特定技能で外国人を採用している企業にとって、制度上の在留上限年数に対する理解は、従業員のキャリアプランの策定や就労年数の見込みを計算する上でとても重要です。
特定技能の通算期間の考え方を誤ると、計画通りの人材育成ができなくなる可能性も高まります。
本記事では、特定技能で在留できる上限年数や延長の仕組み、通算期間の計算方法についてわかりやすく解説します。
さらに、例外的に通算に含まれない期間や、2号への移行を見据えた対応のポイントまで整理し、受け入れ企業が押さえるべき実務知識をまとめます。
この記事の監修きさらぎ行政書士事務所
行政書士 安藤 祐樹
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)
INDEX
特定技能の在留期間
特定技能で雇用する場合、在留できる期間の仕組みを正しく把握しておくことが重要です。
しかし、在留期間という言葉には、通算在留期間と一度に付与される在留期間の両方の意味が含まれているため混同しないようにすることが大切です。
そこで、まずは一度に付与される期間の仕組みを整理していきます。
一度に付与される在留期間
特定技能1号では、一度に付与される在留期間は3年を超えない範囲で法務大臣が個別に定める仕組みとなっており、最短は4か月で、そこから1か月刻みで最大3年までの期間が決定されます。
そのため、毎回一律の年数が与えられるわけではなく、雇用契約の内容や在留状況などを踏まえて判断されることとなります。
一方、特定技能2号は3年、2年、1年、6か月の4区分から在留期間が決定され、雇用契約の期間や自動更新の有無、これまでの在留状況などが考慮されます。
このように、1号と2号では一度に認められる年数の決まり方が異なります。
特定技能の在留上限年数
特定技能で長期的な雇用を考える場合、在留できる年数の上限を把握しておくことが欠かせません。
ここからは、特定技能1号と2号それぞれの在留可能な年数の考え方を整理します。
特定技能1号は原則5年の上限年数がある
特定技能1号は、原則通算で最長5年間まで在留できると定められており、この期間を超えて同じ在留資格のまま働き続けることはできません。
そのため、雇用契約の期間が残っていても、通算期間が上限に達すれば1号としての就労は終了します。
この5年は更新を重ねた合計期間で判断されるため、在留カードから通算年数を読み取ることはできません。
特定技能1号の転職者の採用をする場合などは、採用時点で特定技能1号の在留資格で何年何カ月在留しているかを確認することが重要です。
特定技能2号は上限年数がない
特定技能2号は、更新を重ねることで在留を継続できる仕組みであり、1号のような通算年数の上限は設けられていません。
そのため、更新許可の要件を満たし続ける限り、長期的に就労することが可能となります。
ただし、更新許可申請の審査では納税義務の履行状況や法令遵守の状況なども確認されます。
もし税金や保険料の未納、刑事処分などがある場合には更新不許可となる可能性があり、安定した在留のためには日頃から適正に義務を履行しておくことが重要です。
特定技能1号の通算期間の計算方法
特定技能1号では、上限である5年をどのように数えるのかが実務上の重要なポイントとなります。
しかし、単純に過去に日本に滞在した期間を合計すればよいわけではありません。
そこで、ここからは通算に含まれる期間と含まれない期間の考え方を整理します。
一時帰国中も含まれる
特定技能1号で在留している外国人が一時帰国する場合、通常は在留資格を維持したままみなし再入国許可の制度を利用して出国します。
このようにみなし再入国許可を受けて出国している期間は、通算期間の計算から除外されるわけではありません。
つまり、母国に滞在している間も特定技能の在留期間は進行していると扱われます。
特定活動(特定技能1号移行準備)期間も含まれる
特定活動(特定技能1号移行準備)は、特定技能1号への在留資格変更に向けた申請準備が整わない場合に、一定期間就労しながら特定技能1号への移行準備をするために認められる在留資格です。
この在留資格では通常6か月の期間が付与され、特定技能1号で従事する予定の業務に就くことが前提とされています。
したがって、名目上は特定活動であっても、実質的に特定技能1号の業務に従事する期間であることから、通算5年の計算に含まれます。
通算に含まれない期間
ここまで通算に含まれる期間を解説してきましたが、特定技能1号の許可を受けたすべての在留期間が通算に算入されるわけではありません。
ここからは、どの期間が通算から除外されるのか、具体的なケースごとに整理していきます。
単純出国期間
