外国人が多い職場では、多様な価値観が融合してイノベーションが生まれやすい反面、言語や文化の壁がコミュニケーションの障害になる場合もあります。
本記事では、そんな職場に見られる共通の特徴を掘り下げるとともに、ダイバーシティを強みに変え、外国人も日本人も安心して働ける環境を整える具体的なポイントを丁寧に解説します。

(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
日本人、外国人含め「300社・5,000件」以上の採用支援実績。自社でも監理団体(兼 登録支援機関)に所属し、技能実習生・特定技能外国人の採用に取り組んでいる。外国人雇用労務士・外国人雇用管理主任者資格保有。(一社)外国人雇用協議会所属。
日本語が話せない外国人労働者との接し方とは
日本語が話せない外国人労働者とのコミュニケーションは、文化や価値観の違いを理解し、受け入れることから始まります。それ以外にも気をつけるポイントはいくつかあるので、ここでは4つのポイントを解説します。
文化や価値観の違いを受け入れる
日本語が話せない外国人労働者との接し方において、最も重要なのは文化や価値観の違いを理解し、受け入れる姿勢です。異なるバックグラウンドを持つ人々が集まる職場では、コミュニケーションのスタイルや仕事に対する考え方が異なることが多く、これが誤解や摩擦を生む原因となることがあります。
例えば、時間に対する感覚や、チームワークの重要性に対する認識が異なる場合、意見の食い違いが生じることがあります。とはいえ、特別扱いするのではなく、日本人労働者と同等の扱いをしてあげることがチームのバランスを取るために大切です。
外国人労働者の出身国の習慣や価値観を知ることで、彼らの行動や反応に対する理解が深まり、より円滑なコミュニケーションが可能になります。
簡単な日本語を使う
日本語が話せない外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にするためには、簡単な日本語を使うことが非常に重要です。専門用語や難しい表現は避け、シンプルで明確な言葉を選ぶことで、相手が理解しやすくなります。
例えば、日常的な挨拶や基本的な指示を短い文で伝えることが効果的です。また、相手の反応を見ながら、必要に応じて言い換えたり、繰り返したりすることで、より確実に意思を伝えることができます。
翻訳アプリを活用する
翻訳アプリは、日本語が話せない外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にするための強力なツールです。スマートフォンやタブレットにインストールすることで、リアルタイムで言語の壁を越えることができます。
特に、簡単な会話や業務指示を翻訳する際に非常に便利です。多くのアプリは音声入力にも対応しており、発音を聞き取ることができるため、相手の理解を助けることができます。
また、翻訳結果を画面で確認できるため、誤解を避けることにもつながります。ただし、機械翻訳には限界があるため、重要な内容やニュアンスを伝える際には注意が必要です。
ジェスチャーを活用する
言葉の壁を越えるためには、ジェスチャーを活用することが非常に効果的です。非言語コミュニケーションは、文化や言語に関係なく理解されやすい特徴があります。例えば、指差しや手を使った動作は、相手に意図を伝える手助けとなります。
また、笑顔やうなずきといった表情も、相手に安心感を与え、コミュニケーションを円滑に進める要素となります。
さらに、具体的な行動を示すことで、相手が理解しやすくなることもあります。例えば、物を渡す際には手を差し出す、指示をする際にはその方向を示すなど、視覚的なサポートを加えることで、相手の理解を助けることができます。
日本語が話せない外国人労働者を受け入れると起きるトラブル
日本語が話せない外国人労働者を受け入れることで、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。これから解説するトラブルを未然に防ぐためには、適切な対策が必要です。
客とのトラブルが発生する可能性が高い
日本語が話せないスタッフが接客を担当すると、説明不足や誤解により商品案内ミスや決済トラブルが頻発します。不満を抱いた顧客が口コミサイトで低評価を投稿すると、ブランドイメージは瞬時に毀損し集客が減少します。
