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技能実習(育成就労)の受入れに必要な入国前・入国後講習の科目や時間数について解説

技能実習(育成就労)の受入れを検討する中で、

「入国後講習や入国前講習とは何か?」
「企業側は何をすればよいのか?」

と悩んでいませんか。

制度上、企業配属前には一定の講習が義務付けられており、内容や時間数を正しく理解しておかないと、受入れ手続きや運用で思わぬトラブルにつながるおそれがあります。

本記事では、技能実習(育成就労)における入国前・入国後講習の基本的な仕組みから、科目の内容や必要な受講時間の考え方までをわかりやすく解説します。

受入れ前に押さえておくべきポイントを整理し、スムーズな受入れ体制の構築に役立ててください。

※2027年4月より育成就労制度による外国人材の受入れが開始されますが、2030年までは技能実習と育成就労の両制度が並行して運用されるため、本記事内では以下の対応表に従い両制度の用語を使用しています。

技能実習制度と育成就労制度の用語対応表
制度の名称 技能実習制度 育成就労制度
受入対象の外国人 技能実習生 育成就労外国人
受入事業を行う機関 監理団体 監理支援機関
外国人を受入れる企業・団体 技能実習実施者 育成就労実施者
受入れ事業を管理する公的機関 外国人技能実習機構 外国人育成就労機構
受入れの計画書 技能実習計画 育成就労計画
この記事の監修
安藤 祐樹
安藤 祐樹 きさらぎ行政書士事務所 / 行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

技能実習生(育成就労外国人)は企業配属前に必ず講習を受ける

技能実習(育成就労)では、外国人材が企業に配属される前に講習を受講させることが義務付けられており、日本での生活や業務に円滑に適応させるために、入国前講習と入国後講習の双方が重要な役割を担っています。

このうち入国前講習は来日前の準備講習のことであり、入国後講習は、来日直後に日本の法令や生活ルールを学び、就労開始前に必要な知識を最終的に確認する場です。

なお、育成就労制度では日本語能力に応じて講習時間が区分されるなど、教育効果を高める仕組みが強化されており、認定日本語教育機関の活用が求められる点も従来の技能実習制度との違いとして押さえておく必要があります。

入国前講習と入国後講習の基本概要
講習の種類 入国前講習 入国後講習
実施時期 日本に入国する前 日本入国後
実施主体 監理団体(監理支援機関)
※外国側の教育機関に委託可能
監理団体(監理支援機関)

※企業単独型の受入れの場合は企業が実施する

実施義務 任意 法令上の実施義務あり
科目 「日本語」「生活一般」「技能修得に資する知識」の3科目 「日本語」「生活一般」「技能修得に資する知識」「法的保護科目」の4科目
業務への従事 禁止規定なし 講習期間中は業務に従事できない
実施方法 座学(双方向形式のオンライン講習含む) 座学(現場見学、双方向形式のオンライン講習含む)
実施時間 技能実習・・・入国前の過去6か月以内に、1カ月以上かつ160時間以上実施

育成就労・・・A1相当(JLPT N5相当)未合格の場合は原則160時間以上、合格済みの場合は110時間以上

※実施すると入国後講習の時間を半分に短縮することが可能

技能実習・・・第1号技能実習の予定時間全体の6分の1以上

育成就労・・・A1相当(JLPT N5相当)未合格の場合は原則320時間以上、合格済みの場合は220時間以上

※入国前講習実施で半分に短縮可能

入国前講習とは

入国前講習とは、外国人材が来日前に母国で受講する研修であり、日本での生活や就労を円滑に開始するための基礎的な準備を目的として、日本語や生活ルール、技能修得に関連する知識などをあらかじめ身につける機会として位置付けられています。

この講習は送り出し機関が中心となって実施し、受入企業が直接関与することはできないものの、講習内容の質は来日後の適応に大きく影響するため、監理団体を通じて内容を確認することが重要とされています。

また、一定の条件を満たす入国前講習を実施することで、来日後に実施される入国後講習の時間を短縮できる仕組みが設けられており、早期の現場配属につながる点が制度上の大きなメリットです。

入国後講習とは

入国後講習とは、外国人材が日本に入国した後、企業で実際に業務を始める前に受講する講習であり、日本での生活や職場に適応するための知識を整理する重要な準備期間です。

この講習では、日本語、生活一般に関する知識、法的保護に必要な情報、円滑な技能修得に資する知識などを座学で学びます。

重要なポイントとして、入国後講習の期間中は業務に従事させることができないため、受入企業は配属時期や人員配置をあらかじめ見込んだうえで、講習期間を含めた受入れ計画を立てる必要があります。