特定技能外国人が雇用契約を終了し、再入国許可やみなし再入国許可を受けずに出国した場合は、在留資格の許可はその時点でいったん終了します。
このような単純出国に該当するケースでは、日本に滞在していない期間は在留資格を保持していない状態となります。
その後、改めて在留資格認定証明書や査証を取得して入国し、特定技能1号として就労を再開する場合には、帰国中の期間は通算5年の計算に含まれません。
やむを得ない事情により再入国できなかった期間
再入国許可やみなし再入国許可により出国した後、感染症対策による上陸拒否措置など、本人の責めに帰さない事情で再入国できない場合があります。
このようなやむを得ない事情があるときは、出国期間中も在留資格自体は継続しているものの、通算5年の在留期間には含まれない取扱いが示されています。
ただし、この取扱いの適用を受けるには、通算期間が満了する前に所定の在留諸申請を行い、再入国できなかった事情を裏付ける資料や申立書を提出する必要があります。
そして、提出資料により事情が確認され、相当の理由があると判断された場合に限り、当該期間が通算から除外されます。
特定活動(特定自動車運送業準備)の在留期間
自動車運送業分野では、特定技能1号として就労する前に、日本の運転免許の取得や新任運転者研修の修了が必要となるため、その準備期間として在留資格「特定活動」が認められています。
この在留資格では、教習所への通所や研修受講、車両の清掃などの関連業務が許可され、在留期間はトラックで6か月、タクシーやバスで1年と定められ、更新はできません。
ただし、この期間中は特定技能1号としての本来業務には従事しないため、通算5年の在留期間には含まれない取扱いとなります。
産前産後休業・育児休業期間
産前産後休業や育児休業の期間中は、労働基準法や育児・介護休業法に基づき、特定技能1号としての業務に従事することができない期間に該当します。
この期間中も在留資格の許可自体は継続していますが、所定の手続を行うことで、当該休業期間は通算5年の在留期間に含まれない取扱いが認められています。
ただし、適用を受けるには、通算期間が満了する前に在留資格に関する申請を行い、休業を取得した事実を裏付ける資料や申立書、母子健康手帳の写しなどを提出する必要があります。
そして、提出資料により休業期間が確認され、在留を認める相当の理由があると判断された場合に限り、当該期間が通算から除外されます。
病気・怪我による休業期間
病気や怪我により就労できない期間のうち、原則として1年以下、労災に起因する場合は事情に応じて3年以下の休業期間は、特定技能1号としての活動が行えない期間に該当します。
ただし、対象となるのは連続して1か月を超える休業に限られ、数日間の療養や断続的な通院による不就労は含まれません。
この期間中も在留資格自体は継続しますが、在留諸申請の際に、診断書や労災関係書類、出勤簿や給与明細などの資料により事実を疎明した場合に限り、通算5年の在留期間から除外されます。
長期療養が見込まれる場合には、早期に必要書類を整え、通算期間満了前に適切な申請を行うことが重要です。
通算期間を確認する方法
特定技能1号の通算在留期間を正確に把握したい場合は、申請人本人の出入国記録に基づいて計算する方法があります。
この出入国記録は、出入国在留管理庁に対して開示請求を行うことで取得できます。
ただし、開示されるのは出入国歴や在留資格、許可年月日などの事実情報であり、通算期間の算定結果が示されるわけではありません。
そのため、産前産後休業や病気による休業など除外が認められる期間がある場合は、企業や本人が資料を整え、在留諸申請の際に自ら立証する必要があります。
特定技能1号の在留期間1年延長の特例
特定技能1号は原則として通算5年が上限ですが、一定の要件を満たす場合には、例外的に在留期間の延長が認められます。
この特例は、特定技能2号での受入れが認められている分野において、2号評価試験等に不合格となったものの、合格基準点の8割以上の得点を取得している場合が対象です。
さらに、本人が再受験や合格後の変更申請、再受験で合格できない場合の帰国を誓約し、所属機関も継続雇用の意思や試験対策の支援体制を有していることが求められます。
そして、通算5年が満了する前に所定の更新申請と疎明資料を提出し、相当の理由があると認められたときに限り、通算6年を上限として在留が許可されます。
分野別の延長適用基準
以下は2026年3月現在における、特定技能2号移行時に必要となる分野別試験と在留期間延長特例の対象有無を示した一覧表です。
8割以上の得点を取得した場合に、1年延長措置の適用を受けられる試験と適用対象外の試験がありますので参考にしてください。
| 在留資格「特定技能2号」の特定産業分野 | 分野別運用方針に定めている「特定技能2号」の技能水準として必要な試験・検定 | ||
