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不法就労助長罪はいつから厳罰化される?2027年施行の改正入管法を解説

「不法就労助長罪が厳罰化されると聞いたがいつから始まるのか」
「どのような場合に不法就労助長罪に該当するのか」

と疑問をお持ちではありませんか。

外国人雇用では、在留カードを確認するだけでなく、実際の業務内容や労働時間、在留期限まで適切に管理する必要があります。

本記事では、改正入管法による罰則の変更点をはじめ、不法就労助長罪に該当しやすい事例や企業に生じるリスクを解説します。

違反を防ぐために経営者が確認すべきポイントも、わかりやすく紹介します。

この記事の監修
安藤 祐樹
安藤 祐樹 きさらぎ行政書士事務所 / 行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

2027年4月1日から不法就労助長罪が厳罰化される

2027年4月1日から、外国人に不法就労をさせたり、その就労をあっせんしたりする不法就労助長罪の罰則が引き上げられます。

具体的には、現在の「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」から、「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」へと厳しくなります。

加えて、拘禁刑と罰金刑はどちらか一方だけでなく、両方が同時に科される可能性もあるため、外国人を雇用する企業にとって見過ごせない改正です。

2027年施行の改正入管法の概要

公布日 令和6年6月24日
施行日 令和9年4月1日
主な改正内容 ・在留資格「育成就労」の創設
・不法就労助長罪の厳罰化
・永住許可取消事由の追加
・特定技能の支援委託のルールを適正化

不法就労と不法就労助長の違い

不法就労とは、外国人本人が適法な在留資格を持たずに働く場合や、認められた活動内容とは異なる業務に従事する場合、資格外活動許可などで定められた時間・範囲を超えて就労する場合などを含む違法な就労活動の総称です。

一方、不法就労助長罪は、こうした不法就労を行った外国人本人ではなく、不法就労をさせた事業主や、その実現に関与した者を処罰するための規定です。

具体的には、事業活動として外国人に不法就労をさせた者、不法就労させる目的で外国人を自己の支配下に置いた者、業として不法就労や支配下に置く行為をあっせんした者が対象となります。

つまり、不法就労罪が外国人本人の違法な就労行為を問題とするのに対し、不法就労助長罪は、雇用・支配・あっせんを通じてその就労を生じさせた側の責任を問う点に違いがあります。

「不法就労助長罪」から学ぶ、外国人雇用で企業が陥りがちな法的リスクとその対策【行政書士監修】

知らずに不法就労を助長した場合も処罰を免れることはできない

入管法では、不法就労にあたることを知らなかった場合でも、その認識がなかったことに過失がないと認められない限り、不法就労助長罪の処罰を免れないと定められています。

たとえば、外国人が持つ在留資格では認められない業務に従事させた場合や、不法入国者であることを確認せずに雇用した場合などが該当し得ます。

また、資格外活動許可が必要な外国人について、許可の有無を確かめないまま働かせ場合も、事業主の確認不足が問題となる可能性があります。

「本人から働けると聞いていた」といった事情だけでは足りず、在留資格、就労制限、資格外活動許可の内容を事業主側で確認することが必要です。

不法就労助長罪のよくある事例

外国人を雇用するにあたっては、手続きや管理に不備があることで法令違反につながってしまう可能性がありますが、問題となる場面を事前に知っておけば、採用や配置の判断に生かせます。

そこで、企業が特に注意したい代表的な事例を確認していきましょう。

技人国で現場作業に従事させる

「技術・人文知識・国際業務(通称、技人国)」は、専門的な知識や外国人特有の感性などを生かす業務に従事するための在留資格であり、原則として単純な現場作業は認められていません。

たとえば、通訳や生産管理を担当するとして採用した外国人を、実際には工場の製造ライン、製品の梱包・仕分けなどに継続して従事させると、不法就労に該当する可能性があります。

たとえ肩書を「通訳」「マネージャー」などとしていても、適法性は業務の実態をもとに判断されます。

技術・人文知識・国際業務(技人国)の許可要件と従事できる・できない業務を解説

留学生アルバイトの週28時間の就労制限を超過して働かせる

在留資格「留学」の外国人がアルバイトをするには資格外活動許可が必要であり、原則として就労できる時間は1週間につき28時間以内(教育機関が定める長期休業期間中は1日8時間まで)に制限されています。

また、複数の勤務先で働いている場合は、それぞれの労働時間ではなく、すべてのアルバイト先での勤務時間を合計して上限を守らなければ、不法就労に該当する可能性が生じます。

