「運転免許を持たない外国人を、特定技能のドライバーとして採用するにはどうすればよいのか」
「外国の運転免許のみ保有する外国人を採用して日本の免許に切り替えさせる方法はないか」
とお悩みではありませんか。
自動車運送業では日本の免許が必要ですが、取得までの猶予期間として「特定活動55号(特定自動車運送業準備)」を活用できる場合があります。
本記事では、外国人が来日後に運転免許を取得し、特定技能1号へ移行するまでの流れを解説します。
特定活動55号で認められる活動や在留期間、給与・支援の取扱い、申請時の注意点もわかりやすくお伝えします。
特定技能「自動車運送業」は日本の運転免許が必要
自動車運送業分野の特定技能1号は、トラック、バス、タクシーの運転業務で外国人を受け入れるための在留資格です。
ただし、特定技能1号の在留資格を取得し、運転業務に従事するためには、日本で有効な運転免許を取得していることが求められます。
具体的には、トラック運転者は第一種運転免許、バス運転者とタクシー運転者は第二種運転免許が必要であり、国際運転免許証だけでは特定技能のドライバーとして乗務できません。
そのため、日本の運転免許を持たない外国人を海外から採用する場合は、来日後に免許を取得するための在留資格を経てから、特定技能1号へ移行する流れを検討する必要があります。
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特定技能1号「自動車運送業」の基本概要 |
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| 在留資格の種類 | 特定技能1号 |
| 特定産業分野名 | 自動車運送業 |
| 業務区分 | トラック、バス、タクシー |
| 技能水準 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験合格 |
| 日本語能力水準 | トラック:N4相当以上 バス・タクシー:N3相当以上 |
| 運転免許等 | トラック:第一種運転免許 バス・タクシー:第二種運転免許及び新任運転者研修修了 |
運転免許取得期間は「特定活動55号」で在留可能
日本の運転免許を持たない外国人であっても、特定活動55号(特定自動車運送業準備)を利用することで、免許取得に必要な準備期間を日本で過ごすことができます。
具体的には、特定技能1号への移行を前提として、自動車教習所への通所や外免切り替えなど運転免許取得に必要な手続きを行うことが認められています。
また、バス運転者とタクシー運転者については、免許取得に加えて新任運転者研修を受講する期間としても活用できます。
そのため、海外からドライバー候補者を採用する場合は、特定活動55号で来日させ、必要な免許や研修を終えた後に特定技能1号へ変更する流れが一般的です。
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特定活動55号の在留資格の概要 |
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| 在留資格の種類 | 特定活動55号(特定自動車運送業準備) |
| 在留期間 | トラック:6カ月 バス・タクシー:1年 |
| 許可される活動内容 | ・運転免許取得手続き ・新任運転者研修(バス、タクシーのみ) ・車両の清掃等の関連業務 |
| 技能水準 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験合格 |
| 日本語能力水準 | トラック:N4相当以上 バス・タクシー:N3相当以上 |
特定活動55号の活動内容
特定活動55号は自動車運送業分野の特定技能1号へ移行するために運転免許を取得する目的の在留資格であり、活動内容は限定されています。
そのため、受入れ企業は、特定活動55号で在留する外国人に任せられる業務と認められない業務を区別したうえで、来日後の予定を組み立てる必要があります。
ここからは、特定活動55号で行う活動内容を解説します。
運転免許取得手続きを行う
特定活動55号の主な目的は、自動車運送業の業務に従事するために必要な日本の運転免許を取得することです。
方法は大きくわけて2つあり、ひとつは日本の自動車教習所へ通い免許を取得する方法です。
もうひとつの方法として、外国で取得した運転免許を持つ外国人は、一定の要件を満たす場合に外国運転免許証から日本の運転免許証へ切り替える「外免切替」を行うことも可能です。