| ①または②のいずれかの試験・検定について、合格基準点の8割以上の得点を取得していること | |||
| ①以下の全ての試験・検定 | ②以下の検定 | ||
| ビルクリーニング分野 | ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験
※発行日が2025年7月31日以降のものが対象。 |
技能検定1級
※2026年3月31日から対象となる予定 |
|
| 工業製品製造業分野 | 製造分野特定技能2号評価試験
※受験日が2025年11月3日以前のものについては、再発行されたものが対象。 |
ビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)
※「1号特定技能外国人」と記載されているものが対象。 |
技能検定1級
※「1号特定技能外国人」と記載されているものが対象。 2026年3月現在は機械保全のみ対象。 |
| 建設分野 | 建設分野特定技能2号評価試験
※受験日が2025年12月1日以降のものが対象。 |
技能検定1級
※2026年3月時点では検討中の段階。 |
|
| 造船・舶用工業分野 | 造船・舶用工業分野特定技能2号試験
※2026年4月以降対象となる予定 |
技能検定1級
※2026年3月時点では検討中の段階。 |
|
| 自動車整備分野 | 自動車整備分野特定技能2号評価試験
※発行日が2026年1月以降のものが対象。 |
自動車整備士技能検定2級
~対象外~ |
|
| 航空分野 | 航空分野特定技能2号評価試験
※発行日が2025年12月14日以降のものが対象。 ~航空機整備は現在対象外~ |
航空従事者技能証明
~対象外~ |
|
| 宿泊分野 | 宿泊分野特定技能2号評価試験
~現在対象外~ ※2026年3月から対象となる予定 |
||
| 農業分野 | 2号農業技能測定試験
※受験日が2025年6月以前のものについては、再発行されたものが対象。発行方法については、「農業技能測定試験」のホームページを御確認ください。 |
||
| 漁業分野 | 2号漁業技能測定試験
※受験日が2025年8月7日以降のものが対象。 |
日本語能力試験(N3以上) | |
| 飲食料品製造業分野 | 飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験
※発行日が2025年6月30日以降のものが対象。 |
||
| 外食業分野 | 外食業特定技能2号技能測定試験
※発行日が2025年6月30日以降のものが対象。 |
日本語能力試験(N3以上) | |
介護分野の延長について
介護分野では特定技能2号の区分が設けられていないため、長期的な就労を希望する場合は、介護福祉士国家試験に合格し在留資格「介護」へ移行することが必要です。
この点は他分野のように2号評価試験への合格を目指す仕組みとは異なり、国家資格の取得がステップアップの要件とされています。
介護分野でも通算5年の在留期間が満了する直前の国家試験で一定の得点要件を満たした場合には、翌年度の合格を目指すことを条件に、最長1年間の在留期間延長が認められる取扱いがあります。
延長が認められた場合でも、合格後は速やかに在留資格「介護」へ変更し、不合格であれば帰国することが前提となります。
特定技能2号を目指す場合は早めに準備しよう
特定技能2号への移行を見据える場合は、早い段階から計画的に準備を進めることが重要です。
特定技能2号評価試験は日本語で実施されるため、特定技能1号の就労開始直後から日本語能力の向上に取り組むことが、合格への土台となります。
さらに、通算5年満了前の試験で合格基準点の8割以上を取得することが延長の要件とされていることを踏まえると、少なくとも4年目には初回受験に挑戦できる体制を整えておくことが望まれます。
したがって、3年目までに十分な日本語水準を目指し、技能試験の学習を開始することが、円滑な2号移行の鍵となります。
まとめ
本記事では、特定技能で在留できる上限年数や更新の仕組み、通算期間の数え方、さらに除外される期間や1年延長の特例について整理しました。
1号は原則5年の上限があり、帰国方法や休業の有無によって通算の扱いが変わる点が重要です。
特定技能外国人を安定して雇用するためには、在留カードの期限だけでなく、通算期間や試験日程まで含めた長期的な管理が欠かせません。
まずは自社での通算期間を正確に確認し、必要に応じて延長や2号移行の計画を早めに立てることが、将来の人材確保につながります。
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