そのため、事業主は本人の申告だけに頼らず、資格外活動許可の有無を確認したうえで、他社での勤務状況も含めて労働時間を適切に把握する必要があります。

資格外活動許可とは?留学生アルバイトの28時間ルールと雇用時の注意点

在留資格変更許可を受けずに資格外業務に配置転換する

雇用している外国人を同じ会社の中で配置転換する場合でも、新しい業務が現在の在留資格で認められる活動範囲に含まれるかを確認する必要があります。

たとえば、特定技能などで現場作業に従事していた外国人を、あらかじめ在留資格変更許可を受けずに専門的な業務を中心とする部署へ異動させると、在留資格との不一致が生じ不法就労に該当する可能性があります。

新たな業務が現在の在留資格では認められない場合には、在留資格変更許可が必要になるため、本人がその変更先の在留資格取得要件を満たしているかも含めて事前に検討しなければなりません。

在留資格変更許可申請とは?更新との違いや必要書類・審査ポイントを解説

転職希望者の在留資格とその許可範囲を確認せずに採用する

「技術・人文知識・国際業務」や「技能」など、転職時に在留資格変更許可が不要な場合でも、業務内容によっては新しい勤務先の業務を適法に行えるとは限りません。

たとえば、「技能」で中華料理の調理師として働いていた外国人を、料理の仕事という理由だけで和食店で採用すると、現在の在留資格で認められる活動範囲から外れる可能性があります。

これは、調理師としての「技能」が、原則として外国で考案され、日本で特殊なものを要する料理の調理技能を前提としているためです。

転職者の採用前には在留資格の名称や職種だけで判断せず、これまでの許可内容と自社で担当させる具体的な業務が一致するかを確認し、必要に応じて就労資格証明書の取得も検討することが重要です。

在留資格変更許可申請の審査完了前から働かせる

外国人の転職では、現在の在留資格と転職先の業務内容によって、在留資格変更許可を受けた後でなければ就労を開始できない場合があります。

その場合は、在留資格変更許可申請をする必要がありますが、たとえ入管に書類を提出していても、審査が終わるまでは新しい在留資格の活動を始めることはできず、許可前の就労は不法就労に該当する可能性があります。

しかし、すでに前職を退職し、転職先が用意した寮へ入居しているような状況では、本人と企業の双方が少しでも早く就労(雇用)を開始したいと考えることもあります。

そのような事情があるとしても実際に変更許可が下りたことを確認してから就労を開始させなければ、不法就労助長罪に問われるおそれがありますので注意が必要です。

在留期限切れに気づかないまま働かせる

外国人従業員の在留期限が切れたまま雇用を続けると、本人の就労が不法就労にあたり、雇用を継続した企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。

採用時に在留カードを確認していても、その後の在留期限を管理していなければ、更新漏れや申請の遅れを見落とすおそれがあります。

なお、在留期間更新許可申請が適法に受理されている場合には、在留期限後も審査が終わるまで、または2カ月経過時点までは従前の在留資格で在留できる特例があるため、単にカード表面の日付だけで判断するのではなく、ルールを把握した上で判断する必要があります。

企業は雇用する外国人の在留期限を一覧で管理し、期限が近づいた段階で本人に更新手続きを促すとともに、許可または申請中であることを示す資料を確かめるなど、必要な体制を整えることが重要です。

不法残留者を雇用して就労させる

出入国在留管理庁の統計によると、令和8年1月1日時点の不法残留者は6万8,488人であり、このような外国人を雇用して働かせる行為は不法就労助長罪に該当する可能性があります。

一般的な採用基準としては、不法残留者を採用するつもりはない企業が多いと考えられますが、面接時に偽造された在留カードを提示し、適法に働けるよう装って雇用主を欺こうとする事例もあるため、券面を目視するだけでは十分とはいえません。

そこで、採用時には在留カードの原本を確認し、ICチップ内の情報を表示できる出入国在留管理庁の読取アプリを使って、券面の記載内容と照合することが有効です。

加えて、在留カード等番号失効情報照会も活用し、偽変造や失効の可能性をできる限り確認できる体制を整えておきましょう。

出入国在留管理庁|在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ

不法就労助長で生じるリスク

不法就労を助長した場合は、拘禁刑や罰金などの刑事罰を受ける可能性があります。

加えて、その影響は外国人雇用にとどまらず、会社の事業運営にも及びかねません。

以下では、企業に生じる主なリスクを確認していきます。

他の外国人の受け入れも停止されてしまう可能性がある

1人の外国人に不法就労をさせたことが原因となり、現在受け入れている他の外国人についても、雇用の継続が難しくなる場合があります。

たとえば、特定技能所属機関には入管法令や労働法令を遵守していることが求められ、入管法違反が発覚した場合などは欠格事由に該当し、違反から5年を経過するまで、新たな特定技能外国人の受け入れが認められません。