新任運転者研修の受講(バス・タクシーのみ)
バスまたはタクシーの運転者として特定技能1号へ移行する場合は、日本の第二種運転免許を取得するだけでなく、新任運転者研修を修了する必要があります。
この研修は、旅客自動車運送事業において新たに運転業務へ就く人を対象とするものであり、特定活動55号の在留期間中に受講することが認められています。
ただし、トラック運転者には新任運転者研修の修了は求められていないため、採用する業務区分によって必要な準備が異なる点に注意が必要です。
したがって、バス・タクシー事業者は、免許取得と研修修了の双方を在留期間内に終えられるよう、来日後の予定をあらかじめ組み立てておくことが大切です。
車両の清掃等の関連業務に従事する
特定活動55号では、受入れ企業との雇用契約に基づき、免許取得までの期間に車両の清掃など、運転業務に関連する作業へ従事することも認められています。
ただし、この在留資格はあくまで特定技能1号への移行準備を目的とするため、日本の運転免許を取得した後であっても、そのまま営業用車両の運転業務に就くことはできません。
必要な免許や研修の要件を満たした場合は、速やかに特定技能1号への在留資格変更許可申請を行う必要があります。
「特定活動55号」の在留資格の特徴
特定活動55号の在留資格は、通常の就労系在留資格とは異なり、運転免許を取得することが主目的ですが、有効な雇用契約を締結する必要があるなど就労資格の一種です。
ここからは、採用前に確認したい特定活動55号の制度上のポイントを順に解説します。
在留期間は6カ月または1年間
特定活動55号で認められる在留期間は、採用する運転者の業務区分によって異なります。
トラック運転者の場合は6カ月、タクシー運転者およびバス運転者の場合は1年間と定められています。
いずれの在留区分でも在留期間を更新することはできないため、免許取得や必要な研修を期限内に終えなければなりません。
受入れを検討する企業は、教習所への通所や外免切替、研修の日程を事前に確認し、期間内に特定技能1号へ移行できるよう計画的に準備を進める必要があります。
特定技能1号と同様の支援義務がある
特定活動55号で外国人を受け入れる場合も、受入れ企業には特定技能1号と同様の10項目の支援を実施する義務があります。
ただし、受入れ企業が支援を自社で行うための体制を整えられない場合は、登録支援機関へ支援業務の全部を委託することも可能です。
法律上定められた10項目の支援義務は以下のとおりです。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居の確保や生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 各種公的手続きへの同行
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 人員整理時の転職支援
- 定期面談や必要時の行政通報
免許取得期間中も給与の支払いが必要
特定活動55号で在留する外国人は、免許を取得するまでの準備期間であっても受入れ企業と雇用契約を結ぶため、契約内容に従って給与を支払う必要があります。
そのため、自動車教習所への通所や外免切替の手続きを進めており、ドライバーとして乗務していないことを理由に、無給で在留させることはできません。
ただし、外国人は免許取得に向けた活動と並行して、認められた範囲内で車両の清掃などの関連業務に従事できます。
受入れ企業は、免許取得までに支払う給与や担当させる業務を事前に検討し、その期間を含めた採用コストを見込んでおくことが大切です。
特定技能1号の通算5年の在留期間に含まれない
特定活動55号で日本に在留する期間は、特定技能1号の通算5年の在留上限にはカウントされません。
そのため、トラック運転者が6カ月、バス・タクシー運転者が1年間を免許取得などの準備に充てた場合でも、その期間によって特定技能1号として働ける年数が短くなることはありません。
特定活動55号では運転業務に従事することはできず、特定技能1号「自動車運送業」の主要な業務を行わないことから、通算期間に含まない取り扱いとなっていると考えられます。
特定活動(特定技能移行準備)との違い
特定活動「特定技能移行準備」は、在留期限までに特定技能1号への変更申請に必要な書類をそろえられない場合に、特定技能移行の準備期間として利用できる在留資格です。
自動車運送業分野でも活用できますが、申請人がすでに日本の運転免許を取得していることが前提となります。
