外国人の面接をするときに
「在留期限が残り少ないけれど、このまま採用してもいいのか」
と悩む採用担当者の方は少なくありません。
在留期限が近いこと自体は、直ちに採用できない理由にはなりません。
一方で、確認を怠ったまま入社日を決めると、更新や変更の許可が間に合わず、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。
この記事では、在留期限が残り少ない外国人の応募を受けたときに、採用できる場合とできない場合の違い、在留カードで確認すべき点、採用可否の判断基準を解説します。
あわせて、応募者の立場ごとの雇用開始時期や、入管法違反を避けるための注意点も紹介します。
INDEX
在留期限が残り少ない外国人は採用できる場合とできない場合がある
在留期限が残り少ない外国人から応募があった場合、期限の近さだけで採用を見送る必要はありません。
一方で、手続きの見通しが立たないまま採用を進めると、入管法違反につながるおそれがあります。
まずは「採用できるケース」と「採用できないケース」の分かれ目を押さえておきましょう。
在留期間更新や在留資格変更が間に合うなら採用できる
在留期限が近くても、在留期間更新許可申請(在留期間を延ばす手続き)や在留資格変更許可申請(別の在留資格に切り替える手続き)が期限内に行え、許可が見込める場合は採用できます。
期限までに申請をしていれば、審査中も在留期限から最長2か月間は適法に日本に在留できる特例期間があります。
そのため、申請さえ間に合えば、結果が出る前でも雇用を進められる場合があります。
ただし、この特例期間は在留期限前に入管申請をした場合に限って認められるものです。
応募者が申請をしていない状態で期限を過ぎてしまうと、不法残留となり、雇用することはできません。
採用を検討する際は、期限までに申請を終えられるスケジュールかどうかを、早い段階で確認することが大切です。
在留期限が近い外国人の採用可否の判断基準一覧表
| 状況 | 採用可否 | ポイント |
| 期限内に更新や変更の申請ができ、許可が見込める | 採用できる | 審査中も雇用をできる場合がある(技人国など) |
| 既に更新申請中かつ就労制限のない在留資格をもっている | 採用できる | 期限から最長2か月間は適法に在留できる ※許可が出ればその後も雇用継続できる |
| 現在の在留資格が就労を認めておらず、変更許可が見込めない | 採用できない | 短期滞在などは就労できない |
| 自社の業務が応募者の在留資格の許可範囲外、かつ変更許可が見込めない | 採用できない | 従事できる業務は在留資格ごとに決まっている |
| 在留期限が過ぎており、申請もされていない | 採用できない | 不法残留となり雇用できない |
応募を受けたらまず在留資格と過去の在留状況を確認する
応募を受けたら、面接や条件の話に進む前に、まず在留カードや履歴書などで在留資格の種類と過去の在留状況を確認します。
在留カードは、日本に3か月を超えて在留する外国人に交付される身分証明書のようなカードで、就労できるかどうかを判断する出発点になります。
ここでは、カードのどこを見て、何を判断するのかを順に説明します。
在留資格と在留期間の満了日の見方

在留カードの表面には、在留資格、在留期間、在留期間の満了日などが記載されています。
在留資格とは、日本で行える活動の種類を定めたもので、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などがあります。
在留期間の満了日は、その日までしか日本に在留できないという期限を示しています。
在留期限が残り少ない応募者の場合は、満了日と、自社の入社予定日との前後関係を必ず確認します。
あわせて、在留資格の種類が自社で任せる予定の仕事に合っているかも見ます。
カードが有効であることと、自社の業務に就けることは別の問題です。
資格外活動許可欄と就労制限の確認
就労できる範囲は、カード表面の「就労制限の有無」の欄で確認します。
「就労制限なし」とあれば、永住者や定住者などで、職種の制限なく働けます。
「在留資格に基づく就労活動のみ可」とあれば、その在留資格で認められた範囲の仕事に限られます。
「就労不可」とあれば、原則として働けません。
「留学」や「家族滞在」の方は、カード裏面の資格外活動許可欄も確認します。
ここに許可の記載があれば、週28時間以内など定められた範囲でアルバイトができます。
在留期限が近い卒業見込みの留学生を採用したい場合は、在留資格変更の手続きが別途必要になります。
また「特定活動」「特定技能」「高度専門職」の方は、カードだけでは活動内容がわかりません。
パスポートに貼付された指定書で、認められた活動の内容を必ず確認してください。
特定技能は他の会社所属で入管申請中の場合は採用できない
特定技能の方は、特定の受入れ機関(雇用する会社)との契約を前提に在留資格が許可されています。