実施場所と実施方法

入国後講習は、机や椅子が整えられた学習環境で実施することが求められており、技能実習(育成就労)ともに座学を中心とした形式で行われる点が共通しています。

この講習は企業単独型では受入企業が、団体監理型では監理団体(監理支援機関)が主体となって実施し、自ら行うほか外部の研修施設や日本語教育機関へ委託することも認められています。

また、近年はデジタル環境の整備により、音声と映像を用いた同時双方向型のオンライン講習も可能とされており、対面と同様に受講状況の確認や理解度の把握が求められます。

なお、育成就労制度でも基本的な実施方法は踏襲されていますが、認定日本語教育機関による講習の活用が制度上組み込まれており、教育の質を確保する仕組みが強化されています。

入国前・入国後講習の目的

技能実習(育成就労)における入国前後の講習には異なる目的があり、内容や実施時期にも意味があります。

以下では、その違いと意図を整理して解説します。

入国前講習を実施すると入国後講習の期間を短縮できる

技能実習(育成就労)では、入国前に一定期間の講習を実施することで、来日後に必要となる入国後講習の時間を短縮できる仕組みが設けられています。

技能実習では、入国前6か月以内に1か月以上かつ160時間以上の講習を受講している場合、入国後講習は年間活動予定時間の6分の1(約2カ月)ではなく12分の1以上(約1カ月)に軽減されるため、企業配属までの期間を短くすることが可能です。

そのため、受入企業にとっては早期に現場へ配置できるメリットがあり、実習生側にとっても来日後の負担軽減につながる点で実務上の効果が大きい制度といえます。

なお、育成就労制度では日本語能力に応じて短縮後の時間が細かく設定されており、例えば一定水準(N5相当以上)に達していない場合は160時間以上、N5相当以上試験合格済みの場合は110時間以上といったように、より実態に即した時間設計へと見直されています。

入国後講習で就労に専念できる状態をつくる

入国後講習は、日本での生活や業務を開始する直前に必要な知識を整理し、外国人材が安心して就労に入れる状態を整えることを目的としています。

この講習では、日本語や生活ルールに加え、入管法令や労働関係法令などの法的保護に関する内容を学び、トラブル時の相談先や対応方法を理解することで、自らを守る力を身につけることが重視されています。

そのため、技能実習(育成就労)では講習期間中の業務従事が厳格に禁止されており、講習に専念させることで、配属後の業務に集中できる環境を整える仕組みとなっています。

なお、育成就労制度では法的保護科目に転籍の仕組みや相談窓口の理解がより明確に組み込まれており、制度理解を深めたうえで就労に入ることがより強く求められています。

入国前・入国後講習の受講時間の枠組み

技能実習(育成就労)における講習時間は、制度ごとに考え方や基準が異なります。

以下では、技能実習と育成就労それぞれの時間の枠組みを分けて解説します。

技能実習の受講時間

技能実習における講習時間は、入国後講習を中心に制度上の基準が定められており、原則として配属先での年間活動予定時間の6分の1以上を確保する必要があります。

例えば年間の実習時間が1,920時間の場合、その6分の1にあたる320時間以上の講習が求められ、一定期間は業務に従事せず講習に専念することになります。

ただし、入国前6か月以内に1か月以上かつ160時間以上の講習を実施している場合には、入国後講習は年間活動時間の12分の1以上に軽減され、講習期間を短縮することが可能です。

このように、技能実習制度では固定時間ではなく実習計画に基づいて講習時間が決まる仕組みとなっており、事前準備の有無が実務運用に影響する点を理解しておくことが重要です。

技能実習の入国前後の講習実施時間
入国前講習実施の有無 入国前6か月以内に1か月以上かつ160時間以上の講習を実施した場合 入国前講習を実施しない場合
入国後講習の実施時間 技能実習1号の年間活動予定時間の12分の1以上の講習を実施
※実習時間が1,920時間の場合、その12分の1にあたる160時間以上の入国後講習が必要
技能実習1号の年間活動予定時間の6分の1以上の講習を実施

※実習時間が1,920時間の場合、その6分の1にあたる320時間以上の入国後講習が必要

育成就労の受講時間

育成就労制度における講習時間は、日本語能力の水準に応じてあらかじめ設定されており、入国後講習は原則として320時間以上、入国時にA1相当(JLPT N5相当)以上の試験に合格している場合は220時間以上へと短縮される仕組みとなっています。

さらに、入国前に一定の講習を実施した場合には入国後講習の時間を軽減でき、日本語能力がA1未満の場合は160時間以上、A1相当以上の場合は110時間以上の入国前講習を行うことで、入国後講習もそれぞれ160時間以上と110時間以上に短縮されます。