また、特定技能移行準備は特定技能1号と同じ業務に従事することを前提としているため、自動車運送業分野では運転業務を行う必要があります。
これに対し、特定活動55号は、来日後に運転免許の取得や新任運転者研修の修了を目指すための制度であり、利用目的が異なります。
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特定活動(特定技能移行準備)と特定活動55号の制度比較 |
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| 在留資格の種類 | 特定活動(特定技能移行準備) | 特定活動55号(特定自動車運送業準備) |
| 在留期間 | 6カ月 | トラック:6カ月 バス・タクシー:1年 |
| 活動内容 | 特定技能1号と同じ | 免許取得等の活動 |
| 運転免許 | 申請時点で必要 | 許可後に取得 |
| 更新の可否 | やむを得ない事情がある場合に限り1度だけ | 不可 |
「特定活動55号」でドライバー候補者を受け入れる際の注意点
特定活動55号を利用する場合は、制度の目的や申請手続を正しく理解することが重要です。
受入れ後の対応を誤ると、予定どおり特定技能1号へ移行できないおそれがあります。
ここからは、企業が事前に確認しておきたい主な注意点を解説します。
免許取得後は速やかに特定技能1号に切り替える必要がある
特定活動55号は、運転免許の取得や新任運転者研修の修了に向けた準備を行うための在留資格であり、目的を果たした後にそのまま運転業務を続けられる制度ではありません。
そのため、日本の運転免許を取得し、バス・タクシーの場合は必要な研修も修了した段階で、速やかに特定技能1号への在留資格変更許可申請を行う必要があります。
ただし、変更申請を提出しただけで直ちに特定技能1号へ移行するわけではなく、許可を受けるまでは特定活動55号で認められた範囲を超えて活動することはできません。
免許や研修以外は特定技能と同じ基準を満たす必要がある
特定活動55号では、日本の運転免許や新任運転者研修に関する要件を除き、原則として特定技能1号と同様の受入れ基準を満たす必要があります。
具体的には、外国人に支払う報酬が同等の業務に従事する日本人と同等以上であることや、受入れ企業が関係法令を遵守し、欠格事由に該当しないことなどが求められます。
また、外国人本人についても、技能試験や日本語試験など、自動車運送業分野の特定技能1号へ移行するための要件をあらかじめ満たしていなければなりません。
そのうえ、受入れ後は雇用契約や支援の実施状況などに関する届出義務もあるため、免許取得前の準備段階から特定技能と同水準の管理体制が必要です。
申請時は多くの専用様式書類を作成する必要がある
通常の特定技能申請では、雇用条件書や支援計画書など分野共通の様式を使用しますが、特定活動55号では、専用の雇用条件書や支援計画書を作成する必要があります。
また、在留資格認定証明書交付申請書や在留資格変更許可申請書には、汎用の「特定活動」用様式を使用するため、免許取得や新任運転者研修の予定、準備期間中の活動内容などに関する補足書類として、専用の説明書も添付する必要があります。
オンライン申請に対応していない
特定活動55号の在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請は、在留申請オンラインシステムの対象外です。
そのため、必要書類を紙でそろえたうえで、申請先となる地方出入国在留管理官署へ提出しなければなりません。
オンラインで申請できる特定技能1号の手続きとは提出方法が異なるため、通常と同じ流れで進められると考えないよう注意が必要です。
受入れを検討する際は、書類の作成や提出に要する時間も見込み、来日予定や在留期限から逆算して余裕のある申請計画を立てることが大切です。
まとめ
この記事では、日本の運転免許を持たない外国人を自動車運送業の特定技能で受け入れるまでの流れや、特定活動55号で認められる準備活動、在留期間、給与・支援の取扱い、申請時の注意点を解説しました。
免許取得後は、速やかに特定技能1号へ切り替える必要があります。
外国人ドライバーの採用を検討する際は、候補者の免許保有状況や業務区分を確認し、来日後の取得計画と申請スケジュールを具体化しましょう。
専用書類の作成や支援体制の整備も必要となるため、早い段階から準備を始めることが重要です。
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