特定技能制度の利用拡大に伴い、登録支援機関事業への新規参入が進んでいます。
出入国在留管理庁の登録簿では、2026年8月20日時点で11,556件の登録支援機関が掲載されており、受入企業から見ても「どの機関に相談すればよいのか」を比較しながら選ぶ市場になっています。
その一方で、登録支援機関の営業現場では、
「受入企業への営業方法がわからない」
「テレアポをしても話を聞いてもらえない」
「相見積もりで価格競争に巻き込まれてしまう」
と悩む事業者も少なくありません。
全国の登録支援機関・外国人紹介会社と受入企業のマッチングを支援する『外国人採用の窓口』では、過去の受入企業相談をもとに、特定技能・登録支援機関に関する相談の傾向を分析しています。
| 相談カテゴリ | 件数 | 割合 |
| 監理団体・技能実習・育成就労関連 | 207件 | 41.4% |
| 特定技能・登録支援機関関連 | 196件 | 39.2% |
| 技術・人文知識・国際業務、永住者・定住者等 | 54件 | 10.8% |
| その他(法改正全般の情報収集・労務相談等) | 43件 | 8.6% |
| 合計 | 500件 | 100.0% |
| 集計対象:受入企業から直近1年間で寄せられた過去500件の相談 集計方法:問い合わせ単位で集計 ※「特定技能・登録支援機関関連の相談」には、新たに特定技能外国人を受け入れたい企業からの相談、現在の登録支援機関を変更したい企業からの相談、登録支援機関の費用・対応範囲・支援体制に関する相談等を含みます。 |
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本記事では、この相談データと公的資料を踏まえ、登録支援機関が価格競争に巻き込まれず、受入企業から選ばれるための営業・新規開拓戦略を体系的に解説します。
INDEX
なぜ登録支援機関の新規開拓・営業は難しくなっているのか?
登録支援機関の営業が難しくなっている背景には、競合事業者の増加に加え、受入企業側が支援機関を「価格だけでなく、対応品質や専門性まで比較する」ようになっていることがあります。
競合が多く、価格だけでは差別化しにくい
登録支援機関の数が増える中、受入企業には複数の機関から営業アプローチが届いているケースがほとんどです。
2026年8月20日時点の登録支援機関登録簿には11,556件が掲載されています。
その結果、
- 月額支援費を下げる
- 初期費用を無料にする
- 人数が増えれば値引きする
といった価格訴求に頼る事業者が増えています。
しかし、特定技能1号外国人の受入れでは、支援計画に基づく継続的な支援が必要であり、登録支援機関に委託する場合も、その実施体制が重要です。
出入国在留管理庁は、登録支援機関が支援計画の全部又は一部を受託できる一方、受託した支援業務をさらに他者へ委託することはできないとしています。
そのため、価格だけで契約を獲得しようとするのではなく、「いくらで提供するか」だけでなく、「何を、どのような体制で提供するか」を見える化することが重要です。
既存の支援機関から変更してもらうには「乗り換える理由」が必要
すでに特定技能外国人を受け入れている企業には、既存の登録支援機関との契約関係があります。
そのため、新規参入の支援機関が、
「弊社も同じ支援ができます」
と伝えるだけでは、変更の必要性を感じてもらいにくいのが実情です。
重要なのは、
- 対応が遅い
- 訪問頻度が少ない
- 面談結果が見えない
- 担当者が頻繁に変わる
- 費用が分かりにくい
- 特定技能の制度相談に十分対応できない
など、現在の運用にある具体的な不満を特定し、その問題を自社ならどう解決できるかを示すことです。
義務的支援だけでは「どこも同じ」に見える
特定技能1号の支援計画には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保・生活に必要な契約支援、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期面談・行政機関への通報など、10項目の義務的支援が位置付けられています。定期面談は3か月に1回以上とされています。
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
そのため、
「10項目すべて対応しています」
と書くだけでは、差別化が難しいのが実情です。
営業資料では、
- 誰が対応するのか
- どの頻度で訪問するのか
- 相談への一次返信をどの程度で行うのか
- 面談結果をどう報告するのか
- どの国籍・業種に強いのか