そのため、現在の勤務先を退職して転職する場合は、新しい会社での就労開始前に、入管で所属機関変更の手続きと許可が必要です。
注意したいのは、応募者が他社所属の状態で、別の会社を通じた在留資格の申請が入管で審査中のケースです。
この場合、同時に自社で雇用する手続きを進めることはできず、結果が出るまで新たな申請ができません。
応募を受けた段階で、現在の所属先と、入管に申請中の手続きがないかを必ず本人に確認してください。
在留期限が残り少ない外国人を採用してもいいかの判断基準
在留期限が残り少ない外国人から応募があった場合でも、期限の長短だけで採用の可否が決まるわけではありません。
大切なのは、在留資格の内容と、これから更新や変更の許可を受けられる見込みがあるかどうかです。
ここでは、経営者や採用担当者の方が面接前後に確認しておきたい判断基準を5つに分けて説明します。
現在の在留資格で自社の業務に就けるか
まず確認したいのは、本人が今持っている在留資格で、自社が任せる予定の仕事に就けるかどうかです。
在留資格ごとに、認められる活動の範囲が決まっています。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国)の外国人に、工場のライン作業や飲食店の接客を中心とした仕事を任せることは原則としてできません。
前職と同じ職種であれば問題になりにくいですが、職種が変わる場合は注意が必要です。
業務内容が現在の在留資格の範囲に収まらない場合は、在留資格の変更が必要になります。
その場合は、変更が許可されるまで就労を開始できません。
入社予定日と在留期限の関係も、この段階で整理しておきます。
現在の在留状況に問題がないか
本人のこれまでの在留状況に問題がないかを確認します。
更新や変更の審査では、法令を守って在留してきたかどうかが見られます。
そのため、現在の状況は採用後の見通しに直結します。
確認したい点は次のとおりです。
- 在留カードが有効で、記載内容に不自然な点がないか
- 許可された範囲を超えて就労していないか
- 住所変更や所属機関に関する届出を、期限内に行っているか
- 納税や社会保険の手続きを適切に行っているか
これらは、本人への聞き取りと書類の提示で確認できる範囲で構いません。
在留カードの真偽は、出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションや失効情報照会で確かめられます。
届出漏れや資格外の就労がある場合は、更新や変更が不許可になるおそれがあります。
その状態で採用を進めるのは慎重に考えるべきです。
参考:出入国在留管理庁|在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ
更新が許可される見込みはあるか
同じ在留資格のまま転職し、在留期間の更新を受ける場合は、新しい勤務先での活動が在留資格に合っているかが審査されます。
具体的には、業務内容、学歴や職歴との関連性、報酬が日本人と同等以上であること、会社の事業の安定性や継続性などです。
採用する会社の側も、審査の対象になることを理解しておきましょう。
また、前職を退職してから長期間、在留資格に応じた活動をしていない場合は、在留資格の取消しにつながることがあります。
退職日と、本人がすでに更新申請を済ませているかどうかを確認してください。
見通しに不安がある場合は、申請前に専門家へ相談することをおすすめします。
在留資格変更許可の見込みはあるか
留学生の新卒採用や、就労できない在留資格からの切り替えでは、在留資格変更許可申請が必要になります。
この場合は、許可が出るまで就労を開始できません。
審査では、本人の専攻と業務内容の関連性、学歴や職歴の要件、雇用条件などが見られます。
応募の段階で、成績証明書や卒業証明書、職務経歴書をもとに、要件を満たしているかを確認しておきます。
専攻と業務のつながりを、会社として説明できるかどうかが大切です。
在留期限が近い場合は、審査期間を考慮して、内定の時点から申請のスケジュールを組んでおく必要があります。
特定技能1号の場合は通算上限に達していないか
特定技能1号の方は、日本に在留できる期間が通算で5年までと決まっています。
応募者がすでに特定技能1号で働いている場合は、これまでの在留期間を確認し、上限までの残りを把握しておきましょう。
上限に達している場合は、特定技能1号での更新はできません。
在留期限が近い人を採用するときのポイント
在留期限が近い外国人を採用する場合、就労の可否は「在留期限までに入管への申請が済んでいるか」と「審査の結果がどうなったか」で大きく変わります。
経営者の方は、本人の説明だけで判断せず、申請の状況を客観的に確認することが大切です。
ここでは、採用の各段階で押さえておきたい3つのポイントを順に解説します。
入管申請が在留期限までに間に合うか判断する
在留期間の更新許可申請や在留資格変更許可申請は、在留期間が満了する日までに行う必要がありますが、審査には一定の期間がかかります。
