外国人採用ガイド

外国人が日本で運転免許を取得する方法と外免切替制度の概要・適用の条件について解説

外国人が日本で長期間にわたって働く場合、業務や生活の中で自動車の運転免許が必要となるケースも少なくありません。

特に近年では、自動車運送業分野において特定技能制度の活用が始まったことから、外国人による運転免許の取得ニーズが一段と高まっています。ただし、日本で免許を新たに取得する場合や、海外で取得した免許を切り替える場合には、さまざまな条件や手続きがあるため、事前に正確な情報を把握しておかないとトラブルにつながるおそれがあります。

本記事では、外国人が日本で自動車を運転するために必要な免許制度の概要や、外免切替の方法・適用条件について分かりやすく解説しています。

目的や在留状況に応じて求められる免許の種類や申請手続きの流れも丁寧に紹介していますので、日本での運転を検討している外国人や雇用主の方は、ぜひ参考にしてください。

安藤 祐樹この記事の監修
きさらぎ行政書士事務所
行政書士 安藤 祐樹
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

外国人が日本で自動車を運転する方法

外国人が日本で自動車を運転する方法には、いくつかの選択肢があります。

どの方法が適しているかは、在留期間、運転の目的、そして母国で取得した免許の種類などによって異なります。

ここでは、それぞれの運転方法の特徴や利用条件について、順を追って分かりやすく解説します。

日本の運転免許を新規取得する

日本で運転免許を新たに取得する場合は、指定自動車教習所に入学し、学科および技能教習を修了したうえで、運転免許試験場で適性試験と学科試験に合格するのが一般的な方法です。

教習所を経由せずに運転免許試験場で直接、仮免許や本免許の試験を受けて取得することも可能ですが、技能試験の難易度が高いため、多くの方が教習所に通い、技能試験免除の制度を利用しています。

技能試験は、独学での練習が難しく、練習場所の確保も困難であるため、運転免許取得者全体のうち約97.5%が自動車教習所を卒業して免許を取得しているとされています。

国際免許で運転する

ジュネーブ条約に基づいて発行された国際運転免許証を所持している場合は、日本の運転免許を持っていなくても、日本国内で自動車を運転することが可能です。

この国際運転免許証の有効期間は、日本への上陸日から1年間、または外国の運転免許証の有効期限のいずれか短い方が適用されます。

ただし、日本に住民登録がある外国人が一時帰国中に国際免許を取得し、その後日本へ再入国した場合、直前の出国から3カ月未満での再入国では、再上陸日を有効期間の起算日として利用することはできません。

外国免許を日本の免許に切り替える(外免切替)

外免切替とは、外国で発行された有効な運転免許を持つ方が、一定の条件を満たすことで日本の運転免許に切り替えられる制度です。

この制度で取得できるのは通常の日本の運転免許であり、国際免許のように有効期間が短く制限されることはありません。

切り替え後は、交通違反時の点数制度や定期的な更新手続きなど、日本の運転免許制度に基づいて運転することになります。

外国免許のまま運転が認められる例外

一部の国や地域では国際運転免許証の制度が存在しない場合がありますが、それらの免許証であっても例外的に日本での運転が認められるケースがあります。

この制度が適用されるのは、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾の6か国・地域で、日本と同等の基準を備えた運転免許制度を有しています。

ただし、該当する免許証を所持している場合でも、日本語訳文の携帯が義務付けられており、その翻訳文書はJAFや在日大使館などの認定機関による発行が必要です。

この制度の利用期間は日本への上陸日から1年間とされており、長期的に運転を希望する場合は、外免切替による日本の免許取得が必要となります。

目的別に必要な運転免許

運転免許が求められる状況は、旅行や就労、特定の業務に従事する場合など、目的によって大きく異なります。

この章では、目的に応じて必要となる運転免許の種類について、ケース別に分かりやすく紹介します。

観光で運転する場合

観光目的で日本を訪れる場合、レンタカーの運転には国際運転免許証があれば対応できます。

国際免許の有効期間は1年間であり、短期滞在の旅行者であれば日本の免許を新たに取得する必要はありません。

一方で、中長期在留者が一時帰国時に国際免許を取得し、再び日本に入国する場合には注意が必要です。

一時帰国による海外滞在が3カ月未満の場合は、再入国日を国際免許の有効期間の起算日とすることはできず、初回の上陸日から1年間が有効期間とみなされます。

仕事で運転する場合

日本で仕事をする際に自動車を運転する場合は、滞在期間に応じて必要となる免許の種類が異なります。1年未満の滞在であれば、国際運転免許証を利用して運転することも可能です。