といった、「同じ支援をどう実行するのか」まで示すことが必要です。
受入企業が登録支援機関に相談する「主な目的」と実態
ここでは、『外国人採用の窓口』に寄せられた特定技能・登録支援機関関連の相談について、まず「何を目的とした相談なのか」を整理します。
特定技能・登録支援機関関連相談の「主な相談目的」
過去500件の受入企業相談のうち、特定技能・登録支援機関関連に分類された196件について、主な相談目的を整理すると、以下のような構成になります。
| 主な相談目的 | 件数 | 割合 |
| 新たに特定技能外国人を受け入れたい | 93件 | 47.4% |
| 現在の登録支援機関を変更したい | 64件 | 32.7% |
| 登録支援機関の費用・支援範囲・契約条件について確認したい | 21件 | 10.7% |
| 特定技能人材の採用方法・候補者について相談したい | 11件 | 5.6% |
| その他、制度や受入れ条件について情報収集したい | 7件 | 3.6% |
| 合計 | 196件 | 100.0% |
この数字が示すのは、登録支援機関に関する相談が、単なる制度上の質問だけではないということです。
特に、
「新たに特定技能外国人を受け入れたい」93件
「現在の登録支援機関を変更したい」64件
を合わせると、157件、全体の約8割を占めます。
つまり、登録支援機関が営業戦略を考えるうえでは、
まだ外国人を受け入れていない企業への新規開拓
と、
すでに外国人を受け入れている企業へのリプレイス提案
の2つを明確に分けて考えることが重要です。
相談の背景にある「主な不安・課題」
ここでは、『外国人採用の窓口』に寄せられた特定技能・登録支援機関関連の相談について、まず「何を目的とした相談なのか」を整理します。
特定技能・登録支援機関関連相談の「主な相談目的」
相談目的だけでなく、「なぜその企業が相談しているのか」を見ると、営業時に確認すべきことと、自社が訴求すべきポイントがより明確になります。
| 主な不安・課題 | 件数 | 割合 |
| 支援機関の対応品質・レスポンス・訪問体制への不安 | 49件 | 25.0% |
| 人材の採用・定着・ミスマッチへの不安 | 40件 | 20.4% |
| 制度・在留資格・労務等への専門的な対応力への不安 | 31件 | 18.9% |
| 支援費用・追加料金・契約条件の分かりにくさ | 31件 | 15.8% |
| 対応言語・生活支援・相談体制への不安 | 25件 | 12.8% |
| その他 | 14件 | 7.1% |
| 合計 | 196件 | 100.0% |
この相談傾向を見ると、受入企業は単に「外国人を紹介してくれる会社」を探しているわけではありません。
採用前から採用後まで、安心して任せられる支援体制があるか
を見ていると考えられます。
特に既存の登録支援機関からの変更相談では、「もっと安い会社を探したい」という理由だけでなく、対応品質、専門性、言語対応、費用の分かりやすさなど、複数の要素が変更のきっかけになります。
最初にアプローチすべき受入企業の3つのタイプ
500件の相談データから見えてきた実態を踏まえると、登録支援機関が新規開拓を行う際には、すべての企業を同じように狙うのではなく、営業先を3つのタイプに分けることが重要です。
まだ外国人を受け入れていない「新規受入企業」
『外国人採用の窓口』の相談データでは、特定技能・登録支援機関関連の196件のうち、仮置きデータでは93件(47.4%)が「新たに特定技能外国人を受け入れたい」という相談です。
この層は、外国人雇用そのものが初めてであるケースも多く、
- 特定技能とはどのような制度なのか
- 自社の職種は対象になるのか
- 何人まで受け入れられるのか
- 採用までどれくらいかかるのか
- どれくらいの費用が必要なのか
- 社内では何を準備すればよいのか
といった疑問を抱えています。
そのため、いきなり、
「弊社なら特定技能人材を紹介できます」
と売り込むより、
「御社の職種で特定技能を受け入れる場合、何を準備すればよいのか」
から説明するほうが有効です。
■新規受入企業への営業で有効な情報
- 受入れまでの全体スケジュール
- 自社の職種における受入れ可否
- 必要な雇用条件
- 採用費用・支援費用
- 入社後の支援内容
- 必要な社内体制
- 実際の受入れ事例
「外国人を紹介する営業」ではなく、「初めての外国人採用を設計する営業」に切り替えることがポイントです。
現在の登録支援機関に不満がある企業
今回の調査データでは、196件のうち64件(32.7%)が現在の登録支援機関の変更に関する相談です。
これは、登録支援機関にとって非常に重要な営業ターゲットです。