そのため、満了日が目前に迫っている場合は、申請書類をそろえる時間が足りるかどうかを早めに見極めることが重要です。
自社で用意する書類(雇用契約書、会社の資料など)の作成に時間がかかる場合は、特に注意が必要です。
間に合わない見込みであれば、入社日の延期や採用の見送りも含めて検討してください。
実際に更新・変更の許可申請を実施したかどうか確認する
本人の言葉だけで、申請済みと判断せず申請が実際に受理されているかを、書類で確認します。
たとえば、入管が発行する申請受付票(受付印のある控えなど)を見せてもらう方法があります。
あわせて、申請した日付と、申請の内容が更新なのか変更なのかも確認してください。
期限内に申請していれば、在留期間満了日から2か月を経過する日、または審査結果が出る日のいずれか早い日までは、引き続き在留できる特例期間の扱いとなります。
この特例期間中に働けるかどうかは、在留資格の種類や本人の状況によって異なるため、断定せずに個別に確認することが必要です。
審査結果が出たら速やかに結果と在留期間満了日を確認する
審査結果が出たら、本人から速やかに報告を受け、新しい在留カードで内容を確認します。
確認する点は、許可された在留資格と、新たな在留期間の満了日です。
更新が許可されても、在留期間が想定より短くなる場合があります。
不許可となった場合は、その後の在留や就労の扱いが変わります。
内定の取り消しや入社日の見直しが必要になることもあるため、結果を放置せず、すぐに対応を検討してください。
入管法違反を避けるために注意すべき点
外国人の採用では、在留資格に関するルールを正しく理解しないまま手続きを進めると、知らないうちに入管法違反となるおそれがあります。
特に在留期限が近い応募者の場合は、申請のタイミングや書類の出来がそのまま就労可否に影響します。
ここでは、経営者の方が事前に押さえておきたい注意点を解説します。
書類不備による審査長期化・不許可のリスク
在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請は、提出すればそのまま許可されるわけではありません。
書類に不足や矛盾があると、出入国在留管理局から追加資料の提出を求められ、審査が長引くことがあります。
内容によっては不許可となる場合もあります。
また、審査にかかる期間は、申請の内容や時期によって変わり、一律ではありません。
「すぐに結果が出るはず」と見込んで日程を組むのは避けてください。
書類の準備は、応募者任せにせず、企業側の資料から先に整えておくことをおすすめします。
特例期間の仕組みと就労可否の判断基準を理解する
在留期限までに更新や変更の申請をした場合、審査が期限内に終わらなくても、一定の期間は適法に在留を続けられます。
これを特例期間といいます。
具体的には、在留期間の満了日から2か月を経過する日、また許可または不許可の処分がされるまでのいずれか早い日までとされています。
なお、注意したいのは、在留できることと、自社で働かせてよいことは別の問題だという点です。
特例期間中は従前の在留資格の活動を行うことができるとされているため、更新申請中であれば、従来と同じ活動の範囲で就労を続けられるのが原則です。
一方、在留資格変更が必要な人は、許可が出るまで新しい資格での就労はできません。
たとえば留学生が卒業後に就職する場合などが該当し、許可が出るまで就労を開始することはできません。
前職の退職時期と自社での雇用開始時期から逆算して準備を進める
転職者を採用する場合は、前職の退職日と自社の入社日が空きすぎないよう、全体の日程を逆算して考えます。
進め方としては、まず応募者の在留期限を確認し、そこから申請に必要な準備期間を差し引いて、遅くともいつまでに申請すべきかを決めます。
そのうえで、前職の退職日と自社の入社日を調整します。
審査完了日を事前に確定させることはできませんが、入管庁の公表している標準処理期間などをもとに離職日や在留カード受領日、引越しその他住民票の移転の日程などを検討して就労開始日の見込みを立てます。
許可が出る前に雇用開始してしまうと状況によっては不法就労となる場合があるため制度を正しく理解し採用するよう注意が必要です。
まとめ
在留期限が残り少ない外国人から応募があっても、期限の近さだけで採用を見送る必要はありません。
大切なのは、在留カードで在留資格と期間の満了日を確認し、自社の業務に就けるか、更新や変更の許可が見込めるかを客観的に見極めることです。
技人国の転職者のように審査中も働けるケースもあれば、卒業予定の留学生や特定技能の転職者のように、許可が出るまで就労を始められないケースもあります。
入管への申請が期限内に済んでいるかは、本人の説明だけで判断せず、申請の事実を書類で確認するようにしてください。
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