ただし、国際免許は有効期間の延長ができないため、長期間にわたって日本で運転する予定がある場合は、早めに外免切替などを行い、日本の正式な運転免許を取得することが大切です。

特定技能「自動車運送業」で運転する場合

特定技能「自動車運送業」の在留資格で働く場合は、日本の運転免許証を保有していることが必須条件です。国際運転免許証や外国免許のみでは、在留資格の取得要件を満たすことができません。

たとえばトラック運転業務に従事するには、第一種運転免許の取得が必要です。外免切替や自動車教習所での取得を通じて、特定技能の在留申請前に日本の免許を取得しておく必要があります。

また、バスやタクシーを運転するには、第二種運転免許の取得と新任運転者研修の修了が必要です。

これらは特定技能の在留資格を申請する前に完了しておく必要があるため、就労開始までに十分な準備期間を確保することが求められます。なお、第二種免許を取得するためには、あらかじめ第一種運転免許を所持していることが条件です。

運転免許取得のための特定活動「特定自動車運送業準備」

特定技能「自動車運送業」で在留資格を取得するには、事前に日本の運転免許証を取得しておくことが絶対条件となっています。

そこで、こうした免許取得のために「特定活動(特定自動車運送業準備)」という就労準備のための在留制度が創設されました。この特定活動を活用することで、外国人トラック運転者は最長6か月、バスやタクシー運転者は最長1年間、日本の免許取得や新任運転者研修の受講などの必要な準備活動を行うことが可能です。

特定活動「特定自動車運送業準備」は、将来的に特定技能1号として運送業務に従事することを見据えて設計されており、所属機関との雇用契約に基づき準備活動が行われます。免許取得や研修修了後は速やかに特定技能1号への在留資格変更を申請しなければなりません。

外免切替で運転免許を取得する方法

ここからは、警視庁の手続きを例に、外国の運転免許証から日本の運転免許証へ切り替える際の具体的な条件や注意点について詳しく解説します。
免除対象国や必要書類、手数料などについても順を追って紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

免除対象の試験科目と対象国

外免切替とは、外国で取得した運転免許証を所持している方が、日本の運転免許試験場で知識および技能の確認を受け、一定の基準を満たした場合に、通常必要とされる学科試験や実技試験が免除される制度です。

ただし、日本と同等水準の免許制度を有する一部の国・地域については、知識確認や技能確認自体も一部または全て免除されることがあります。

以下に、免除の対象となる国・地域および免除される科目について紹介します。

知識確認・技能確認の両方が免除される国・地域

知識確認と技能確認の両方が免除されるのは、以下の29の国・地域です。

これらの国・地域で発行された有効な運転免許証を所持している場合、外免切替の際に日本で運転に必要な知識および技能の確認を受ける必要がなく、手続きが大幅に簡素化されます。

知識確認、技能確認の両方が免除される国・地域
アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェ-デン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェ-、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾

技能確認のみ免除される国・地域

技能確認のみ免除される国・地域としては、アメリカ合衆国インディアナ州が該当します。

この州で取得した有効な運転免許を日本で切り替える場合、技能確認は省略されますが、知識確認は必要です。

技能確認のみ免除される国・地域
アメリカ合衆国(インディアナ州)

外免切替をするために必要な資格

外免切替の申請資格として、まず18歳以上(普通二輪は16歳以上、中型免許は20歳以上、大型免許は21歳以上)であることが求められます。

加えて、外国で運転免許を取得した後に、その国や地域に通算3カ月以上滞在している必要があります。

また、普通免許や二輪免許の場合は両眼で0.7以上、かつ一眼ごとに0.3以上の視力が求められ、一眼の視力が満たない場合や見えない場合には、もう一方の眼で視野が左右150度以上、かつ視力0.7以上が条件となります。