すでに、
- 外国人雇用の実務を経験している
- 登録支援機関の役割を理解している
- 支援費用の相場感を持っている
- 自社に必要な支援内容を把握している
ため、新規受入企業とは営業のアプローチが異なります。
リプレイス営業では、
「当社は安いです」
ではなく、
「現在の支援で、何に不満を感じていますか?」
から入ることが重要です。
リプレイス営業で確認したいポイント
- 訪問頻度
- 定期面談の実施状況
- 面談結果の報告
- 担当者のレスポンス
- 担当者変更時の引き継ぎ
- 母国語対応
- 在留資格や制度についての相談対応
- 料金・追加費用
- 生活支援の範囲
現在の不満を具体化したうえで、
「その問題について、当社ではこの運用にしています」
と比較できる状態にすることが、リプレイス獲得のポイントです。
制度拡大によって需要が生まれている業界
3つ目は、制度の対象分野や業務範囲の拡大によって、新たな外国人材需要が生まれている業界です。
現在の特定技能制度では、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業などが新規分野として追加され、工業製品製造業、飲食料品製造業などでも対象業務の拡大が行われています。
出入国在留管理庁の現在の分野別情報でも、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業などが対象分野として掲載されています。
こうした業界では、
- 業種特有の受入要件
- 分野別協議会
- 技能試験
- 日本語要件
- 業界特有の労務管理
などがあり、一般的な「特定技能の説明」だけでは対応しきれないケースがあります。
そのため、
「製造業に強い登録支援機関」
「自動車運送業に詳しい登録支援機関」
「建設業の受入実務に精通した登録支援機関」
のように、業種特化型の専門性を打ち出すことで差別化しやすくなります。
受入企業が支援機関の変更を検討する「14の理由」と商談対策
特定技能・登録支援機関関連の相談では、現在の登録支援機関から別の機関への変更を検討している企業からの相談も一定数あります。
『外国人採用の窓口』の仮置きデータでは、196件の特定技能・登録支援機関関連相談のうち、64件(32.7%)が現在の登録支援機関の変更に関する相談です。
すでに特定技能外国人を受け入れている企業は、制度や支援業務について一定の知識を持っているため、単純に「弊社も同じ支援ができます」と伝えるだけでは、変更の動機にはなりにくい傾向があります。
重要なのは、現在の登録支援機関に対して企業が何に不満を感じているのかを把握し、その課題を自社ならどのように改善できるのかを具体的に示すことです。
そこで、リプレイス相談の商談で確認したい代表的な14の課題を、「企業の不満」「背景にある実態」「商談で確認すべき質問」「提示すべき自社の体制・強み」に整理します。
■ 受入企業のリプレイス要因と営業提案マトリクス
| 企業の不満・課題 | 背景にある実態 | 商談で確認すべき質問 | 提示すべき自社の体制・強み |
| ① 訪問支援がない | 電話やオンラインのみで現場に来ない | 「現在、担当者の方はどのくらいの頻度で貴社を訪問されていますか?」 | 「3か月に1回以上の定期面談」の対面実施と訪問同行体制の提示 |
| ② 面談結果が見えない | 定期面談を実施しても会社への共有がない | 「外国人社員の方との面談結果について、書面等での報告はございますか?」 | 面談内容を日本語で数値化・可視化した「定期支援実施報告書」サンプルの提示 |
| ③ レスポンスが遅い | 連絡しても返信が数日遅れる | 「緊急時の連絡窓口や、普段のチャットツールの返信速度はいかがですか?」 | 受入企業専用の連絡体制と、一次返信基準(例:原則当日中または24時間以内)の明示 |
| ④ 質問への回答が曖昧 | 入管手続き等の質問に的確に答えられない | 「在留資格や法改正の相談に対して、専門的なアドバイスは得られていますか?」 | 入管業務に精通した専門スタッフ・提携士業によるバックアップ体制の提示 |
| ⑤ 担当者の交代が多い | 担当者が頻繁に変わり引き継ぎが不十分 | 「貴社の担当窓口は専任ですか?変更時の引き継ぎに不安はございませんか?」 | 専任担当制の導入と、社内情報共有データベースによる継続的フォロー体制 |
| ⑥ 日本語での疎通困難 | 支援担当者が外国人スタッフのみで意図が通じない | 「支援機関の担当者様と、労務の細かなニュアンスの共有はスムーズですか?」 | 「受入企業窓口:日本人労務担当」+「外国人面談:母国語通訳」のバディ制 |