育成就労の入国前後の講習実施時間
入国前の日本語能力 A1(JLPT N5)相当に合格していない A1(JLPT N5)相当に合格していない A1(JLPT N5)相当に合格している A1(JLPT N5)相当に合格している
入国前講習実施の有無 160時間以上の講習を実施 160時間以上の講習を実施していない 110時間以上の講習を実施 110時間以上の講習を実施していない
入国後講習の実施時間 160時間以上の入国後講習を実施 320時間以上の入国後講習を実施 110時間以上の入国後講習を実施 220時間以上の入国後講習を実施

なお、育成就労は受入れ期間の3年間で特定技能1号に移行することを目的としており、入国後講習後に企業に配属された後も、特定技能1号移行要件であるA2相当(JLPT N4相当)以上を目指して3年間で100時間以上の日本語教育を行うことが義務付けられています。
※A2相当(JLPT N4相当)以上の水準に達している者を除く。

入国前・入国後講習の受講科目

入国前・入国後に実施される講習では、法令上定められた科目を受講し、企業配属後の円滑な就労に向けて準備をします。

ここからは、それぞれの科目の具体的な内容について順に解説します。

1.日本語

技能実習(育成就労)における日本語科目は、現場での指示理解や安全確保の前提となる基礎能力を身につけるため、講習全体の中でも重要な位置付けとされています。

日本語教育は、入国後講習の主要科目として実施され、日本語の読み書きや簡単な会話、業務指示の理解など実務に直結する内容が中心となります。

さらに、技能修得や生活面の安全確保の観点から、病気やけがの申告など必要最低限の意思疎通ができるレベルの習得が求められており、配属後の教育とも連動して継続的に強化されることが一般的です。

なお、育成就労制度では日本語能力の確保がより重視されており、A1相当未満の場合には認定日本語教育機関等による100時間以上の課程受講が義務付けられるなど、教育の質と量の両面で強化が図られています。

2.本邦での生活一般に関する知識

技能実習(育成就労)における生活一般に関する知識の科目は、日本での円滑な生活を送るための基礎を身につけることを目的として実施されます。

講習では、交通ルールやゴミ出し、公共機関の利用方法など日常生活に直結する内容が扱われ、時間配分は制度上の固定割合はないものの、必須科目として一定時間を確保して行われます。

また、文化や生活習慣の違いによるトラブルを防ぐ観点から、地域社会でのマナーやルールを理解させることも重視されており、配属後の定着にも大きく影響する要素とされています。

3.法的保護

法的保護の科目は、外国人材が日本で働くうえで自分の権利を理解し、問題が起きたときに適切な相談や申告ができるようにするための重要な講習です。

この科目では、出入国関係法令や労働関係法令、賃金未払いなどのトラブル時の対応、行政機関への相談方法などを学び、専門的な知識を有する外部講師による講義が求められます。

また、法的保護科目は講習全体の中で8時間以上実施する必要があるとされており、単なる制度説明ではなく、受講者が具体的な相談先や対応方法を理解できる内容にすることが重要です。

なお、育成就労制度では、従来の法令や相談窓口に加えて転籍の仕組みに関する内容もより明確に扱われるため、制度変更後はこの点を含めた講習設計が必要になります。

4.本邦での円滑な技能の修得に資する知識

本邦での円滑な技能の修得に資する知識は、配属後に予定されている業務内容を理解し、安全に技能を学ぶための土台をつくる科目です。

この科目では、実習や就労に向けた心構え、職場での規律、作業内容の理解、機械や設備の基本的な扱い、労働災害の防止、健康管理などが扱われます。

また、講習全体に占める時間については固定の割合が定められているわけではありませんが、主要科目のひとつとして、職種や本人の理解度に応じて必要な時間を確保することが求められます。

入国後講習中の手当と待遇

入国後講習の期間は就労が認められていないため、技能実習(育成就労)では賃金ではなく講習手当を支給することが一般的で、生活に支障が生じないよう配慮することが求められます。

この手当は労働の対価ではなく、講習に専念させるための支援的な性質を持つものであり、講習期間中は業務従事が厳格に禁止されていることと一体で運用されています。

また、団体監理型においては雇用関係が成立していない段階での支給となる点が特徴であり、受入機関や監理団体は適切な金額設定と支給方法を整備する必要があります。

まとめ

本記事では、入国前・入国後講習の目的や受講時間の枠組み、科目内容、実施方法、手当や就労制限までを整理し、技能実習と育成就労それぞれの共通点と相違点を解説しました。

制度利用に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することが重要です。

特に育成就労制度への移行を見据え、講習時間や実施体制の見直しを行うなど、スムーズな受入れができるよう準備を進めましょう。

この記事の監修
安藤 祐樹
安藤 祐樹 きさらぎ行政書士事務所 / 行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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