1件の不法就労が、その後の外国人材の採用計画や事業運営にも広く影響する可能性があります。

本業の許認可が取り消される可能性がある

建設業や運送業、廃棄物処理業など、行政の許可を受けなければ営むことができない事業では、許可の取得時だけでなく、更新時にも所定の要件を満たす必要があります。

許可要件は業種ごとに異なりますが、多くの制度では、法人や役員などが一定以上の刑事罰を受けていないことを欠格事由として定めています。

そのため、不法就労助長罪で拘禁刑などを受けた場合には、新たな許可の取得や更新が認められなくなったり、すでに受けている許認可が取り消されたりする可能性があります。

加えて、2026年7月11日の報道では、出入国在留管理庁が、不法就労助長罪による処分歴を各業種の許認可制度における欠格事由へ追加するよう、関係省庁へ要請する方針を固めたと報じられました。

今後こうした制度改正が進めば、比較的軽い罰金刑であっても欠格事由に該当し、許認可の取得や更新、さらには事業の継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。

不法就労を助長する行為は、外国人雇用に関する問題だけでなく、本業そのものの継続を困難にする重大な経営リスクにつながり得るため、十分な注意が必要です。

不法就労を助長してしまわないために気を付けるべきこと

外国人雇用では、採用時の確認だけでなく、入社後も継続して適切に在留管理をすることが欠かせません。

必要な確認事項をあらかじめ整理しておけば、意図しない違反を防ぎやすくなりますので、ここでは企業が実務上注意すべきポイントを解説します。

応募者の在留資格や経歴と業務内容の関連性を確認する

外国人を採用する際は、在留カードに記載された在留資格の種類だけでなく、その在留資格や本人の経歴と自社の業務の関連性まで確認する必要があります。

たとえば、人員を補充したい業務が通訳や翻訳業務の場合、転職希望者の在留資格が「技術・人文知識・国際業務」であっても、学歴や日本語能力が許可要件に適合していない場合は、そのまま従事させると問題が生じる可能性があります。

これは、「技術・人文知識・国際業務」の中にも複数の許可の類型があることが理由であり、たとえば日本語能力が乏しい外国人の場合は技術者としての許可を受けることはできても対人業務の許可要件は満たさない場合などがあります。

外国人を採用するにあたっては、採用前に従事させる予定の業務を具体的に整理し、本人の在留資格や学歴・実務経験などと照らし合わせたうえで、適法に就労できることを確かめることが求められます。

偽造在留カードでないことをできる限り確認するよう努める

外国人を採用する際は、在留カードのコピーではなく原本を確認し、顔写真や在留期限、就労制限の有無などを本人と照合することが大切です。

ただし、券面を目視するだけでは精巧な偽造を見抜けない場合があるため、出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリを活用し、ICチップの情報と記載内容を確認しましょう。

加えて、在留カード等番号失効情報照会を利用すれば、提示されたカードが失効していないかを確かめられます。

複数の確認方法を採用手続きに組み込み、確認結果を記録として残す体制を整えることが重要です。

出入国在留管理庁|在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ

在留カードとは?記載事項の概要と外国人採用時の確認ポイントを解説

すべての外国人従業員の在留期限を正確に管理する

外国人従業員の在留期限は採用時に確認するだけでなく、雇用を継続する間も定期的に管理し、常に期限を把握しておかなければなりません。

しかし、対象者が増えるほど個別管理は難しくなるため、氏名、在留資格、在留期限、更新状況などを一覧化しておくことが重要です。

加えて、期限が近づいた段階で本人に更新手続きの状況を確認し、申請中であれば受付を確認できる資料も提出してもらいましょう。

本人や担当者だけに任せきりにせず、期限前に自動で確認できる仕組みを整え、更新漏れを防ぐことが重要です。

困ったときやわからないことがある場合は専門家に確認する

在留資格ごとに認められる活動範囲は異なり、業務内容や勤務形態によっては判断が難しい場合があります。

そのような場合に、自己判断のまま採用や配置転換を進めると、意図せず不法就労を生じさせるおそれがあります。

そのため、就労の可否や在留資格変更許可の必要性に迷ったときは、外国人雇用や入管法実務に詳しい弁護士や行政書士などへ事前に確認することが重要です。

問題が起きた後ではなく、採用や異動を決定する前に相談することで、法令違反の予防につながります。

まとめ

不法就労助長罪は、2027年4月1日から罰則が引き上げられ、企業にはこれまで以上に慎重な外国人雇用管理が求められます。

在留資格と業務内容の不一致、留学生の時間超過、在留期限切れなどは、意図していなくても重大な問題につながりかねません。

外国人を雇用している企業は、在留資格、就労可能な範囲、在留期限をあらためて確認し、管理方法を社内で統一しましょう。

判断に迷う採用や配置転換がある場合は自己判断で進めず、就労開始前に外国人雇用に詳しい専門家へ相談することが大切です。

この記事の監修
安藤 祐樹
安藤 祐樹 きさらぎ行政書士事務所 / 行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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