一方、準中型・中型・大型免許の場合は両眼で0.8以上、一眼ごとに0.5以上、さらに三桿法による奥行知覚検査で3回の平均誤差が2センチメートル以下という基準を満たさなければなりません。

なお、過去に日本の運転免許を取得し取消処分(初心取消を除く)を受けた方は、欠格期間経過後かつ受験前1年以内に取消処分者講習を修了している必要があります。

外免切替の申請手数料

外免切替の申請にかかる手数料は、申請内容や免許の種類によって異なります。

2025年7月時点における、東京都の申請手数料は以下の通りです。

外免切替の申請手数料(東京都)
普通:2,500円
原付:1,600円
大型・中型・準中型:3,900円
その他:2,800円
交付手数料:2,350円
併記手数料:200円

※手数料の金額は都道府県により異なります。

外免切替の必要書類

外免切替の手続きの際に提出する共通書類は以下の通りです。

共通の提出書類
・有効な外国の運転免許証(提示のみ)
・外国の運転免許証の日本語翻訳文
・本籍(国籍)が記載された住民票の写し(中長期在留者)
・パスポート(短期滞在者)
・外国の運転免許を取得した国に3カ月以上滞在していたことを証明する書類(パスポートなど)
・申請用写真

提出書類の詳細は国や地域によって異なる場合がありますので、必ず各都道府県警察の公式サイトで最新の情報を確認してください。

以下は、東京都(警視庁)における外免切替手続きの公式ページのURLです。

参考:警視庁|外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替えるには

外免切替の注意事項

外免切替によって日本で運転する場合は、日本の交通ルールを守ることはもちろん、外国免許の取得日からの経過日数など、外免切替特有の制限事項にも注意が必要です。

ここでは、外免切替を行う際に見落としやすい注意点について詳しく解説します。

初心者マークの表示

原則として、初心運転者に該当する方は、免許証の交付日から1年間、自動車の前後に初心者マークを表示して運転する必要があります。

また、この期間中に交通違反や事故などにより、累積で3点以上の違反点数(1回の違反が3点の場合は4点以上)に達した場合は、「初心運転者講習」の受講が義務付けられます。

外免切替を行う場合は、外国免許の交付日から1年以上、その国に継続して滞在していたことを証明できれば、初心者マークの表示義務は免除されます。ただし、表示義務免除の条件に適合していることを証明できない場合は、日本の制度上、初心運転者として扱われ、初心者マークの表示が必要です。

二輪車の2人乗り制限

日本国内で二輪車を2人乗りで運転するには、運転免許の取得から1年以上が経過していることが必要です。さらに、高速道路で2人乗りを行う場合には、二輪免許の経歴が3年以上あることが求められます。

外免切替によって二輪免許を取得する場合でも、外国免許の交付日から1年または3年以上、その国に継続して滞在していたことを証明できれば、これらの制限は適用されず、2人乗りでの運転が可能となります。

短期滞在者の外免切替が認められなくなる可能性

2025年7月時点では、観光客を含む短期滞在者であっても、外国免許から日本の運転免許への切替が認められています。

しかし、警察庁は今後、住民票による住所確認を義務付ける新制度への移行を予定しており、これにより短期滞在者の外免切替は認められなくなる見込みです。

制度改正が実施されると、短期滞在者は国際運転免許証での運転に限られ、外免切替は中長期滞在者のみを対象とする制度へと変更されることとなります。

まとめ

この記事では、日本の運転免許制度の基本的な仕組みや手続きの流れ、外免切替の詳細、注意すべきポイント、さらには今後の制度変更の見通しまでを幅広く解説しました。

外免切替を検討している方は、まず自身が対象となる免除科目や必要書類を確認しましょう。疑問点や不明な点がある場合は、運転免許試験場や関係機関に事前に相談し、不安を払拭した上で手続きを進めることが大切です。

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