| ⑦ 労務助言の不足 | 労務管理や雇用契約のアドバイスがない | 「外国人特有の就業規則や雇用契約書の作成で、お困りごとはございませんか?」 | 外国人特有の労働関係法令や雇用管理に関する助言実績の提示 |
| ⑧ スケジュール説明不足 | ビザ更新等の必要期間が事前に知らされない | 「在留期限の更新手続きは、何ヶ月前から案内が届いていますか?」 | 期限の3ヶ月前から着手する標準スケジュール管理表の提示 |
| ⑨ 企業の立場への無配慮 | トラブル時に企業側の事情を考慮しない | 「労使間の意見の食い違いが発生した際、間に入った調整は行われていますか?」 | 外国人の保護と企業の事業継続の双方に配慮した中立・公正な仲裁体制 |
| ⑩ 対応国籍・職種の制限 | 他の国籍や別職種の特定技能に対応できない | 「将来的に他国籍の人材や、別部門での受け入れのご予定はございますか?」 | 複数言語(ベトナム、インドネシア、ミャンマー等)および複数分野の対応実績 |
| ⑪ 窓口の分断 | 紹介、ビザ申請、生活支援が別々の会社 | 「採用からビザ申請、入社後の支援まで、窓口が分かれて負担になっていませんか?」 | 人材紹介・行政書士連携・登録支援を一本化したワンストップ窓口 |
| ⑫ 不明瞭な費用項目 | 見積もりに用途不明な名目が含まれる | 「毎月の支援委託費以外に、都度発生する追加費用等は明確になっていますか?」 | 初期費用、月額費用、更新費用をすべて明記した明朗な料金体系 |
| ⑬ 部分支援への非対応 | 一部の支援のみを委託する相談に乗らない | 「自社で対応可能な支援項目と、外部委託したい項目の切り分けはお考えですか?」 | 企業の体制に合わせた柔軟な支援委託プラン(法令適合の範囲内) |
| ⑭ ボリューム割引なし | 人数が増加しても単価が変わらない | 「受入れ人数が複数名になった場合の料金テーブルは設定されていますか?」 | 複数名受入れ時の段階的なボリュームディスカウント規定の提示 |
※なお、支援機関に対する不満の背景には、受入企業側の労働条件や職場環境の整備不足が関係しているケースも少なくありません。
営業時には一方的に既存機関を批判するのではなく、「外国人材が安定して就労できる環境づくり」を共に進める姿勢を示すことが、中長期的な信頼獲得に繋がります。
リプレイス営業で重要なのは「既存機関を批判すること」ではない
リプレイス営業では、
「今の登録支援機関は良くないです」
「当社のほうが安いです」
といった比較だけで契約を取りに行くのではなく、現在の運用で企業が感じている不便や不安を整理し、その解決策として自社の支援体制を提示することが重要です。
また、既存の登録支援機関が適切に支援している場合にまで、無理に変更を勧める必要はありません。
企業にとって本当に必要な支援が何なのかを確認したうえで、
「現在の支援で満たされている部分」と「改善したい部分」を切り分ける
という姿勢で商談を進めることで、価格だけではない信頼関係を築きやすくなります。
特にリプレイス相談では、最初から自社サービスを説明するのではなく、
「現在、何に一番困っていますか?」
からヒアリングを始めることをおすすめします。
その回答に応じて、訪問体制、レスポンス、専門性、言語対応、費用、採用体制など、自社の強みの中から必要なものだけを提示することで、提案内容を企業ごとに最適化できます。
月額2万円~3万円前後でも選ばれる「5つの差別化要素」
登録支援機関の支援委託料は、単純に「安ければ選ばれる」というものではありません。
出入国在留管理庁が、2022年9月末時点で在留していた特定技能外国人を対象に、直近の在留許可申請において登録支援機関へ有償で支援を委託するとされたケースを集計した資料では、特定技能外国人1人当たりの月額支援委託料の平均は28,386円でした。
価格帯別では、以下のような分布になっています。
【登録支援機関の月額支援委託料の割合(出入国在留管理庁の集計)】
- 5,000円以下:0.9%
- 5,000円超~10,000円以下:6.4%
- 10,000円超~15,000円以下:9.5%
- 15,000円超~20,000円以下:25.3%
- 20,000円超~25,000円以下:26.2%
- 25,000円超~30,000円以下:20.3%
- 30,000円超:11.5%
特に多いのは20,000円超~25,000円以下の26.2%で、次いで15,000円超~20,000円以下の25.3%となっています。
さらに、30,000円以下の合計は88.5%で、出入国在留管理庁も「全体では30,000円以下で約90%を占める」と整理しています。