また、スタッフがクレーム処理を自力で行えず精神的負担が増し離職につながります。予防策として、日本語研修とロールプレイを徹底し、複雑な問い合わせを引き継ぐスーパーバイザー制度を整備することが有効です。
業務効率が悪くなる
日本語が話せない外国人労働者が職場にいる場合、業務効率が悪化することがあります。言語の壁があるため、指示や業務内容の理解に時間がかかり、結果として作業が遅れることが多いのです。
また、コミュニケーションの不足から誤解が生じやすく、再作業や修正が必要になるケースも見受けられます。これにより、チーム全体の生産性が低下し、業務の進行に支障をきたすことがあるため、早期に対策を講じることが重要です。
適切なサポートやコミュニケーション手段を整えることで、効率的な業務運営を実現することが可能になります。
従業員同士の意思疎通が取れない
多国籍チームでは言語だけでなく報告スタイルや価値観の違いが衝突を招きます。日本語が不得手なメンバーは会議で発言を控え、現場課題が上層部に届かず改善が停滞します。
逆に直接的表現に慣れた文化圏の率直な意見が日本人に攻撃的と受け取られることもあり、ストレスが蓄積して派閥化やハラスメント疑念を生む原因となります。
対策として報告書式を統一し共有言語をシンプルな日本語か英語に決めるほか、週次勉強会で文化背景を紹介し合う場を設けると相互理解が進みます。
外国人労働者が日本語が話せるようになるには
外国人労働者が日本語を習得するためには、いくつかのポイントがあります。これから説明する取り組みを通じて、外国人労働者が日本語を習得しやすい環境を整えることが求められます。
日本語で積極的に話しかける
日本語が話せない外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にするためには、まず日本語で積極的に話しかけることが重要です。
言葉の壁がある中でも、相手に話しかけることで、彼らが日本語に触れる機会を増やすことができます。最初は簡単な言葉やフレーズから始め、徐々に会話の幅を広げていくと良いでしょう。
また、相手が理解できるように、ゆっくりとした口調で話すことや、身振り手振りを交えながら説明することも効果的です。こうしたアプローチは、外国人労働者にとって安心感を与え、コミュニケーションのハードルを下げることができます。
バイリンガル人材を採用する
外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にするための一つの有効な手段は、バイリンガル人材を採用することです。日本語と母国語の両方を流暢に話せる人材は、言語の壁を越えて日本人スタッフとの橋渡し役を果たすことができます。
これにより、業務の指示やフィードバックがスムーズに行えるため、誤解やトラブルを未然に防ぐことが可能です。また、バイリンガル人材は異文化に対する理解がある人が多く、職場のダイバーシティをさらに強化する役割も担います。
日本語学校に通ってもらう
外国人労働者が日本語を習得するための効果的な方法の一つは、日本語学校に通うことです。専門の教師から体系的に学ぶことで、文法や語彙をしっかりと身につけることができます。
また、クラスメートとの交流を通じて、実際の会話練習も行えるため、言語スキルの向上が期待できます。さらに、日本語学校では文化やビジネスマナーについても学ぶ機会があり、職場でのコミュニケーションを円滑にするための基盤を築くことができます。
企業としては、外国人労働者が日本語学校に通うための支援を行うことで、彼らの成長を促し、職場全体の雰囲気を良くすることができるでしょう。
外部講師による講義を導入する
外国人労働者が日本語を学ぶための効果的な方法の一つとして、外部講師による講義の導入が挙げられます。専門の日本語教師を招くことで、実践的な会話力を身につけることができ、職場でのコミュニケーションが円滑になります。
外部講師は、文化やビジネスマナーについても指導できるため、単なる言語教育にとどまらず、職場環境に適応するための知識も提供してくれます。
また、定期的な講義を通じて、外国人労働者同士の交流も促進され、チームワークの向上にも寄与します。このように、外部講師を活用することで、外国人労働者が日本語を学ぶ環境を整えることができるのです。
