人求職者が集まるプラットフォームであり、企業が求めるスキルや経験を持った人材を効率的に見つけることができます。
求人情報を掲載する際には、具体的な職務内容や求めるスキル、労働条件を明確に記載することが重要です。
また、外国人求職者に対して企業の文化や働きやすさをアピールすることで、応募者の関心を引くことができます。さらに、これらのサイトでは多言語対応がされていることが多く、言語の壁を越えてスムーズなコミュニケーションが可能です。
優秀な外国人労働者を雇用するためのコツ
優秀な外国人労働者を雇用するためには、いくつかのポイントがあります。これから解説するポイントを掛け合わせることで、従業員の定着率が向上し、企業全体の生産性も高まります。
給料や福利厚生を充実させる
優秀な外国人労働者を雇用するためには、給料や福利厚生の充実が不可欠です。競争が激化する中で、魅力的な給与体系を提示することは、他社との差別化につながります。特に、生活費が高い都市部では、給与水準を見直し、適切な水準を設定することが求められます。
また、福利厚生も重要な要素です。健康保険や年金制度、育児休暇、住宅手当など、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることで、定着率を高めることができます。
さらに、文化的な違いを考慮し、異文化理解を促進するプログラムや、日本語教育の支援を提供することも、働きやすさを向上させるポイントです。
日本語のサポートを充実させる
外国人労働者が日本で円滑に業務を遂行するためには、日本語のサポートが不可欠です。特に、業務に必要な専門用語や日常会話を理解できることは、コミュニケーションの質を高め、業務の効率化にもつながります。
企業は、社内での日本語研修プログラムを設けたり、外部の日本語学校と提携して学習の機会を提供することが重要です。
また、業務に関連する日本語のマニュアルや資料を用意し、外国人労働者が自主的に学べる環境を整えることも効果的です。こうした取り組みを通じて、外国人労働者の日本語能力を向上させることで、働きやすい環境を作ることができます。
まとめ
外国人の就労を受け入れることは、企業にとって多くのメリットをもたらします。人手不足の解消や多様な視点の導入、さらには助成金の活用など、さまざまな利点があります。
しかし、在留資格の確認や日本語教育の支援、労働条件の明確化など、慎重な体制整備が求められます。これらのポイントをしっかりと押さえ、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが、企業の成長につながるでしょう。
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