このデータから見ると、登録支援機関の月額支援委託料はおおむね2万円~3万円前後の価格帯に集中していると考えられます。
一方で、この数字だけを見て、
「月額2万円台まで下げれば契約を取りやすい」
と考えるのは適切ではありません。
支援委託料には、定期面談や相談対応、生活支援、日本語学習機会の提供など、継続的な支援業務に必要な人件費・管理コストが含まれます。
そのため、営業で重要なのは最安値を提示することではなく、「その支援費で何を、どのような体制で提供するのか」を具体的に説明することです。
出入国在留管理庁:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第1回)/資料3 技能実習制度及び特定技能制度の現状
外国人向け人事評価・業務フォーマットの提供
外国人社員の定着には、評価基準や昇給ルールの明確化が不可欠です。
そのため、外国人社員の評価基準や業務手順が整理されていない企業に対し、
- 評価シート
- 多言語業務チェックリスト
- 業務マニュアル
- 日本語学習計画
などを提供することで、支援業務の価値を可視化でき、受入企業の人事制度づくりをサポートすることで、単なる手続き代行を超えたコンサルティング価値を提供できます。
自社における外国人雇用の実績と実体験の共有
支援機関自らが外国人を直接雇用し、日々の業務や生活指導を行っている実績や経験は、説得力のある差別化要素になります。
「外国人雇用の知識がある」だけではなく、
自社でも実際に外国人を採用し、どのような課題があり、どう解決したか
を具体的に説明することで、受入企業にとって実務的なパートナーであることを伝えられます。
自社で経験した初期のコミュニケーション課題や受け入れ時の工夫を、具体的なノウハウとして受入企業に共有することで、経営者目線に立った現実的な提案が可能になります。
海外現地校・送り出し機関との連携による教育品質の管理
海外から直接特定技能人材を呼び寄せる場合、提携している現地送り出し機関や日本語教育拠点の質が人材の定着を左右します。
海外の教育機関・送り出し機関等と連携している場合、
- 教育内容
- 日本語レベル
- 選考基準
- 就労開始までのフォロー
などを明確に説明します。
単に、
「人材を紹介できます」
ではなく、
「どのような基準で候補者を選んでいるのか」
を見せることが重要です。
現地のカリキュラム内容や生活指導の状況を把握し、日本での就労に適した教育が行われていることを受入企業に明示できる機関は、ミスマッチのリスクを抑えた採用ルートとして評価されます。
独自の人材プールと学習支援環境の整備
国内での特定技能試験合格者や転職希望者のデータベースを整備し、急な欠員時にも迅速に候補者を提案できる体制を整えます。
また、就労開始後もスマートフォン等で継続して学べる日本語学習ツールやe-ラーニング環境を受入企業に提供することで、日常的な日本語教育の負担を軽減する付加価値となります。
生活支援・相談対応の実行体制
来日初期の生活立ち上げや、住居の確保や市役所手続きだけでなく、地域のルール説明や休日の過ごし方に関する相談に丁寧に応じる体制を整えることで、外国人本人と受入企業の双方に安心感を提供できます。
法律上求められる支援を行うだけでなく、
「実際に困ったときに誰へ相談すればよいかが明確である」
という運用体制そのものが差別化になります。
孤立を防ぐための初期フォローを確実に行うことが、職場への早期定着と突発的な離職の予防につながります。
商談成約率を高める提案実務と法的留意点
アポイントを獲得した後の商談において、受入企業の意思決定を後押しするための実務的ポイントと、法令上注意すべき留意点を解説します。
全部委託・一部委託の違いを正しく説明する
受入れ機関は、1号特定技能外国人支援計画の全部又は一部を登録支援機関に委託することができます。
一方、登録支援機関は支援計画の一部だけを実施する機関として登録を受けることはできず、また、受託した支援業務の実施をさらに他者へ委託することもできません。
そのため、一部委託を提案する場合には、
企業自身が担当する支援と、登録支援機関が担当する支援を明確に切り分ける
ことが重要です。
助成金提案は「使える場合がある」に留める
外国人材の日本語教育や職務訓練に関連して助成金を提案する場合は、対象となる訓練内容、企業規模、雇用条件、申請時期などを確認する必要があります。
「外国人を採用すれば助成金が使える」といった説明ではなく、
「要件を満たす場合に活用できる可能性がある」
という形で案内し、必要に応じて社会保険労務士等と連携して適格性を確認します。