eラーニングを活用する
eラーニングは、外国人労働者が日本語を学ぶための効果的な手段の一つです。オンラインで提供される多様なコースや教材を利用することで、学習者は自分のペースで学ぶことができます。特に、忙しい職場環境においては、時間を有効に使える点が大きなメリットです。
また、eラーニングは視覚的な教材やインタラクティブな練習問題を通じて、理解を深める助けにもなります。さらに、学習の進捗を管理できる機能がついているサービスも多いため、個々の成長を把握しやすく、モチベーションの維持にもつながります。
社内外との交流機会を積極的に作る
外国人労働者が日本語を習得するためには、実際のコミュニケーションの場が非常に重要です。社内外での交流機会を設けることで、言語の壁を越えた関係構築が促進されます。
例えば、定期的なランチ会やチームビルディングイベントを開催することで、自然な会話が生まれ、言語スキルの向上につながります。
また、地域のイベントやボランティア活動に参加することも効果的です。こうした活動を通じて、外国人労働者は日本の文化や習慣を学びながら、同僚との絆を深めることができます。
積極的に交流の場を作ることで、外国人労働者の日本語力を上げながら、職場全体の雰囲気も良くなります。
日本語喋れる外国人労働者を採用する方法
日本語を話せる外国人労働者を採用するためには、いくつかのポイントがあります。これから解説する方法を自社に取り入れることで、日本語に長けた外国人を採用できるようになるでしょう。
日本語能力試験(JLPT)のN1またはN2レベルを要求する
日本語を話せる外国人労働者を採用する際には、日本語能力試験(JLPT)のN1またはN2レベルを要求することが重要です。これにより、職場の円滑な運営が期待できます。
N1は日本語の理解度が非常に高く、複雑な表現や専門用語も使いこなせるレベルです。一方、N2は日常会話やビジネスシーンでのコミュニケーションに必要な能力を備えていることを示します。
これらを実現するには、予め求人広告に応募資格として記載したり、人材紹介会社に伝えることが重要です。これらの基準を設けることで、外国人労働者が日本の職場文化にスムーズに適応し、チームの一員として活躍できる環境を整えることができます。
日本で生活経験の長い外国人を採用する
日本での生活経験が長い外国人労働者を採用することは、企業にとって多くのメリットがあります。彼らは日本の文化やビジネスマナーに精通しており、職場のコミュニケーションが円滑に進む可能性が高いです。
また、日本語の理解度も高いため、業務においてもスムーズな連携が期待できます。さらに、彼らは日本での生活を通じて、さまざまな価値観や視点を持っているため、チームの多様性を高め、新しい着眼点からのアイデアが出てきたりします。
こうした背景を持つ外国人を採用するために、身分系在留資格者(永住・定住・日本人配偶者)や技人国の中でも日本の在留歴が長い方などが該当しやすいため、事前に確認することをお勧めします。
専門学校と連携して紹介してもらう
外国人労働者を採用する際、専門学校との連携は非常に有効な手段です。日本には多くの専門学校があり、特に外国人留学生を対象としたプログラムを提供しているところも増えています。
これらの学校は、学生が日本での就職を希望する際に、企業とのマッチングをサポートしてくれることが多いです。専門学校と連携することで、学生の日本語能力や専門知識を事前に把握できるため、企業側も安心して採用を進めることができます。
また、外国人本人や企業側の一定条件を満たすことで、留学の在留資格から、技人国や特定技能などの就労系在留資格に切り替えて働くことが可能となることは念頭に入れておきましょう。
まとめ
日本語が話せない外国人労働者との接し方について、文化や価値観の違いを受け入れ、簡単な日本語や翻訳アプリ、ジェスチャーを活用することが重要です。
これにより、コミュニケーションの障害を軽減し、職場のダイバーシティを強みに変えることができます。
外国人労働者が日本語を学ぶ環境を整えることも、長期的な職場の安定に寄与します。多様なバックグラウンドを持つ人々が共に働くことで、より豊かな職場環境が実現できるでしょう。
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