具体的には、以下のような助成金に該当する可能性があります。
-
人材開発支援助成金:
日常会話程度の一般的な日本語習得のみを目的とした講習は助成対象外となる場合があります。職務に直接関連する専門用語や安全衛生教育等の訓練計画を策定し、事前に労働局の認定を受ける必要があります。 -
キャリアアップ助成金:
有期雇用から正規雇用への転換等を支援する制度ですが、特定技能1号の正社員化コースについては対象外と整理されています。
※助成金の受給可否は個別企業の労務管理状況や申請時期、事業主・労働者の要件によって異なるため、提携する社会保険労務士等と連携し、事前の適格性確認を前提として案内を行うことが重要です。
早期離職時の返金・代替人材対応は契約条件を明確にする
人材紹介を伴う場合、早期離職時の返金や代替候補者の紹介条件を契約書に明記することで、企業の不安を軽減できます。
重要なのは、
- 何が返金対象なのか
- いつまでが対象なのか
- 自己都合退職以外をどう扱うか
- 代替候補者の条件
などを事前に明確にすることです。
「入社後○ヶ月以内の自己都合退職時における紹介手数料の一定割合の返金」や「代替候補者の選考対応」など、明確なルールを事前に提示することで、受入企業は安心して契約手続きを進めることができます。
登録支援機関の新規開拓・集客手法7選
受入企業の相談目的と5つの選定基準を踏まえ、登録支援機関が実践しやすい7つの集客チャネルを比較します。
■ 営業・集客チャネルの比較一覧表
| 営業・集客手法 | 初期費用 | 即効性 | 難易度 | 継続性 | 推奨される組織規模 |
| ① 業種特化型アウトバウンド | 低 | ○ | 中 | △ | 専任の営業担当がいる機関 |
| ② 地域×業種SEO | 中 | △ | 中 | ◎ | Webマーケティングに注力できる機関 |
| ③ リスティング広告 | 中〜高 | ◎ | 中 | ○ | 明確なLPと予算を確保できる機関 |
| ④ マッチングプラットフォーム | 低〜中 | ◎ | 低 | ◎ | 小規模〜大規模(幅広い規模に対応) |
| ⑤ 士業・金融機関アライアンス | 低 | ○ | 中 | ◎ | 地域のネットワークを持つ機関 |
| ⑥ 法改正・制度セミナー | 中 | ○ | 中 | ○ | 専門知識・講師リソースがある機関 |
| ⑦ 既存顧客からのリファラル | 低 | △ | 低 | ◎ | すでに受入企業の支援実績がある機関 |
組織規模別のおすすめ営業展開
■営業担当が1~2名の小規模機関
マッチングプラットフォーム+既存顧客紹介+地域特化SEOから始め、少ない営業工数で確度の高い案件を獲得する体制を優先します。
■専任の営業チームがある中規模以上の機関
業種特化型アウトバウンド+リスティング広告+セミナー+オウンドメディアを組み合わせ、見込み客獲得から商談、成約までのファネルを管理します。
【アウトバウンド】業種特化型アプローチと営業ファネル
不特定多数へのテレアポではなく、「業種」「地域」「採用課題」を絞り込んでアプローチします。
例えば食品製造業をターゲットにする場合、
「食品製造業で特定技能外国人を受け入れる際の職種該当性や受入れ条件を解説する資料」
など、単なる営業資料ではなく情報提供を兼ねたコンテンツを送ります。
営業活動におけるファネルの試算例(月間モデルケース)
- アプローチ対象リスト:300社
- フォーム送信・手紙送付:300件
- 有効コンタクト:15~20件
- 個別商談設定:6~8件
- 見積提示:3~4件
- 新規成約:1~2件
※上記は営業計画を立てる際の試算例であり、業界共通の成約率を示すものではありません。
【インバウンド/SEO】検索意図に沿ったキーワード設計
SEOでは、受入企業の検討段階に合わせてキーワードを設計します。
| 受入企業の検索フェーズと狙うべきキーワード | |
| 情報収集段階 | ・特定技能 分野一覧 ・特定技能 採用 流れ ・外国人雇用 助成金 |
| 比較検討段階 | ・登録支援機関 費用 相場 ・登録支援機関 選び方 ・群馬 製造業 特定技能 ・愛知 外国人採用 特定技能 |
| 問い合わせ直前 | ・特定技能 登録支援機関 おすすめ ・特定技能 支援機関 変更 ・登録支援機関 乗り換え ・特定技能 外国人 採用 相談 |
自社が対応できる地域・業種を絞り、
「地域名+業種+特定技能」
「地域名+登録支援機関」
「業種+外国人採用+特定技能」
などのロングテールキーワードを積み上げていくことで、検討度の高い企業からの問い合わせを狙えます。
【Web広告】リスティング広告と専用LPの運用
検索広告を出稿する場合は、
「特定技能 採用」
「外国人 人材紹介」
「登録支援機関 費用」
など、検討度の高いキーワードを中心に広告設計を行います。
LPでは、
- 対応可能言語
- 対応業種
- 専任担当者
- 料金体系
- 支援体制
- リプレイス時の移行フロー
など、受入企業が比較する情報を最初から開示します。
【プラットフォーム活用】マッチングポータルへの参画
自社でSEOや広告運用を行うリソースが不足している場合、受入企業と登録支援機関をつなぐ専門プラットフォームへの掲載も有効です。
自社の、
- 対応地域
- 対応業種
- 対応言語
- 人材紹介の可否
- 支援体制
- 料金体系
などを正確に掲載し、自社に合った相談を受けやすくします。
『外国人採用の窓口』では、全国の受入企業からの相談に対し、強みや地域が合致する登録支援機関様をマッチングするパートナー連携を行っています。自社の得意分野を活かした受入企業の開拓をご検討の事業者様は、以下のお問合せフォームまたはお電話にてお問合せください
【アライアンス】社会保険労務士・税理士・地域金融機関との連携
受入企業の人事・労務・経営課題を日常的に把握している専門家との連携は、継続的な紹介ルートにつながります。
例えば、
- 社会保険労務士
- 税理士
- 行政書士
- 地域金融機関
- 商工会議所・業界団体
などとの情報交換を行います。
ただし、紹介料や業務提携の設計については、関係法令や各士業・金融機関等のルールを確認したうえで行う必要があります。
単純な「紹介料の支払い」だけに依存するのではなく、
「外国人雇用の相談が来たら、専門外の部分を信頼できる登録支援機関へつなぐ」
という役割分担を明確にすることが重要です。
【セミナー開催】制度改正・労務対策をテーマにしたリード獲得
「2027年育成就労制度施行に向けた企業の準備事項」「特定技能外国人を受け入れる際の労務管理」「特定技能1号から2号へのキャリア設計」など、企業側の課題をテーマにセミナーを開催します。
セミナー後には、
「自社の受入れについて相談したい」
という企業が次の行動を取りやすいよう、
- 個別相談
- 受入れ体制の簡易診断
- 採用条件の確認
- 支援費用の見積もり
などの導線を用意します。
【リファラル】既存顧客からの紹介の仕組み化
既存の受入企業との信頼関係を構築し、
「近隣の企業様で外国人採用にお困りの会社があれば、ご相談だけでもお受けします」
と伝えることで、紹介につながる可能性があります。
単に紹介を依頼するのではなく、
「誰に紹介すればよいのか」が既存顧客側から分かる状態
を作ることがポイントです。
例えば、
「建設業で特定技能外国人の採用を検討している企業様をご存じなら」
のように、紹介してほしい企業像まで具体化すると、紹介が発生しやすくなります。
2027年4月「育成就労制度」施行を見据えた営業戦略
2024年6月に成立した改正法により、技能実習制度に代わる新たな「育成就労制度」が原則として2027年4月1日に施行されます。
これに伴い、2026年4月15日から監理支援機関の許可に係る施行日前申請が開始され、育成就労計画の認定に係る施行日前申請は2026年9月1日から受け付けられます。
この制度変更は、登録支援機関の営業環境にも大きな影響を与えます。
【育成就労制度の開始に伴う主な変化】
- 制度目的の変更:国際貢献から「人材確保」と「特定技能への育成」へ
- 転籍要件の緩和:同一機関での一定就労(1〜2年)と一定の日本語能力で本人の意向による転籍が可能に
- 監理支援機関の要件厳格化:外部監査人の設置など、適正化要件の強化
登録支援機関にとっても、特定技能だけを単独で捉えるのではなく、
育成就労
↓
特定技能1号
↓
特定技能2号
という長期的な人材育成の流れを理解したうえで営業提案を行うことが重要です。
受入企業に対して、
- 日本語学習支援
- 技能習得支援
- キャリアパス設計
- 定着支援
- 転籍制度を踏まえた職場環境整備
まで説明できるようになると、単なる支援業務の受託ではなく、外国人材の長期的な活用を支えるパートナーとして位置付けやすくなります。
また、特定技能制度では2028年度末までの受入れ見込数として、1号特定技能外国人80万5,700人が設定されています。これは現在の在留者数に加算する数字ではなく、分野ごとの受入れ上限として設定されているものです。
登録支援機関の営業・新規開拓に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 登録支援機関の営業では、値下げをしたほうが成約しやすいですか?
A.極端な値下げを前提にするより、支援内容と費用の対応関係を明確にすることがおすすめです。
出入国在留管理庁の調査回答でも月額2万円〜4万円未満が65.6%を占めています。
月額1万円前後の低価格は、面談や生活支援の稼働コストを圧迫し、支援の質の低下を招く懸念があります。
価格を下げるのではなく、「3か月に1回以上の対面面談の徹底」「面談レポートの可視化」「人事評価フォーマットの提供」など、支援の質を可視化して適正価格で提案することが中長期的な事業継続につながります。
Q2. 既存の登録支援機関からリプレイスを獲得するには?
A. 現在の支援に対する具体的な不満を特定し、改善後の運用を具体的に見せることです。
本記事で解説した「14の不満」をもとに、「訪問頻度」「面談報告の有無」「担当者の言語体制」などを丁寧にヒアリングします。
「何が不満なのか」を把握し、
- 訪問頻度
- 返信体制
- 面談報告
- 言語対応
- 費用
- 制度相談
など、自社の対応と比較できる形にします。
Q3. まだ外国人を受け入れていない企業には、どのように営業すればよいですか?
A. 「外国人を紹介できます」から始めるより、受入れ前の不安を解消する営業が有効です。
受入要件、採用までの流れ、必要な費用、社内体制、採用後の支援内容などを順番に説明し、「自社でも受け入れられそうだ」とイメージしてもらうことが重要です。
Q4. 登録支援機関は支援計画の一部だけを受託できますか?
A. 受入れ機関は支援計画の全部又は一部を登録支援機関に委託できますが、登録支援機関自体が「一部のみを行う機関」として登録を受けることはできません。
一部委託の場合は、企業と登録支援機関のそれぞれの役割を明確にし、企業側が担当する支援について必要な体制を確保することが重要です。
Q5. 2027年の育成就労制度が始まると、登録支援機関の営業はどう変わりますか?
A. 特定技能への移行を見据えた人材育成・定着支援を提案できることが、差別化の一つになります。
育成就労制度との関係を理解し、日本語・技能習得、定着支援、キャリアパスまで含めた説明ができる機関ほど、受入企業から相談を受けるきっかけを作りやすくなります。
まとめ:登録支援機関の営業は「価格」から「支援品質」へ
登録支援機関が受入企業から選ばれ続けるためには、単発のテレアポや値下げだけに依存しない営業体制を構築することが重要です。
特に、
- 相談目的を見極める:新規受入企業とリプレイス企業では、営業の切り口を変える
- 営業先を明確にする:未受入企業、リプレイス企業、新規・成長分野の3タイプに分けて開拓する
- 企業の不安を先回りする:支援品質、採用・定着、制度対応、言語、費用などを具体的に説明する
- 複数の集客チャネルを組み合わせる:SEO、アウトバウンド、紹介、セミナー、プラットフォームなどを組み合わせる
という4点が重要です。
受入企業が求めているのは、単に「特定技能外国人を紹介してくれる会社」ではありません。
採用前の不安を解消し、入社後の支援まで含めて安心して任せられる登録支援機関であること。
その価値を具体的な運用体制と実績で示せる機関ほど、価格だけで比較されにくくなります。
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